「キャアアアアアッ!!」
「キリエさんっ!!」
巨大な腕に吹き飛ばされたキリエに向けてU-Dは更に砲撃魔法を放とうとしていた。
(インパクトキャノンで逸らせば何とかっ!!)
射角を変えようと構える。
「キリエ逃げなさいっ!! ヴァリアントザッパー、オーバーブラストっ!!」
ヴィヴィオが訓練室で汗を流していた頃、医務室では先に目を覚ましたプレシアが熱にうなされるチェントの額に塗れタオルをあてていた。
治癒魔法で癒せるのは怪我だけである。
彼女の場合、レリック片を取り込み一時的に聖王化した影響で体内に制御できない魔力が溜まって発熱を起こしていた。
今はオリヴィエの魔法によって体内で暴れていた魔力を抜き取られて和らいでいる。
後はゆっくり休養させるしかないらしい。
「よし、今日はここまで。明日はスターズが思念体待機になるから手伝えない。」
「ハァッハァッ…ありがとう、ございましたっ」
アースラの訓練室で息を整えながらヴィータに頭を下げる。
バリアジャケットの姿で汗だくで息があがったヴィヴィオに比べて訓練服なヴィータとシグナムは息どころか汗ひとつかいていない。
「明日は私が相手をしよう。」
「よ、よろしくおねがい、します…」
「海…綺麗だ」
「そうね、本当に綺麗。」
「でも…僕達どうやって帰ればいいんだろう?」
臨海公園で2人は陽が海に沈むのを見つめていた。
「アイシス…心配してるかな。」
治療の終えた子供のはやてちゃんは家に帰った。
シグナムさん達にはリンディ提督から状況を伝えて貰って家に戻っているから今頃揃って家でゆっくりしているだろう。
怪我をして眠っていたリインフォースさんは翌朝目覚めた。私達の世界では彼女は既に消えているからはやてちゃん達2人とも凄く喜んでいた。
はやてちゃん…リインフォースさんと会えるなんて思ってもみなかっただろう。
ヴィヴィオと悠久の書から光が消えた後、下方に暗闇の中浮かぶ町明かりが見えていた。
「センサー遮断。軌道上やとエネルギー消費が激しいから海上へ」
「アースラ海上へ着水します。ここは…何処でしょうか?」
「ここは第97管理外世界、海鳴市の近く。時間は…闇の書事件から3ヶ月位経っています。」
グリフィスの問いに答えるヴィヴィオ。
「海鳴か~懐かしいな。ん? 闇の書事件から3ヶ月後って…軌道上にアースラ居るんとちゃう? リイン、軌道上を含む周囲に管理局艦船の検索」
「ただいま…」
「………」
「あれ? なのはママ~、フェイトママ~?」
ヴィヴィオは魔力が回復して再び時空転移が使えるようになる前に家に戻った。
理由は2つ、なのはとフェイトにも一緒に来て貰う為、そして…
(通信切って行っちゃったから…怒られると思ってたのに…ママ達どこに行っちゃったんだろう?)
レイジングハートとバルディッシュにも通信出来ない。どこにいるのか?
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