第4話 「旅人との再会」
- リリカルなのは AgainStory2 > 1章 私からの声
- by ima
- 2010.11.02 Tuesday 14:23
「っと…ここは? 寒っ!!」
ヴィヴィオ達が着いたのは町の大通りだった。
吹きすさぶ風がとても冷たく、側溝には雪と雪が溶けた水が凍っている。どこかで見た風景だけれど直ぐに思い出せない。
「ここ…どこだろう」
「わぁ…懐かしい。ここ海鳴だよ。駅の向こう側に翠屋があって、こっちにフェイトの居たマンションがあるの。」
数週間過ごしただけのヴィヴィオより数年間をここで過ごしたアリシアの方が海鳴市を知っている。
そう言われてみればすずかに案内して貰った時この道を通った気がする。だがアリシア以上に懐かしむ者がそこには居た。
「わぁ~海鳴ですか、懐かしいですね~♪」
「「!?」」
ヴィヴィオ達が着いたのは町の大通りだった。
吹きすさぶ風がとても冷たく、側溝には雪と雪が溶けた水が凍っている。どこかで見た風景だけれど直ぐに思い出せない。
「ここ…どこだろう」
「わぁ…懐かしい。ここ海鳴だよ。駅の向こう側に翠屋があって、こっちにフェイトの居たマンションがあるの。」
数週間過ごしただけのヴィヴィオより数年間をここで過ごしたアリシアの方が海鳴市を知っている。
そう言われてみればすずかに案内して貰った時この道を通った気がする。だがアリシア以上に懐かしむ者がそこには居た。
「わぁ~海鳴ですか、懐かしいですね~♪」
「「!?」」
慌てて声のした方を振り向くがそこには誰も居ない。
「ヴィヴィオちょっとごめんね。」
アリシアがヴィヴィオの髪をそっとあげるとそこには
「リインさん!」
「あ…見つかっちゃいました…」
リインフォースが髪に隠れていたのだ。
「ヴィヴィオ達がどこかへ行くって言ってたのを聞いてはやてちゃんに話したら…」
「隠れてついて行くようにと言われたんですね、はやてさんに」
「はいです…」
(はやてさん…リインをここに連れてくるなんて、どうすればいいのよっ!)
浮きながら正座するリインにヴィヴィオは額を押さえる。
リインフォースとアギト、2人の融合機。特にリインフォースは管理局製のユニゾンデバイスだからメンテナンス時に彼女の記憶は第3者の目に触れる。その時ヴィヴィオの時空転移能力を知られてはならないとはやてからも釘を刺されていたからだ。
彼女を連れて帰ってもう一度…というのも考えたけれど、転移の魔力消耗は激しいから往復は厳しいし再びここに来られるかはわからない。
(はやてさんも知ってるから、後でもなんとかなるか…)
そう考え直した。
「アリシア、いつ頃か判る?」
「う~んと…私のは…ここじゃわかんないか…そうだここならきっと。ちょっと待ってて」
デバイスを取り出してみたが判らないらしく、何かを思い出して駅の方へ走っていき、すぐに戻ってきた。
「私が来る前みたい。ミッドの時間で言えば…新暦65年の12月」
「闇の書事件の真っ最中!?」
12月と言えばまだ闇の書事件の真っ只中にあると思って驚くが
「ううん、クリスマスはもう過ぎてる。あと3日で年が変わる」
「そ、そうなんだ。」
前に来た私と会わなくて済んで良かったとホッと安堵する。
「ここ13年前ですか!?」
アリシアの言葉を聞いて今度はリインが素っ頓狂な声をあげた。
「リインさん、ここは過去の世界です。詳しくは話せないけどここで何かあれば私達の時間にも影響するんです。」
「まさか…そんな…ありえないです…」
「リインさん!!」
「はいっ、ヴィヴィオ。わかりました。」
少し不安は残るが、ヴィヴィオ自身かアリシアと一緒に動いていれば大丈夫だろう。
「闇の書事件…クリスマスから数日しか経ってないのに…復活って何があるんだろう?」
リインの様子も気になるけれど、それよりどうしてこの時間に飛んだのかが気になる。はやての話だと闇の書事件が解決した翌日、クリスマスにリインフォースは去っている。
「クシュン!」
「チェント寒いよね。ヴィヴィオどこかに入ろう。ここに居たら風邪ひいちゃう」
アリシアがチェントに自分のコートを着せながらそう言う。コートは私とアリシアの2着分しかない。何をするにしてもどこかで暖かくしないと風邪をひく。
「そうだね。翠屋に…って桃子さん達がいるからダメだし、なのはの家も…そうだ図書館、あこなら何か判るかも知れないし、暖かいよ。」
「私はなのはさんのお家とか翠屋を見てくるです。」
「えっ、でも」
「このサイズで空から行けば見つからないですよ。何か判れば連絡しますね」
そう言うとリインフォースは飛んで行ってしまった。
「…た、多分…大丈夫なんじゃない?」
「…うん…大丈夫…だよね?」
アリシアからの問いかけにはっきりとは答えられなかった。
「ここだと暖かいし静かにしていれば大丈夫♪」
「図書館ってヴィヴィオらしい。」
ヴィヴィオ達が来たのは少し歩いた所にある図書館へと来ていた。その時も中が暖かかったから今日みたいな寒い日は暖かいと考えた。しかし…
「あっフェイトちゃんと…ヴィヴィオちゃんや♪」
「「!?」」
「ヴィヴィオ…聖王の血族か?」
いきなり呼ばれてビクっと背筋を立てる。
(まさか…)
アリシアとそーっと振り向くとそこには車椅子に乗ったはやてとそれを押す。
「リインフォースさん!?」
そう、既に消えた筈のリインフォースがはやてと一緒に居たのだ。
『なのはそのままで聞いて』
『何、どうして念話?』
『今窓の外から私達を見てる人が居る。』
『そうなの?』
『振り向かないで、私が裏から出て回り込むからなのはは店の周りにバインド作って』
『うん。気をつけてね』
(リインさんに気をつけてって言って私がミスしてどうするのよ。私のバカーっ!)
普段から図書館に来る者をどうして思い出せなかったのか。前に来た時もはやてとは図書館で会っていたのだし、彼女の読書好きも知っていた。
ここに来れば彼女に会う可能性はあったのに。
「ふーん、フェイトちゃんとちゃうの。ホントそっくりやね。」
「そうなの。だから私達の事はフェイトとなのはさんには秘密に…ヴィヴィオも落ち込んでないで何か言ってよ。」
落ち込んでいるとアリシアから話を振られる。もう知られてしまったのだから仕方がない。頭を切り換えて
「えっと、はやて…とリインフォースさんでいいかな? どうしてここにリインフォースさんがいるの?」
ヴィヴィオを驚かせたのはリインフォースがここに居る事だった。彼女は闇の書が蘇らないようにと守護騎士達を切り離して消えた筈。でも目の前に彼女は居る。
「うん、私もそう思ってた。なのはちゃんとフェイトちゃん、シグナム達がリインフォースを送ろうとしてたから…」
「別れの魔法で消えると思っていた。だが、あの魔法は私…管制システムだけを残し消え去った。おかげで我が主との日々を送らせて貰っている。礼がまだだったな…ありがとう」
「本当や。ヴィヴィオちゃんありがとうな。私達を助けてくれて」
「えと、その…ううん。」
(何か変…はやてさんから聞いて私の見た闇の書事件とここの闇の書事件は…)
「ねえさま、のみもの~」
ずっと静かに会話を聞いていたチェントがアリシアに言った。
「あっ、ごめん。チェント喉渇いちゃったんだね。でも…」
「自動販売機ならそこにあるよ。リインフォース。私らの分も何か買ってきて」
「わかりました。」
「本当に過去なんですね~、なのはさんとフェイトさん小さくてかわいいです♪」
そっと翠屋の窓からなのは達を見ていたリインは感慨に浸っていた。その時
「私達に何か用?」
「!?」
見つかった! 慌てて上に逃げようとするが
「なのはっ!」
腰辺りに小さな輪が出来て縛られた。逃げる方向を先読みされてバインドが仕掛けられていた。
「捕まえた…ってお人形さん?」
驚くなのは
「リインは人形じゃないです!!」
「しゃべった!?」
更に驚くなのは。しかしフェイトは
「あなたは誰、私達を管理局の嘱託魔導師と知って狙っていたなら…」
「え~っと…その…ですね」
ヴィヴィオとアリシアの不安は見事に当たる事になる。
「…というのが私の知ってる闇の書事件や」
図書館の談話室に来たヴィヴィオ達はジュースを飲みながら闇の書事件の顛末について聞いていた。チェントはオレンジジュースを飲むのが初めてみたいで美味しそうに飲んでいる。
それを微笑ましく思いながらもはやてとリインフォースの方を向いて
「私が知ってるのとは少し違う。」
幾つか気になる。アルカンシェルが撃たれた所まではほとんど同じ、でもこの世界では欠片が落ちて来ずそのままはやては倒れてしまった点とその後リインフォースがヴィヴィオと会っていないと言う話。
彼女が最初にヴィヴィオを名前ではなく聖王の血族と言ったのも終わった後で彼女と私は会っていないかららしい。同じ様に見えて少し違う世界。
「これが異世界なの?」
「なんか言うた?」
「ううん、何でもない。何でもないから」
はやての問いかけに手を振って誤魔化していると、その時
『ヴィヴィオすみません。外に出てきてください』
リインが来たようだ。何だか元気がない…
「まさか…」
ペンダント越しに聞いたアリシアも少し引きつった笑みを浮かべていた。
「ハァ~…はやて、外に出ない?」
「良いけど何で?」
「出ればわかるから…」
ここまで知られてしまったら隠してもしょうがない。ヴィヴィオはあきらめてはやてにそうもちかけた。
「ヴィヴィオ…ごめんなさいです。捕まっちゃいました…」
図書館の外でリインは待っていた。ただし、フェイトの胸に抱かれて。
彼女が見に行くと言った時に止めておけば良かったと思いながらも、はやてに知られてしまったこっちも強くは言えず
「ううん、リインさん気にしなくていいです。」
「あっヴィヴィオ♪ いきなり居なくなっちゃうから心配したんだよ。」
「……」
「ごめん、なのは…あの後すぐに戻らなきゃいけなかったんだ。フェイトも久しぶり」
「…………」
なのはと彼女の隣に居るフェイトにも声をかける。しかし彼女の視線は固まったまま動かない
「フェイト?」
「フェイトちゃん?」
彼女の視線はチェントと手を繋いでいる少女に向かったまま固まっている。
「…わ…私? …じゃない…まさか…」
こうなるのはもう予想していた。アリシアと顔を見合わせ苦笑いをする。
「…ここじゃ初めましてかな、フェイト。私はアリシア、アリシア・テスタロッサ。」
「…………」
「……フェイト?」
「…フッ…」
「フェイトちゃん!!」
フェイトはそのまま気を失い、なのはに身を寄せる形で倒れてしまった。
「リインフォースさんフェイトをはやての家まで運んで貰えますか? 私、はやての車椅子を押しますから」
リインから連絡が来た時点でこうなると予想していた分、頭を抱え込まなくて良かったと思い直すことにした。
「どこのフェイトも気を失うんだ…私見たら。ちょっとショック」
ポツリと呟くアリシア。
心の中でちょっぴり彼女に同情した。
~~コメント~~
再び海鳴市にやってきたヴィヴィオ達、そこはリインフォースが消えずに残っている世界。
お察しの通りヴィヴィオ達がやってきたのは「リリカルなのはAs-THE BATTLE OF ACES」の世界です。
以前(AgainStory)でベルカ聖王が複製母体なヴィヴィオとイクス・リインフォース(リイン)を遠い昔から旅をしてきた者として【旅人】と例えていました。
今話はそんなヴィヴィオとリインフォースが会ったら? ヴィヴィオ達がどんな風に動いてくれるか楽しみだったりします。
「ヴィヴィオちょっとごめんね。」
アリシアがヴィヴィオの髪をそっとあげるとそこには
「リインさん!」
「あ…見つかっちゃいました…」
リインフォースが髪に隠れていたのだ。
「ヴィヴィオ達がどこかへ行くって言ってたのを聞いてはやてちゃんに話したら…」
「隠れてついて行くようにと言われたんですね、はやてさんに」
「はいです…」
(はやてさん…リインをここに連れてくるなんて、どうすればいいのよっ!)
浮きながら正座するリインにヴィヴィオは額を押さえる。
リインフォースとアギト、2人の融合機。特にリインフォースは管理局製のユニゾンデバイスだからメンテナンス時に彼女の記憶は第3者の目に触れる。その時ヴィヴィオの時空転移能力を知られてはならないとはやてからも釘を刺されていたからだ。
彼女を連れて帰ってもう一度…というのも考えたけれど、転移の魔力消耗は激しいから往復は厳しいし再びここに来られるかはわからない。
(はやてさんも知ってるから、後でもなんとかなるか…)
そう考え直した。
「アリシア、いつ頃か判る?」
「う~んと…私のは…ここじゃわかんないか…そうだここならきっと。ちょっと待ってて」
デバイスを取り出してみたが判らないらしく、何かを思い出して駅の方へ走っていき、すぐに戻ってきた。
「私が来る前みたい。ミッドの時間で言えば…新暦65年の12月」
「闇の書事件の真っ最中!?」
12月と言えばまだ闇の書事件の真っ只中にあると思って驚くが
「ううん、クリスマスはもう過ぎてる。あと3日で年が変わる」
「そ、そうなんだ。」
前に来た私と会わなくて済んで良かったとホッと安堵する。
「ここ13年前ですか!?」
アリシアの言葉を聞いて今度はリインが素っ頓狂な声をあげた。
「リインさん、ここは過去の世界です。詳しくは話せないけどここで何かあれば私達の時間にも影響するんです。」
「まさか…そんな…ありえないです…」
「リインさん!!」
「はいっ、ヴィヴィオ。わかりました。」
少し不安は残るが、ヴィヴィオ自身かアリシアと一緒に動いていれば大丈夫だろう。
「闇の書事件…クリスマスから数日しか経ってないのに…復活って何があるんだろう?」
リインの様子も気になるけれど、それよりどうしてこの時間に飛んだのかが気になる。はやての話だと闇の書事件が解決した翌日、クリスマスにリインフォースは去っている。
「クシュン!」
「チェント寒いよね。ヴィヴィオどこかに入ろう。ここに居たら風邪ひいちゃう」
アリシアがチェントに自分のコートを着せながらそう言う。コートは私とアリシアの2着分しかない。何をするにしてもどこかで暖かくしないと風邪をひく。
「そうだね。翠屋に…って桃子さん達がいるからダメだし、なのはの家も…そうだ図書館、あこなら何か判るかも知れないし、暖かいよ。」
「私はなのはさんのお家とか翠屋を見てくるです。」
「えっ、でも」
「このサイズで空から行けば見つからないですよ。何か判れば連絡しますね」
そう言うとリインフォースは飛んで行ってしまった。
「…た、多分…大丈夫なんじゃない?」
「…うん…大丈夫…だよね?」
アリシアからの問いかけにはっきりとは答えられなかった。
「ここだと暖かいし静かにしていれば大丈夫♪」
「図書館ってヴィヴィオらしい。」
ヴィヴィオ達が来たのは少し歩いた所にある図書館へと来ていた。その時も中が暖かかったから今日みたいな寒い日は暖かいと考えた。しかし…
「あっフェイトちゃんと…ヴィヴィオちゃんや♪」
「「!?」」
「ヴィヴィオ…聖王の血族か?」
いきなり呼ばれてビクっと背筋を立てる。
(まさか…)
アリシアとそーっと振り向くとそこには車椅子に乗ったはやてとそれを押す。
「リインフォースさん!?」
そう、既に消えた筈のリインフォースがはやてと一緒に居たのだ。
『なのはそのままで聞いて』
『何、どうして念話?』
『今窓の外から私達を見てる人が居る。』
『そうなの?』
『振り向かないで、私が裏から出て回り込むからなのはは店の周りにバインド作って』
『うん。気をつけてね』
(リインさんに気をつけてって言って私がミスしてどうするのよ。私のバカーっ!)
普段から図書館に来る者をどうして思い出せなかったのか。前に来た時もはやてとは図書館で会っていたのだし、彼女の読書好きも知っていた。
ここに来れば彼女に会う可能性はあったのに。
「ふーん、フェイトちゃんとちゃうの。ホントそっくりやね。」
「そうなの。だから私達の事はフェイトとなのはさんには秘密に…ヴィヴィオも落ち込んでないで何か言ってよ。」
落ち込んでいるとアリシアから話を振られる。もう知られてしまったのだから仕方がない。頭を切り換えて
「えっと、はやて…とリインフォースさんでいいかな? どうしてここにリインフォースさんがいるの?」
ヴィヴィオを驚かせたのはリインフォースがここに居る事だった。彼女は闇の書が蘇らないようにと守護騎士達を切り離して消えた筈。でも目の前に彼女は居る。
「うん、私もそう思ってた。なのはちゃんとフェイトちゃん、シグナム達がリインフォースを送ろうとしてたから…」
「別れの魔法で消えると思っていた。だが、あの魔法は私…管制システムだけを残し消え去った。おかげで我が主との日々を送らせて貰っている。礼がまだだったな…ありがとう」
「本当や。ヴィヴィオちゃんありがとうな。私達を助けてくれて」
「えと、その…ううん。」
(何か変…はやてさんから聞いて私の見た闇の書事件とここの闇の書事件は…)
「ねえさま、のみもの~」
ずっと静かに会話を聞いていたチェントがアリシアに言った。
「あっ、ごめん。チェント喉渇いちゃったんだね。でも…」
「自動販売機ならそこにあるよ。リインフォース。私らの分も何か買ってきて」
「わかりました。」
「本当に過去なんですね~、なのはさんとフェイトさん小さくてかわいいです♪」
そっと翠屋の窓からなのは達を見ていたリインは感慨に浸っていた。その時
「私達に何か用?」
「!?」
見つかった! 慌てて上に逃げようとするが
「なのはっ!」
腰辺りに小さな輪が出来て縛られた。逃げる方向を先読みされてバインドが仕掛けられていた。
「捕まえた…ってお人形さん?」
驚くなのは
「リインは人形じゃないです!!」
「しゃべった!?」
更に驚くなのは。しかしフェイトは
「あなたは誰、私達を管理局の嘱託魔導師と知って狙っていたなら…」
「え~っと…その…ですね」
ヴィヴィオとアリシアの不安は見事に当たる事になる。
「…というのが私の知ってる闇の書事件や」
図書館の談話室に来たヴィヴィオ達はジュースを飲みながら闇の書事件の顛末について聞いていた。チェントはオレンジジュースを飲むのが初めてみたいで美味しそうに飲んでいる。
それを微笑ましく思いながらもはやてとリインフォースの方を向いて
「私が知ってるのとは少し違う。」
幾つか気になる。アルカンシェルが撃たれた所まではほとんど同じ、でもこの世界では欠片が落ちて来ずそのままはやては倒れてしまった点とその後リインフォースがヴィヴィオと会っていないと言う話。
彼女が最初にヴィヴィオを名前ではなく聖王の血族と言ったのも終わった後で彼女と私は会っていないかららしい。同じ様に見えて少し違う世界。
「これが異世界なの?」
「なんか言うた?」
「ううん、何でもない。何でもないから」
はやての問いかけに手を振って誤魔化していると、その時
『ヴィヴィオすみません。外に出てきてください』
リインが来たようだ。何だか元気がない…
「まさか…」
ペンダント越しに聞いたアリシアも少し引きつった笑みを浮かべていた。
「ハァ~…はやて、外に出ない?」
「良いけど何で?」
「出ればわかるから…」
ここまで知られてしまったら隠してもしょうがない。ヴィヴィオはあきらめてはやてにそうもちかけた。
「ヴィヴィオ…ごめんなさいです。捕まっちゃいました…」
図書館の外でリインは待っていた。ただし、フェイトの胸に抱かれて。
彼女が見に行くと言った時に止めておけば良かったと思いながらも、はやてに知られてしまったこっちも強くは言えず
「ううん、リインさん気にしなくていいです。」
「あっヴィヴィオ♪ いきなり居なくなっちゃうから心配したんだよ。」
「……」
「ごめん、なのは…あの後すぐに戻らなきゃいけなかったんだ。フェイトも久しぶり」
「…………」
なのはと彼女の隣に居るフェイトにも声をかける。しかし彼女の視線は固まったまま動かない
「フェイト?」
「フェイトちゃん?」
彼女の視線はチェントと手を繋いでいる少女に向かったまま固まっている。
「…わ…私? …じゃない…まさか…」
こうなるのはもう予想していた。アリシアと顔を見合わせ苦笑いをする。
「…ここじゃ初めましてかな、フェイト。私はアリシア、アリシア・テスタロッサ。」
「…………」
「……フェイト?」
「…フッ…」
「フェイトちゃん!!」
フェイトはそのまま気を失い、なのはに身を寄せる形で倒れてしまった。
「リインフォースさんフェイトをはやての家まで運んで貰えますか? 私、はやての車椅子を押しますから」
リインから連絡が来た時点でこうなると予想していた分、頭を抱え込まなくて良かったと思い直すことにした。
「どこのフェイトも気を失うんだ…私見たら。ちょっとショック」
ポツリと呟くアリシア。
心の中でちょっぴり彼女に同情した。
~~コメント~~
再び海鳴市にやってきたヴィヴィオ達、そこはリインフォースが消えずに残っている世界。
お察しの通りヴィヴィオ達がやってきたのは「リリカルなのはAs-THE BATTLE OF ACES」の世界です。
以前(AgainStory)でベルカ聖王が複製母体なヴィヴィオとイクス・リインフォース(リイン)を遠い昔から旅をしてきた者として【旅人】と例えていました。
今話はそんなヴィヴィオとリインフォースが会ったら? ヴィヴィオ達がどんな風に動いてくれるか楽しみだったりします。
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