「じゃあ再生するよ」
レヴィによって修復されたデータが大型モニタに映される。
レヴィがそう言って夜天の書から復元した映像データを再生しはじめた。側に2つのウィンドウが浮かんでいて本局の捜査本部と本局の何処かの部屋に集まったのかなのはとフェイト、アミタ、キリエが映っている。
『資源の枯渇と土壌の砂漠化、命の暮らす星としてはもう死にかけている惑星、それが私達の故郷エルトリア』
それはかつてエルトリアにあった惑星再生委員会の記録。
荒廃が進むエルトリアから離れ宇宙に逃げる人が居る中で惑星再生委員会はエルトリアの緑を蘇らせる為に日々研究を続けていた。その支援用ユニットとして作られたのが惑星再生用のテラフォーミングユニット『イリス』だった。
「よ~し、きたきた~♪ 直ってきた~♪」
「頑張って下さいね。」
「ファイトです~」
指揮船の中ではレヴィが修復を続けていた。紙片だった欠片は大きさを変え半ページを越える位まで修復されていた。
アリシアはずっと見ていたけれどヴィヴィオとの話が終わったシュテルやリインも興味を惹かれてかレヴィの隣に腰を下ろし見つめていた。
少し離れたところではディアーチェとはやて、そしてヴィヴィオが話している。
まだディアーチェの機嫌は直っていないみたいだけれど、更に追求されなくなったのでその辺はホッとしていた。
そんな時、レヴィがクンクンと鼻を鳴らす。
「これで…こうして…わかったっ!」
眉を寄せ唸っていたレヴィはそう言うと彼女の手に新たな魔方陣が浮かび上がる。
ユーリが渡そうとした夜天の書の紙片からデータを復元させよう試行錯誤していたのだ。
「へぇ~器用だね~。ベルカ式のデータをミッドチルダ式の魔法で修復するなんて…」
その様子をアリシアは隣で眺めていた。
夜天の書はベルカ式のストレージデバイスだから書かれている文字もベルカ式、しかも語彙も複雑で翻訳が難しい古代ベルカ式だ。
魔導書の紙片が普通かどうかわからないけれど、こういったデータ修復には同じ魔法体系ですることが多いから古代ベルカ式魔法を使おうとするのだけれど、レヴィが広げているのはミッドチルダ式魔方陣。
全く違う物を使って紙片の欠けた部分が少しずつ直っていく様子に驚かされていた。
指揮船でヴィヴィオとディアーチェ達の間で険悪な空気が流れていた頃、フェイトはなのはを連れて本局に来ていた。
嫌がるなのはを半ば無理矢理にでも診察して貰うのと自身も怪我をしていたから治療、そして…
なのはが治療を受けている間にマリエルからバルディッシュの能力を教わり、シャーリーからレイジングハートとなのはが行った強化プランについて聞いた。
彼女はアミタ達の世界の技術『フォーミュラー』を取り込んで強化したらしい。
『フェイトさん、すみません…私達が勝手に動いちゃって…』
「ううん、シャーリーを責めてるんじゃないよ。なのはのジャケットとデバイスについて教えて欲しかっただけだから、教えてくれてありがとう。」
「…ん……あれ?」
ヴィヴィオが瞼を開くと、そこは何処かの病室だった。管理局本局の感じは無い。身体を起こすと
「気がついた?」
近くに居たアリシアが振り向いた。
「アリシア、ここ…っ!?」
ここはどこ? 聞こうとした時、彼女の姿を見て驚いた。
「ああ、これ? はやてさんが持って来てくれたの。昔使ってたのだって、動かすの結構難しいね。撮影の時沢山練習したんでしょ~♪」
「ハァアアアアッ!」
ヴィヴィオは両手に魔力を集めてユーリに対して猛スピードで一気に詰めて拳を繰り出す。だが彼女はシールドで防いだ。
(滅茶苦茶固いっ! これじゃあ…っ!?)
瞬間背後に寒気を感じ振り向き様に回し蹴りを放つ。
その先では既にユーリが砲撃でヴィヴィオを狙っていた。放つ直前に足で弾いた事で射線がずれる。ユーリが放った砲撃は海面に突き刺さり水蒸気を伴った大爆発を起こす。
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