番外編 「海鳴市幽霊忌憚」

これは私、高町ヴィヴィオがアリサとすずかから聞いたお話です。

闇の欠片事件が始まる少し前の話、なのはがアリサとすずかにアリシア達を紹介しようと2人を家に招いた時の事・・・

「さっきオバケって言っちゃって思い出したんだけど、知ってる【誘う声】って?」
 アリサがテレビを見ながら聞いた。テレビにはヴィヴィオとアリシアが操作しているゲームのキャラが縦横無尽に飛び回っている。

「【誘う声】?」
「ううん、知らない・・・」

 なのはとフェイトは互いに顔を見合わせて答える。その横ですずかが
「私知ってる。夏頃に凄く広まってたよね【誘う声】」
「すずかは知ってるんだ。なのははハーメルンの笛吹き男って知ってる?」
「名前は知ってるけど、昔のお話だよね」


「外国の童話よ。昔、街を荒らすネズミに困った住民のところにネズミ捕りの男がきたの。住民はその人にお金を払う代わりにネズミを駆除して欲しいってお願いすると、彼は引き受けて笛を取り出して吹くと街中のネズミが集まってきて次々と川に飛び込んでいって全部駆除するの。でも、後で街の人は約束を破って彼にお金を払わなかった。」
「だましたの?」
「うん、その時彼は街を去ったんだけど暫くして街に戻ってきてまた笛を吹くの。すると今度は街の子供が全員集まってきて笛吹きの男と一緒にどこかに消えちゃって2度と戻ってこなかった・・・そんな話」
「・・・仕返しをしたんだね・・・」

 無限書庫にも管理世界・管理外世界問わず伝承・伝記としてその類の話はある。ここでもそういう伝承を使って子供に悪いことをしてはいけないと教えるらしい。 
その辺はどの世界でも似たり寄ったりだ。

「約束は守ろうって言う教訓ね。それでね、海鳴にも笛吹き男が出たんだって」
「誰か消えちゃったの!?」


「あ~負けちゃった、アリシア強い。」

 こっちで暫く暮らしていたアリシアはこのゲームで昔遊んだことがあるらしい。コントローラを置いてアリサの話に加わる。

「アリシアは知ってる?【誘う声】の話」
「う~ん・・・覚えてない。もう忘れられちゃったんじゃないかな?」

 アリシアが海鳴で暮らすのは数年先の未来だし、昔はやった話程度で彼女が来た時にはもう廃れてしまっていたのかなと勝手に解釈する。

「やっぱり連れ去った人も笛を吹いていたの?」
「ううん、夜になると『助けて・・・』とか『誰か・・・』っていう声が聞こえるんだって。周りには誰も居ないのに何度も呼ばれるの。だから【誘う声】って言われてるみたい。」
「・・・え?」
「・・・・・・」

 どこかで聞いたことがある呼ばれ方、まさか…
 なのはもそれに気づいたらしく何て言えば良いか困っている。 

「そう、それでその声を聞いた子が気になって声のする方へ言ってみると・・・パッと光って女の子が消えたんだって。」

 それって…フェイトの方を向くと顔が引きつっていた。

「・・・・・・・・・」

「ほら少し前に地震で動物病院とか臨海公園がメチャクチャになってニュースになったじゃない。そこでも男の子と女の子が消えたって。その子がお母さんを連れてきたけどそこにはもう誰もいなかったんだって・・・でも、誰かが連れ去られたって話しならもっと大騒ぎになってるけど、幽霊とかお化けを見たんじゃって」
「そうそう、どうしたの? なのはもフェイト固まっちゃって?」
「ヴィヴィオちゃん、怖かった?」
「う、うん・・・怖いよね。本当に、ねっなのは、フェイト」

 違う意味で怖いと思う。本当に

「う、うん・・・本当に幽霊とかお化けだったらビックリだよね、フェイトちゃん」
「そ、そうだね。本当に」

 焦る私達の前でアリシアだけがそういう事かと笑いそうになるのを我慢していた。



 これは私、高町ヴィヴィオがアリサとすずかから聞いたお話です。
 聞こえてないように思えて実は何人もが聞いていたり、見られてないと思えていても誰かに見られている。
 魔法は正しく使いましょうという教訓。


「クシュン」
「風邪ですか?」
「ううん、誰か噂話でもしてるんやろ。練習続けよか」
「わかりました。それでは・・・」

 意外と近くに噂の発生源がいたりするのだが、ヴィヴィオ達は知る由も無かった。


~~コメント~~
 番外編というか「ヴィヴィオの日記帳」みたいな短編でした。
 1番怖いのは誰かが見てるですよね。ほら、貴方の後ろにもきっと・・・


★拍手レスです。
>初めまして。最近こちらのサイトのSSを読ませていただいています。
ありがとうございます。拙いSSですが楽しんで頂けると嬉しいです。

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