02話 「相部屋 後編」
- キャロSS 守りたいものはありますか? > サブストーリー
- by ima
- 2008.01.29 Tuesday 18:16
「う・・・ん・・・」
キャロは少し瞼を重く感じながらも開けてみると、そこは見知った天井が見えた。
「あ・・れ??ここは??」
「大丈夫?キャロ」
声の方から気持ちの良い風が流れてきている。確かなのは達の世界で見た「団扇」だったとふと思い出す。
キャロは少し瞼を重く感じながらも開けてみると、そこは見知った天井が見えた。
「あ・・れ??ここは??」
「大丈夫?キャロ」
声の方から気持ちの良い風が流れてきている。確かなのは達の世界で見た「団扇」だったとふと思い出す。
「大丈夫?キャロ?」
心配そうにエリオが見つめている。少し嬉しく感じながらも重く感じる体を起こした。
「うん、あれ?私・・・お風呂に・・・服・・・」
確か風呂に入ってそろそろ出ようと立ち上がったところ迄は覚えていたが、それ以降の記憶が全く無い。しかも、ベッドに横になって部屋着まで着ている。
「エリオ君が運んでくれたんだ・・・ありがとう。私・・お風呂で・・・」
まだ少しだけ頭が熱い。普段であればどんな姿で見つかって居たのか聞いて、恥ずかしさの余りに暫くエリオと顔を会わせられないのだが、【今】はそれに気付かなかった。
しかし、エリオは慌てた感じでフォローする。
「えっ・・と、心配になって浴室を見たらキャロが湯船に浮かんでて・・それで慌てて湯船から出して寝かせてからフェイトさんに・・」
「フェイトさんが?」
「そ・・っそう!フェイトさんが服を着せてここまで運んで・・後で医務室に行きなさい・・って」
「そうなんだ・・・迷惑かけちゃった・・・」
「う・・ううん、キャロが大・丈夫なら!うん!」
エリオと少し話をしていると少しずつ頭がスッキリしてくる。
キャロはエリオの言葉に違和感を感じた
『何だか戸惑ってるみたい・・・それに私の顔見てくれない・・』
(大丈夫?キャロ)
訝しげにエリオを見つめているともう一人のキャロの声が届いた。どうやらキャロも心配してくれている様だ
『うん、ごめんね。ちょっとボーッとしちゃった、キャロはだいじょうぶ?』
(うん、私は平気)
『それより、エリオ君が何か変なの』
エリオの不振な行動を気にして少し心配そうに言うと、キャロがクスッと笑って答えた
(キャロ、さっきお兄ちゃんが言った言葉を思い出してみて?それで判るよ絶対)
『うん・・』
エリオは少し頬を赤くして俯いている。さっき聞いた言葉を思い出していくと・・・
『あれ、ここは?って言ったらエリオ君が大丈夫って聞いてくれて』
(もっと後)
『ううん、私が大丈夫なら?』
エリオの言葉を順番に思い出そうとするが、全然的を得ていないらしくキャロの声が少し荒くなってくる
(行き過ぎっ、フェイトママが運んでくれてって言ってたでしょ。その前あたり)
『怒らないでよ、えっと・・たしか浴室を見たら私が浮かんでて・・慌てて引き上げてっ!!』
キャロの顔が一瞬で熱くなる。
(やっと気付いた!頑張ってキャロ)
『ちょっと、そんなっ!キャロ?答えてよっ』
キャロが心の中に叫んでももう一人のキャロから返事は返って来なかった。
『湯船に浮かんた私を引き出して寝かせたと言うことは、もしかして・・・』
「エっ・・エリオ君・・・・あのっ・・・そのっ・・見た?」
「!!」
恐る恐る聞くと肩をビクつかせた。エリオも赤面しながらコクリと頷く。更に顔が熱くなるキャロにトドメの一言をもう一人のキャロが言い残した
(エリオお兄ちゃんキャロを湯船から抱き上げてくれたんだよ。)
『それって・・嘘、ウソ、うそだよねっ?ねっ?』
(・・・・・この念話は只今混雑しています。暫く経ってからかけなおしてください・・・)
『キャロ~っ!』
エリオにあられもない姿を見られただけでなくそのまま抱き上げられ、更にキャロ自身では無くもう一人のキャロに教えて貰って気付いた後味の悪さと恥ずかしさからエリオを顔をまともに見れない。
「ちいさくて・・・ごめんなさい」
何を口走ってるかわからない。スバルやティアナ達かキャロが一緒に居たら間違いなく卒倒していたであろう。しかし、エリオも気付かれた事でパニックになっていたようで
「ううん・・とっても・・・」
暫くの間、キャロはエリオと互いに互いの顔を見ることが出来なかった。
「あのっ・・キャロ?」
「はっはいっ!」
部屋の中で無言の壁を破ったのはエリオだった。思わず背筋をピンと張ってエリオを見る。
エリオも恥ずかしいのかまだ少し頬が赤い
「キャロ・・もしかして僕の事すごく意識してない?自意識過剰とかそんなのじゃなくて」
「えっ、そっそんなんじゃ、そんなことないっ」
図星を突かれたキャロは慌てて答えるが、エリオにはそれで充分だった様でクスっと笑う
「やっぱり・・僕も最初そうだったんだ・・・」
「えっ?」
エリオが少し笑いながら話したのはキャロにとって以外な一面だった。
「キャロは覚えてないかも知れないけど、六課に戻ってきた頃キャロが僕の後をずっとついて来たことがあったんだ。事務や訓練だけじゃなくて、寝ている間に僕の部屋やみんな風呂に入ってる所まで。」
「え・・・・」
「あの時はみんなビックリしてたし、訓練は危なくてなのはさんだけじゃなくスバルさん達も気付いてたみたいで・・・それで僕がこの部屋、キャロの部屋で一緒に暮らすからみんなを困らせないでって約束をフェイトさんがしたんだ」
「・・・・」
フェイトがエリオを使って約束をした事も驚いたが、何より自分が他の局員やなのはやスバル・ティアナにまで迷惑をかけていたとは思っていなかった。
「最初、僕もそれを聞いた時すごくビックリして反対したんだ。だってキャロと僕ってここに来て初めて会っただけで、記憶を失ってるって事だけで同じ部屋で暮らしていいのか?って。それにあの時僕にはキャロを守れなかったって負い目もあったし」
「そんな事・・・・」
何かを言おうとしたがエリオが無言で遮った。
「でも、フェイトさんは僕もキャロ二人とも大切な家族で、家族は一緒に暮らしたいって言ったんだ。その時僕も気付いた。僕も小さい頃独りぼっちで凄く寂しい時があったから。家族がいるなら一緒に暮らしたいって」
幼い頃を思い出す。フリードの卵を族長から譲り受け、みんなと一緒で竜と友達になりたいと願い、生まれたばかりのフリードを世話し周りで頑張ってと応援してくれたアルザスのみんな。
しかしある時、古よりの一族を守ってくれている竜とキャロだけが話す事が出来ると判った時、キャロは一人になってしまった。
エリオももしかすると同じ様な境遇を持っているのかも知れない。
「僕も、キャロもフェイトさんに助けてもらって家族になった。もしキャロが嫌じゃなければ・・・」
そこまで言われてキャロはやっと気付いた。着替えを出す時どうしてエリオが動じずにいたのかを。今まで私と同じ様にフェイトさんに助けられ、同じの目的で此処にやって来た男の子。
でもフェイトは此処に来るとき少しだけ嫌がった。それは家族では無く上司部下の立場になってしまうから。だったらせめて私とエリオだけは家族として過ごして欲しかったのだと。
そんな事を知らずに同じ部屋で過ごす事に反応してしまった。もっと大きくなれば互いに意識するかも知れないけれど、今は一緒に、もう一人の私と同じ事は出来ないけれど・・
そう思ってエリオを見るとエリオが慌ててハンカチを差し出してくれた。
頬を触ってみると何か暖かい物が流れていた。
「ゴメンねキャロ。でもこれは僕の勝手な考えだから・・もしキャロが嫌なら、お願いして前の部屋に戻・・・」
「ううん、嫌じゃないっ!私達フェイトさんの家族だもん。お仕事中はダメだけど、それ以外は家族でいよう。ねっ!」
涙混じりに言った言葉は頼りなくて、全然格好良くなかったけれどキャロの心の中からの言葉だった。
タイミングをみたかの様にそれまで横で眠っていたフリードがキュウと鳴いた。二人はクスクスと笑いあう。
「ゴメンね、フリードお腹空いたんだよね。一緒にいこ」
涙を拭いて立ち上がろうとするキャロに
「湯あたりしてるからまだダメだって・・」
「大丈夫だよ!あれ?」
立ち上がったは良いが、上手く歩けずにキャロはふらついてしまう。慌ててエリオが支えるもエリオを巻き込んでベッドに倒れてしまった。
そこに運悪く
「キャロ~大丈夫?お腹空いたと思ったからエリオの分と一緒に夕食もって・・・」
「お風呂で倒れたんだって?大丈夫キャ・・・」
部屋に入ってきたフェイトとなのはが見た物は
押し倒された様にベッドに横になったキャロと、押し倒したかの様にキャロに覆い被さっているエリオ、そしてキャロの瞳には涙の跡が・・・・
「「エ~リ~オ~何してたのかな~?」」
恐ろしく冷ややかな微笑みを浮かべた二人の悪魔が立っていた。
それから数時間エリオとキャロは必死になって二人に事情を説明したそうな・・・
~~~~コメント~~~~
予定を大幅オーバーです。すみませんっ。
サブストーリーの第2話です。
メインストーリー9話「新生活」でエリオが素直にフェイトの言葉に頷いたのかという部分やキャロサイドでここは書きたいと色々試行錯誤していました。上手く伝えられたでしょうか?
次回はメインストーリーで少しだけ出てきていたオリキャラ「キャリア」の登場です。
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Comments
imaさんの中でキャロもそうだけど、他のキャラも固まってきたみたいで今後の展開楽しみにしてます。
頑張って下さい応援してます。