リインフォースが八神家に来てから2週間後、運用テストの検査の為に彼女がプレシアの研究所にやってきた。
今日がその日だと知らなかったヴィヴィオはプレシアからのメッセージを受けて放課後に彼女の研究所に赴いた。
敷地に入ったところで…
「あれ? ザフィーラ?」
正面出入り口の片隅に子犬モードになったザフィーラが居た。
「どうしたの?」
「アインスの付き添いで来ている。リインが来る予定だったのだが…我が主と仕事でな」
翌朝、日が昇る前に私は目が覚めた。
フローリアン家では休む場所が無かったので、私とアリシア、プレシア、リインフォースの4人は惑星再生委員会近くに作られた居住棟の1部屋を借りていた。
眠っている3人を起こさない様にそっと外に出る。
目を瞑ってリンカーコアの鼓動を感じる。
いつも通り強い鼓動を感じる。疲労はない…。
「本当に…みんなのおかげ…プレシアさん、アリシア、ユーリ、イリス、シュテル、ディアーチェ…レヴィ…」
みんなに感謝してるし、巻き込んでごめんねとも思っている。
それでも…やっとここまで来られた。
「ユーリの魔法と、私の知っている古代ベルカのプログラム、惑星再生委員会が以前夜天の書を調べた時のデータを使って自動防衛システムが管制システムや夜天の書のプログラムと絡み合っている所はわかったわ。」
3人で話している短時間に見つけたことに驚くヴィヴィオとアリシア。
「でも…ここまで複雑に絡み合っていたなんて…1つずつ外したくても防衛プログラムの本来の機能の修復機能が動いて元に戻してしまうみたいなんです。守護騎士プログラムは管制プログラムと繋がっていただけなので切り離すのは難しくありませんが、管制プログラムと防衛プログラムは…」
朝食を食べた後、片付けをシュテルとディアーチェ、レヴィに任せて外にあるテーブルでプレシアが計画の詳細を話した。
「アリシアとヴィヴィオはこれから元世界、闇の書事件直後に行きなさい。防衛システムが破壊された後…はやてがアースラに運ばれた後、アースラにリインフォースと夜天の書を連れて戻ってくる。ヴィヴィオ、あなたは何度か同じ時間に行っているわね? それは『写本』を使っていた頃よね?」
プレシアに聞かれて思い出す。
私がその時間に行ったのは過去に2度
1度目は改変した時間を戻す為、ここで彼女と戦った。
2度目はクリスマスにはやて達に映像を贈る為、彼女に会いに行った。
どちらも悠久の書になる前の写本を使っていた。
ヴィヴィオはアリシアが言った通りイリスに連れられてフローリアン家に戻った。
『アリシアは明朝戻る』と伝えるとプレシアは「わかったわ」と頷いた。
そしてその夜、私はシュテル達のベッドで横になった。
フローリアン家はグランツ夫妻・アミタ・キリエの住居を増築して客間とシュテル・レヴィ・ディアーチェ達3人の部屋が作られている。
彼女達の部屋は個室ではなく、1つの大部屋でその大部分を1つの大きなベッドが占有していた。
時々ユーリが泊まっていくらしく、大きめのベッドにはシュテル達3人と私くらい寝るには十分だった。
横になって木造の天井を見つめながら今日のことを思い出す。
「すぐに行くつもりだったからちょっとびっくりしちゃった。」
「ママの言うとおりだと思うよ。『ヴィヴィオの魔力回復が計画の鍵』なんだから。途中で魔力切れなんて起こしたら大変でしょ。」
「それはそうなんだけど…」
「まぁまぁそんなに急いでもこちらも準備しなくちゃいけませんし、そうですよね所長」
「ああ、ついでに色々見て貰う時間も出来たからね。」
私とアリシアはイリスの運転する車に乗っていた。
助手席にはフィル、後部座席に私達とユーリが乗っている。
舗装されていない道だけれど、車の性能が良いのか車酔いするほど揺れていなかった。
「ヴィヴィオ、早速だけれど私とアリシアをエルトリアに連れて行って頂戴。」
プレシアから言われた通り、ヴィヴィオとアリシアはレールトレインを使って研究所に向かった。着いた時には彼女はバッグを持って出入り口前で待っていた。
「は、はい。」
言われた通り私はアリシア、プレシアを連れて時間軸を飛んだ。
「っと…着いた」
「…リインフォースを…連れてくる? ここの? 闇の書事件から?」
アリシアの問いかけに頷く。
ここに来たのは私だけじゃ彼女に伝えられなくて応援して欲しかったから…
「うん…」
「…ヴィヴィオ、本気?」
「うん…」
アリシアの顔が歪む。
「闇の書を復活させるつもり? こっちに連れてきたらはやてさんは勿論、シグナムさんやヴィータさん、シャマルさん、ザフィーラさん…リインさんだって影響受けちゃうかも知れないんだよ。また闇の書事件が続いて…悲しむ人が沢山出る…そんな未来を作りたいの? 撮影記録のこと忘れたの?」
「あれ? メッセージが届いてる」
私、アリシア・テスタロッサがそのメッセージに気づいたのは中等科の屋内練習場でクラブの練習に参加していた時だった。クラブに来てくれているトレーナーはどれ位魔力コアを使いこなせる様になっているのかや、運動、とりわけ格闘技能に取り入れているのかを定期的にチェックしているそうで、私もその対象に含まれている。同じ様にデバイスもどれ位使っているかを調べている。
私のデバイスは試作機だから練習してる他の人とは少し違っている。だからここでは調べずに研究所で調べて貰ってそのレポートを提出している。
「アリシア~」
私がメッセージに気づいたのとほぼ同時に声をかけられた。
屋内練習場の出入り口近くにヴィヴィオが居た。
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