第18話「心の傷」
- AdventStory's After > 第3章 虹がかかる時
- by ima
- 2017.11.06 Monday 17:04
「ごめんなさい、遅くなって。」
シャマルが転移先にしたのは高町家の庭だった。
そのまま玄関を回って家に入ると
「ありがとうございます。遠くまで…、ヴィヴィオ?」
士郎がリビングから出てきた。
「違います、ちょっと事情があって似ていますが別人です。」
そのままヴィヴィオの部屋に案内された。
シャマルが転移先にしたのは高町家の庭だった。
そのまま玄関を回って家に入ると
「ありがとうございます。遠くまで…、ヴィヴィオ?」
士郎がリビングから出てきた。
「違います、ちょっと事情があって似ていますが別人です。」
そのままヴィヴィオの部屋に案内された。
「ヴィヴィオっ!」
部屋に入るとベッドで眠っているヴィヴィオが居た。アリシアが駆け寄る。
「アリシアとヴィヴィオっ!?」
なのはとフェイトが彼女を見て驚く。
「なのはさん、フェイトさん、私はチェントです。この前お世話になった。」
「それよりフェイト、何が起きたの?」
「…わからない…朝少し熱っぽいから部屋で本を読んでるって言って、すずかが倒れた音に気づいて…」
アリシアが聞くがフェイトは小さく首を振りながら答える。
「もっと…私が気をつけていれば…ヴィヴィオの為に帰って来たのに…」
ベッドの側でヴィヴィオを見ながら顔を青ざめているなのはが呟く。
「とりあえず、今から診察するのでみんなリビングで待ってて」
人が多すぎて診察出来ないと判断したのか、シャマルに言われて部屋に居た者全員がリビングへと向かった。
20分程経った頃、シャマルがリビングへと下りてきた。
「シャマル先生、ヴィヴィオに何があったんですか?」
椅子から立ち上がって聞くなのは。
「なのはちゃん落ち着いて、最初から話すわね。ここでの話は誰にも言わないで下さい。士郎さん、桃子さんと美由希さんには話して下さっても構いませんがそれ以外の方には決して言わないで下さい。アリサちゃん、すずかちゃんもいいわね?」
3人が頷くとシャマルは続けた。
「ヴィヴィオがここに来たのは彼女の魔力の源【リンカーコア】が反応しなくなって魔法が使えなくなったからです。魔法文化の中に居れば魔法を意識して余計なストレスを感じます。そこで魔法文化のない海鳴市での静養を薦めました。ですが…今のヴィヴィオの体内では溢れかえる程の魔力が溜まって暴走しかけています。」
「リンカーコアが反応しないのに魔力って…」
アリシアが聞こうとしたが、フェイトが手で遮る。
「アリシアの言うとおり、リンカーコアが反応していないなら魔力は作られませんから溜まる事はありえません。でも実際彼女は自分の魔力で苦しんでいる。ここからは私も専門外なので彼女に話して貰います。」
そう言って端末を出して通信を繋いだ。
「ママ…」
「母さん…」
ウィンドウに出てきたのはプレシア。
『プレシア・テスタロッサよ。高町さんご無沙汰しています。シャマルさんから症状を聞いてある可能性を考えたわ。ヴィヴィオのリンカーコアは反応していないのではなく、反応が消されていたのではないかと。』
プレシアの言葉に魔法を知ってる者も首を傾げる。
『今までも何度かヴィヴィオのリンカーコアはダメージを負っていたけれど魔法を使わなければ1週間で回復してきていたし魔法も使っていた。でも今はヴィヴィオは魔法を使えない。使えないのではなく魔法を拒否していたとすればどうかしら? それも無意識に』
「無意識に拒否?」
なのはが呟くとプレシアは頷く
『ええ、ヴィヴィオは無意識に魔法を拒否していた。その影響で使われない魔力が溜まり体に変調を起こした。私を含めてほぼ全ての魔導師は魔法を使わないからと言って魔力が溜まるという状態にはらならない、けれど彼女はもう1つの力【魔力そのものを打ち消す力】を持っている。【ベルカ聖王家の持つ資質】を。彼女は無意識でその資質で魔力を無効化してしまっていた。」
『リンカーコアにダメージがあった時はそれでも抑え切れたのでしょう、でも回復が始まって無効化出来る上限を越え始めた。デバイスを通せば魔力センサーを振り切れる魔力量を生み出すリンカーコアを抑えつけ続けるのは不可能。それでもヴィヴィオは無意識で魔力を止めようとした。』
『回復しようとするリンカーコアと無効化しようとする資質が体内でぶつかった。自分の力を自分で抑え込むなんて事をすれば何処かで身体が悲鳴をあげるでしょう。』
「どうして…そんな無効化を、まさかっ!」
フェイトが何かに気づいたらしい。
『ええ、ヴィヴィオは異世界のフェイトとなのはさんを倒してしまった。ヴィヴィオの魔法で貴方達を傷つけた。私達に話してくれた時は落ち着いていたけれどそれがどれ程心に負担だったか計り知れないでしょうね。』
『ヴィヴィオはJS事件でレリックを取り込んだが為になのはさんを傷つけたと思い込んで、ついこの間までレリックを恐れて触れる事すら出来ない優しい子よ。ヴィヴィオがまた怪我させたのは私のせいだって思って、原因になった魔力が無ければ…と思うのも当然でしょうね。』
(最後に会った時にも…なのはさんとフェイトに敵視されてた。あれも関係してるのね)
アリシアは心の中で舌打ちをする。
こんな事になるならあの時彼女を聖王医療院に連れて行かなければ良かったと。
「私達はどうすればいいんですか?」
『方法は幾つかあるわ。ヴィヴィオが自ら魔法が使える様になる。その時自然と無効化も止まるでしょうから溜まっていた魔力も放出される。他には彼女のデバイスを通して魔力を全てはき出させる。でも今はこの2つは使えない。ヴィヴィオが目覚めないと魔法は使えないし彼女のデバイスは修理中。』
「そんなっ! じゃあヴィヴィオはっ!」
『その為に2人をそっちに送ったわ。シャマルさん、チェントに渡して下さい。マリエル技官から預かっていたものよ。』
そう言うとシャマルがバッグから1冊の本を取り出しチェントに渡した。それはヴィヴィオの持っていた悠久の書。
『魔力が溢れているなら魔力そのものが無い場所、無い世界に行けばいい。』
「あっそうか!、ブレイブデュエル!!」
アリシアは立ち上がって叫ぶ。
あの世界には魔力そのものがない。そしてチェントは1度その世界に行っている。プレシアはアリシアの様子を見て頷いた。
『チェント、ヴィヴィオとなのはさん、フェイト、アリシアを連れてブレイブデュエルの世界に行きなさい。【彼女】に聞いたらあなたも十分に使いこなせると言われたわ。』
「えっ! えっ!? わ、私っ!?」
全員の集まった視線にチェントが驚いた。そして…
「うん、判った。」
強く頷いた。
『なのはさん、フェイト…貴方達はヴィヴィオが魔法を使えるようになるまで戻って来られない、そう考えて。出来なければ私達が消える…。チェント、大変だと思うけどお願いね。アリシア、ヴィヴィオとチェントを支えてあげて』
「はい」
高町家の庭に出てチェントとアリシアはバリアジャケットを纏う。チェントは魔力を最大まで使う為、アリシアは以前ヴィヴィオを探す為に使った様にペンダントに入ったレリック片を使い悠久の書に届けるイメージを強化する為。
なのはが意識を失ったヴィヴィオを背負い、フェイトは彼女とアリシアの手を繋ぐ。アリシアは空いた手でチェントの肩を掴んだ。チェントがアリシアが頷いたのを見て息を大きく吸い込み
「行きますっ!」
悠久の書にイメージを送って現れた虹の光球を5人にぶつけた。
~コメント~
ヴィヴィオの心理的な傷。いくら考え方や見方が大人に見えても心はまだ子供です。(世の中に見た目は子供な某探偵も居ますが)
そんな彼女が幾ら未来の為とは言え家族を自身の手で倒したのは相当な心理的負担だったと思います。
さて、少し話は変わりまして今後のイベントについて書きます。
HPの方は静奈さんが更新出来るか微妙…ということなので
11/12に開催されますリリカルマジカル24にサークルに参加いたします。
新刊は「魔法少女リリカルなのはAdventStory4」となります。
WebサイトAdventStory「第60話~最終話」の加筆修正と
物語に関わった2人の王様に絞った話を書き下ろしとして加えた1冊です
是非手に取って貰えると嬉しいです。
いつもでしたら今回も静奈さんがかわいいイラストをと書くところなのですが
話的にAdventStoryのクライマックスで↓イラストの様な凜々しいヴィヴィオを描いて頂きました。
イベントの話に戻りまして
12/31に開催されますコミックマーケット93にもスペースを頂く事が出来ました。
東地区く-36b 鈴風堂です。新刊情報は少々お待ち下さい。
部屋に入るとベッドで眠っているヴィヴィオが居た。アリシアが駆け寄る。
「アリシアとヴィヴィオっ!?」
なのはとフェイトが彼女を見て驚く。
「なのはさん、フェイトさん、私はチェントです。この前お世話になった。」
「それよりフェイト、何が起きたの?」
「…わからない…朝少し熱っぽいから部屋で本を読んでるって言って、すずかが倒れた音に気づいて…」
アリシアが聞くがフェイトは小さく首を振りながら答える。
「もっと…私が気をつけていれば…ヴィヴィオの為に帰って来たのに…」
ベッドの側でヴィヴィオを見ながら顔を青ざめているなのはが呟く。
「とりあえず、今から診察するのでみんなリビングで待ってて」
人が多すぎて診察出来ないと判断したのか、シャマルに言われて部屋に居た者全員がリビングへと向かった。
20分程経った頃、シャマルがリビングへと下りてきた。
「シャマル先生、ヴィヴィオに何があったんですか?」
椅子から立ち上がって聞くなのは。
「なのはちゃん落ち着いて、最初から話すわね。ここでの話は誰にも言わないで下さい。士郎さん、桃子さんと美由希さんには話して下さっても構いませんがそれ以外の方には決して言わないで下さい。アリサちゃん、すずかちゃんもいいわね?」
3人が頷くとシャマルは続けた。
「ヴィヴィオがここに来たのは彼女の魔力の源【リンカーコア】が反応しなくなって魔法が使えなくなったからです。魔法文化の中に居れば魔法を意識して余計なストレスを感じます。そこで魔法文化のない海鳴市での静養を薦めました。ですが…今のヴィヴィオの体内では溢れかえる程の魔力が溜まって暴走しかけています。」
「リンカーコアが反応しないのに魔力って…」
アリシアが聞こうとしたが、フェイトが手で遮る。
「アリシアの言うとおり、リンカーコアが反応していないなら魔力は作られませんから溜まる事はありえません。でも実際彼女は自分の魔力で苦しんでいる。ここからは私も専門外なので彼女に話して貰います。」
そう言って端末を出して通信を繋いだ。
「ママ…」
「母さん…」
ウィンドウに出てきたのはプレシア。
『プレシア・テスタロッサよ。高町さんご無沙汰しています。シャマルさんから症状を聞いてある可能性を考えたわ。ヴィヴィオのリンカーコアは反応していないのではなく、反応が消されていたのではないかと。』
プレシアの言葉に魔法を知ってる者も首を傾げる。
『今までも何度かヴィヴィオのリンカーコアはダメージを負っていたけれど魔法を使わなければ1週間で回復してきていたし魔法も使っていた。でも今はヴィヴィオは魔法を使えない。使えないのではなく魔法を拒否していたとすればどうかしら? それも無意識に』
「無意識に拒否?」
なのはが呟くとプレシアは頷く
『ええ、ヴィヴィオは無意識に魔法を拒否していた。その影響で使われない魔力が溜まり体に変調を起こした。私を含めてほぼ全ての魔導師は魔法を使わないからと言って魔力が溜まるという状態にはらならない、けれど彼女はもう1つの力【魔力そのものを打ち消す力】を持っている。【ベルカ聖王家の持つ資質】を。彼女は無意識でその資質で魔力を無効化してしまっていた。」
『リンカーコアにダメージがあった時はそれでも抑え切れたのでしょう、でも回復が始まって無効化出来る上限を越え始めた。デバイスを通せば魔力センサーを振り切れる魔力量を生み出すリンカーコアを抑えつけ続けるのは不可能。それでもヴィヴィオは無意識で魔力を止めようとした。』
『回復しようとするリンカーコアと無効化しようとする資質が体内でぶつかった。自分の力を自分で抑え込むなんて事をすれば何処かで身体が悲鳴をあげるでしょう。』
「どうして…そんな無効化を、まさかっ!」
フェイトが何かに気づいたらしい。
『ええ、ヴィヴィオは異世界のフェイトとなのはさんを倒してしまった。ヴィヴィオの魔法で貴方達を傷つけた。私達に話してくれた時は落ち着いていたけれどそれがどれ程心に負担だったか計り知れないでしょうね。』
『ヴィヴィオはJS事件でレリックを取り込んだが為になのはさんを傷つけたと思い込んで、ついこの間までレリックを恐れて触れる事すら出来ない優しい子よ。ヴィヴィオがまた怪我させたのは私のせいだって思って、原因になった魔力が無ければ…と思うのも当然でしょうね。』
(最後に会った時にも…なのはさんとフェイトに敵視されてた。あれも関係してるのね)
アリシアは心の中で舌打ちをする。
こんな事になるならあの時彼女を聖王医療院に連れて行かなければ良かったと。
「私達はどうすればいいんですか?」
『方法は幾つかあるわ。ヴィヴィオが自ら魔法が使える様になる。その時自然と無効化も止まるでしょうから溜まっていた魔力も放出される。他には彼女のデバイスを通して魔力を全てはき出させる。でも今はこの2つは使えない。ヴィヴィオが目覚めないと魔法は使えないし彼女のデバイスは修理中。』
「そんなっ! じゃあヴィヴィオはっ!」
『その為に2人をそっちに送ったわ。シャマルさん、チェントに渡して下さい。マリエル技官から預かっていたものよ。』
そう言うとシャマルがバッグから1冊の本を取り出しチェントに渡した。それはヴィヴィオの持っていた悠久の書。
『魔力が溢れているなら魔力そのものが無い場所、無い世界に行けばいい。』
「あっそうか!、ブレイブデュエル!!」
アリシアは立ち上がって叫ぶ。
あの世界には魔力そのものがない。そしてチェントは1度その世界に行っている。プレシアはアリシアの様子を見て頷いた。
『チェント、ヴィヴィオとなのはさん、フェイト、アリシアを連れてブレイブデュエルの世界に行きなさい。【彼女】に聞いたらあなたも十分に使いこなせると言われたわ。』
「えっ! えっ!? わ、私っ!?」
全員の集まった視線にチェントが驚いた。そして…
「うん、判った。」
強く頷いた。
『なのはさん、フェイト…貴方達はヴィヴィオが魔法を使えるようになるまで戻って来られない、そう考えて。出来なければ私達が消える…。チェント、大変だと思うけどお願いね。アリシア、ヴィヴィオとチェントを支えてあげて』
「はい」
高町家の庭に出てチェントとアリシアはバリアジャケットを纏う。チェントは魔力を最大まで使う為、アリシアは以前ヴィヴィオを探す為に使った様にペンダントに入ったレリック片を使い悠久の書に届けるイメージを強化する為。
なのはが意識を失ったヴィヴィオを背負い、フェイトは彼女とアリシアの手を繋ぐ。アリシアは空いた手でチェントの肩を掴んだ。チェントがアリシアが頷いたのを見て息を大きく吸い込み
「行きますっ!」
悠久の書にイメージを送って現れた虹の光球を5人にぶつけた。
~コメント~
ヴィヴィオの心理的な傷。いくら考え方や見方が大人に見えても心はまだ子供です。(世の中に見た目は子供な某探偵も居ますが)
そんな彼女が幾ら未来の為とは言え家族を自身の手で倒したのは相当な心理的負担だったと思います。
さて、少し話は変わりまして今後のイベントについて書きます。
HPの方は静奈さんが更新出来るか微妙…ということなので
11/12に開催されますリリカルマジカル24にサークルに参加いたします。
新刊は「魔法少女リリカルなのはAdventStory4」となります。
WebサイトAdventStory「第60話~最終話」の加筆修正と
物語に関わった2人の王様に絞った話を書き下ろしとして加えた1冊です
是非手に取って貰えると嬉しいです。
いつもでしたら今回も静奈さんがかわいいイラストをと書くところなのですが
話的にAdventStoryのクライマックスで↓イラストの様な凜々しいヴィヴィオを描いて頂きました。
イベントの話に戻りまして
12/31に開催されますコミックマーケット93にもスペースを頂く事が出来ました。
東地区く-36b 鈴風堂です。新刊情報は少々お待ち下さい。
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