特別編 AgainStory

『これでいいのか?』
『はい♪ お願いします。』
『こんな風に話すのは何故か変な気分なんだが、2人とも元気にしているか…いや、きっと元気にしているのだろう。』

ある日の朝、リビングを見ると包みが置いてあった。
最初に起きて見つけた女性はその包みを手に取る。
家族宛になっていたのを不思議に思いつつ中を開けると1枚のディスクが入っていた。
端末にセットする。

「ウソ…ねぇちょっと、起きてっ!」

現れた映像に女性は驚き慌てて家族を呼びに行った。



『はい、いいですよ♪』
『え~…こういう物は初めてなんだが、何を話せばいい?』
『何でもいいです♪。色んな事いっぱい話してください』

同じ時、遠く離れた場所でも同じ様に送られてきた映像を見つめていた。

「この方が私の…」
「ああ」
「そうよ」
「そうだな」
「うん」
「綺麗な人だ」
「そうやね…」

 この家の主も夜遅く帰ってきてそのままベッドで眠っていたが、日が昇ったばかりの時間に家族に叩き起こされ向かうとそこには家族が揃っていた。

 
「こんな事…ううん、こんな贈り物なんて」
「1人しかおらへん」


―元の時間に帰ってきて少し経った頃―

「ねぇなのはママ、なのはママの暮らしていた世界には贈り物をする日ってあった?」
「ん~と…クリスマスの事かな? クリスマスの日にいい子にしている子供にサンタさんがプレゼントをくれるの。ヴィヴィオにもサンタさん来るといいね~♪」
「ううん、そうじゃなくて…ヴィヴィオがサンタさんになっちゃだめ?」
「え?」


『うん、そう言うことなら大丈夫だと思う。でも、他の場所に立ち寄らないで直ぐに帰ってくるんだよ。もし…』
「うん、大丈夫。フェイトママに昔の渡航履歴とか教えて貰ったから直ぐに帰ってきます。」
「やっぱり私も…」
「大丈夫だよ。」
心配する2人を置いて、私はその時を離れた。


「ここで…合ってるよね。」

 着いたのは航行中の次元航行船の中。
 知ってる物よりかなり古い形式。
 ある船の渡航履歴のデータを開きながら、来た場所を確認する。間違ってない様だ。
 私服では流石にまずいと思い、用意してもらった制服に着替えてある部屋を探す。

「あ、ここだっ♪ 失礼します」
「ん、君は? 搭乗者の見覚えは無いが…」

 そこに居た男性が不思議そうにこっちを見ている。

「私は…」

 前もって考えていた話を口にした。彼は少し考えた後「いいだろう」と頷き

「それで僕は何をすればいいんだ?」

 楽しそうに笑った。

「直ぐに用意します。…はい!」
「これでいいのか?」



「ありがとうございました。失礼しますっ」
「こちらこそ。」

 礼をして部屋を出た瞬間に私はその時を後にした。

「そうだ、お菓子でもどう…ん?」

 私を追いかけて部屋を出て来た男性は誰も居ない通路を見て首を傾げた。



「お…ヴィヴィオだったか、違う時から来たのか?」

 別人だとわかるらしい。流石彼女と言ったところか

「うん。ちょっとお願いがあって来たの。あのね…」
「…ああ、構わない。私の方から願いたいくらいだ。」
「じゃあちょっと待ってて、準備するから。」

 すんなり納得してくれた彼女少し驚きながらも、大らかな女性だったんだと思い直し持ってきた物を用意する。

「はい、いいですよ♪」
「え~…こういう物は初めてなんだが、何を話せばいい?」



「ありがとう。」
「いや、礼を言うのは私の方だ。1つだけ聞いていいか?」
「なに?」
「ある…家族達は皆幸せそうか?」

 彼女なりに気にしているのだろう。何とかしたい気持ちはある。
でもそれは…彼女もそれを知っている。

「うん、すっごく♪」
「そうか…ありがとう。」

 そう言って彼女はその場を去っていった。
それを見届けて私もその時を去った。



「ただいま、なのはママ」
「おかえり。大丈夫だった?」
「うん、他の誰にも会ってないしきっと大丈夫。」
「それじゃサンタさんの出発だね。ママも一緒に行こうか?」
「大丈夫、置いてくるのも直ぐにできるから」

 2つの包みを用意して私はそれぞれの場所へと置き元の時間と場所に帰ってきた。



『これでいいのか?』
『はい♪ お願いします。』
『こんな風に話すのは何故か変な気分なんだが、2人とも元気にしているか…いや、きっと元気にしているのだろう。』  
「パパのパパ?」
「そうだよ、パパのパパだ。どうしてこんな物がここに?」
「それにこの声って…」
「サンタさんからの贈り物…私達への」
  

 
『はい、いいですよ♪』
『え~…こういう物は初めてなんだが、何を話せばいい?』
『何でもいいです♪。色んな事いっぱい話してください』
「綺麗で、優しそうで、素敵な先代です」
「綺麗だし、優しいんだ。」
「ああ、いつも見てくれてたしな。」
「そうね…本当にそう」
「本当にサンタさんや…」


 ―それは小さなサンタからの贈り物―


~~コメント~~
 ある意味SS版でのAgainStory最終話です。
 Againには「もう一度・再び」という意味が含まれています。
 ザフィーラを助ける為にもう一度過去の時間へ~
 別れた筈のヴィヴィオとなのは・フェイトは再び会え~
 過去にあったかも知れない聖王と闇の書の激突が再び起こり~
 会えない筈のリインフォースとはやては再び会うことができました。そんなもう一度・再びがリンディ・クロノやシグナム・シャマル・ヴィータ・ザフィーラに起こったら。
 これはそう言う話です。
 本編とは少し違う雰囲気ですが、楽しんで頂けると幸いです。

Comments

Comment Form

Trackbacks