第--話「旅路の果て」

「ごきげんよう。昨日はじゃなかった。お久しぶりです」
「こんにちは・・じゃなかった。ごきげんよう、お姉ちゃん。」

 クラナガンから聖王教会へ行く為列車に乗ろうとした時、私はあの親子と再会した。女の子はちょっとだけ大きくなっていて、私が会ったのはこの位だったかなと思い出す。母親もやつれていた頬が元に戻り、幸せそうだった。
 この魔法を使えば喪失感を感じてしまう時がある。でも、こういう時は嬉しい。挨拶した後、立ち話をしていると列車が出そうになり、慌てて乗り込む。

「ありがとうございました。あの時は・・・お礼も言えなくて・・・」

 元々優しい人だったんだろう。今が彼女の本当の姿なんだ。

「いえ、私も・・・私じゃなくて・・・えっと、とにかく私もお世話になるかも知れないので・・」

 彼女の家に何度も遊びに行ったのだから彼女にも会っている。あの時にはもう知ってたんだ。
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第--話 「再びの地へ」

 あれから数年が過ぎ、私は管理局へと入局を決めた。
 母さんは「あなたが考えて決めたなら、頑張りなさい」と背中を押してくれた。
 でも・・・でも・・・私は管理局に入る前にしなければならない事がある。

「行くんだね・・・もう一度」
「うん、すぐに戻るから・・・もし、私の身体に何かあっても心配しないで。絶対に戻ってくるから」

 この魔法と出会った時、それを封印せず私に丁寧に使い方と危険性を調べ教えてくれた家族。
 彼に打ち明け、用意してもらった物を持って私はもう一度旅立った。
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第--話 「突然の・・・」

『ねぇはやて、来週なんだけど・・・こっちに来ない?』
「どうしたんカリム?」
『ん~ん、ただ久しぶりにお茶したいな~って』
「ええよ、それじゃ来週な」
『美味しいお茶とクッキーを用意して待ってるわね』
 
 一週間前、突然カリムから連絡を受けた八神はやては何か事件かと一瞬だけ緊張した。しかし、はやての予想は完全に外れていて通信を切った後、先程とはうって変わって頬が緩んでいた。

(全く・・聖王協会と管理局の橋渡しとかで忙しいやろうに・・カリムはもうっ)
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