第46話「特務6課潜入作戦(後)」

『なのは…』
『なのはちゃん…』
『…うん…2人が言ってるのは本当みたい。ヴィヴィオとクリスはジムにいるって』 
(ヴァイゼンからミッドチルダへ見知らぬ転移魔法で移動した。小さい方の彼女は以前やって来たヴィヴィオ本人。もう1人の大人のヴィヴィオは誰や?)

 はやては2人のヴィヴィオを凝視する。 
 真っ先に考えたのは彼女が来たのをヴィヴィオがサプライズで驚かせようとした。特務6課で彼女を知っているのは3人だけ…。しかし大人の彼女の仕草を見て違和感を感じたなのははレイジングハートにクリスとヴィヴィオの所在確認をしていて彼女達は今ノーヴェのジムでトレーニング中。
 …ということは、彼女の言葉を信じるしかないらしい。

 


(どうやって調べればいいのよ…)

 ヴィヴィオ達がなのは達と会っていた頃、アリシアは1人市街地を歩いていた。
 無理矢理ついてきた手前、既に決まっていた計画の邪魔は出来ないから部屋で待っていようと考えていたけれど、大人アリシアに

『街で情報を集めてきて、何でもいい。ヴィヴィオも私達も来て直ぐに色々あってまた直ぐに戻ってるからここがどうなってるか判らないの。アリシアの世界と全然違う技術とか事件とか…最近話題になってる事とか…。』

 体よく外に放り出された気もしないではないのだけれど、ヴィヴィオ達の話に混ざる訳にも特務6課潜入について行く訳にもいかないのだから仕方ないと言えば仕方ない…。
 デバイスも使わない方が良いだろうから、結局は足を使って探さなくちゃいけないのだけれど

(ヴィヴィオならどうやって…あっ!図書館に行けばいいかも!)

 初めてブレイブデュエルの世界に行った時、ヴィヴィオは古書店八神堂の古書整理をしていた。
 最初は1人で考える為かとも思っていたけれど、古書の中から戻る方法を探していたのかも…
 そう思いながら歩みを速めた。



(管理局、相当力入れてるね…)

同じ頃、特務6課に潜入した大人アリシアとチェントは隊舎から停泊中のヴォルフラムの中に移動していた。停泊中の船内の人の出入りは少ない。メンテナンススタッフの邪魔になるという理由もあるけれど船外で活動した方が機材や場所、通信の面に置いても効率がいいからで、特務6課も同じらしい。
 船内に居るのを不審がられるより隊舎に居る方が身近な者が多く正体がばれてしまう可能性が高いし、前回ヴィヴィオがデバイスで情報を抜き出せた経緯からヴォルフラムからの方がデータを取りやすいと考えた。
 フェイトの執務室を探して船の中を歩きながら見回す。地上本部が所有する船としては思っていた以上に高機能っぽい。
 この船や最新式のデバイスを以てしても捕まえられない犯罪集団。もしあのウィルスを撒き散らされたら…慌てて頭を振って考えを捨てる。ここに来た目的はそれじゃない。

「お姉ちゃん、あっちにあった。」
「お姉ちゃんじゃなくてフェイトママね♪ 聞かれちゃったら大変だから。でも見つけてくれてありがと」

 そう言ってロックを外し部屋の中にに入る。

「もし気づかれてもヴィヴィオを案内してるって言えば…少しは時間稼げるでしょ。」

 笑って言うと

「怖い事言わないで…」

 袖をギュッと掴む彼女に苦笑する。

「それじゃ始めますか。」

 2人は持って来た端末を繋ぎキーを叩き始めた。
 ここからは時間との勝負だ。 
 


 
「ねぇヴィヴィオ、私達の世界に来たのは遊びに来た…とかじゃないよね? 飛空艇を追いかけていた時に来たならエクリプスに関係しているの?」

 彼女達が本物だとして来た理由を知ろうとなのははヴィヴィオ達に聞く。ただ遊びに来たとは思えない。

「あのウィルスに関係してる…って言えばしてない訳じゃないけど、私達が来たのは別の理由。エクリプスを母さん達が追いかけてるのを知ったのも本当に偶然。」

 大人ヴィヴィオはそう答えるとデバイスを開いて2枚の画像を出した。
ヴィヴィオも横から覗く。

(あっ、刻の魔導書…)
「ここにある文、私達が書いたものじゃないんです。ある日突然出てきて…」
「古代ベルカ文字…はやてちゃん、読める?」
「間違った…心? う~ん…わからん」
「【偽りの魂を弄ぶでなかれ…】古代ベルカでもかなり昔の言葉みたい。」

 ヴィヴィオが読むと大人ヴィヴィオとなのは達は少し驚く。

「へぇ~ヴィヴィオ、読めるんだ。」
「でも、どういう意味なのかわかんない…」
「母さん達やはやてさんも知ってると思うけれど、私達はこの本とベルカ聖王に継がれた資質があって使えています。この本はある場所に隠されていて、前の所有者はオリヴィエ・ゼーゲブレヒト…私達の複製母体。私達はオリヴィエからのメッセージだと考えてここに来ました。」
「このメッセージがここに…この世界に関係しているの?」

 フェイトの質問にヴィヴィオは頷く

「うん…私も前に違うメッセージを見た事あって、その時は【異世界の家族を助けて】…だったかな。そのメッセージと一緒に夜に夢に出てきて異世界に行ったの。」

 闇の書のマテリアルとして現れたディアーチェ・シュテル・レヴィと戦った時…

「ヴィヴィオはそこで何か事件に巻き込まれた?」
「うん…それで終わって帰って来たら【ありがとう】ってメッセージに変わっていて、読んだら全部消えちゃった。」

 大人ヴィヴィオがそうなんだ…と呟くのを聞いて彼女達もそこまで知らないらしい…

「大切な話っていうのはそれか?」
「…うん、偽りの魂って聞いて何か知りませんか? オリヴィエはそれを止めなくちゃ未来が大変だって私達に伝えたんだと考えてます。」

 そう言うとはやては腕を組んで目を閉じる、なのはとフェイトも顔を見合わせ首を傾げる。

「う~ん…思いつかない」
「私も…」
「漠然としすぎてて何かが判らんね。」

 3人が答えると、大人ヴィヴィオは更にもう1枚画像を出す。

「例えば…CW-ADXアーマーダイン ラプター…とか」
「…ヴィヴィオ…ヴォルフラムから取ったん?」
「……」
「…何をしてるか判ってるよね?」

 見てからはやては溜息をつき、なのはとフェイトは大人ヴィヴィオをジッと見つめる。

「はい、でもそうでもしないと私達も何もわからないから…」
「………」

 大人ヴィヴィオがしたのは管理局艦船に無許可で乗り込みデータを取ってきた。ヴィヴィオでも流石にやってはいけない事だと判るのだから大人ヴィヴィオはあえて出したに違い無い。
 オロオロと4人を見る。

「…ハァ~、もしデータが要るなら次からは私達に言って。なるべく融通するから、なのはちゃん、フェイトちゃんもそれで頼むな。」
「……わかった」
「ヴィヴィオ、ラプターは人型やけど只のデバイスや、探してる物とちゃうよ。何か判ったらこっちから連絡する。それでええ?」

 ヴィヴィオが頷いた時、RHdにメッセージが入った。
 アリシア達がデータを取り終えたらしい…。大人ヴィヴィオの袖を引っ張ると彼女もそれを察して

「お願いします…。私達の話は終わりです。ヴィヴィオ、母さん達を送ってあげて」
「うん。なのはママ、フェイトママ、はやてさん、こっちに来て下さい。来た場所に送ります。」

 そう言って席から立ち上がった。



「遅いな~…何かあったのかな?」

 ヴァイゼンの特務6課から少し離れた街のカフェにアリシアとチェントは居た。
 幸運にも誰にも見つからず欲しかったデータは手に入った。
 むしろ足跡を消すのに時間がかかった位。

「ヴィヴィオ、失敗しちゃったとか?」
「それは心配してないよ。落ち着いたらヴィヴィオ頭は回るし空気も読めるから。」

 ジュースを飲みながら言う妹に笑って言う。
 こっちと特務6課の目的の妥結点を見定めて協力を得られたらベスト。
あとは…

(可能性が高くなっちゃったけど…どうすればいいのかな?)
「母さんはやっぱり凄いね。」
「?」
「何でもない。あっ来たみたい。私達も移動しよ」

 首を傾げる彼女に残ったベーグルサンドを頬張って席を立った。



「っと、ただいま~」

アリシア達と合流した後、ヴィヴィオは一緒に元居た部屋に戻ってきた。

「お帰り~ア」

 大人ヴィヴィオが出迎えようとした時、大人アリシアは彼女の口を押さえ人差し指を上げて口の前にあてた。喋っちゃ駄目?
 ヴィヴィオは頷くが意味がわからない。彼女はそのままデバイスを出すと何かを操作し

【ポンっ!】
【ポンっ!】
【ポポンッ!】

 部屋の中で立て続けに破裂音が聞こえた。慌てて音の鳴った方を見る。

「もう話して良いよ。フェイト達もこっちの状況気になるでしょ。念の為だとは思うけどこんな物を置いていくなら何かあるって考えた方がいいね。」
「あ~…やっぱり信用されてないのね私達…」

 大人ヴィヴィオは予想していたらしいけれどヴィヴィオは

「どうして…」

 黙ってセンサーを仕掛けた3人が何を考えているのか判らなかった。



「あ~…やっぱり壊されたか。」 

 特務6課の部隊長室ではやては頭を掻きながら呟く。

「壊された?」

 なのはが聞く

「あの部屋にセンサー蒔いてきたんやけど、あっちも同じ考え出来る子居るみたいやね。」
「センサーって…気を悪くしてないかな、ヴィヴィオ達」

 苦笑いするフェイト

「まぁ侵入された仕返しと思ってくれたらいいね。あの子達の目的がEC絡みでは無いのもわかった。ラプターについてやけどマリエル技官に話聞いてみるって事で、何かあるまでは私達3人の秘密な。」
「「うん」」
(ヴィータ達に…もシグナムが退院したら話そう。)

 今はまだ事件に専念すべきだと考え直した。

~コメント~
 ヴィヴィオは異世界チームに翻弄されまくってますね(苦笑)

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