第42話「異世界との差違」
- リリカルなのは AdventStory > 第4章 良き未来への道
- by ima
- 2016.08.21 Sunday 17:20
翌朝プレシアがキッチンに向かうと、そこには大人アリシアとチェントが朝食を作っていた。
2人並ぶ様子を見て頬を緩ませる。きっと数年後、こちらでも同じ様な光景を見られるのだろう。
足下にやってきたリニスにアリシアを起こしてくるよう小声で言った後、キッチンに入った。
2人並ぶ様子を見て頬を緩ませる。きっと数年後、こちらでも同じ様な光景を見られるのだろう。
足下にやってきたリニスにアリシアを起こしてくるよう小声で言った後、キッチンに入った。
「端末を貸して欲しい?」
サラダを盛り付けるアリシアに言われて思わず聞き返す。
「はい、データの整理をしたくて、私達のデバイスだけじゃ処理不足で…」
「いいわよ。でも市販の端末だから大きなデータは厳しいわよ。」
「うん平気。そんなに大きくないから」
何のデータかは判っている。大人ヴィヴィオが異世界から何か持ち帰ってきたのだろう。
「私も見て良いかしら?」
「…中身次第…かな」
「そう、楽しみにしてるわ」
言葉を濁して苦笑する彼女にプレシアは笑顔で答えた。
それから2時間後、大人ヴィヴィオとアリシア、チェントはプレシアの研究所で合流してデータの解析を始めた。
時空管理局艦船のデータ全てをデバイスに取り込める筈もなく、とりあえず特務6課の活動レポートとウィルス絡みに重点を絞って取っていた。
手当たり次第に近い状態で取ってきて内容がバラバラで整理しなければ詳しくも判らない。
それでも貴重なデータには違い無く、3人は黙々と作業をしていた。
同じ頃、本局の医療班では
「ヴィヴィオ、一体何をしたらこんなになっちゃうの?」
一通り診察を終えた後、シャマルが呆れられていた。
「そんなに…酷いんですか?」
フェイトが心配そうに聞く
「あっ、ううん、怪我もしていないし骨とか身体機能に問題は無いんだけどリンカーコアを含めて全体的に酷く消耗してる…ハードトレーニングで無理をして倒れた局員が偶に運ばれてくるケースに似ているの。」
体が重いと感じていたのはそれが原因らしい。
「何10kmも走ったり、猛スピードで魔力が切れるまで飛んだり、魔力量を考えずに砲撃魔法を連射したり…。回復は始まってるけれど、ヴィヴィオ2~3日は魔法使っちゃ駄目よ、激しい運動も禁止。」
アレを食らった時全ての力が消える感覚があって、ベッドから目覚めた時起き上がるのは精一杯だった。やっぱりあの攻撃は力を奪う系統だったらしい。
(あの攻撃…どうすれば…。)
聖王の鎧が効かない相手。最悪の場合…戦わなくちゃいけない…
シャマルから注意を受けている間もヴィヴィオの意識は異世界に向いていた。
「こんにちは~」
お昼過ぎ、診察を終えたヴィヴィオはなのはと合流した後、先に1人でミッドチルダに戻りプレシアの研究所へとやって来た。
本当ならなのは達と一緒に来る筈だったのだけれど、ヴィヴィオとフェイトが教導隊に寄った時運悪く戦技披露会の話が出ていて矛先がヴィヴィオに向きかけていたのを耳にして慌てて戻って来た。
暫くは無限書庫に行く時も気をつけないと…巻き込まれそうな気がする。
「おかえり~、どうだった?」
エントランスで私を見つけた大人ヴィヴィオが駆け寄ってくる。
「異常なし。でもリンカーコアを含めて消耗してるから2~3日は魔法も運動も禁止だって。」
「良かった~、大きな魔法が使えなくなったとかだったらどうしようって心配してたよ。そうだ、これからちょっとみんなで話すんだけどヴィヴィオも聞く?」
「話す? いいけど、先にプレシアさんの所へ行かなきゃ。」
「プレシアさんの所で話すから丁度いいよ、一緒に行こう。」
彼女に頷き返し2人はプレシアの研究室に向かった。
「あら、お帰りなさい。もう平気?」
部屋に入るなりプレシアに声をかけられる。
「はい、2~3日は魔法や運動は駄目ってシャマル先生に言われちゃいましたけど全然平気です。マリエルさんからRHdのアクセスキー預かってきました。」
なのはから渡された1枚のカードを彼女に渡す。プレシアがRHdの内部に触れる為に必要らしい。
「昨日お願いしただけなのに流石ね。向こうのデータを見られては困るでしょう。私達も話を聞きましょうか。」
そう言うと隣の椅子に座るように促され、ヴィヴィオはプレシアの隣に座った。
研究室の中で大人ヴィヴィオ、大人アリシア、チェントが対面になるように座り、少し離れてプレシアとヴィヴィオは座って耳を傾ける。
「最初にレポートから判った事から、アリシアが感染したウィルスはECウィルスって呼ばれていて適合しないと体内の組織を壊して死に至る。でも適合しちゃうと異常な回復力を得られるみた。、腕が切り落とされても直ぐにくっつく…みたいな、あり得ない回復力。その代償として破壊衝動を持っちゃう。それと適合者が特定のデバイスみたいな物を使うと魔法を無視した攻撃が出来る様になる。あっちでは魔導殺しって呼んでいて、多分私とヴィヴィオが受けたのはそれじゃないかって思う。」
「ECウィルス適合者が組織化して犯罪を犯してるのがフッケバイン一味って呼ばれる集団。犯罪っていっても窃盗じゃなくて殺人…集落1つを全滅させたりもしてる。」
「あっちの管理局も手をこまねいている訳じゃなくて特別編成部隊が追いかけている。特務6課、部隊長ははやてさんであっちのなのはママやフェイトママ、元機動6課のフォワードメンバー、チンクやウェンディも参加してる。」
ヴィヴィオがなのはとフェイトが揃って出張と言っていたのはこれが原因らしい。
「で、ここからが本題。私達は魔導書に書かれた文の意味を考えてECウィルスを追いかけたけど特務6課が動いている以上、何らかの結果が出るだろうし私達が手を出さなくても片付く。だからECウィルスについては調査対象から外していいと思う。」
「待って、それじゃECウィルスに感染して適合しなかったら…、せめてお姉ちゃんが使った対ウィルス剤だけでも持って行けば…」
大人ヴィヴィオの話にチェントが口を挟む。
「…うん、それについては私もアリシアも迷ってる。助けられるなら助けたいけどあっちの世界の中で起きてる問題だから私達が手出ししない方がいいとも思うし、私達の気持ちだけで助けに行けばかなり大きく未来が変わっちゃう。プレシアさん、ヴィヴィオはどう思いますか?」
突然大人ヴィヴィオから話を振られてたじろぐ。
「わ、私は…気持ちではチェントと同じ…だけどヴィヴィオやアリシアの考えもわかるから…直ぐに答えられない。」
未来は簡単に変わってしまう。それは今までヴィヴィオ自身が身を以て体験しているし実際にチェントと会った世界に再び行こうと思った時はブレイブデュエルを通じて変えるつもりだった。
だが、今大人ヴィヴィオが話した話は管理局の動向よりも人の生死が関わっている。そこまで手を出してもいいのか判らないし、安易に手出し出来る問題じゃない。
ヴィヴィオがそう考えて答えると隣のプレシアに頭を撫でられた。
「そうね、技術面だけで言えばECウィルスが単体種なら持って行っても影響は少ない。けれど亜種や類型のウィルスがあるなら持ち込まない方がいいわ。対抗ウィルスを持ち込めば技術の衰退に繋がる。問題と解答を渡せば誰でも簡単に解ける。でも解法を知らなければ応用できない。向こうでもウィルスの存在を知っているなら研究中よね?」
「はい特務6課の専属チームが開発中です、でもまだ感染率を抑える位しか…。」
「申請も実験もしていない無認可の対抗ウィルスだから使い道もないからデータだけ残して他は全部消すわ。消えた物をどう使うかはあなた達に任せる。でも…」
4人の視線がプレシアに集中する。
「あのウィルスの制作者を相手にするなら覚悟しなさい。相当なマッドサイエンティストよ。」
「母さんが言った点を確認してから渡すかどうかを考よう。それよりも…」
大人アリシアが大人ヴィヴィオを促す。
「ああ、うん。私達があっちに行ったのは刻の魔導書に出てきた『偽りの魂を弄ぶな』っていうメッセージを見たからだけど…特務6課もそれに関係してるかも知れないんだ。」
そう言うと端末に画像を表示させた。1人の男性が大きなヘッドディスプレイの様な物をかぶっている
「…頭にかぶるデバイス?」
「カレドウルフ・テクニクスが作ったアンドロイド型デバイスCW-ADXアーマーダイン ラプター。人型のデバイス。」
「リインさんやアギトみたいな?」
「うん…サイズは違うけど似た感じかな。リインさん達はユニゾンデバイスだから主、はやてさんの魔力を使って動いてるけど、ラプターは内燃バッテリ…動力供給が無くても動ける。」
「特徴はさっき言った内燃バッテリでの自律行動や遠隔操作ができるからAMFの中でも活動可能、ラプター同士で情報を共有機能もある。人が行けない極限地帯での活動を目的にしてるみたい。」
「カレドウルフ・テクニクスは私達も知ってる。多分こっちにもあって…なのはさん達がテストしてるんじゃないかな。」
咄嗟に思い浮かんだのはブレイブデュエルで使ったデバイス。確かカードを貰った後でなのはがそんな事を言っていた気がする。
「フォートレス、ストライクカノン…みたいなの?」
「そうだよ、ヴィヴィオが言ったのもカレドウルフのバッテリ稼働兵器。」
大人アリシアが端末を触って新たに2つの画像を出す。フォートレスのシールドとストライクカノン。
(…あれもそうだったんだ…じゃあラプターも兵器?)
人型の兵器、嫌な物を思い出して頭を振って振り払う。
「でも、ラプターなんて初めて聞いた。私達の世界にも無いよね」
チェントの質問に大人ヴィヴィオは頷きながら答える。
「うん…」」
「そうね…、気になるわね。」
ラプターの画像が出た後、プレシアは自分のデバイスを出してラプターのレポートを読んでいて呟いた。
「母さん?」
「何か気になるところありましたか?」
「ええ、ラプターの存在矛盾をどうして解決しているのかしら?」
「「「「存在矛盾?」」」」
ヴィヴィオを含む4人が耳慣れない言葉を聞いて首を傾げた。
~コメント~
2週間掲載出来なくてすみませんでした。(理由は後で…)
大人ヴィヴィオがヴォルフラムから持って帰ってきたデータのお話です。
時空転移で異世界間を行き来する話として、どこかで書かなきゃと思っていたのが今話です。
AdventStoryのAdventは「到来する~」等の様に今まで無かった物や考えが新たに来るという意味があります。プレシアの技術力は相当なものなのでもし生存している世界としていない世界があれば今話の様に技術差違が出てしまったかも知れません。今使っている技術や物がありふれた物だとしても、似た異世界ではハイレベルすぎるものだったら? それが薬になるのか毒になるのかは使う人次第…なのかも知れませんね。
さて、話は変わりましてコミックマーケット90の新刊が無事に完成しました。
タイトルは本作と同じ「魔法少女リリカルなのはAdventStory」です。
ブレイブデュエル編だけをまとめたのですが300ページ超えになってしまいました。ブレイブデュエルで大活躍するヴィヴィオをご期待下さい。
サラダを盛り付けるアリシアに言われて思わず聞き返す。
「はい、データの整理をしたくて、私達のデバイスだけじゃ処理不足で…」
「いいわよ。でも市販の端末だから大きなデータは厳しいわよ。」
「うん平気。そんなに大きくないから」
何のデータかは判っている。大人ヴィヴィオが異世界から何か持ち帰ってきたのだろう。
「私も見て良いかしら?」
「…中身次第…かな」
「そう、楽しみにしてるわ」
言葉を濁して苦笑する彼女にプレシアは笑顔で答えた。
それから2時間後、大人ヴィヴィオとアリシア、チェントはプレシアの研究所で合流してデータの解析を始めた。
時空管理局艦船のデータ全てをデバイスに取り込める筈もなく、とりあえず特務6課の活動レポートとウィルス絡みに重点を絞って取っていた。
手当たり次第に近い状態で取ってきて内容がバラバラで整理しなければ詳しくも判らない。
それでも貴重なデータには違い無く、3人は黙々と作業をしていた。
同じ頃、本局の医療班では
「ヴィヴィオ、一体何をしたらこんなになっちゃうの?」
一通り診察を終えた後、シャマルが呆れられていた。
「そんなに…酷いんですか?」
フェイトが心配そうに聞く
「あっ、ううん、怪我もしていないし骨とか身体機能に問題は無いんだけどリンカーコアを含めて全体的に酷く消耗してる…ハードトレーニングで無理をして倒れた局員が偶に運ばれてくるケースに似ているの。」
体が重いと感じていたのはそれが原因らしい。
「何10kmも走ったり、猛スピードで魔力が切れるまで飛んだり、魔力量を考えずに砲撃魔法を連射したり…。回復は始まってるけれど、ヴィヴィオ2~3日は魔法使っちゃ駄目よ、激しい運動も禁止。」
アレを食らった時全ての力が消える感覚があって、ベッドから目覚めた時起き上がるのは精一杯だった。やっぱりあの攻撃は力を奪う系統だったらしい。
(あの攻撃…どうすれば…。)
聖王の鎧が効かない相手。最悪の場合…戦わなくちゃいけない…
シャマルから注意を受けている間もヴィヴィオの意識は異世界に向いていた。
「こんにちは~」
お昼過ぎ、診察を終えたヴィヴィオはなのはと合流した後、先に1人でミッドチルダに戻りプレシアの研究所へとやって来た。
本当ならなのは達と一緒に来る筈だったのだけれど、ヴィヴィオとフェイトが教導隊に寄った時運悪く戦技披露会の話が出ていて矛先がヴィヴィオに向きかけていたのを耳にして慌てて戻って来た。
暫くは無限書庫に行く時も気をつけないと…巻き込まれそうな気がする。
「おかえり~、どうだった?」
エントランスで私を見つけた大人ヴィヴィオが駆け寄ってくる。
「異常なし。でもリンカーコアを含めて消耗してるから2~3日は魔法も運動も禁止だって。」
「良かった~、大きな魔法が使えなくなったとかだったらどうしようって心配してたよ。そうだ、これからちょっとみんなで話すんだけどヴィヴィオも聞く?」
「話す? いいけど、先にプレシアさんの所へ行かなきゃ。」
「プレシアさんの所で話すから丁度いいよ、一緒に行こう。」
彼女に頷き返し2人はプレシアの研究室に向かった。
「あら、お帰りなさい。もう平気?」
部屋に入るなりプレシアに声をかけられる。
「はい、2~3日は魔法や運動は駄目ってシャマル先生に言われちゃいましたけど全然平気です。マリエルさんからRHdのアクセスキー預かってきました。」
なのはから渡された1枚のカードを彼女に渡す。プレシアがRHdの内部に触れる為に必要らしい。
「昨日お願いしただけなのに流石ね。向こうのデータを見られては困るでしょう。私達も話を聞きましょうか。」
そう言うと隣の椅子に座るように促され、ヴィヴィオはプレシアの隣に座った。
研究室の中で大人ヴィヴィオ、大人アリシア、チェントが対面になるように座り、少し離れてプレシアとヴィヴィオは座って耳を傾ける。
「最初にレポートから判った事から、アリシアが感染したウィルスはECウィルスって呼ばれていて適合しないと体内の組織を壊して死に至る。でも適合しちゃうと異常な回復力を得られるみた。、腕が切り落とされても直ぐにくっつく…みたいな、あり得ない回復力。その代償として破壊衝動を持っちゃう。それと適合者が特定のデバイスみたいな物を使うと魔法を無視した攻撃が出来る様になる。あっちでは魔導殺しって呼んでいて、多分私とヴィヴィオが受けたのはそれじゃないかって思う。」
「ECウィルス適合者が組織化して犯罪を犯してるのがフッケバイン一味って呼ばれる集団。犯罪っていっても窃盗じゃなくて殺人…集落1つを全滅させたりもしてる。」
「あっちの管理局も手をこまねいている訳じゃなくて特別編成部隊が追いかけている。特務6課、部隊長ははやてさんであっちのなのはママやフェイトママ、元機動6課のフォワードメンバー、チンクやウェンディも参加してる。」
ヴィヴィオがなのはとフェイトが揃って出張と言っていたのはこれが原因らしい。
「で、ここからが本題。私達は魔導書に書かれた文の意味を考えてECウィルスを追いかけたけど特務6課が動いている以上、何らかの結果が出るだろうし私達が手を出さなくても片付く。だからECウィルスについては調査対象から外していいと思う。」
「待って、それじゃECウィルスに感染して適合しなかったら…、せめてお姉ちゃんが使った対ウィルス剤だけでも持って行けば…」
大人ヴィヴィオの話にチェントが口を挟む。
「…うん、それについては私もアリシアも迷ってる。助けられるなら助けたいけどあっちの世界の中で起きてる問題だから私達が手出ししない方がいいとも思うし、私達の気持ちだけで助けに行けばかなり大きく未来が変わっちゃう。プレシアさん、ヴィヴィオはどう思いますか?」
突然大人ヴィヴィオから話を振られてたじろぐ。
「わ、私は…気持ちではチェントと同じ…だけどヴィヴィオやアリシアの考えもわかるから…直ぐに答えられない。」
未来は簡単に変わってしまう。それは今までヴィヴィオ自身が身を以て体験しているし実際にチェントと会った世界に再び行こうと思った時はブレイブデュエルを通じて変えるつもりだった。
だが、今大人ヴィヴィオが話した話は管理局の動向よりも人の生死が関わっている。そこまで手を出してもいいのか判らないし、安易に手出し出来る問題じゃない。
ヴィヴィオがそう考えて答えると隣のプレシアに頭を撫でられた。
「そうね、技術面だけで言えばECウィルスが単体種なら持って行っても影響は少ない。けれど亜種や類型のウィルスがあるなら持ち込まない方がいいわ。対抗ウィルスを持ち込めば技術の衰退に繋がる。問題と解答を渡せば誰でも簡単に解ける。でも解法を知らなければ応用できない。向こうでもウィルスの存在を知っているなら研究中よね?」
「はい特務6課の専属チームが開発中です、でもまだ感染率を抑える位しか…。」
「申請も実験もしていない無認可の対抗ウィルスだから使い道もないからデータだけ残して他は全部消すわ。消えた物をどう使うかはあなた達に任せる。でも…」
4人の視線がプレシアに集中する。
「あのウィルスの制作者を相手にするなら覚悟しなさい。相当なマッドサイエンティストよ。」
「母さんが言った点を確認してから渡すかどうかを考よう。それよりも…」
大人アリシアが大人ヴィヴィオを促す。
「ああ、うん。私達があっちに行ったのは刻の魔導書に出てきた『偽りの魂を弄ぶな』っていうメッセージを見たからだけど…特務6課もそれに関係してるかも知れないんだ。」
そう言うと端末に画像を表示させた。1人の男性が大きなヘッドディスプレイの様な物をかぶっている
「…頭にかぶるデバイス?」
「カレドウルフ・テクニクスが作ったアンドロイド型デバイスCW-ADXアーマーダイン ラプター。人型のデバイス。」
「リインさんやアギトみたいな?」
「うん…サイズは違うけど似た感じかな。リインさん達はユニゾンデバイスだから主、はやてさんの魔力を使って動いてるけど、ラプターは内燃バッテリ…動力供給が無くても動ける。」
「特徴はさっき言った内燃バッテリでの自律行動や遠隔操作ができるからAMFの中でも活動可能、ラプター同士で情報を共有機能もある。人が行けない極限地帯での活動を目的にしてるみたい。」
「カレドウルフ・テクニクスは私達も知ってる。多分こっちにもあって…なのはさん達がテストしてるんじゃないかな。」
咄嗟に思い浮かんだのはブレイブデュエルで使ったデバイス。確かカードを貰った後でなのはがそんな事を言っていた気がする。
「フォートレス、ストライクカノン…みたいなの?」
「そうだよ、ヴィヴィオが言ったのもカレドウルフのバッテリ稼働兵器。」
大人アリシアが端末を触って新たに2つの画像を出す。フォートレスのシールドとストライクカノン。
(…あれもそうだったんだ…じゃあラプターも兵器?)
人型の兵器、嫌な物を思い出して頭を振って振り払う。
「でも、ラプターなんて初めて聞いた。私達の世界にも無いよね」
チェントの質問に大人ヴィヴィオは頷きながら答える。
「うん…」」
「そうね…、気になるわね。」
ラプターの画像が出た後、プレシアは自分のデバイスを出してラプターのレポートを読んでいて呟いた。
「母さん?」
「何か気になるところありましたか?」
「ええ、ラプターの存在矛盾をどうして解決しているのかしら?」
「「「「存在矛盾?」」」」
ヴィヴィオを含む4人が耳慣れない言葉を聞いて首を傾げた。
~コメント~
2週間掲載出来なくてすみませんでした。(理由は後で…)
大人ヴィヴィオがヴォルフラムから持って帰ってきたデータのお話です。
時空転移で異世界間を行き来する話として、どこかで書かなきゃと思っていたのが今話です。
AdventStoryのAdventは「到来する~」等の様に今まで無かった物や考えが新たに来るという意味があります。プレシアの技術力は相当なものなのでもし生存している世界としていない世界があれば今話の様に技術差違が出てしまったかも知れません。今使っている技術や物がありふれた物だとしても、似た異世界ではハイレベルすぎるものだったら? それが薬になるのか毒になるのかは使う人次第…なのかも知れませんね。
さて、話は変わりましてコミックマーケット90の新刊が無事に完成しました。
タイトルは本作と同じ「魔法少女リリカルなのはAdventStory」です。
ブレイブデュエル編だけをまとめたのですが300ページ超えになってしまいました。ブレイブデュエルで大活躍するヴィヴィオをご期待下さい。
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