ヴィヴィオ達が砂漠世界で暫く待っていると離れた場所にベルカの魔方陣が現れリインフォース達が現れる。
ヴィヴィオが大きく手を振ると安心したらしくヴィータも大きく手を振り返したのが見えた。飛んできた5人は降り立つなりはやてに頭を下げる。
「ん? あれ誰か呼んだ?」
ミッドチルダ地上本部へ向かう最中、はやては誰かに呼ばれた気がした。
「ううん、私達何も言ってないよ。」
「ねぇ…はやて、連絡も無しにヴィヴィオの保護者って理由だけで行って会えるかな?」
「追い返され…ちゃうよね…」
「ここがミッドチルダか~、管理局を見たときはSFの世界やと思ったけど普通の街やな」
「そうですね。海鳴市とさほど変わってはいないですね」
闇の書の浸食による両足の治療と嘱託魔導師としての簡単な説明があった後、はやて達一同はレティに連れられてミッドチルダへと赴いていた。
「車を用意するからそこで待っていて」
そう言ってレティが外へ出て行く。
彼女が直接の上司になるらしい。フェイトの保護者、リンディとも旧知の仲らしいから色々察してくれているのだろう。
「はやて大変だっ!!」
ヴィヴィオ達が過去に行っていた頃、時空管理局ミッドチルダ地上本部の通路を走る影があった。
部屋の主、八神はやての執務室に駆け込んできたのはヴィータだった。
それも本局教導隊の制服のままで
「ヴィータそんなに慌てて、何かあったん?」
「大変なんだ、本当に大変なんだよっ!!」
相当慌てているらしく彼女は大変としか言わない。
『おはようございま~す』
「…ん…んん?」
『ヴィヴィオ、起きてますか?』
「リインさん?」
翌朝、突然念話で起こされてヴィヴィオは眠い目を擦って布団から起きる。
「ヴィヴィオ…さむい…」
「う~ん…」
(どうして私達はここにいるのでしょう?)
闇の書に異常があった時だけ呼び出される構造体プログラム。姿形を持たず心を殺し続けてきた筈なのに…
ベッドで横になりながら横を見ると妨げた少女が眠っている。あどけない寝顔を見つめどこにそんな力があったのか不思議に思う。反対側を振り向くと自身の基になった少女が身を寄せている。
忌み嫌われた存在だと思っていたのに何も言わずに迎え入れてくれたのが不思議でならない。
(この気持ちは…何なのでしょう?)
「チェント、何見てるの?」
テレビに釘付けになった星光・雷刃とチェントを何とか連れ出して服等身の回りの物を一通り買った後、色々見て回っているとチェントがふいに立ち止まる。
「チェント?」
何かを見つけたらしい。手を繋いでいたアリシアも一緒に立ち止まった。
「アリシア、どうしたの? …あっ」
「…ィオ」
「……」
「ヴィヴィオ?」
「………」
「ヴィヴィオってば!」
「あっ、ゴメン。考え事してた」
なのはが星光に雑誌でこの世界の物を色々見せているのを眺めつつ考え事をしていた。
「どうしたの?」
「うん…私、闇の書の復活させない為にここに来ただけだからもう帰らなくちゃって…」
「ヴィヴィオは管理局の魔導師ではないのですか?」
これは私、高町ヴィヴィオがアリサとすずかから聞いたお話です。
闇の欠片事件が始まる少し前の話、なのはがアリサとすずかにアリシア達を紹介しようと2人を家に招いた時の事・・・
「さっきオバケって言っちゃって思い出したんだけど、知ってる【誘う声】って?」
「マテリアルからの魔力反応が消えました。海鳴市上空の結界も全て消滅。もしかして事件解決?」
ヴィヴィオによって多重結界は破壊され、海鳴市上空で確認されていた結界消え、今はアースラが作った広域結界だけが残っている。
「そうね…まだ終わりじゃないけれど。アルカンシェル停止と本局に連絡を、使わずに済んで良かったわ…本当に。」
なのはやフェイトの目の前で友人を撃たずに済んだのも本当に良かった。椅子に腰を下ろす。
「ヴィヴィオちゃんとはやてちゃん、移動し始めました。これは臨海公園かな?」
「ヴィヴィオ、ヴィヴィオ…無茶しないでって言ったのに…おねがい、返事してよ…」
デバイスは沈黙を守ったまま。
もう何度呼び続けたかわからない。
項垂れるアリシア。
涙で濡れた瞼を開いた時、部屋中に蒼い光が広がっていた。
「…蒼い…光?…」
そしてそれはある1カ所から放たれているのに気付く。
「それ…何?」
「クロスファイアァアシュートッ!」
魔法弾を撃ち出しながら、集束させたクロスファイアシュートを紛れさせてフェイトそっくりのマテリアル-雷刃の襲撃者 と距離を取りつつ、なのはそっくりのマテリアル-星光の殲滅者 と距離をつめる。
(思った通り、なのは達と似た魔法を使ってる。でも…)
マテリアルが作った結界は神社周辺にしか作られていない。強度もわからないから下手に砲撃魔法を撃てないしここで戦えばどこかにいるはやてを怪我させてしまう。
「頼む、行かせてくれ。」
「ダメです。行かせません。」
「ですっ!!」
ヴィヴィオが八束神社へ向かっている頃、八神家では3人が対峙していた。
ヴィヴィオに転送されてきたリインフォースが再びはやてを助けに行こうと外に出ようとしたのだが、それを見てアリシアとリインが遮ったのだ。
力押しで動かれたらアリシアとリインでは止められない。でも2人は1歩も退く気は無いし彼女を1歩も外へ出すつもりはなかった。
「チェックも終了。はやてちゃん達も夕方の練習そろそろ練習終了かな。あれ、なんだろこれ?」
いつもの様にチェックを終えそろそろはやて達の午後練習が終わる頃だと通信を待っていた時、海鳴市のチェックをしていたエイミィが最初に気づいた。
海鳴市の一角に小さな結界があったのだ。
一体誰が? 最初はクロノかフェイトだと思ってハラオウン邸をモニタで見るが2人とも家にいるしデバイスは起動すらしていない。
なのはもヴィヴィオと一緒に家にいる。八神家の面々も自宅でそれぞれの時を過ごしているらしく八神家に反応が集まっていて、はやてとリインフォースは練習をしている。
『明日家に遊びに来ない? 2人とも絶対ビックリするよ~♪』
「なのはからのお誘いメール。すずかどうするの?」
なのはからメールを受け取ったアリサ・バニングスは同じメールを受けた月村すずかと電話で話していた。
『明日はお昼過ぎに練習終わるからその後行こうかなって。アリサちゃんは?』
「私? そうね~私もすずかに合わせるわ」
『私からなのはちゃんにメール送るね。なのはちゃんがビックリするような事って何かな?』
「今朝も何事もない平和な朝でした。と…」
時空管理局執務官補佐エイミィ・リミエッタはアースラのチェックをしながら結界展開の準備をしていた。
なのはとフェイト、はやてと守護騎士一同、1部隊の戦力リミットを軽く超える魔導師・騎士達にとってアースラのトレーニングルームは小さすぎるらしく、訓練用の結界を海鳴市上空か沿岸に張るのが日課になりつつあった。
翌朝、陽も昇りきらぬ内に起きたヴィヴィオはなのはと一緒に登山道付近の広場に来ていた。その場所はヴィヴィオも覚えがあった。
前にヴィヴィオが来たジュエルシード事件時に魔法の練習を一緒にしていた場所で、フェイトと戦った場所。
なのははあの時からずっと練習を続けている。
「なのは、今はどんな練習をしてるの?」
「朝は操作系、砲撃とか模擬戦すると疲れちゃうから。ヴィヴィオに言われた事ちゃんと守ってるよ」
ユーノが管理局に行ってからもその辺は心がけているらしい。ヴィヴィオも同じ様な練習をしていたから一緒に練習できると思い
「なるほどな~。時間移動出来る能力か、いいな~私も欲しい」
八神家のリビングで一息ついたヴィヴィオは隠すのを諦め、なのはやはやて達にここに来た理由を話した。
図書館前で気を失ったのフェイトはここまでリインフォースに抱えられ、今ははやてのベッドで眠っている。
「ざふぃーらおおきい、あったかーい、ふわふわ~♪」
「主はやて…」
「ザフィーラごめんやけどその子の相手暫く頼むな」
(私もザフィーラにはよく遊んで貰ったなー)
「っと…ここは? 寒っ!!」
ヴィヴィオ達が着いたのは町の大通りだった。
吹きすさぶ風がとても冷たく、側溝には雪と雪が溶けた水が凍っている。どこかで見た風景だけれど直ぐに思い出せない。
「ここ…どこだろう」
「わぁ…懐かしい。ここ海鳴だよ。駅の向こう側に翠屋があって、こっちにフェイトの居たマンションがあるの。」
数週間過ごしただけのヴィヴィオより数年間をここで過ごしたアリシアの方が海鳴市を知っている。
そう言われてみればすずかに案内して貰った時この道を通った気がする。だがアリシア以上に懐かしむ者がそこには居た。
「わぁ~海鳴ですか、懐かしいですね~♪」
「「!?」」
翌朝、起きたヴィヴィオは早速RHdに頼んではやてにメッセージを送った。程なくして彼女から返事が返ってくる。少し位なら時間が空けられるそうで放課後に行くと返信し登校した。
そして放課後・・・
「失礼します。ごきげんようはやてさん」
「ごきげんよう」
「久しぶりや、ヴィヴィオ、アリシアもごきげんよう。座って座って」