「プレシア・テスタロッサ、2人に何かあったのか?」
「……」
拘束したこの世界のチンクとセッテをティアナに引き渡した後、チンクとディードは一緒にセインを連れて施設へと戻ってきた。
戦闘機人さえ倒してしまえば相手の主戦力はガジェット・ドローンだけ。特殊なタイプであっても所詮は機械仕掛けだ。地上本部を墜とした戦力だったが、世界・時間が違うとは言え元機動6課フォワードと戦闘機人7人が力を合わせて協力した甲斐もあり、事態は沈静化へと向かっていた。
しかし、空はまだ戦闘が続いているらしくなのはとフェイト、八神はやての騎士達は空へと上がっていった。
チンクも遙か上空に聖王のゆりかごらしき影をを見たが今のチンク達ではどうすることも出来ず、ノーヴェ・ウェンディ・ディエチの3人に施設の守備を任せ一旦プレシアの元へと戻ることにした。
「っと、ここは? ゆりかご!?」
ヴィヴィオとアリシアが降り立った場所、そこは聖王のゆりかごで見た玉座の間そっくりの部屋。
「ヴィヴィオ?」
呼ぶ声に振り返るとなのはとヴィータを見て慌てて駆け寄る。
「なのはママっ、ヴィータさん」
見るからに2人ともボロボロ…誰が一体…
「何でお前達がっ!」
「ヴィヴィオっ、来ちゃダメ」
「3人とも下がれっ! ダァァアアアアッ!」
「「「りょ、了解っ!」」」
ノーヴェが叫んだ直後、彼女の蹴りを受けて数体のガジェットドローンが粉砕される。
「強いAMF空間じゃ足手まといだ。もっと薄い場所へっ」
相手が戦闘機人とガジェットドローンに限られているのを良い事に恐ろしく強いAMF空間が作り出されている。ノーヴェ達は戦闘機人モードで戦えるがこれほど強い空間を味わった事のないエリオ・キャロ・ルーテシアは為す術が無かった。
姿を消すガジェット・ドローンと初めて遭遇し退くに退けない3人を助けようとノーヴェは単身飛び込んだのだ。
「綺麗だね~」
「そうだね…」
「ちょっと寒くなってきたね。」
「…ねぇアリシア、本当にここで合ってるのかな?」
「う~ん、多分…」
元の時間が慌ただしくなっているのを知らないヴィヴィオとアリシアは湾岸エリアで陽が沈むのを眺めていた。
海原に沈む陽が幻想的な色を醸し出している。
2人は一緒に湾岸エリアを歩き回りながらウィンドウショッピングをしたりレジャー施設に入って色々見て回ったり、少し足を伸ばしてマリンガーデンが出来る予定の海底遺跡付近へも行った。
でも、いくら待ってもアリシアのペンダントは鳴らず。陽が傾いた頃から本当にここで合っているのか心配になり始めた。
「チンク姉、ちょっと聞いていい?」
「何だ? セイン」
バリアジャケットを纏い武装をチェックしているチンクにセインが声をかけた。
ナカジマ家組のチンク・ディエチ・ウェンディ・ノーヴェにはそれぞれナンバーズだった頃の武装とバリアジャケットをデバイスとして与えられていた。
聖王教会組のセイン・オットー・ディードにも支給されていたがセインとオットーの2人は固有技能が戦闘向きではない為、同じ教会組のディードと共に最後の防衛ラインにあたる事にした。
戦闘機人としてこの世界の自分が出て来た場合はそれぞれが相対すると決めているが…
「リイン、調整次第フェイトちゃんを呼び出して」
席に座ったはやては通信系端末を調整していたリインに言う
「はいです。でも本局とは通信無理かと思いますよ」
「さっきなのはちゃんが近隣世界からフェイトちゃんの通信があったって教えてくれたんよ。フェイトちゃんきっと転送魔法を使って本局からこっちに向かってる。」
「なるほど~、バルディッシュの反応をキャッチしました。はやてちゃんの言った通りヴァイゼンにいらっしゃいます。メインモニタに映します。」
「「ただいま~」」
「おかえり、ヴィヴィオ楽しかった?」
「うん♪」
「いっぱい甘えたか?」
「私甘えん坊じゃないよっ!」
「これおみやげです。」
「わぁ~ありがとうッスなのはさん!」
夕方ヴィヴィオ達は研究施設に戻ってきた。遊んでいる間に何も起こらなかったらしい。
出迎えてくれたアリシアやノーヴェ・ウェンディの顔を見て自然と笑みが溢れる。
「ヴィヴィオおいしい?」
「うん、ママのはおいしい?」
「うん。食べてみる?」
「あーん。おいしい、私のもはい、あーん」
「ありがと♪」
マリンガーデンの中でヴィヴィオとなのははアイスを食べていた。
海底遺跡以外にも海洋生物がそのまま見られたり、別世界の様に綺麗で凄くて…
(元の時間の方も行ってみたかったな…一緒なのかな?)
そんな事を考えながらも、なのはと一緒にあっちこっち見て回ったり、お買い物したりとヴィヴィオは楽しんだ。
でも、時々なのはは暗い顔をするのがすこし気になる。
(まただ…)
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