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拝啓 機動六課の皆様
お元気でしょうか?こちらはキャリア共々平和な毎日を過ごしております。
キャリアはそちらに居た時間がとても充実していたらしく、今でも毎日の様にそちらで過ごした時の事を教えてくれます。
そして、もう1人の娘、キャロもキャリアと一緒の生活に慣れてきたようで、今日も2人で私を時々困らせて楽しんでいたりと娘の元気になった姿を見て嬉しく思います。
機動六課については1年間の試験運用部隊だとクロノ・ハラオウン提督より伺っております。運用期間が終わりましたら是非一度お越し下さい。
それでは皆様の御活躍を期待しております。
トーリア・ドライエ
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「ユーノ司書長、ミッド機動六課より連絡が入っています」
「繋いで下さい」
ユーノは連絡が来るのを予期しており、静かに答えた。
『ユーノ君!キャリアの事なんやけど、あのなっ!!』
「魔法素子の急激な減少と・・・フェイト、エリオのリンカーコアの吸収」
慌てふためいたはやての声がユーノの一言で黙ってしまう。
「ユーノ司書長・トーリア博士、スプールス地上本部とミッドチルダ行政府からデータの受信要請が届いています。」
「僕に?」
首を傾げて隣のトーリアを見るユーノ。トーリアも知らないらしく
首を横に振っている。
受信要請を受けるという事はデータを送付した者から送付先の者まで機密扱いのデータが含まれ、高度なセキュリティが施されているのを意味する。
(・・・なんだろう・・・この感じ?)
八神家に来てからキャリアは胸の中で何か違和感の様なモノを感じていた。
何か胸が熱くなって急にエリオと会いたくなるような変な感じ
だが、前の体が重くなる様な感じでもなく意識をすると何も無かった風に消えてしまう。
はやて達に気遣わせるのも躊躇われ、気のせいで片付けてしまった。
「おはようございます。はやてさん、キャリア」
「おはようございます。」
朝練が終わり汗を流したエリオとキャロが朝食を取りに来た時、先客のはやてとキャリアを見つけた。何か楽しそうに話をしている。
「おはよう、朝練お疲れさん」
「おはよう。エリオ、キャロ。今ねスプールスの話をしてたんだ♪」
「スプールス?」
「ホントっ!」
「今日も遅くなっちゃった・・・」
捜査会議を終えフェイトが機動六課に戻ってきた時、日も暮れていた。
今日はエリオとキャロ・キャリアを本局に向かわせるという話を今朝はやてより聞いていて、エリオの事も心配だけれどレリック捜査の方も置いておくわけにはいかず、後の事をはやてやシグナムに頼んで後ろ髪ひかれる思いで捜査に向かっていたのである。
時計を見るともうすぐ日が変わる・・・エリオと話をしたかったがもう眠っているだろう。
部屋に戻る前にフェイトはちょっとだけ寄り道をする事にした。
時空管理局医療班、本部と支部を間違えない為に「医務局」と呼ぶ者もいる。時空の狭間に作られた建物の中には管理世界の高度が魔法技術があらゆる場所で使われている。
それは中にある医療班も同様で、他管理世界より高度な医療技術が集中していた。
「やっと着いた・・・」
『キャロ!キャロっ!』
夜中キャロが眠っていると突然エリオからの念話が届いた。
『~ん~どうしたの・・エリオ君』
意識だけ起こして聞いてみる。
だがエリオからの念話は『キャロっ!!』と言った後、バッタリと聞こえなくなってしまった。
「エリオ君!?」
フェイト達に注意を受けた後、キャリアが途中で飛び出して行ったのが気になっていたエリオは部屋に急いだ。
部屋に入ろうとした瞬間キャリアとすれ違う。彼女の瞳は涙が滲んでいた。
「キャリア」
呼び止める。しかしエリオの声が聞こえなかったのか無視したのか、どちらなのか判らなかったがキャリアはそのまま走り去ってしまった。
「キャロ!」
一体部屋の中で何かあったのか?部屋に戻るとそこにはベッドの上で頭から半分シーツをかぶったままのキャロが呆然としている。
「どうしたの、キャロ?ねぇ?」
「エ・エリオ君・・」
近寄ったエリオの姿が視界に入った時、袖をギュッと掴んだまま泣き始めた。何がどうしたのか、その時エリオにはさっぱり判らずただ狼狽えるだけしか出来なかった。
『八神部隊長、本局無限書庫ユーノ司書長より連絡が入っています。』
「了解~、よっと」
昼に凄まじい料理を食べさせられたのが災いしてか、八神はやては半分グロッキー状態だった。
食べ物に好き嫌いはない方だが、食べ物と思っていない物を食べるのとは話が違う。まだ何かお腹の中に居るような気がして気持ち悪かった。
「さぁ~お昼お昼♪、何食べようかな~♪」
「午後からも訓練あるんだから食べ過ぎないでよ、スバル」
「大丈夫だって、ちょっとくらい。」
慣れない事務仕事を終え、昼食を取りに来たスバルとティアナは部屋に入るなり同時に立ち止まった。
目の前には異様な光景が広がっていたからである。
「だめだよ~ヴィヴィオ、ちゃんとピーマン食べないと」
「好き嫌いはダメなんだよ。がんばれヴィヴィオ」
「う・・ん・・パクッ」
「頑張ったね~偉いよ」
和気藹々の仲睦まじいなのはとフェイト・ヴィヴィオのテーブルと
ある日、八神はやてはリインと一緒に昼食を取りに来た時、先に食べているシャーリーとバッタリと出会った。
「お疲れ様です。八神部隊長」
「おつかれさん~シャーリー隣いい?」
「はい」
3人が仕事の話や雑談をしながら話している時、シャーリーからある事を聞く。
「部隊長、キャロとえ~っと六課で預かってる女の子・・何て言ったかな?」
「キャリアの事?」
「う~ん」
ある朝、訓練準備の当番に当たっていたエリオとティアナが時間を気にしながら隊舎の方を見つめていた。そんな時、スバルが隊舎から走ってくるのが見えた。
「おはよ~ティア、エリオ・・・どうしたの?」
「スバルさん、キャロ見かけませんでした」
「ん~ん、見てないけど・・一緒じゃないの?」
「エ~リ~オ~く~ん♪」
ある日朝練が終わり宿舎に戻ろうとしていた時、エリオは突然呼び止められて振り返った。しかし、誰も居らず周りをキョロキョロと見ていると
「こっちこっち、上みて~」
再び聞こえた声の通り上を向くと少女が手を振っていた。確かトーリア博士の娘でキャリアと言っただろうか・・ペコリと頭を下げるとキャリアは思いがけない行動に出た。
「今行くからそこで待ってて~っ!」
と言って窓からヒョイと飛び出したのだ。
「う・・・ん・・・」
キャロは少し瞼を重く感じながらも開けてみると、そこは見知った天井が見えた。
「あ・・れ??ここは??」
「大丈夫?キャロ」
声の方から気持ちの良い風が流れてきている。確かなのは達の世界で見た「団扇」だったとふと思い出す。
記憶も戻って、みんなに秘密で「同化」したキャロ。
彼女のおかげで全員無事に事件は終わったのだけど・・・・
実はキャロとエリオを悩ませる問題が既に起きていたのだった。
「今日はこの辺で置いといて、また明日な~!」
「「「了解」」」
部隊長である八神はやての声と共に集まっていた六課のメンバーが別れていった。それは事件の翌日の話。ガジェット・ドローンが隊舎や宿舎に侵入したことで、通路や外壁それに周辺は文字通りの「荒れ地」になっていた。
はやては管制室やデバイスルーム・スタッフルームなどの六課の主要機能に被害が無かった事から
「それじゃ全員で大掃除しよか!」
キャロSS「守りたいものはありますか?」はひとまずこれで終了です。この中でオリジナルキャラが2人出演しています。その中から簡単なプロットを紹介します。
又、今書き始めているアフターストーリーの方の立ち位置も少しですが掲載します。
ガジェット・ドローンの同時発生と機動六課への襲撃事件は大きな被害が出ずに治まりを見せた。
中にはヴィータが楽しみに取っていたアイスを冷蔵庫ごと吹き飛ばされ暴れかけた等の小さい事件や事後処理はいくつか残っていたが、六課の中も徐々に落ち着きを取り戻していた。
そんな中、キャロやフェイトやなのは・はやては隊舎の前である人物を待っていた
私は独りぼっちだった。みんなと一緒に暮らしたかったのに、みんな私の力を怖がった。
こんな力欲しくなかった。怖がらせようと思ったことも一度も無かった。それでも私は独りぼっちになった。
そんな私にお母さんみたいな暖かい人が私に声をかけてくれた。
私はその人に「何をするか」じゃなくて「何をしたいか」といわれた。私はその人を手伝いたいと思った。
一緒に居る時に同じくらいの男の子と出会った。凄く真面目で頑張り屋でとっても優しい人。私はその男の子と一緒に居ることが嬉しかった。男の子も凄く喜んでくれた。
でも、知らない私と一緒にいるその人達は凄く嬉しそうだった。男の子もそうだった。
その時はっきりとわかった。
私はやっぱり要らない子なんだって
もうどうなってもいい・・・・
もうどうなっても・・・
でも・・・・
【ヴゥーヴゥー】
エリオの暖かみで気持ち良く眠っていたキャロの耳に慌ただしいアラームが鳴り響いた。
「えっ?何?どうしたの?」
驚いて飛び起きるキャロとエリオ
【緊急出動要請。フォワード隊、その他関係局員は緊急体制シフトAが発令。繰り返します緊急・・・】