8話 3人よれば・・

 数日後、管制室になのはとフェイト、そしてはやてが集まっていた。

「ティアナから報告貰ってるんだけど、・・やっぱりまずいんじゃない?」
「注意もしてるんだけど・・・」
「今まで理性で抑えてたのが取れたからとか?」
「はやてちゃん!動物じゃないんだから・・・でも、キャロがエリオにくっついて行ってる間、ヴィヴィオが独りぼっちになっちゃってなんだか寂しいみたいなんだ・・・」
「せっかくお姉ちゃんができても独りぼっちか・・・それは辛いね、でもエリオまで職場放棄すればフォワード隊も無茶苦茶になるし、エリオも多分納得しないだろうし」

 3人が悩んでいるのはもちろんキャロの事であった。
 日に日に目に見えて衰弱していくエリオを見かねて、はやてはヴィヴィオと一緒にキャロを監視する際にキャロが離れないようにとザフィーラへ頼んだ。
 しかしザフィーラがヴィヴィオに気を取られた瞬間に見計らったかの様に消え、探してみるといつの間にかエリオの所に行っているという始末だった。
 しかもザフィーラの鋭敏な感覚や結界も通り越してである。

 寝室もはやての許可の下、セキュリティを最高レベルに上げたり、奇を狙って部屋そのものを変えたりもするのだが、どういう訳かエリオが朝に目を覚ますと目の前にはキャロが幸せそうに眠っているのであった。

「う~ん・・これは職業間違えたんとちゃう?鍵師や空き巣も真っ青や!!」
「「はやてちゃん!!」」
「ごめんなさい・・・」

2人に怒られたはやては素直に謝った。

「本当にもうっ・・言っちゃダメな事もあるんだから・・それで、何か良い方法無い?」
「う~ん、守護騎士が張った領域結界を簡単に越えてしまうからな~1人誰かを付きっきりにして・・・って
 そや!エリオをキャロの監視役っていうのは?」
「・・・・はやてっ・・・真面目に考えて!」
「良い案と思うたけど・・・フェイトちゃん」
「何?」
「例えばな、エリオがキャロの部屋へ一時的に引っ越ししてもらって暮らせばフェイトちゃんも一つ屋根の下で暮らせて嬉しいんちゃう?男性局員からの苦情も無くなるし」

 はやての手には複数枚の紙が、ヴァイス以下複数人からの嘆願書だ

「そうだけど・・・そうじゃなくて!エリオが大変だから何とかしないと!!私が一緒に居られれば良いんだけど、捜査の方も大変だし・・・・・」

 再び悩む3人。暫く考え込んでいると突然なのはが

「あっ!そうか!!あのね・・・・」

 はやてとフェイトの耳元でなのはがコソコソと何かを話した。 




--翌日--

「エリオ三等陸士」
「はい」
「本日より早朝訓練の後、フェイト執務官のレリック捜査に参加してもらいます」
「えっ?」
「復唱は?」
「りょ、了解です。訓練後レリック捜査に参加します。」

 早朝訓練を始める前になのははエリオに指示をだした。

 そして早朝訓練が終わり準備が出来たところでフェイトとエリオはヘリに乗りレリックの捜査へと向かった。
 ヘリが飛び立った瞬間、キャロが悲しそうな表情でヘリを見つめていたのがエリオには引っかかった。

「キャロと離れるの辛い?」
「いえ・・フェイトさん、あの・・・どうして僕を?」
「キャロの事で最近疲れていたでしょう?だから、こっちにくればその間は気が休まるんじゃないかなって」

 フェイトが座席に座りエリオの頭を優しく抱いて膝枕をする。はじめは慌てていたエリオも暫くすると寝息をつきだした。

「余程疲れていたんだね・・・なのはに感謝かな?」


--昨日の夜--

『あのね、フェイトちゃんの捜査にエリオを連れて行くのはダメかな?例えば早朝訓練の後とか?』
『ええっ?でもそんな事するとエリオが余計に疲れちゃうんじゃない?』
『エリオのは気疲れなの、だからちょっとでも落ち着く所に居られればすぐに治るって』
『そうやね、一度試してみるのも良いかもな、うまくいけばエリオも捜査任務を経験できるし、適正も見れる』
『もし気疲れして参加出来そうじゃなくても・・これにはやてちゃんのサインがあればっと!』
『なのはちゃん!ナイスアイデアや!!』

 なのはは1枚の紙を取り出してはやてに差し出した。

Comments

Comment Form

Trackbacks