~刻の移り人外伝~ 第7話 「Kings VS A's」

「やっぱり1対1だった」

 アリシアの作戦通り、ヴィヴィオは模擬戦開始の合図と共になのはの方へと一直線で向かった。

「約束だもん。行くよ。RHdっ」
【Armored module Drive Startup】
「私も、レイジングハート、エクセリオンモードドライブっ!!」
【Ignition】

 虹色と桜色の光の柱が立ち上る。一方で

「ディアーチェとは初めてだね…私が勝つから」
「我は王よ、貴様なんぞに負けてたまるかっ」

 金色と白色の光柱が生まれる。

「うゎぁ…4人とも本気だ。」
「なぁなのはちゃん、フェイトちゃん。どっちが勝つと思う?」

 紙皿に盛られた焼きそばを頬張りながらはやてが聞いてきた。
 まだ肩慣らし程度なのかなのはとヴィヴィオは互いにシューターを撃ちながら相手の出方を探っている。逆にフェイトは初手から全力でザンバーモードで迫りつつあるのに対し、ディアーチェはシュベルトクロイツの使い勝手を確認しながら彼女の攻撃を避けている。

「魔法制御能力はほぼ互角。魔力資質だけならヴィヴィオの方が上だけど、チーム戦は初めてだし、バインド以外の補助魔法知らないからね。はやてちゃんのマテリアル、ディアーチェちゃんの動き次第かな?」 
「私はここの私達かな…なのはと一緒に組んだ模擬戦、負けたことないから」
「じゃあ、王様チームが2口とAsチーム2口と…」

 モニタをポンポンと押して数字を入れている。

「はやてちゃん…何してるの?」
「ヴァイス君達がどっちが勝つかを賭けてたから許可した。その方が応援も熱が入るやろ♪」

 いつの間にそんな物をと呆れつつ
「模擬戦を一体何だと思って…2口2口?」
「私が王様チームでリンディ提督がAsチーム。あとアリサちゃんとすずかちゃん、なのはちゃんの家族はみんななのはちゃんとフェイトちゃんに賭けてるし、両方の八神家とチンク達はヴィヴィオとディアーチェに賭けてるよ。整備班とかはバラバラやね…」
「たまにはこういうのも良いわね。クロノとエイミィはAsコンビでプレシアは王様コンビよ」
「アリサちゃん、お父さん…クロノ君…プレシアさんまで…」

 エイミィはお祭り好きな面があるから予想もできたが、クロノやプレシア、士郎達まで参加しているとは…
 なのはとフェイトは開いた口がふさがらなかった。



(なのは凄い!!)

 アクセルシューターをシューターで相殺させながらインパクトキャノンで狙うが、なのはの視界の外から撃ってもひらりと避けられてしまう。まるでこっちの動きが見えているようだ。そのまま背後を取られる。

「今度はこっちの番だよ。エクセリオンバスターっ!!」
(直撃!?)

 聖王の鎧を使えば受け止められるが始めてすぐダウン判定されるのも嫌だ。
 その時脳裏にあるイメージが浮かんできた。すぐにRHdへ伝え両手を前にかざす。

「いっけえええええっ!」

 ヴィヴィオめがけて放たれたエクセリオンバスターはヴィヴィオに当たる前に集束し、彼女を巻き込む様に回ってそのままなのはめがけて撃ち返された。

「出来たっ!!」
「ふぇええええっ!」

 慌ててなのはが上空に飛んで避けるが斜線上にあったビル群は全て吹き飛んだ。
 オリヴィエがヴィヴィオとの模擬戦で見せた方法。自分の魔力を極力使わず相手の攻撃を跳ね返すイメージを送ったのだ。


  
「器用ね。砲撃の位相を変えて撃ち返すなんて。」

 艦橋で画面を見ながらチェックしていたプレシアは思わず呟く。

「そうですね。ヴィヴィオのイメージをRHdがフォローして魔力増幅を制御したのでしょう。ヴィヴィオのリンカーコアとRHdの相互増幅正常に機能しています。レリックは聖王のゆりかごを動かすキーやただの高魔力結晶じゃなくて、能力を安定させる為の物だったんですね…」
「そうね…」
 影ながら2人を支えてきた2人は頷きモニタに視線を戻す。



「ヴィヴィオずるーい!! 魔法跳ね返すなんて」

 追いかけるヴィヴィオになのはが叫ぶ。

「狡くない。私は鎧の判定を言われただけだもん。だからっ」

 悠久の書へイメージを送る。直後ヴィヴィオの姿は消え、上空から 

「いっけーっ、クロスファイアーシュートッ!!」
「!!バッ、バスター」

 砲撃形態のクロスファイアシュートとディバインバスターがぶつかる。悠久の書を使った空間転移戦法。転移距離も短いから魔力消費も少ない。
 なのはは咄嗟にディバインバスターで相殺しつつもビルの影に逃げ込んだ。


 
「なのはちゃん…アレどうなん?」
「良いんじゃない? 転移するのも魔力使ってるから転移魔法の1種みたいなものだし。あっちの私これで何処から攻撃来るかわからなくなったね。バスター撃っても返されちゃうしもうマガジン1本無駄にしちゃったよ、どうする?」
「楽しそうだね、なのは」

 彼女の横顔を見て言うフェイトに頷く。

「うん、多分あっちの私も楽しいんじゃないかな。友達と競い合って練習してまた競い合って…それが未来の子供と出来るんだもん。ヴィヴィオ~頑張って~♪」

 応援する彼女の横顔を見て微笑む。そして少し離れた所で

「そこやディアーチェ、いけ~っ!!」

 はやてはその声を聞いて振り向く。
 甲板に敷いたシートの上でモニタに移る家族を応援するここのはやて…
 そんな彼女を優しい瞳で見つめる姿があった。祝福の風、リインフォース。こっちの視線に気づいて微笑んで答える。

(私そんな顔してたんか…まだまだやね。)
「ヴィヴィオ~負けたらあかんよ~!! なのはちゃんをぶっ飛ばせ~っ!!」
「!はやてちゃん、酷い…」
「えっ? まずかった?」
「別に……いいけど」



「なのは、交代っ。砲撃跳ね返されたら不利」 
「う、うん。」

 一方で模擬戦中のなのははそんな声を聞いている余裕が無かった。フェイトの声を聞いて交代、ディアーチェの方へ向かう。
 初手からエクセリオンモードにしたのが失敗だった。
 威力重視でエクセリオンモードにしたがカートリッジの消耗が激しからどうしてもアクセルシューターを主に使わなければならない。だが2つともヴィヴィオは相殺、反撃する方法を持っている。 最後の大技の為にマガジン1本はフルで残しておきたい。それにフェイトも全力で戦いたいと思っているだろうしなのはもディアーチェとも戦ってみたい。

「ヴィヴィオ、今度は私が相手するね」
『フェイト凄く速いから気をつけて。でもその分防御も薄いよ』

 アリシアから通信が届く。

『大丈夫、ありがと。アリシアはディアーチェのサポートしてあげて。』

 自分と同じ位の大剣状のバルディッシュを構えるフェイト。

「フェイト、前と同じ手は効かないよ。RHdジャケット解除。」

ヴィヴィオもジャケットとマントを外す。

(単純過ぎる動きだから読まれる…フェイントを入れちゃえば…)

 異世界のノーヴェから教わった方法。ここが私の知ってる過去と同じかはわからない。彼女とは2度戦って1勝1敗。最後の模擬戦から3ヶ月経っているから彼女も前より強くなってる。

「それは私も一緒だよ…」

 ほぼ同時に2人が頷き直後動いた。



 士郎と桃子、恭也、美由希とアリサ、すずかは唖然としてモニタに映る4人を見ていた。

「魔法使いってもっと可愛いいものだって思っていたんだけどな…」
「あれ…本当になのはとヴィヴィオとフェイトちゃんなのよね?」
「ディアーチェもみんな滅茶苦茶凄いじゃない!!」
「でも綺麗…」

 交差する魔法の色が流れ星の様に見えて夕闇に染まる空を彩っていた。 



「次は貴様か、シュテルの主」
「高町なのはっていう名前あるんだけど…いつになったら呼んでくれるの?」
「知るか子鴉! そうだな…我に勝てれば…呼んでやらん事もない」
「じゃあ名前で呼んでもらえるように全力でいくよ~っ!!」

 そう言うと2人も動き出した。



「ヴィヴィオとディアーチェ、息合ってるじゃない」

 模擬戦が始まって30分程経つと乱戦の様相を呈してきた。
 なのはとフェイトの交代は相変わらず息もピッタリでコンビネーション戦になると不利だと思っていたが、高速戦状態のヴィヴィオとディアーチェも互いの不利な点をカバーしあっている。
 しかし…暫く戦闘が続いた時

「待て!!」

 ディアーチェがそう言うと3人から離れてた。突然の事で動きが止まる3人、見ている方も何かあったのかとざわつく。

『ディアーチェ、どこか怪我した?』

 アリシアが通信で聞くと彼女が答えた。

『いや、これ以上魔法を使うとはやてに負担がかかる。』

 ディアーチェは戦闘だけを見ていたのではなく、魔力を貰っているはやての身を気にしながら模擬戦に挑んでいたのだ。
 元々出たいとも言わなかったが、はやてに頼まれ断れなかったのだろう。
 見ていないように見えて実は誰よりも気にしている。

(やっぱり王様だね♪)

『なのはさん、模擬戦を中断してください。ディアーチェが離れます。』
『わかった』
「ヴィヴィオ、なのは、フェイトも模擬戦中断、降りてきて。」
『うん』
 


「無理させてごめんな」

 なのはとフェイトと一緒に降りてくると、先に降りていたディアーチェの所にはやてが車椅子で近寄る。

「気にするな」
「ディアーチェご苦労さんや」

 はやてもディアーチェに駆け寄るとデバイスを待機状態に戻しはやてに返す。

(ディアーチェが止めた理由って…そっか)

 はやてはディアーチェ以外にシグナム、シャマル、ヴィータ、ザフィーラの主でもある。治り始めた体に負担をかけさせたくなかったのがわかった。

「ヴィヴィオどうする? ママ達が入ろうか?」 

 ディアーチェが動けないと言うことはここの守護騎士達も同じ状況。周りを見ると皆賑やかに飲んだり食べたりしている。なのはとフェイトもまだ全力を出していない。このままおしまいにするのは勿体ない。
 少し考える。

「なのは、フェイト、私だけじゃだめ?」
「いいけど…1人でいいの?」
「うん。でもこのままじゃきついから私も本気でいくね♪」
「うん♪」    
「わかった」

 子供のなのはとフェイトはすぐ頷くが、大人の2人は顔色を変え狼狽える。

「ちょ、ちょっとまって、ヴィヴィオ」
「本気って…使うつもり?」
「ダメ? リンディさん、はやてさん、なのはとフェイトも全力出してるのに私だけ制限かけるのズルしてるみたいで嫌です。少しでいいから使っちゃだめですか?」

 はやてはリンディと顔を見合わせ互いに苦笑する。確かに2人相手に手加減したと思われたくない気持ちはわかる。

「エイミィ、アースラのフィールド展開出来るかしら?」

 材料が切れたのか自ら作った焼きそばをクロノと食べていたエイミィに聞くリンディ。クロノに皿を押しつけて口の中の物を飲み込みながらモニタ出す。

「…10分位なら使えます。」
「ええ、それでいいわ。用意お願い。」
「わかりました~♪」
「艦長!!」

慌てるクロノ。

「事件を解決したご褒美くらいあっても良いわよね。それにクロノも見てみたいと思わない? ジュエルシード事件から何度も助けてくれた小さなエース達の模擬戦。」
「…了解です。」



数分後、エイミィから準備が出来たという報告を受けて

「いいよ。みんな頑張って。」

 空に浮き上がった所で半壊した仮想市街が組み直されアースラを包む半径2kmの大きな球体に包まれる。

『ヴィヴィオさん、対次元震用シールドだけれど1隻分だから少し弱いわよ。壊れたらすぐ解除してね。』
「はい」

 振り返るとなのはとフェイトはフルドライブ状態のレイジングハート、バルディッシュを構えていた。
 すぅ~っと息を吸って吐く。

「カプセル開放」

 赤い結晶体を胸に押し当てる。

(聖王ヴィヴィオ、紹介するね。未来の私のママ達、すごく強くて優しいんだよ。)

 彼女に手を差しのばす。その手を取った彼女は笑っていた。 

「ユニゾン、インッ!!」

 嫌みや苦しみはもうない。心の中で話しかけた時。一気に魔力が溢れ出すのを感じる。そしてそれは体中を駆け巡り騎士甲冑にも伝わった。



「これがヴィヴィオの…」
「本当の力…」

 虹色の魔力光が輝きを増し白色に変わる。1人でマテリアル3人を相手にし、闇の書防衛プログラム以上と言われたU-Dを1人でぶつかりあった力。
 神々しく禍々しさが無い分余計に強く感じる。ゴクリと息を呑む。

『2人とも聞いて。』

2人に大人のなのはから念話が届いた。

『今のヴィヴィオ、魔導師ランクだとSSオーバー、クロノ君やリインフォースさん、私達よりも上だよ。でも勝てない訳じゃない。コラード教官から聞いてるよね「強さって何か?」って』
『はい…』
『どうすれば勝てるか素早く考え素早く動いて。きっと2人ならできるよ♪』
「強さの意味…私達が勝てる方法」



(鎧無効化、出来るよね)

 聖王化すれば鎧がある程度自由に使える。U-D戦で身につけた力。解除して剣状にも出来たのだから…。包まれていた膜が無くなった気がする。

「なのは、フェイト。シールド解除したよ。これで思いっきり出来るよね♪」


「いくよフェイトちゃん。」
「うん、なのは」

 2人は頷くとヴィヴィオを挟む形で分かれた。
 なのはとフェイトはマッチアップを行わず。タイミングを合わせ2人同時攻撃を始める。
 魔力資質では勝負にならないし、なのはのシューターは相殺され砲撃魔法は撃ち返され、フェイトの剣も叩き割られてしまう。そんな状況で有効な方法として考えたのは2人同時に動くことだった。数で勝っているならその点を最大限に利用して責める。
 コラード教官から教えて貰った有利なところを最大限に使う。


その様子を見てなのはは笑みを浮かべ頷く。

(正解。1人ずつじゃ勝てない相手でも…)
「なのは、2人にだけアドバイスして…ヴィヴィオが知ったら怒るよ」
「魔法はランクだけじゃないからね。どんな魔法でも使うタイミングさえわかっていれば十分な効果がある。なのはとフェイトにもそうだけど、ヴィヴィオにも知って欲しいんだ。これで他の魔法を覚えたいって考えてくれるといいんだけどね。」

 なのははヴィヴィオが強い魔力に魅せられて油断が生まれていると思っている。
 初めは些細な油断。でもそれが取り返しのつかない事になってしまってからしか気づかないなんて数え切れない程ある。ヴィヴィオは何度もギリギリまで力を使ってそんな事件を渡り歩いてきた。でもそんな限界近い力を何度も使わなければいけない状況の方がおかしい。
 マリンガーデンに再び現れたマリアージュとの戦闘、あの時ヴィヴィオがもし戦技魔法を使えなければスバルを待っていただろう。でもヴィヴィオは1人でマリアージュ6体を相手にしようと決めた。それは自信の顕れであり油断に繋がる危険なものだ。

(私も言われてもわからなかったから…)

 それは自戒でもあり彼女に気づいて欲しい。内心ヴィヴィオに勝って欲しいと思いながらもどこかで負けた方が得られるものもあるんじゃないかと思う自分がいる。

「なのはさん、もしかしてヴィヴィオは2対1になったら負けちゃうって思ってます?」

 フェイトと2人話していたところにアリシアがやって来た。ディアーチェとの連携も無くなったからサポート役も終わったのだろう。

「アリシア、どうしてそう思うの?」
「ヴィヴィオのスタイルってフェイトとなのはさんのを真似しているみたいに見えますけどちょっと違います。近接戦はチェントやオリヴィエさんを真似する時もありますし使えそうな魔法、戦い方なら使おうと調べて考えて練習します。自信になっちゃってるところもあるけど油断じゃないです。それに…」
「それに?」
「同時に何人も相手するの今が初めてじゃないですよ。ヴィヴィオ、シュテルとレヴィ、ディアーチェ、3人まとめて相手して勝ちましたから♪」

 満面の笑みで答える。ヴィヴィオは騎士甲冑になったら負けない。もし1度負けても今度はもっと頑張って勝とうとする。アリシアはその姿を何度も見てきたのだから

「…姉さん、それここの私達知ってる?」
「2人とも自分の思念体相手にしてたから見てないけど、レヴィ達が後で話してたから知ってる筈だよ。それに…この模擬戦は勝負っていうより…楽しいんじゃないかな?」

 

「ヴィヴィオ凄いです~」

 少し離れた所でモニタに映し出されるヴィヴィオの姿にユーリが驚く。2人をものともせずに戦っている。どこか楽しそうにも見える。

「ユーリ、エグザミアとアンブレイカブルダークがあったとは言え、あなたは彼女を相手にしていたのですよ。」
「ああ、我らの中でアレに1番近いのはユーリ、お前だ。今の魔力運用に慣れてくればヴィヴィオに勝てるだろう。」

 永遠結晶エグザミアという莫大なエネルギーを使うには相応の器が要る。ユーリはその器を持っているのだ。

「……私がヴィヴィオに…あんな風になりたいです。」

 その言葉と共に一瞬黒い魔力波動を感じたディアーチェとシュテルがギョッとする。

「ち、近いと言っても、すぐに届く訳ではありません。暫くはここの生活に慣れて…」
「そ、そうだ。我らは我らのペースでいけばいい。」
「そうですか…そうですね」

 ユーリがそう言うと感じた魔力波動は消えてしまった。

『…シュテル、エグザミアは完全に封印されたのであろうな?』
『その筈です。私達の作った封印プログラムが正常に機能していれば…の話ですが。最初に当たったのがどれだったのかは…』

 心配の種な彼女に視線を送る。
 エグザミアを封印した管制プログラムは、ディアーチェが基礎部分を作って残った2人に渡し3人がそれぞれ作りあげた。
 1人は封印プログラムの所持者だから間違える筈もない。もう1人もその辺には熟知している。しかし…

「フェイト-がんばれ~!!」

 2人の視線を受けた彼女はそんなことも知らず1人モニタに向かって契約者を応援している。

『……暫く様子を見よう。』
『同感です。』

 頷き合った。
  


(ママ達やっぱり強いよ。)

 左右、上下、前後と同時連携攻撃をしてくる2人を相手にしながらヴィヴィオは楽しさを覚えていた。ユニゾン、聖王化していなければ直撃してダウン判定を貰っていただろう。

(でも、負けるつもりもないよっ)

 クロスファイアシュートとインパクトキャノンで2人を離れさせる。避けられるのは承知の上だ。

『シールド残り1分!!』

 その時はやてから通信が届いた。もっと一緒に競いたかったけれどもう時間が来たらしい。


『シールド残り1分!!』
「フェイトちゃん」
「なのはっ」

 2人は合流し残していた最後のマガジンを一気に使う。

「N&F 中距離殲滅コンビネーション!」

ヴィヴィオに攻撃が通らない。シールドは無くても全て相殺か撃ち返されるのだ。時間もない。最後の大技っ
 2人の周りに桜色と金色の魔力球が多数出現する。


(大きいのが来る。私達も行くよっ)

 大技を使うつもりらしい。時間もないしここは防御に徹するより迎え撃った方がいい。
 ヴィヴィオの周りに10個の魔法球が現れる。そして一際大きな魔法球がヴィヴィオの正面に…


「シールドは持つやろうけど…シャマル、オットー、吹き飛ばされんよう甲板を結界で守って」
「え?…は、はいっ!」
「わかりました。」

 上空に一際輝く2つの星を眺めながら

「まぁ…相殺はないけど相打ちやね…」
「えっ?」

 呟いたはやてにアリシアは驚いて聞き返した。


「「ブラストッカラミティッ」」
「ストライクッスタァアアズ!!」
  
 桜色と金色の混ざった砲撃と白色の砲撃がぶつかる。
 いくらなのはとフェイトのコンビネーション攻撃でもレリックを取り込んだヴィヴィオのストライクスターズと押し合える筈もなく、
 ブラストカラミティの主砲撃が押し切られ一気に貫通される。

「「!?」」

 避ける間もなく目を見開くなのはとフェイト
 一方、ヴィヴィオもブラストカラミティの主砲撃を打ち負かしたが付属する広範囲攻撃を発射直後に防げる筈もなく…

「!!」

 双方共に直撃した。  
 


「ねぇヴィヴィオ、もしあの世界にまた行けるなら…フェイト達と模擬戦してみたい?」

 Stヒルデ学院の教室でアリシアが聞いてきた。

「うん…あんな風に競い合えるんだったら…またしてみたいな…なのはやフェイトだけじゃなくてみんなと…」

 直撃を受けた後私もなのはもフェイトも甲冑とジャケットがボロボロなのに凄くおかしくて思わず笑っていた。その時貰った写真は宝物になっている。
 だから…

「ねぇ、行ってみない? あっちの私の世界。ママ達と一緒に」
「いいね~うん、行こう。」

 時空転移が作ってくれた友達。またいつか会いたいとヴィヴィオは思った。


~コメント~
もしヴィヴィオがなのはGODの世界に行ったら?
本編がシリアス系な話で進んでいたので色々楽しい話を書きたいと思い始めたら…半クールくらいの短編になってました。
これでAffectStory外伝もおしまいです。

たぶん次は・・・

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