第11話 「舞い降りる光と闇」

「クロスファイアァアシュートッ!」

 魔法弾を撃ち出しながら、集束させたクロスファイアシュートを紛れさせてフェイトそっくりのマテリアル-雷刃の襲撃者 と距離を取りつつ、なのはそっくりのマテリアル-星光の殲滅者 と距離をつめる。

(思った通り、なのは達と似た魔法を使ってる。でも…)

 マテリアルが作った結界は神社周辺にしか作られていない。強度もわからないから下手に砲撃魔法を撃てないしここで戦えばどこかにいるはやてを怪我させてしまう。

『ヴィヴィオ、もうすぐ神社に着きます。アリシアから話は聞いています。はやてちゃんは任せて下さい。』
「リインさん!」

 リインが来てくれた。あとは3人の注意を引きつけてここから離れれば

『アースラ聞こえますか? 海に結界を作って。1番強いのを』

 望む未来を掴もうとすればこの時間は元居た時間と大きくずれて戻しようの無いところまで行ってしまう。でも、それが奇跡に繋がるなら…
 闇統にクロスファイアシュートを撃ちながらヴィヴィオは覚悟を決めて念話を送った。


『アースラ聞こえますか? 海に結界を作って。1番強いのを』
「ヴィヴィオちゃん、何を?」
『急いでっ、ここじゃみんなもはやても巻き込んじゃう』
「艦長!」

 雷刃の攻撃を避けながら念話を送るヴィヴィオを見るリンディ。何か考えがあるのだろう。

「広域多重結界の展開を許可します。」
「ヴィヴィオちゃん聞こえる? 海上に結界を作るから移動して」
『ありがとうございます、キャッ!』
「ヴィヴィオちゃん、大丈夫?」
『は、はい。海ですね、わかりました。』
 

 海に出なくちゃ。その為には…
 避けるだけでは3人を連れ出せない。誘導するにも気づかれてしまう…

(あれ? もしかして…)

 星光・雷刃・闇統の動きに違和感を持った。そして気づく。なのはとフェイト・はやてと同じ戦闘スタイル、だったら役割も。

「ハァアアアアッ!」
「何をっ!? 子がら…」
「逃げたっ!」

 3人の中で1番後ろにいた闇統の背後に回って、襟元をつかみ結界の外へと飛び出した。

「場所を変えるだけだから黙ってて」 

 もしヴィヴィオ達の動きを見た者がいたとすれば、山麓から飛び立った虹色の光が海へと吸い込まれる流れ星に見えただろう。

「ヴィヴィオちゃん、マテリアルの1人と結界展開エリアに入りました。追いかけてきた残りのマテリアルも続けてエリアに入りそうです。」
「エイミィ、4人が入り次第結界を展開。増援を送りたいところだけれど…時間がなさすぎるわ。本局からの応援は?」
「武装局員の応援要請はしていますが、招集中としか…早くても1時間以上かかるんじゃないかと」

 ヴィヴィオの動きを追いかけながらリンディとエイミィは呟く。
 ロストロギア関連の事件があった後は何かしらの事件があるのは通説に近いのに、ここまで事態が進むとは考えてもいなかった。
 第1級のロストロギア封印直後なのだから何かあると考えるべきだった。

「応援しか出来ないなんて本当情けない大人達ね…私達」

 考えの甘さ、アースラスタッフを含む管理局の体制、色々あるけれど今は自分の不甲斐なさが情けなく思えた。


「ヴィヴィオを助けに行く」
「ダメです、さっきも言った通りリインフォースさんが行ったら本当に闇の書は蘇ります。」

 マテリアルの3人が現れたのを見て出ようとするリインフォースをアリシアは止めていた。

「だがこのままではヴィヴィオが」

 リインフォースがそう言ったのとほぼ同時にヴィヴィオがマテリアルの1人を連れて結界を飛び出した。そして海上で彼女を放り投げる。同時にアースラから結界が張られる。

「ヴィヴィオは周りを気にしてました。でも気にしなくていい場所なら。」

 アリシアが言った直後、モニタにはヴィヴィオを中心に大きなベルカの魔方陣が広がった。 



「戦いの場を変えた位で形勢は変わりません」
「この程度の結界で僕達を捕まえたつもり?」
「ううん、私が周りに迷惑をかけない為に作っただけ。コピーでもマテリアルでもプログラムでも何でもいい。もう1度考えて、はやてや守護騎士、リインフォースと一緒に居る気はない?」
「子鴉っ、何度も言わせるな。闇の書復活の糧として取り込むっ」

 海に放り投げた闇統が飛び上がってくる。かなり怒っているらしい。デバイスを構えたのと同時に他の2人もデバイスを構えた。

「わかった…終わったらもう1度聞かせて貰う。行くよっRHd」
【AllRight Armored module Setup】

 RHdが答えた瞬間、結界を突き抜け海上に虹色の光柱が現れ、ヴィヴィオはその光に包まれた。


「虹の光…」
「あれは、ヴィヴィオ?」
「でけぇ…」

 残滓の作ったコピーと戦う最中、なのはとフェイト、ヴィータは光柱を目にする。


「抑えていたのね…やっぱり」

 結界を越えて空へと伸びる虹の橋。
 デバイスのコアになっている高エネルギー体を制御する為に入れた同じエネルギー体の結晶ジュエルシード。もしそれらが使用者と完全に同調し、双方をコントロールできるシステム…インテリジェントシステムが使用者と心を通わせていれば…
 結界維持出力の負荷と彼女の魔力値に反応して警報が鳴る中でリンディは感嘆の息をつく。


 同じくアースラから送られた映像を見つめるアリシアとリインフォース。チェントもモニタの映像に釘付けになっている。

「これが…聖王の力」
「ヴィヴィオ…綺麗…」

【騎士甲冑】を纏ったヴィヴィオは再び構える。
 マリエル技官が管制プログラムとの連結をし直してくれたらしい。メンテナンスから返ってきて初めて使う力だったけれど前みたいに戦意をかき立てられる様な事もなく心静かなままで居られる。それが心強い。

「私が勝ったらちゃんと話を聞いて貰うから…」

 そう言うとヴィヴィオは一気に星光との距離をつめた。



「ハァッハァッ…はやてちゃ~ん…どこですかぁ~?」

 ヴィヴィオがマテリアルを海上に連れ出してから少し経った時、リインは長い階段を駆け上がって八束神社の境内へとやってきた。結界は張られているがマテリアルはヴィヴィオが引き連れていってくれたおかげでここにはいない。

『祝福の風リインフォース。リイン、お前の中にあるものを見て欲しい。相談相手にもならないだろうが、先代からのアドバイスだと思ってくれ』
「そうです! 私のコアと同じ波長を探せば」

 彼女の持つデバイスの反応も無い中、リインフォースから言われた言葉を思い出して気がついた。
 リインフォースには無くてリインには有る物。それは主である八神はやてのリンカーコア。
 リインを作る上で彼女のリンカーコアの一部を分けて貰い、それが体内に入っている。時間は違ってもはやてなのは変わらない。

「コアの共鳴を辿っていけば…見つけました!!」

 走って社の奥を回ったところで空間をねじ曲げられた場所を見つける。すぐに結界解除を行うとはやてが姿を現した。

「はやてちゃん!!」

 息が聞こえる。意識を失っているだけらしい。

「はやてちゃん、目を覚まして下さいっ」
「…ん…う…うん…リイン?」

 彼女を揺らして叫ぶとはやてが目開けた。ホッと胸を撫でるが直後

「どうして邪魔するん?」

 背後に思念体のはやてが立っていたのだ。


 
 ここは?
 リインフォースと魔法の練習中に何か違和感を感じたのは覚えてる。
 ここはどこ?

「はやてちゃん、目を覚まして下さいっ」

 リインちゃんの声が聞こえる。はやてが目をあけるとリインと彼女の向こうにはやて自身がいた。ぼやけた頭が一気に目を覚ます。

「私? リイン何が起きてるん?」
「闇の書の残滓がみんなの思念体を作ってるんです。はやてちゃんを使って闇の書を復活させるつもりです。ここはリインが食い止めますから早く逃げてください。」
「酷いな、みんなずっと一緒の方がいいやろ? そこの私もそう思わへん?」
「違います。ずっと一緒に居たいからってみんなに迷惑かけちゃ駄目です。闇の書は蘇らせません」

 思念体の私とリインが激しく言い合っている。

「そうやな、一緒に居たいからってみんなに迷惑かけたらアカンな。私もリインと一緒や。悪いけど闇の書は2度と作らせん。絶対に!」

 2度と家の子達があんな目に遭わせたくない。だから

「闇の書の復活…止めさせて貰う。」

 起きあがり思念体の自身に向けてシュベルトクロイツを構えた。



「はやてちゃん救出成功。みんな、あとは思念体を消せば事件解決」

 エイミィが全員に連絡を入れる。
 当初は彼女を助ける為にいち早く動こうとしていたが、クロノの助言により相手の目を誤魔化す為にリインが助けるまで時間稼ぎをしていた。連絡をうけた全員の動きが一気に変わって攻勢にでる。

「形勢逆転ね。クロノ、なのはさん、フェイトさんヴィヴィオさんが闇の書のマテリアル三人を相手にしているの。はやてさんのサポートもお願い。出来るだけ急いで。」
「「「了解」」」

 事態は終息に向かっている。



(リインフォースがいたら…ううん、いつまでもあの子頼ってられへん!)

 思念体のはやて自身を目の前に、シュベルトクロイツを構えたままではやては必死に考えていた。
 魔力はあってもまだそれを使いこなせていない。闇の書事件でもリインフォースが一緒だったからなのは達と同等の力が引き出せたのだ。

(多分思念体の私はあの時の力を持ってる…どうしよう…)
 一瞬逃げるという方法も浮かぶがすぐさま打ち消す。
『はやてちゃん、リインフォースから継いだ魔導を信じてください。』
「リイン?」

 その時横にいたリインが手を握り念話を送ってきた。

『いくですよ、ユニゾンインっ!!』

 カッと光ると暖かい光が体に流れ込んでくる。そして何かの意識も…


「はじめまして。あなたの名前はリイン、祝福の風リインフォースⅡや。リイン、これからよろしくな」
(これ私か? …リイン…そうか…そういう事なんか…)

 少しだけ大きくなったはやて自身の姿を見て理解する。
 リインフォースと彼女が似すぎていて気になっていた。そして彼女がリインという名前しか教えてくれなかった理由も…
 リインを作ったのは未来のはやて。そして彼女が未来に居るということは…

(リインフォース…そうなんやね…)
【はやてちゃん、私が全力でサポートします。だから思念体なんてサクッと倒しちゃいましょう】

 体の中から声が聞こえる。リインフォースとは違うけれど暖かい光は同じ

「行こか、祝福の風リインフォース」
【!? は、はいです!!】

 人1倍元気に答えたリインの声を聞いてはやては未来を受け入れようと決めた。



「はやてちゃん、思念体と戦闘開始。って合体!?」

 はやてを探しに来た少女が吸い込まれるようにはやてと重なった後、髪の色が変わった彼女を見てエイミィが驚く。

「ユニゾンシステム…融合機だったのね、彼女」

呟くリンディ。ヴィヴィオのRHd同様に融合して魔力管制と補助を行うデバイス。

(彼女はきっと未来のはやてさんのデバイス…)

 ふわふわ飛んでいた訓練時とは違う動きを見ながら

「エイミィ、はやてさんを上空へ誘導しながら結界を展開。あと戦闘時の魔力値を計測。きっと彼女のデバイス製作に役立つはずよ」
「あっ! 了解です」

 リンディには彼女の主、未来のはやてがどうしてここへ来るようにしたのかが判った気がした。



「はやては助けたっ、もう闇の書は生まれない。だからっ!」
「戦いの中でもまだ否定するのですね」

 叫ぶヴィヴィオに星光からシューターが連続して撃ち出される。かわしながらも数発をはじき返す。

「ヤァアアアアッ!!」

 振り下ろされた刃をかわし背後から砲撃を撃とうとするがシューターが視界に入り距離を取る。

(1人ずつ相手に出来ればいいんだけど、ここまで連携取られちゃ…どうすればいい?)

 彼女達の動きは目で追える。なのはとフェイトはともかく、はやてが気になる。彼女も魔法の練習を始めたばかりだし、彼女をコピーした思念体が出てきている筈。リインフォース同様、防衛プログラム戦時からコピーを作られていたら、はやてが危ない。

(一気に勝負を決める?)

 マテリアル3人が連携しているのとなのは達の能力をコピーしているのを知ってる。でも相手は私の能力を少なくとも闇の書事件までしか知らない。

「だったら…一気に勝負をつける、ファイアッ!」

 距離を取って魔力弾を作り出しマテリアル達にめがけて放つ。

 次々と避けられていく。それも予想済みで数を増やし3人へと撃ち出す。

「ブレイクッ」

 放った魔力弾を一気に爆発させた。

「!?」

 周囲に魔力の欠片を散らばらせ姿を隠す時間を作る。全てはこの為の布石。そして…

「スターライトっブレイカァアアアッ!」

 魔力ダメージで全員をノックダウンさせる。そのつもりで撃ち出した。

だが…

「ルシフェリオン、ブレイカァアッ!」
「雷刃滅殺、極光斬!!」

 読まれてた。星光と集束砲と雷刃の砲撃魔法でスターライトブレイカーがかき消される。

「うそ、バインド!?」

 直後背後に気配を感じて振り向こうとするが拘束魔法で動きを封じられる。

「闇の書の糧になれ、塵芥。うぬの思念体と一緒にな」
「ごめ…」

 バインドで捕らえられ闇統の声を聞いてヴィヴィオそのまま意識を失った。



「ヴィヴィオちゃん、マテリアルに取り込まれました。バイタルは健在、フェイトちゃんが闇の書に捕まった時と同じです」

 モニタリングしていたエイミィが周囲をサーチする。
 子供の幼さが出た瞬間だった。周りに気を取られすぎて決着を焦りすぎた。唇をかみしめながらアースラで何か出来る事はないかを必死に考える。



「……ウソ…だよね…ヴィヴィオっ、ヴィヴィオってば!! 返事してよ」
『……』

 デバイスに向かって叫ぶがデバイスは沈黙を守っている。
ペタンとその場にへたりこむアリシア

「すまない後を頼む。私が助ける」

 呆然としたままの彼女にリインフォースが告げるとそのまま出て行った。

「ウソ…だよね?」



「リイン急ぐよっ、わっ!!」

 リインとのユニゾンのおかげで自身の思念体を消したはやてはヴィヴィオの後を追っていた。
その時向かう先で強い輝きと風が襲い来る。バランスを崩すが海面に落ちる前に持ち直す。

「何や今の」
【ヴィヴィオが結界の中で戦ってるんです。はやてちゃん急ぎましょう】
「そ、そうやな」

  
「ここは…私…負けちゃったんだ」

 リインフォースと戦った時取り込まれた感じに似ている。
 そのまま取り込まれてしまったのだろう。体が酷く重いし力が入らない。
 騎士甲冑とバリアジャケットも解除されてるからリンカーコアから魔力を取られてしまったのだろう。聖王の鎧だけが真っ暗な空間で弱く虹色の光を放っている。

「なのはのコピーなら集束砲が使えるのも、フェイトのコピーなら砲撃できるのも知ってたのに…」

 焦りすぎて足をすくわれてしまった。聖王の力とか自分の力に過信しすぎていた。

「アリシア心配してるよね…ゴメン…」



「ヴィヴィオちゃんはどこやっ!」
「今度は残り滓の主か、まぁいい用があったところだ」
「新たな闇の書としてその力、管制システムとして使わせて貰います」
「もう一回聞く、ヴィヴィオちゃんをどこへやった!!」

 結界の中に入ったはやてはなのはと自身に似た2人を見つける。

「闇の書を戻す為に取り込ませて貰いました。」
「闇の書の餌だ。管制システムになれば会える」
「…」

 愕然となる。闇の書の蘇らせない為に来たのに…

「私…私のせいか?」
【はやてちゃん…】
「私がみんなに迷惑かけてるんか?」

 みんなと笑って暮らしたいだけ、それなのに居たら誰かに迷惑をかけてしまう。

「私がここに居たら皆が迷惑なんか?」
【何です? この黒い感じは…まさか…はやてちゃん!!】

 私が居なければなのはちゃんにもフェイトちゃんにも迷惑かけずに済んだ。

「グレアムおじさんも私が居なければ辞めず済んだ…」
【はやてちゃん聞いてはダメですっこのままじゃ…キャッ】

はやてを中心に黒いベルカの魔方陣が広がっていく。

「そうさ、全部お前が悪いんだ。」

 現れたフェイトに似た少女の言葉が心に突き刺さった。

「うわぁあああああああああっ!!」



「結界内から高魔力反応。闇の書!?」

 アースラで捕捉した魔力反応は闇の書と同一のもの。驚くエイミィを置いてリンディはクロノを呼び出す。

「クロノっ!」
『確認しました。これより…闇の書を…排除に向かいます』

 クロノも気づいている。今の状況で闇の書を封印するということは、純粋な魔力は氷結できないのだから残された方法は一つしかない。即ち、主の排除

「…お願い。闇の書を中心に広範囲結界を展開、海上を封鎖して。なのはさんとフェイトさんにはアースラに戻る様に連絡して」
「りょ、了解」

 2人には見せたくない。その思いからリンディは命令を出す。
 モニタ向こうでは全員思念体が消えたらしいが、エイミィの言葉に誰もが信じられないといった風に立ち上った黒い柱を見つめている。



「アースラに戻れって、あれはやてちゃんですよね?」
『そうなんだけど、クロノ君に何か作戦があるみたい。急いでアースラに戻って』
「作戦って?」
『うん、こっちに来てから説明するから、お願いねっ』
「えっ、エイミィさん?」

 それだけ言うとエイミィからの通信が切れてしまった。
 突然思念体が消えてどうしようかと考えているとエイミィからの通信があった。一方的にアースラに戻れと言われて腑に落ちないなのは。そこに

『なのは聞こえる?』
「フェイトちゃん、フェイトちゃんにも連絡あったんだ。アースラに戻れって」
『私も聞いた。もし…もしね、あれがヴィヴィオが言っていた闇の書だったら…』

 どういう意味なのだろう。

『闇の書は純粋な魔力を持ってるから氷結出来ないってシャマルが言ってた。もしここで闇の書が蘇ったらここで出来るのは…はやてを闇の書ごと…』
「まさか…」

 闇の書防衛プログラムを消滅させる為、アースラはアルカンシェルを使った。今度は…

「フェイトちゃん、行こう! はやてちゃんの所に」
『うん!』

 何が出来るかわからない。でも行けば友達を助ける力くらいにはなるし何よりも見ているのに見ないふりだけはしたくない。
 桜色の翼を大きく羽ばたかせなのはは海上に出来た闇へと向かった。


「こういう時は勘が良いんだからっ。なのはちゃん、フェイトちゃん? あーもうっ! 2人とも通信を切っちゃってる。」

 帰ってきたらアースラの中で暫く居て貰うつもりだったのに。気づいた2人は戻るつもりがない。
 現にアースラからの通信を2人とも切っている。

「艦長っ!」

 指示を仰ごうとリンディを見る。彼女はため息をついて

「仕方がないわね…アレックス、アルカンシェルへエネルギー充填を。」

 困ったものだ思いながらも、2人の気持ちはわかる、だからなのはもフェイトも責めるられなかった。最悪の場合全員を無理矢理転送してでも撃たなければならない。



「あの黒いの…あれ…闇の書?」

 歪な何かが広がっていくのをヴィヴィオは感じていた。
そして

「……ヴィヴィオ…お願い、答えて」

 何度も呼びかけ続けるアリシア。
 頬を涙で濡らした彼女をジッと見つめる少女の小さな手にペンダントがギュッと握られていた。

~コメント~
 高町ヴィヴィオがもしリリカルなのはTheBattleOfAcesの世界にやってきたら?
 焦りから生まれるミスというのは誰にでもあります。話中の闇の欠片事件で事態を1番把握しているのはヴィヴィオです。
 集束砲の打ち合いとか見てみたい気もしますが周りに居るとだと巻き込まれそうですね。

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