昼食を食べ終えヴィヴィオがお昼寝の時間になり1人になった時、キャロはエリオを探して隊舎の方へやって来ていた。
「おにいちゃ~ん?」
その声を聞いてバタバタと何かがキャロに近づいてくる。
「どこ~~?」
「キャウ」
「!!」
キャロの目の前に下りるフリード。
「ねぇ、これなんてすごく美味しいですよ♪」
「・・・・・・」
「ねぇ、フリードさん。これなんてどうです?一緒に食べましょうの!」
「・・・・・・」
「そうそう、前の休みの時にはやてちゃんに買ってもらったです。どうですか~?」
「・・・・・・・」
「う~ん、じゃあ気分転換に一緒に街へ遊びに行きませんか?フリードさん♪」
「・・・・・・」
「はぁ・・・」
キャロはエリオが朝練に出て行くのを見送ってから1人残った部屋を見回していた。
家具はともかく、一気にエリオの私物も入った事できちんと整理された中で何が何処にあるのかさっぱり判らない。
「・・まとめておいた方がいいよね!」
と服を取り出して着替え始めた。
【ピピピピピピ・・・・】
「ん・・ぅん・・・・」
朝日が部屋にさしこみ始めた頃、まだ目が覚めていないエリオは音の鳴る方へ手を伸ばした。しかし、彼の手が届く前に目覚ましは【ピッ】という音と共に静かになる。
「ん・・・・んん?」
違和感に気付き、寝ぼけ眼な瞳を開けてみると
「クスッ♪ おはよ、お兄ちゃん」
キャロが居た。しかも自分を見て少し恥ずかしそうに微笑んでいる。
エリオが再び目覚めたのはフェイトの膝枕だった。
「えっ!僕どれくらい?」
「今日の捜査はおしまい、今は六課に戻ってる最中・・・エリオすごく疲れていたみたいだったし」
フェイトの言葉を聞いて青くなるエリオ。フェイトの前に立ち頭を下げる。
「もっ申し訳ありませんっ。始末書は後で提出します。」
「大丈夫、今日は打ち合わせが主だったし、それに・・・」
フェイトは胸元から紙片を取り出してエリオに見せた、それはエリオの休暇届だった。しかも八神隊長のサインが既に入っている。
数日後、管制室になのはとフェイト、そしてはやてが集まっていた。
「ティアナから報告貰ってるんだけど、・・やっぱりまずいんじゃない?」
「注意もしてるんだけど・・・」
「今まで理性で抑えてたのが取れたからとか?」
「はやてちゃん!動物じゃないんだから・・・でも、キャロがエリオにくっついて行ってる間、ヴィヴィオが独りぼっちになっちゃってなんだか寂しいみたいなんだ・・・」
「せっかくお姉ちゃんができても独りぼっちか・・・それは辛いね、でもエリオまで職場放棄すればフォワード隊も無茶苦茶になるし、エリオも多分納得しないだろうし」
「お兄ちゃん~、一緒にお散歩いかない?」
「お兄ちゃん~、ご飯一緒に食べよ♪」
「お兄ちゃん~、どこにいくの?」
「お兄ちゃん~、あそぼ♪」
「お兄ちゃん~・・・」
ヴィヴィオと良く遊ぶ様になってキャロも六課の雰囲気に馴染んできていた。特に喜んだのはヴィヴィオで、少し前迄は1人か守り役のザフィーラを過ごす事しか無かったのが、いつもキャロと一緒に居られる事で姉の様にキャロを慕い出していた。
キャロが機動六課に戻ってきて数日が経った。
はじめはヴィヴィオや六課で働く局員に対して怯えたり、怖々と接することが多かった。しかしヴィヴィオの人見知りをしない性格が功を奏した様で徐々にうち解けていった。
「どうしたの?フェイトちゃん?調子悪い?」
ある日ヴィヴィオ・キャロと一緒に食事をしていたとき、なのははフェイトが少し悲しそうな顔をしているのを見逃さなかった。
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