第16話「星の激突」
- リリカルなのは AffectStory2 ~刻の護り人~ > 第3章 目覚める闇
- by ima
- 2019.05.01 Wednesday 19:20
(良かった、負けちゃうんじゃないかって心配したけど…)
城の屋根上で見ていた私はホッと息をつく。
同じバルディッシュでもフェイトとアリシアでは戦闘スタイルが全く違う。ストレージデバイスを使うよりは良いけれどいきなりレヴィとの戦闘で使うのは気になっていた。そして
(プレシアさん、バルディッシュにあんなの入れてたんだ。)
アリシアが普段使っている魔力コアではあのシールドは作れない。魔法力が強すぎて彼女では制御出来ない。だからフェイトとリンディを守ったシールドは彼女が入れたものだろう。
しかしフェイトがレヴィに使った攻撃には驚かされた。まさか槍形態からの砲撃とは…。ヴィヴィオも全く予想していなかった。
対なのはの練習用に考えていたのだろうかと思いながらも他の2箇所に目を向ける。
城の屋根上で見ていた私はホッと息をつく。
同じバルディッシュでもフェイトとアリシアでは戦闘スタイルが全く違う。ストレージデバイスを使うよりは良いけれどいきなりレヴィとの戦闘で使うのは気になっていた。そして
(プレシアさん、バルディッシュにあんなの入れてたんだ。)
アリシアが普段使っている魔力コアではあのシールドは作れない。魔法力が強すぎて彼女では制御出来ない。だからフェイトとリンディを守ったシールドは彼女が入れたものだろう。
しかしフェイトがレヴィに使った攻撃には驚かされた。まさか槍形態からの砲撃とは…。ヴィヴィオも全く予想していなかった。
対なのはの練習用に考えていたのだろうかと思いながらも他の2箇所に目を向ける。
「はやてさんとディアーチェは…」
森林方向を見る。2つの光が互いに距離を取りながら動いている。大型機動外殻を壊したから接戦になっている。2人とも近接戦より次の攻撃を考えた戦い方をするからまだ暫くかかるか…
「…なのはとシュテルは…」
再び目の前に向き直る。
私がフェイトの救援に行かなかったのは彼女達の戦いが気になったからだ。
なのはとシュテル、2人とも砲撃系魔法を得意とした近・中・遠距離に対応出来るマルチレンジタイプ。そんな2人がオールストン・シーの施設付近で戦っている。
2つの光が高速で動いている
なのはがフォートレスを使って建物にシュテルの砲撃が当たらないようにしていて防戦一方になっている。
「…守るのが大切か。なのはママとは違うんだ…」
『なのはがおかしい』
アリシアが言っていた意味が少しわかった気がした。
ヴィヴィオの母、高町なのはであれば建物の損害を考えるなら真っ先に戦闘エリアを移動させるだろう。オールストン・シーは少し離れたら海、レヴィの様に屋内に入られたら難しいけれど、今の戦闘エリアならそれ程難しいとも思えない。
でも…彼女はそれをしていない。守る事に執着しすぎている気がする。
経験の差とも言えるけれど…それを待っていたら取り返しのつかないこともある。
「なのは、質問してもいいですか?」
目の前の少女、シュテルと戦っている最中に彼女から声をかけられる。
「えっ? 今?」
「あなたは先程から地上の建造物を守る様な挙動を取っている、生命反応は見当たりません。無人の建造物を守る理由は何ですか?」
そう言いながら多くのシューターを放つ。フォートレスで防ぎながら彼女に再び肉薄する。
「それは…まぁ、この施設はみんなが一生懸命作っているもので、完成を楽しみに待っている人がいて、沢山の人の努力と期待が込もっている場所だから壊したくないの!」
彼女の杖に砲撃魔法の兆候が生まれる。迎撃態勢をとる。
「それを守りながら、私の攻撃を受けきれると?」
2人がほぼ同時に発射、フォートレスを動かし建物に当たる前に食い止める。
彼女の攻撃は受けなきゃいけないし、砲撃を使うタイミングも難しい。彼女の言うとおり受けきれる自信はない。でも…
「…やってはみるよ。」
「無理でも何でも物わかり良く諦めちゃうと後悔するから。」
「だから決めたんだ。どんな時でも諦め悪く食らいついて…私の魔法が届く距離にあるものを全部守っていくんだって!」
そう決めたからここに居る。それだけは譲れない。
「ここであれは…まずいね。」
なのはとシュテルの戦闘を見ていた私は立ち上がってその場から下りていく。
2人の動き、特にシュテルにある兆候を感じたからだ。
「集え…赤星…私とあなたの心と魔導、どちらが強いか比べ合うとしましょう。」
予想通りシュテルはなのはを拘束魔法で捕らえ赤色の光球を生み出した。
「集束魔法!? こっちも集束砲で相殺するしかない」
なのはは力任せに拘束を解き桜色の光球が現れる。
思った通り集束砲に集束砲をぶつけるつもりだ。こんな場所でぶつかったらオールストン・シーは吹き飛んでしまう。ユーノが結界魔法で防ぐつもりらしいけれど…
「建物…壊れないと思う?」
【No】
私が聞くと相棒は即座に否定した。なのはの集束砲には結界破壊属性が入っている、下手をすれば広域結界が壊れて関東全域の被害も出てしまいかねないと。
「じゃあ、その上をいくしかないね。」
そのまま虹色の光に身体を溶け込ませ、ユーノの近くに降り立った。
「君は? そのジャケット!」
驚くユーノの問いかけに答えず
「ユーノさんは結界の維持お願いします。1度壊れるからすぐに作り直してください」
『なのはっ! ブレイカーが消えた後シュテルに隙が出来るから狙って』
通信と声で2人に言う。
「結界が壊れる? 何を?」
『ヴィヴィオちゃん? 消えた後? なんだかわかんないけど了解!』
答えている余裕は無い、目の前の2人の発射まで時間が迫っている。
「RHdっ!」
【StandbyReady Setup. Armored module Startup】
バリアジャケットから騎士甲冑に切り替える。
「ユーノさんの結界まででカット、全体の結界は壊さないからねっ!」
【Allright】
「ルシフェリオンッ」
「スタアァアアアライトっ」
なのはとシュテルが集束砲の為に周囲の魔力残滓を集めたのか、付近に集められる魔力は殆ど無くなってしまっていた。そこでレリック内の魔力を一気に集める。
「スタァアアアアライトっ!!」
虹色の光球を作り出し…そして
「「「ブレイカァアアアッ!」」」
なのは、シュテル、そしてヴィヴィオがほぼ同時に集束砲を放った。
砲撃魔法、集束魔法同士の激突では魔法力の強い方が勝り弱い方が潰されてしまう。
その論理でいけばなのはとシュテルが放ったスターライトブレイカーよりヴィヴィオの放ったスターライトブレイカーは拡散型で2人の集束砲と比較すると魔法力が弱く競り負けて消えてしまう。
しかしヴィヴィオの放った拡散型スターライトブレイカーは結界破壊よりも強い魔力無効化の特性を持っていた。
ヴィヴィオは周囲への余波を無くすためになのはとシュテルが放ったそれぞれのスターライトブレイカー・ルシフェリオンブレイカーそのものを無効化しようとしていた。
2つの集束砲がぶつかり合い爆発するかと思われた直後、虹色の光が包み2つの集束砲はかき消される。
「まさかっ!」
集束砲同士の激突を予想していたシュテルは何が起きたのか判らずその時点で動きが止まってしまった。そこへなのはがACSで突撃する。
なのはもスターライトブレイカーが消えてしまったのには驚いていたけれどヴィヴィオに先に聞いていたから次への動きがシュテルより早かった。
「無念…です」
「私の勝ちだね。目が覚めたらお話聞かせてね。」
虹が消えた後、気を失ったシュテルをなのはが抱きかかえているのを見て
「全く…無茶するんだから。」
建物も含め周囲に影響はなく、ユーノの作った結界を壊してしまったけれど広域結界には影響がなかった。
私はホッと息をつきながら騎士甲冑からバリアジャケットに切り替えた。
「……」
「…2つの集束砲を消した?」
レティ達、管理局本部の面々と現場で臨時指揮所の準備をしていたエイミィは集束砲の激突から消失するのを見ていて唖然としていた。
ユーノの結界で抑えられる程集束砲は弱くない。
なのはとシュテルの激突だけで相応の建造物破損を覚悟していた。そこにヴィヴィオが現れ更に集束砲の発射態勢を取った時、広域結界への影響を心配した。ここで結界が失われたらオールストン・シーに大きな被害が出る。
しかしその直後になのはとシュテルの集束砲はヴィヴィオによって消されてしまった。
ヴィヴィオの通信内容からも偶然ではなく集束砲を消すために動いたのだとわかる。でも…
「「そんなことが…出来るの?」」
これ程の魔力を消す方法…どうすれば出来るのかすら判らなかった。
~コメント~
平成最後と令和最初の更新といきたかったのですが、そうは許してくれない色々な問題。
今話はなのはvsシュテルです。
今話のシーンもなのはの気持ちの強さとシュテルとの交流という意味であまり変えたくないシーンでした。
もしなのはが負けそうだったらヴィヴィオは加勢したかも知れませんが、今回はあくまでフォロー役です(間接的になのはを支援していますがそれ位は主人公の恩恵ということで)
先のレヴィは楽しむのが半分、ディアーチェからの命令半分。ディアーチェは戦略的見地からオールストン・シー内での戦闘をしていますが、シュテルはなのはとの戦いという見地だけでおけば戦闘エリアの移動も出来たと考えます。
(非道&戦略的に建物を壊せばなのはが防ぐのでダメージを与えられると考えていたらちょっと違いますが、そういう風には見えなかったので)
次話は遂に【彼女】が登場です。
森林方向を見る。2つの光が互いに距離を取りながら動いている。大型機動外殻を壊したから接戦になっている。2人とも近接戦より次の攻撃を考えた戦い方をするからまだ暫くかかるか…
「…なのはとシュテルは…」
再び目の前に向き直る。
私がフェイトの救援に行かなかったのは彼女達の戦いが気になったからだ。
なのはとシュテル、2人とも砲撃系魔法を得意とした近・中・遠距離に対応出来るマルチレンジタイプ。そんな2人がオールストン・シーの施設付近で戦っている。
2つの光が高速で動いている
なのはがフォートレスを使って建物にシュテルの砲撃が当たらないようにしていて防戦一方になっている。
「…守るのが大切か。なのはママとは違うんだ…」
『なのはがおかしい』
アリシアが言っていた意味が少しわかった気がした。
ヴィヴィオの母、高町なのはであれば建物の損害を考えるなら真っ先に戦闘エリアを移動させるだろう。オールストン・シーは少し離れたら海、レヴィの様に屋内に入られたら難しいけれど、今の戦闘エリアならそれ程難しいとも思えない。
でも…彼女はそれをしていない。守る事に執着しすぎている気がする。
経験の差とも言えるけれど…それを待っていたら取り返しのつかないこともある。
「なのは、質問してもいいですか?」
目の前の少女、シュテルと戦っている最中に彼女から声をかけられる。
「えっ? 今?」
「あなたは先程から地上の建造物を守る様な挙動を取っている、生命反応は見当たりません。無人の建造物を守る理由は何ですか?」
そう言いながら多くのシューターを放つ。フォートレスで防ぎながら彼女に再び肉薄する。
「それは…まぁ、この施設はみんなが一生懸命作っているもので、完成を楽しみに待っている人がいて、沢山の人の努力と期待が込もっている場所だから壊したくないの!」
彼女の杖に砲撃魔法の兆候が生まれる。迎撃態勢をとる。
「それを守りながら、私の攻撃を受けきれると?」
2人がほぼ同時に発射、フォートレスを動かし建物に当たる前に食い止める。
彼女の攻撃は受けなきゃいけないし、砲撃を使うタイミングも難しい。彼女の言うとおり受けきれる自信はない。でも…
「…やってはみるよ。」
「無理でも何でも物わかり良く諦めちゃうと後悔するから。」
「だから決めたんだ。どんな時でも諦め悪く食らいついて…私の魔法が届く距離にあるものを全部守っていくんだって!」
そう決めたからここに居る。それだけは譲れない。
「ここであれは…まずいね。」
なのはとシュテルの戦闘を見ていた私は立ち上がってその場から下りていく。
2人の動き、特にシュテルにある兆候を感じたからだ。
「集え…赤星…私とあなたの心と魔導、どちらが強いか比べ合うとしましょう。」
予想通りシュテルはなのはを拘束魔法で捕らえ赤色の光球を生み出した。
「集束魔法!? こっちも集束砲で相殺するしかない」
なのはは力任せに拘束を解き桜色の光球が現れる。
思った通り集束砲に集束砲をぶつけるつもりだ。こんな場所でぶつかったらオールストン・シーは吹き飛んでしまう。ユーノが結界魔法で防ぐつもりらしいけれど…
「建物…壊れないと思う?」
【No】
私が聞くと相棒は即座に否定した。なのはの集束砲には結界破壊属性が入っている、下手をすれば広域結界が壊れて関東全域の被害も出てしまいかねないと。
「じゃあ、その上をいくしかないね。」
そのまま虹色の光に身体を溶け込ませ、ユーノの近くに降り立った。
「君は? そのジャケット!」
驚くユーノの問いかけに答えず
「ユーノさんは結界の維持お願いします。1度壊れるからすぐに作り直してください」
『なのはっ! ブレイカーが消えた後シュテルに隙が出来るから狙って』
通信と声で2人に言う。
「結界が壊れる? 何を?」
『ヴィヴィオちゃん? 消えた後? なんだかわかんないけど了解!』
答えている余裕は無い、目の前の2人の発射まで時間が迫っている。
「RHdっ!」
【StandbyReady Setup. Armored module Startup】
バリアジャケットから騎士甲冑に切り替える。
「ユーノさんの結界まででカット、全体の結界は壊さないからねっ!」
【Allright】
「ルシフェリオンッ」
「スタアァアアアライトっ」
なのはとシュテルが集束砲の為に周囲の魔力残滓を集めたのか、付近に集められる魔力は殆ど無くなってしまっていた。そこでレリック内の魔力を一気に集める。
「スタァアアアアライトっ!!」
虹色の光球を作り出し…そして
「「「ブレイカァアアアッ!」」」
なのは、シュテル、そしてヴィヴィオがほぼ同時に集束砲を放った。
砲撃魔法、集束魔法同士の激突では魔法力の強い方が勝り弱い方が潰されてしまう。
その論理でいけばなのはとシュテルが放ったスターライトブレイカーよりヴィヴィオの放ったスターライトブレイカーは拡散型で2人の集束砲と比較すると魔法力が弱く競り負けて消えてしまう。
しかしヴィヴィオの放った拡散型スターライトブレイカーは結界破壊よりも強い魔力無効化の特性を持っていた。
ヴィヴィオは周囲への余波を無くすためになのはとシュテルが放ったそれぞれのスターライトブレイカー・ルシフェリオンブレイカーそのものを無効化しようとしていた。
2つの集束砲がぶつかり合い爆発するかと思われた直後、虹色の光が包み2つの集束砲はかき消される。
「まさかっ!」
集束砲同士の激突を予想していたシュテルは何が起きたのか判らずその時点で動きが止まってしまった。そこへなのはがACSで突撃する。
なのはもスターライトブレイカーが消えてしまったのには驚いていたけれどヴィヴィオに先に聞いていたから次への動きがシュテルより早かった。
「無念…です」
「私の勝ちだね。目が覚めたらお話聞かせてね。」
虹が消えた後、気を失ったシュテルをなのはが抱きかかえているのを見て
「全く…無茶するんだから。」
建物も含め周囲に影響はなく、ユーノの作った結界を壊してしまったけれど広域結界には影響がなかった。
私はホッと息をつきながら騎士甲冑からバリアジャケットに切り替えた。
「……」
「…2つの集束砲を消した?」
レティ達、管理局本部の面々と現場で臨時指揮所の準備をしていたエイミィは集束砲の激突から消失するのを見ていて唖然としていた。
ユーノの結界で抑えられる程集束砲は弱くない。
なのはとシュテルの激突だけで相応の建造物破損を覚悟していた。そこにヴィヴィオが現れ更に集束砲の発射態勢を取った時、広域結界への影響を心配した。ここで結界が失われたらオールストン・シーに大きな被害が出る。
しかしその直後になのはとシュテルの集束砲はヴィヴィオによって消されてしまった。
ヴィヴィオの通信内容からも偶然ではなく集束砲を消すために動いたのだとわかる。でも…
「「そんなことが…出来るの?」」
これ程の魔力を消す方法…どうすれば出来るのかすら判らなかった。
~コメント~
平成最後と令和最初の更新といきたかったのですが、そうは許してくれない色々な問題。
今話はなのはvsシュテルです。
今話のシーンもなのはの気持ちの強さとシュテルとの交流という意味であまり変えたくないシーンでした。
もしなのはが負けそうだったらヴィヴィオは加勢したかも知れませんが、今回はあくまでフォロー役です(間接的になのはを支援していますがそれ位は主人公の恩恵ということで)
先のレヴィは楽しむのが半分、ディアーチェからの命令半分。ディアーチェは戦略的見地からオールストン・シー内での戦闘をしていますが、シュテルはなのはとの戦いという見地だけでおけば戦闘エリアの移動も出来たと考えます。
(非道&戦略的に建物を壊せばなのはが防ぐのでダメージを与えられると考えていたらちょっと違いますが、そういう風には見えなかったので)
次話は遂に【彼女】が登場です。
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