第52話「聖王の意思」

「本当にいいんだね」
「うん…」

 ヴィヴィオは頷く。
お昼前、ヴィヴィオは大人ヴィヴィオと一緒にヴァイゼンへとやってきていた。

【ママ達が知っているのかを確かめたい】

 目的はなのは達がこの話を知っているのかという事、もし知らなければ知ってどうするかを聞きたかった。
ここのヴィヴィオから借りた市販端末を使ってなのはとフェイトにメッセージを送り待ち合わせ場所に行く。
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第51話「オリヴィエからのメッセージ」

『アリシア、今いい?』

帰宅後、ヴィヴィオと一緒に居ても届いたメッセージの事が頭から離れなかったヴィヴィオは意を決してアリシアに念話を送った。
 遠く離れていたりすると使えないし、デバイス間の通信の方が便利なのだけれどここでデバイスを使うのは色々憚られるところもあるし念話だと彼女が話さなければ聞かれる心配もない。
 外に出て念話を飛ばす。

『うん。チェントと一緒に夕食作ってるところだけど大丈夫。そっちはどう?』


 
 
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第50話「ナカジマジム」

「ふぇ~…」

 アリシア達と別れて高町家に行ったヴィヴィオは今日何度目かの感嘆の声をあげていた。

『とっておきの場所に連れてってあげる♪ 絶対驚くから』

 この世界のヴィヴィオ達にそう言われて向かった所は何処かのスポーツジム…と思っていたけれど、【ナカジマジム】という名前を見て言われた通り思いっきり驚かされた。

「ノーヴェがストライクアーツの先生っていうのにも驚いたけど、こんな大きなジムを作ってたなんて…」




 
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第49話「詩編の意味」

「お姉ちゃんこれからどうするの? データの解析は終わってるよね?」
「えっ? 昨日まだだって…」

 ヴィヴィオが高町家に出かけた後4人で取る朝食の中、チェントが大人アリシアに聞く。
 思わずアリシアも聞き返す。

「特務6課のデータは終わってるよ。私とヴィヴィオはカレドウルフの実験施設に行くつもり。先にラプターが関係ないって言い切れる証拠を掴まなくちゃ。チェント、アリシアと一緒に留守番お願いね。あっそうだ! 2人でこっちの魔導技術についてもう少し調べて貰えるかな? 管理局の装備品系に絞っていいから」  

 昨日と違って【管理局の装備品】に絞ってというのに2人して疑問符を浮かべる。

「でも…2人で大丈夫?」

 
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第48話「彼女たちの影」

「ねぇ、前から聞きたかったんだけど…オリヴィエ様ってどんな人だった?」

 ヴィヴィオがジュースを飲もうとしているとチェントが聞いてきた。

「私も気になってたんだ~、昔の鎧姿がすっごく格好良かった。」

 大人ヴィヴィオも話に入ってくる。2人のアリシアも何か話していたみたいだけれど私達の会話が気になって

「ねぇ何の話?」
「オリヴィエ様ってどんな人だったのかなって。お姉ちゃんも気になるでしょ?」

 
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第47話「高町なのはの憂鬱」

「ハァ~…」

 ヴィヴィオが異世界に行った翌朝、高町なのはは溜息をついていた。着替えてリビングに入ってきたフェイトは彼女を見て声をかける。
 目に隈が出来ている訳ではないけれど1目で元気が無いのが判る程重傷。

「なのはおなよう…どうしたの? ヴィヴィオが心配で眠れなかった?」
「おはよ…フェイトちゃん。大丈夫…じゃないかも…」
「そう、大丈夫……じゃない?」

 慌てて駆け寄る。

「うん…これなんだけど、どうすればいいかな?」
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第46話「特務6課潜入作戦(後)」

『なのは…』
『なのはちゃん…』
『…うん…2人が言ってるのは本当みたい。ヴィヴィオとクリスはジムにいるって』 
(ヴァイゼンからミッドチルダへ見知らぬ転移魔法で移動した。小さい方の彼女は以前やって来たヴィヴィオ本人。もう1人の大人のヴィヴィオは誰や?)

 はやては2人のヴィヴィオを凝視する。 
 真っ先に考えたのは彼女が来たのをヴィヴィオがサプライズで驚かせようとした。特務6課で彼女を知っているのは3人だけ…。しかし大人の彼女の仕草を見て違和感を感じたなのははレイジングハートにクリスとヴィヴィオの所在確認をしていて彼女達は今ノーヴェのジムでトレーニング中。
 …ということは、彼女の言葉を信じるしかないらしい。

 
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第45話「特務6課潜入作戦(前)」

 -飛空艇フッケバイン追撃戦から数日が経過-

 第3管理世界ヴァイゼン、特務6課の駐留所の1室で端末を動かす人影があった

 -その構成員の足取りは依然掴めず捜査は膠着していたが
 -特務本部のEC対策と装備、対応人員の強化は確実に進行していた。-

 そして…小さな朗報が1つ…

 
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第44話「巣立つ雛鳥」

「ただいま~、ヴィヴィオ来てたんだ。」

 大人ヴィヴィオ達の話を聞き終えて部屋から出たところでアリシアが帰ってきた。隣で手を繋いでいたチェントがヴィヴィオを見て一瞬眉を細め手を離してプレシアの部屋へと駆け込んでしまった。その様子に2人揃って笑う。

「おかえり、アリシア。」 
「平気?」
「うん、なんとか…。それよりフェイトママから話聞いたよ、コラード先生の研修受けるんだって?」

 
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第43話「存在矛盾」

 大人ヴィヴィオが異世界から持ち帰ったアンドロイド型デバイスCW-ADXアーマーダイン ラプターのデータ。それには存在矛盾があるらしい。
 プレシアはヴィヴィオ達の前に立って話し始めた。

「ラプターに併せて関係しそうな技術を考えましょう。」
「インテリジェントデバイス、あなた達にも馴染みがあるわね。使用者と会話し意思疎通出来るデバイス。」
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第42話「異世界との差違」

 翌朝プレシアがキッチンに向かうと、そこには大人アリシアとチェントが朝食を作っていた。
 2人並ぶ様子を見て頬を緩ませる。きっと数年後、こちらでも同じ様な光景を見られるのだろう。
 足下にやってきたリニスにアリシアを起こしてくるよう小声で言った後、キッチンに入った。
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第41話「アリシアの役目」

「ただいま~なのはママ、フェイトママ」

 なのはとフェイトがキッチンで夕食を作っていると玄関からヴィヴィオの声が聞こえた。

「ヴィヴィオっ…えっ!?」
「おかえり~、キャッ!」
「た、ただいま…でいいのかな? こんばんは」

 2人でお出迎えしようと出て行くと、ヴィヴィオの隣に大きいヴィヴィオが会釈していた。
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第40話「転移の責務」

「ヴィヴィオ…起きなさい、ヴィヴィオ…」
「ん…ママ…?」

 額に当てられた暖かい手が何だか気持ちいい。
 きっと私が朝になっても起きてこないからなのはかフェイトが起こしにきたと思いながら重い瞼を開く。
 しかしそこには誰も居らず暖かく感じていた額も特に変わった感じがない。

「んっ…」

 起き上がろうとする。でも体が酷く重い。

「ここは元の部屋?…どうして?私…!!」




  
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第39話「急転」

「わ~本当にちっちゃいヴィヴィオだ。」
「かわいい~♪」
「こんな頃もあったのですね。」
「………こ、こんにちは…」
「それじゃ今の私がかわいくないみたいじゃない!」

 異世界に来たヴィヴィオは目前で彼女達のやりとりを聞きながら今起きている状況にぎこちない笑みを浮かべていた。
 こっちのヴィヴィオに会ってそのまま高町家に来た後、彼女からの連絡を受けてリオとコロナ、アインハルトがやって来ていた。
 3人を見て声が出ない程驚いた。

(こんなに変わっちゃうんだ…私もこんな風になれるのかな…)

 
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第38話「はじめての学院祭(後)」

(えっ! うそ…)

 目の前でヴィヴィオがクラスメイトに囲まれている。
 彼女から戻ってきたと言う連絡も無かったし、プレシアやフェイト、なのはの顔を見ると彼女達も驚いていて隠していたという訳ではない。

「チェント、プレシアさんそこにいるよ」
「かあさま~」

 繋いでいた手を離すとチェントがプレシアに駆けていって抱きついた。それを見てアリシアも我に返ってクラスメイトの輪に入った。

「ヴィヴィオっ!! いつ戻って来たの? 連絡が無かったからすっごく心配してたんだよ。」
「ごめん、少し前に着いたから念話で話すより来た方が早いかなって。また戻らなくちゃいけないんだけど…」
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第37話「はじめての学院祭(前)」

「アリシア、学院祭の準備はバッチリ?」

 高町家での夕食の団欒でフェイトに聞かれてアリシアは親指を立てて頷いた。

「うん♪ みんなビックリしちゃうよ。」
「…ビックリってお化け屋敷とかじゃないよね?」

 続けてなのはに聞かれて少し笑って答える。

「クスッ、違いますよ。聖祥だったらそれも面白いかなって思ったんですけど、こっちでお化けが怖いって習慣というかそんなイメージ無いですし、真っ先に魔法を使った悪戯だって思われちゃいます。」
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第36話「目覚める策士」

(……ここは?……)
(……私は…どうして…あ…そうか…)

 暖かさも冷たさも感じず辺りが真っ暗の中で俯瞰している様な感覚だけがある。
 その奇妙な状況を奇妙とも思えない自分自身の異常にも気づかない。

『………ん…』

 でもその状況が納得出来る理由に思いつく。

(私…あ~あ、どうせならもっといっぱい楽しい事したかったのに…)
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第35話「ヴィヴィオの居ない日」

「テスタロッサさん~、提出してくれたクラスの企画だけど…」
「えっ、はい。ごめん、先に行ってて」

 屋上でリオとコロナとお弁当を食べているとシスターがやってきてアリシアは呼ばれた。

「うん、頑張ってね」
「何か手伝える事があったら言ってね。」
「ありがと~後で色々お願いするね。」

 お弁当箱をササッと片付けて駆け足でシスターの所へと向かった。

 
 
 
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第34話「思わぬ遭遇」

「本当にお小遣い持ってこなかったら大変だったよ…」

 大人ヴィヴィオと別れた後、ヴィヴィオは部屋を出て身の回りの物を買いに出かけた。
 彼女達は郊外のマンションの1室を借りたらしい。
 着替えや生活に必要な物はそれぞれの部屋にあったけれど、殆ど無かったのが食材。1日程度なら何とかなるけれど数日留守番するには心許ない。
 最初は貰った課題を始めたけれど部屋に閉じこもっている訳にもいかず、気分転換の散歩…もとい周りの探索を兼ねて外に出かけた。
 それでも持って来たお小遣いで数日過ごすのはかなり無理があるのだけれど…


 

 
 
 
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第33話「新たな世界?」

『ヴィヴィオお帰りっ!』

 ヴィヴィオがメッセージを送って数分も経たない内にアリシアから通信が届いた。後ろをにはなのはとフェイトもいる。

『全然連絡が無かったから心配してたんだよ。』
『大丈夫? 怪我してない?』
「ただいま、アリシア、なのはママ、フェイトママ。何ともないよ」

 私は昨夜話したばっかりだからそんなに離れていた感覚が無い。でもここでは1週間過ぎている。彼女達との反応の差はその違いだろう。
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