『これでいいのか?』
『はい♪ お願いします。』
『こんな風に話すのは何故か変な気分なんだが、2人とも元気にしているか…いや、きっと元気にしているのだろう。』
ある日の朝、リビングを見ると包みが置いてあった。
最初に起きて見つけた女性はその包みを手に取る。
家族宛になっていたのを不思議に思いつつ中を開けると1枚のディスクが入っていた。
端末にセットする。
「ウソ…ねぇちょっと、起きてっ!」
現れた映像に女性は驚き慌てて家族を呼びに行った。
「こんにちは~♪」
「ごきげんよう、はやてさん。」
「あ、はやてちゃん。いらっしゃい」
ヴィヴィオ達が過去から戻ってきて数日が経った頃、高町家にはやてが再び遊びにやってきた。
「…捕まえたっ」
「長距離転送」
「目標、軌道上」
「「「転送っ!!」」」
なのは達の砲撃魔法によってコアを露出された防御プログラムがアースラの前に転送された。
コアの飛んでいく先をヴィヴィオは見守る。この後、アルカンシェルの直撃を受けるのだ。
『そこの方。管理局の方。そこにいる子の保護者八神はやてです』
「はやてちゃん!?」
「はやて!」
魔導書から突然聞こえた念話にヴィヴィオは驚いた。
『なのはちゃん、ヴィヴィオちゃん!?』
「そうだよ。色々あって闇の書さんと戦ってるの」
(はやてが目覚めてる…もしかして…)
(ここは? 私、さっきまで闇の書と…)
ヴィヴィオが気がついた時、そこは真っ暗な空間だった。
しかし直ぐに辺りの風景が変わった。
「フェイトっ!」
「アルフ、来ちゃダメっ!」
目の前にもう1人の私とフェイトが現れる。
(私? 違う、ここは海鳴の公園…)
目の前でフェイトが消えた…
私を助ける為に…庇って消えた…
私は間違ったの…?
フェイトママは消えちゃうの?
消した闇の書に対する怒りが心の奥底から暗い澱みを生み出した。
「うわぁぁぁぁぁあああっ!!」
ヴィヴィオから魔力の溢れ暴れ始めた。
「…なに…アレ…」
ヴィヴィオは走っていては間に合わないと思い、RHdを使い市街地まで飛んできた。
その途中、ビルの屋上で異常な魔力反応に気付いて近くのビルに隠れ様子を窺っていた。
「わぁぁぁぁあああああっ!」
叫ぶはやての声と共に魔力の反応が増大してゆく。彼女の変わりゆく姿を見て呆然とする。
「アレが…ロスト…ロギア、なの?」
「遅くなっちゃった、急いで戻らないとっ!」
図書館で本に熱中している間になのはと約束していた時間が大幅に過ぎているのに気付いてヴィヴィオは家へと走っていた。
先日、すずかとアリサと一緒に案内して貰っている間、ヴィヴィオもはやてに何かプレゼントしたいと思って小さなウサギのぬいぐるみを買ってすずかに預けた。
今頃すずかとアリサはなのはとフェイトと一緒にはやての病室へ行った頃。
「リイン、2人にお茶を入れてあげて欲しいんだけど」
「はいです。アルフさんもシグナムも座って待ってて下さい」
「あ、うん…」
「ああ…」
(さて、どこから話したらいいだろう?)
シグナムとアルフを前にしてユーノはそう考えつつも、2人がどうしてここに来た理由から話し始めた。
なのは達が行った世界は予想がつく。
きっと闇の書事件のまっただ中、ザフィーラが消えない様に助けようとしているのだろう。
「今日はフェイトちゃん学校お休みしたの、家の都合なんだって」
はやてに紹介されて数日後、ヴィヴィオは図書館で月村すずかと会っていた。
すずかに貰った服を着て彼女と一緒にいると双子の姉妹に見えるらしく、彼女が普段から図書館に良く来ていた事も相まってか、姉妹揃って読書好きなのだろうと思われどんな本を読んでいても特に気にされずに済んだ。
「八神はやてちゃん、私のお友達。こっちがヴィヴィオちゃん…親戚の子でこっちに遊びに来てるの」
「八神はやてです。よろしくな♪」
「ヴィヴィオです」
(どうして私、紹介されてるの??)
訳の判らないままヴィヴィオははやてから差し出された手を取って握手した。
「なのはっ、ヴィヴィオっ」
「ごきげんよう。ユーノ・スクライアさん」
ユーノ・スクライアが無限書庫から慌ててなのはの家にやって来て家の中に飛び込んだ時、ソファーで1人お茶を飲んでいる少女がいた。
「君は…」
さっきなのは達と話していた時後ろに居た気がするが、改めて見ると子供の頃のフェイトにソックリだ。
「アリシア・テスタロッサです。ユーノさんフェイトとはやてさんの事は気にならないんですか? 入るなり『なのはっヴィヴィオ』って」
「ここはこんなところかしら。あとは…」
海鳴市にあるマンションの一室でリンディ・ハラオウンは1人荷物の整理に追われていた。
数日前、フェイトの裁判が終わり話がしたいと言うことで管理外世界に住む高町なのはに連絡を入れようとしたところ何らかの妨害で通じなかった。慌ててアースラで向かったものの、襲撃を受けていたなのはだけでなく助けに向かったフェイトまで怪我を負わせてしまった。
更に悪いことに襲撃したを全員取り逃がす不始末。
加えてアースラを整備中に無理矢理出した影響で整備期間が暫く延びるだろうとレティより聞いた。
(せめてあと1人、もしヴィヴィオさんが居てくれたら…)
「ったたた…」
「ワッ」
「キャッ」
「はい、ヴィヴィオ」
「あ、ありがとフェイトママ」
いきなり飛ばされたのは、どこかの路地裏だった。
ヴィヴィオは転移の影響で転びそうになったところをフェイトに支えて貰った。
しかし、なのはとフェイトまで手が回らず、ヴィヴィオ達が気付いた時には2人は折り重なるように倒れていた。
「嘘、だって私…一緒だった」
呟いたヴィヴィオ言葉に周りの者は何も言えなかった。
話は2時間程遡る。
「ヴィヴィオ~アリシアちゃんがきたよ~」
ミッドチルダ郊外にある邸宅で女性の声が響き渡った。
声の主は高町なのは。この家の主で時空管理局では厳しい指導で有名な彼女、だけど…
「は~い♪」
娘のヴィヴィオにとっては優しい母親だった。
ずっと、ずっと一緒だったのに
どうしていないの?
それはきっとそれは私のせい…
だから取り戻す、本当の現在を
やっと平穏になった日々をなのはや新しく出来た友達アリシアと過ごす高町ヴィヴィオ。
しかし、彼女がきっかけになった事件はまだ終わっていなかった。
リリカルなのはAgainStoryはじまります
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