「凄い…綺麗…」
マリンガーデンの中に入ったヴィヴィオはその光景を見て言葉が見つからなかった。
寒い季節だから海の中を歩いても何も居ないと思っていたのだけれど、そんなことはなく
上だけでなく左右や下まで数え切れない位の魚がトンネルを作っていた。
これを見たら事件で付いたイメージも消えるだろう。
「凄いね・・・」
「「・・・・・・」」
ヴィヴィオとアリシアはそれぞれオリヴィエとチェントの方を向くと・・・彼女達はその光景に見とれていた。
「ただいま~…え、ええーっ!?
ある調べ物をする為に依頼物を一気に片付けたら帰るのが遅くなってしまった。
鍵を開けて玄関を入りリビングのドアを開けたヴィヴィオの目に入ったのは…
「おかえりなさい」
なんとパジャマ姿のオリヴィエ。
「遅くまでお疲れ様~。教会で言うの忘れてたんだけど、オリヴィエさん今日から暫く居て貰うから。」
「ねぇイクス、イクスは会った事あるの? オリヴィエさんに」
ヴィヴィオはベッドで眠る少女、イクスヴェリアに問いかける。
イクスはマリンガーデン大火災からスバル・ナカジマに助け出された。その時『前に目覚めた時はベルカ聖王家はもう無くなっていた』と言った。彼女が眠ってしまった後で、スバルから教えて貰った。
彼女は永い眠りの中にいる。それが10年なのか1000年なのか・・・それは誰にも判らない。
「あの後、すっごく大変だったんだから! もうあんな事しないでね」
カリムの部屋で入れて貰ったお茶を飲んで少し落ち着いたのかヴィヴィオはオリヴィエ念を押す様に言う。
ヴィヴィオの言葉通り授業が終わる前、彼女達が去ってからはもう大変だった。
2人が校舎に入った直後注目の的になってしまい、魔法制御を教えて欲しいとか虹色の魔法球の作り方を教えてと何人からもお願いされたのだ。
授業後はクラスメイトだけだったのに、放課後になったら他のクラスの子まで押しかける始末。 ヴィヴィオ達の様子を教室から見ていたのか、クラスメイトの誰かから伝わったらしい…
「フーン、そんな事があったんだ。それで朝から何度も欠伸して眠そうなんだね。」
「うん…オリヴィエさんのおかげで…お昼ご飯食べた後だから1番眠いかも。ファアア~…」
アリシアに答えながらヴィヴィオは今日1番大きな欠伸をする。
お弁当箱を枕代わりに今すぐ寝たい気分。
あれからオリヴィエはなのはやはやて達と聖王教会に残った。ヴィヴィオもその場に居て色々聞いて話してみたいと思っていた。
しかし既に朝日は差し込んできていて、学業優先という事で朝から本局へ行くフェイトに連れられ家に戻りそのまま着替えて登校してきた。
「ねぇ、ヴィヴィオ。本当にこの子がヴィヴィオの?」
「確かに似てるって思うけど、ちょっと違う感じもする。それにオリヴィエ聖王女って凄く昔の人でしょ?」
「フェイトちゃん、ヴィヴィオとチェントちゃんも似ているけど違う感じだし、元が同じだって言えばフェイトちゃんとアリシアちゃんと違うんだから誤差みたいな物じゃないのかな」
「なのは、姉さんと私は全部同じじゃ無くて…って話がずれてる。なのはの言う通りヴィヴィオの小さい頃とチェントの今とじゃちょっと違うね。チェントはピーマンも食べるし好き嫌い無いし」
「そうそう♪」
「………」
「…………」
「………………」
「…ヴィヴィオ、さっきからこの子何も話してくれないんだけど…何かわかった?」
暗闇と静寂だけが残された広い部屋、その中央で女性が1人ひざまずいている。
彼女は手を祈るように胸の前で合わせ微動だにしない。
懐中時計の音ですら響くような空間でただひたすらその時が来るのを待つ。
暫くしてその場の様子が変わった。
女性から柔らかな光が溢れ出し、床にしみ出す様に広がっていく。同時に天井にも同様に広がり上下対となる魔方陣を描く。
静かに女性は立ち上がり両手を広げ、そのまま弧を描く様に手を前に出す。
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