「だぁあああああっ!!」
「ハアアアアッ!!」
2人がぶつかった衝撃波で砂が巻き起こる。
赤い光を見つけセイクリッドクラスターを放つ。しかしヴィータは最小限の動きでそれを避け、グラーフアイゼンを振り下ろす。
「後ろががら空きだーっ!」
しかし肉薄した所で急に止まり後ろに下がった。直後彼女がさっきまで居た所を砲撃魔法が掠める。
思わず舌打ちをする。単純な誘いには乗ってくれないらしい。
「その…まぁ…なんだ…私は相手が子供だろうが大人だろうか甘く見たり手加減するつもりはない。以上!」
「「「「「はいっ!!」」」」」」
「はい」
局員制服を着た男女が1列に並ぶ。その隅っこにStヒルデ学院の制服姿の少女が立っていた。
「え…試験官、ヴィータさんなの!?」
『なのは、ちょっといい?』
「ユーノ君、どうしたの?」
闇の書事件映像化の打ち合わせを終えてミッドチルダへ帰ろうとしていた時、なのはの端末にユーノが連絡してきた。
『うん…この前借りたレリック、そろそろ返さなきゃいけないんだけど…いいかな?』
「…まだ秘匿情報になってるものもあるからみんなには秘密な…」
そう前置きしてからはやては話し始めた。
「ヴィヴィオを私役に選んだ理由は…そやな…私と似てるからかな…」
はやては幼少期にある事故に巻き込まれ両親を失った。
その時彼女も巻き込まれていたのだが幸か不幸か既に闇の書の主として資質を持っていて彼女だけが生き残ってしまった。
「アリシアごきげんよう」
「ごきげんよう、リオ」
登校中のアリシアにリオが声をかけた。
リオと一緒に談笑しながら歩いていると何やら校門前が騒がしい。
「なんだろう?」
校門辺りに生徒が集まっている。
歩みを速めて集まっている中に入る。見ると1台の車が校門付近に停まっていた。
黒塗りで中が見えないようになっているから皆気になるのだろう。
『アハハハハハハっ、ヴィヴィオははやて役? 全然似てねぇじゃんか♪』
『まさかそんな話になっているとはな。』
「笑い話じゃないよっ!!」
ヴィヴィオがプレシアの研究施設で巡教中のイクスと通信を繋いだところ、近くにいたヴィータとシグナムが話に乗ってきた。ヴィータがモニタ向こうでお腹を抱えて笑っている。
「ヴィヴィオまたね~♪」
「アリシアもバイバ~イ♪」
「また明日」
「ごきげんよ~」
冷たかった風や日差しに温かさが含まれてきた季節、ヴィヴィオはアリシアと共に初等科3年生から4年生へ進級した。
神様への祈りが通じたのかクラス替えでは2人一緒のクラスになった。手を取り合ってヴィヴィオ達は喜んだ。
ある日八神はやてのもとに聖王教会の騎士カリムから1通のメールが届けられた。
イクスヴェリアが目覚めたというのだ。
休憩中にそのメールを読んだものだから驚きのあまりお茶を吹き出し、目の前にいた小さな司令補は全身にお茶を滴らせるという悲劇にみまわれた。
イクスヴェリア、古代―聖王統一戦争時代のガレア王。昨年起きたマリンガーデン大火災で発見された少女。彼女は不死を含め現在の技術ではなし得ない幾つかの能力を持っている。
長い眠りの中で予定のない目覚めをした彼女は体内の機能不全を起こしていて、今の技術力では治す事が出来ず次に目覚めるのは早くて百年か千年後と診断されていた。
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