第--話 「突然の・・・」
- リリカルなのは AnotherStory > 第--章 流れの中で
- by ima
- 2009.02.19 Thursday 11:08
『ねぇはやて、来週なんだけど・・・こっちに来ない?』
「どうしたんカリム?」
『ん~ん、ただ久しぶりにお茶したいな~って』
「ええよ、それじゃ来週な」
『美味しいお茶とクッキーを用意して待ってるわね』
一週間前、突然カリムから連絡を受けた八神はやては何か事件かと一瞬だけ緊張した。しかし、はやての予想は完全に外れていて通信を切った後、先程とはうって変わって頬が緩んでいた。
(全く・・聖王協会と管理局の橋渡しとかで忙しいやろうに・・カリムはもうっ)
「どうしたんカリム?」
『ん~ん、ただ久しぶりにお茶したいな~って』
「ええよ、それじゃ来週な」
『美味しいお茶とクッキーを用意して待ってるわね』
一週間前、突然カリムから連絡を受けた八神はやては何か事件かと一瞬だけ緊張した。しかし、はやての予想は完全に外れていて通信を切った後、先程とはうって変わって頬が緩んでいた。
(全く・・聖王協会と管理局の橋渡しとかで忙しいやろうに・・カリムはもうっ)
悪態をつきながらもマイペースな彼女らしいと思う。はやて以上に忙しい筈なのに、嬉しい事を言ってくれる。
これで姉の様に振る舞われるのだから憎めない。
はやても数ヶ月ぶりにミッドチルダ地上本部に戻っており、久しぶりに顔を見たいと思っていた。
「なのはちゃんとヴィヴィオ・・・元気やろか・・」
会えたらいいな~とちょっとだけ期待していた。
「久しぶり! セイン、ディード元気にしてた?」
「あっ、はやて!」
「ごきげんよう、騎士はやて。騎士カリムから連絡は受けています。こちらに・・・」
階級でも名前でも呼ばないのがディードらしい。
何も言わいけれど、待っていてくれたのが嬉しい。セインがはやてをジーっと見つめてポツリと一言
「はやて・・・ちょっとだけ太った?」
「!!っ ちゃうわっ! 厚着してるだけやっ!!」
「でも・・・・前に会った時と比べると・・・アダッ!!」
「セイン、マナー違反ですよ。」
ゴンッという固い音をたてて頭を抱えて蹲るセイン、彼女の背後に立っているディードの手には金槌が
(金槌って・・ディードいつも持ってるんか? それにしても・・・セインの能力はタチ悪いわ・・)
視力が異常に良い戦闘機人。
普段は大して気にならないけれど、まさかこういう場面で使われるとは思ってもみなかった。
その辺はディードがしっかり手綱を握っているらしい。
「こちらでお待ち下さい。」
「え? カリムの部屋ちゃうん?」
普段訪れる部屋ではなく、応接室に案内された。
「騎士カリムからこちらに案内するようにと、後でお茶をお持ちします。」
「じゃあね~」
「ありがとな~ディード、セインもな」
(何かあったんか?)
それでも待つしかないし、ディードとセインの様子から何か事件という風でもなさそうだ。
何かサプライズが待っているのかと少しワクワクした。
【コンコンッ】
「はーい、どうぞ♪」
20分後、ディードの入れてくれたお茶を楽しみながら待っているとノック音が聞こえる。
「失礼します。」
「リンディ統括官!お久しぶりです。それに・・・あれ?? どこかで・・・」
現れたのは私服姿のリンディ・ハラオウンと2人の女性と1人の少女。リンディ以外は初対面の筈だが、全員どこかで見た記憶、面影がある。
特に女の子は・・まるで・・・
「はやてさん、ごきげんよう♪」
2人の内の1人、金髪で少し幼さが残った女性が頭を下げ挨拶をする。
「え?私、自己紹介しました? えっと・・初めてお会いすると思うんですけど・・・」
その反応にもう1人の藍色の髪をした女性とリンディとがクスクスッと笑う。
「ねぇ、はやてさん。彼女・・・見覚え無いかしら?それにこの子も」
(う~ん、どこかで会った様な・・・誰かに似ているんだけど・・わからん。でも・・・こっちの女の子はまるで・・・)
何か試されている様な気がしたはやては暫く考えた後両手を挙げた。
「もう降参します。この子は私の・・って言うより、リンディ統括官の・・・にソックリなんですけど?」
「だったら、これでわかりますか? はやてさん♪」
金髪の女性が目から何かを外した。
カラーコンタクトをしていたらしい・・そして、取り外してはやての方を向いた時、思わず叫び声をあげた。
「あぁーっ! 何でっ? どうしてっ?・・ちょっと前に写真送ってくれた時、こんな位やったし・・まだっ・・・・ええっ!!」
慌てて親友を呼び出そうと端末を起動させる。
大事件だ。
「ちょっちょっとストップ。それはダメだって!!」
「落ち着きましょう、はやてさん」
「そんなん落ち着いてる状況とちゃいます!! 彼女が見たら卒倒しますよっ!」
あの事件が蘇る。まさか・・と色々な推測が頭を駆けめぐる。
ここも乗っ取られたのか? それとも同じ様な事件を起こそうと協会本部が動いているのか? 等々・・・
そんなアタフタしたはやてに親友に似た少女が
「お茶を飲めば落ち着きますよ。はい♪」
とティーカップにお茶を入れてはやてに差し出した。
「はぁ・・それでですか。」
出されたお茶を飲んで落ち着きを取り戻した後、彼女の正体を聞いたはやては夢を見ているのかと思った。
元々自分のデバイスも夢みたいなシロモノなのだから人に言える立場ではない。
それにリンディがひた隠しにするのも頷ける。
「彼女の正体を知っているのは私だけ・・・私もまさかもう一度会えるなんて思ってなかったから、初めは凄く驚いたわよ」
「すみません、ここじゃリンディさんしか頼れる人居なくて・・・」
申し訳なさそうに金髪の女性が謝る。
「いいえ、私も彼女達とは是非会いたかったもの。ありがとう」
「それで、私は・・お二方の面識は無いんですけど・・・まさか・・」
ここまで似ている子がもし居るのなら、彼女の娘しかない。でも・・その年頃だと・・いつ?? 機動六課設立前?
指を折って計算したけれど、そんなのあり得る訳がない。
残った選択肢、考えられるのは・・・彼女の・・・姉妹
「流石勘が良いわね。そう、そのまさか♪ だから、是非会いたかったんだって」
「・・・・・・」
もう悪夢なら早く目覚めたい。そんな気持ちだった。
(カリム・・・私にこんな話聞かせるなんて・・・酷いわ・・・)
「と・・とにかく話はわかりました。それでどうして私を? もっと適任者が居るでしょう? 例えば・・」
この話をどうして私に教えたのか? 今まで誰にも教えなかった話を
「彼女達が誰なのかを聞いて、その上でそう聞いてくれるのを待っていたの。八神はやてさん、騎士はやての方がいいかしら? 貴方が適任だと私が判断したの。JS事件の後、主犯と関係者の何人かは拘置施設にいるけれど、それ以外の関係者はミッドチルダで暮らしているわよね?」
「ええ、ここにセイン・オットー・ディードの3人、ナカジマ家にチンク・ノーヴェ・ディエチ・ウェンディの4人、少し離れてますが開発中の管理世界にルーテシアと、家にアギトがいますけど?」
「そうね。もし、平和に暮らしている彼女たちや関係者の身に何か・・・私達じゃ解決出来ない内面でのトラブルが起きたらどうする? それに・・・」
リンディが横の金髪の女性を見る
「!!」
「そう、彼に頼めば何とかなるかも知れないけれど、それには時間がかかりすぎるし、許可が下りる確証も無い。それでこの分野で彼に一番近い・・研究を修めた人が近くにいれば・・・」
そこまで言われてどうしてはやてが適任だと言われたのか気付いた。本局とミッド地上・聖王協会に強いコネクションを持ち、ミッドチルダ地上本部である程度の権限を持っていて、いざとなった時全ての関係者と連絡をとりやすい立場に居る者。
「でも・・・リンディ統括官、彼女は・・・」
「ええ、でも・・彼女が本人という確証は何処にもない。だってずいぶん昔に死亡確認されている人が同じ年齢でここに居たら変でしょう? ProjectFateを使うのは犯罪、でもそれで生まれた命に罪は無い。」
「ここが一番いいの。この子の希望もあるし・・そうじゃないと・・多分」
「それ以上はダメ!」
リンディがいつになく厳しい口調で金髪の女性の言葉を遮った。
(そうか・・関係するんだ・・・)
ここまで聞いたら断る訳にもいかない。法的には聖王協会で預かれば大丈夫だろう。
リンディはカリムと先に話していて、彼女たちの処遇は既に決まっていると確信した。
あとは、出来る事をするだけだ。
「それで、お二方・・はこれから?」
「彼女は聖王協会直属の研究機関で働いて貰って、この子は・・」
「St.ヒルデ魔法学院初等科!」
クッキーを頬張っていた少女がはやてに向かって答えた。
その表情を見て、別人だというのを改めて感じる。でも、彼女が言った学院には確か・・・
「でも・・そこは・・確か・・・」
「ええ♪ モチロン知ってるわよ」
「多分、少し前に彼女が倒れた筈です。だからもう知っていると・・・」
(アレがそうなんや・・・)
親友から急報を受けてシャマルを向かわせ、つい先日戻ってきたと聞いた。
「・・・・ちょっとだけ見てみたいですね。その時の顔を」
知った彼女達はどんな顔をするのだろう? はやては一瞬それをみたくなった。
「それじゃ私はこれで・・お世話になりました。お元気で、ごきげんよう」
一通り話し終えたのか、金髪の女性が立ち上がって礼を言い部屋を去ろうと立ち上がる。
「あっ、送っていきます。せめて門まで・・」
追いかけて聞かないと、はやては立ち上がり後を追いかけた。聞かなければならない事がある。
「あの・・もし・・・ですね」
聞きたいのは山ほどある。その中ではやては一番聞きたい事だけを口にした。
「お聞きになりたい事はわかります。でもそれは出来ても・・・出来ません。はやてさんが望む事をすれば、きっと私もここも・・・そして最後には出来なくなります。」
「・・・・やっぱりそうなんですね。ありがとうございます。これでスッキリしました」
「ごめんなさい。」
「いいんです。もしそんな願いが叶うならってずっと思ってたんですが、これでわかりました。」
「本当にごめんなさい、はやてさん。 それじゃ、私はここで」
「またな~♪」
「バイバイ」
そう言うと彼女は光の中に消えていった。
(これでいいんや・・・これで前に進めるから・・・これで)
長年の想いが消えてしまったけれど、はやての顔には曇りは無かった。
カリムに会ったら恨み言のひとつでも言って、その後はもう1人のあの子に会おう。どんな風に答えてくれるのか・・・少し楽しみが増えた気がした。
~~コメント~~
if~もしもヴィヴィオが幼いなのはの時代に来たら~
1から始まる物語もありますが、その中で会えて数字ではなく全然違う場所から始まる話があったとしたら・・・
本編でも無いし外伝やエピローグでもない。そんな話です。
どこでどういう風に繋がるのか? お楽しみにお待ち下さい。
これで姉の様に振る舞われるのだから憎めない。
はやても数ヶ月ぶりにミッドチルダ地上本部に戻っており、久しぶりに顔を見たいと思っていた。
「なのはちゃんとヴィヴィオ・・・元気やろか・・」
会えたらいいな~とちょっとだけ期待していた。
「久しぶり! セイン、ディード元気にしてた?」
「あっ、はやて!」
「ごきげんよう、騎士はやて。騎士カリムから連絡は受けています。こちらに・・・」
階級でも名前でも呼ばないのがディードらしい。
何も言わいけれど、待っていてくれたのが嬉しい。セインがはやてをジーっと見つめてポツリと一言
「はやて・・・ちょっとだけ太った?」
「!!っ ちゃうわっ! 厚着してるだけやっ!!」
「でも・・・・前に会った時と比べると・・・アダッ!!」
「セイン、マナー違反ですよ。」
ゴンッという固い音をたてて頭を抱えて蹲るセイン、彼女の背後に立っているディードの手には金槌が
(金槌って・・ディードいつも持ってるんか? それにしても・・・セインの能力はタチ悪いわ・・)
視力が異常に良い戦闘機人。
普段は大して気にならないけれど、まさかこういう場面で使われるとは思ってもみなかった。
その辺はディードがしっかり手綱を握っているらしい。
「こちらでお待ち下さい。」
「え? カリムの部屋ちゃうん?」
普段訪れる部屋ではなく、応接室に案内された。
「騎士カリムからこちらに案内するようにと、後でお茶をお持ちします。」
「じゃあね~」
「ありがとな~ディード、セインもな」
(何かあったんか?)
それでも待つしかないし、ディードとセインの様子から何か事件という風でもなさそうだ。
何かサプライズが待っているのかと少しワクワクした。
【コンコンッ】
「はーい、どうぞ♪」
20分後、ディードの入れてくれたお茶を楽しみながら待っているとノック音が聞こえる。
「失礼します。」
「リンディ統括官!お久しぶりです。それに・・・あれ?? どこかで・・・」
現れたのは私服姿のリンディ・ハラオウンと2人の女性と1人の少女。リンディ以外は初対面の筈だが、全員どこかで見た記憶、面影がある。
特に女の子は・・まるで・・・
「はやてさん、ごきげんよう♪」
2人の内の1人、金髪で少し幼さが残った女性が頭を下げ挨拶をする。
「え?私、自己紹介しました? えっと・・初めてお会いすると思うんですけど・・・」
その反応にもう1人の藍色の髪をした女性とリンディとがクスクスッと笑う。
「ねぇ、はやてさん。彼女・・・見覚え無いかしら?それにこの子も」
(う~ん、どこかで会った様な・・・誰かに似ているんだけど・・わからん。でも・・・こっちの女の子はまるで・・・)
何か試されている様な気がしたはやては暫く考えた後両手を挙げた。
「もう降参します。この子は私の・・って言うより、リンディ統括官の・・・にソックリなんですけど?」
「だったら、これでわかりますか? はやてさん♪」
金髪の女性が目から何かを外した。
カラーコンタクトをしていたらしい・・そして、取り外してはやての方を向いた時、思わず叫び声をあげた。
「あぁーっ! 何でっ? どうしてっ?・・ちょっと前に写真送ってくれた時、こんな位やったし・・まだっ・・・・ええっ!!」
慌てて親友を呼び出そうと端末を起動させる。
大事件だ。
「ちょっちょっとストップ。それはダメだって!!」
「落ち着きましょう、はやてさん」
「そんなん落ち着いてる状況とちゃいます!! 彼女が見たら卒倒しますよっ!」
あの事件が蘇る。まさか・・と色々な推測が頭を駆けめぐる。
ここも乗っ取られたのか? それとも同じ様な事件を起こそうと協会本部が動いているのか? 等々・・・
そんなアタフタしたはやてに親友に似た少女が
「お茶を飲めば落ち着きますよ。はい♪」
とティーカップにお茶を入れてはやてに差し出した。
「はぁ・・それでですか。」
出されたお茶を飲んで落ち着きを取り戻した後、彼女の正体を聞いたはやては夢を見ているのかと思った。
元々自分のデバイスも夢みたいなシロモノなのだから人に言える立場ではない。
それにリンディがひた隠しにするのも頷ける。
「彼女の正体を知っているのは私だけ・・・私もまさかもう一度会えるなんて思ってなかったから、初めは凄く驚いたわよ」
「すみません、ここじゃリンディさんしか頼れる人居なくて・・・」
申し訳なさそうに金髪の女性が謝る。
「いいえ、私も彼女達とは是非会いたかったもの。ありがとう」
「それで、私は・・お二方の面識は無いんですけど・・・まさか・・」
ここまで似ている子がもし居るのなら、彼女の娘しかない。でも・・その年頃だと・・いつ?? 機動六課設立前?
指を折って計算したけれど、そんなのあり得る訳がない。
残った選択肢、考えられるのは・・・彼女の・・・姉妹
「流石勘が良いわね。そう、そのまさか♪ だから、是非会いたかったんだって」
「・・・・・・」
もう悪夢なら早く目覚めたい。そんな気持ちだった。
(カリム・・・私にこんな話聞かせるなんて・・・酷いわ・・・)
「と・・とにかく話はわかりました。それでどうして私を? もっと適任者が居るでしょう? 例えば・・」
この話をどうして私に教えたのか? 今まで誰にも教えなかった話を
「彼女達が誰なのかを聞いて、その上でそう聞いてくれるのを待っていたの。八神はやてさん、騎士はやての方がいいかしら? 貴方が適任だと私が判断したの。JS事件の後、主犯と関係者の何人かは拘置施設にいるけれど、それ以外の関係者はミッドチルダで暮らしているわよね?」
「ええ、ここにセイン・オットー・ディードの3人、ナカジマ家にチンク・ノーヴェ・ディエチ・ウェンディの4人、少し離れてますが開発中の管理世界にルーテシアと、家にアギトがいますけど?」
「そうね。もし、平和に暮らしている彼女たちや関係者の身に何か・・・私達じゃ解決出来ない内面でのトラブルが起きたらどうする? それに・・・」
リンディが横の金髪の女性を見る
「!!」
「そう、彼に頼めば何とかなるかも知れないけれど、それには時間がかかりすぎるし、許可が下りる確証も無い。それでこの分野で彼に一番近い・・研究を修めた人が近くにいれば・・・」
そこまで言われてどうしてはやてが適任だと言われたのか気付いた。本局とミッド地上・聖王協会に強いコネクションを持ち、ミッドチルダ地上本部である程度の権限を持っていて、いざとなった時全ての関係者と連絡をとりやすい立場に居る者。
「でも・・・リンディ統括官、彼女は・・・」
「ええ、でも・・彼女が本人という確証は何処にもない。だってずいぶん昔に死亡確認されている人が同じ年齢でここに居たら変でしょう? ProjectFateを使うのは犯罪、でもそれで生まれた命に罪は無い。」
「ここが一番いいの。この子の希望もあるし・・そうじゃないと・・多分」
「それ以上はダメ!」
リンディがいつになく厳しい口調で金髪の女性の言葉を遮った。
(そうか・・関係するんだ・・・)
ここまで聞いたら断る訳にもいかない。法的には聖王協会で預かれば大丈夫だろう。
リンディはカリムと先に話していて、彼女たちの処遇は既に決まっていると確信した。
あとは、出来る事をするだけだ。
「それで、お二方・・はこれから?」
「彼女は聖王協会直属の研究機関で働いて貰って、この子は・・」
「St.ヒルデ魔法学院初等科!」
クッキーを頬張っていた少女がはやてに向かって答えた。
その表情を見て、別人だというのを改めて感じる。でも、彼女が言った学院には確か・・・
「でも・・そこは・・確か・・・」
「ええ♪ モチロン知ってるわよ」
「多分、少し前に彼女が倒れた筈です。だからもう知っていると・・・」
(アレがそうなんや・・・)
親友から急報を受けてシャマルを向かわせ、つい先日戻ってきたと聞いた。
「・・・・ちょっとだけ見てみたいですね。その時の顔を」
知った彼女達はどんな顔をするのだろう? はやては一瞬それをみたくなった。
「それじゃ私はこれで・・お世話になりました。お元気で、ごきげんよう」
一通り話し終えたのか、金髪の女性が立ち上がって礼を言い部屋を去ろうと立ち上がる。
「あっ、送っていきます。せめて門まで・・」
追いかけて聞かないと、はやては立ち上がり後を追いかけた。聞かなければならない事がある。
「あの・・もし・・・ですね」
聞きたいのは山ほどある。その中ではやては一番聞きたい事だけを口にした。
「お聞きになりたい事はわかります。でもそれは出来ても・・・出来ません。はやてさんが望む事をすれば、きっと私もここも・・・そして最後には出来なくなります。」
「・・・・やっぱりそうなんですね。ありがとうございます。これでスッキリしました」
「ごめんなさい。」
「いいんです。もしそんな願いが叶うならってずっと思ってたんですが、これでわかりました。」
「本当にごめんなさい、はやてさん。 それじゃ、私はここで」
「またな~♪」
「バイバイ」
そう言うと彼女は光の中に消えていった。
(これでいいんや・・・これで前に進めるから・・・これで)
長年の想いが消えてしまったけれど、はやての顔には曇りは無かった。
カリムに会ったら恨み言のひとつでも言って、その後はもう1人のあの子に会おう。どんな風に答えてくれるのか・・・少し楽しみが増えた気がした。
~~コメント~~
if~もしもヴィヴィオが幼いなのはの時代に来たら~
1から始まる物語もありますが、その中で会えて数字ではなく全然違う場所から始まる話があったとしたら・・・
本編でも無いし外伝やエピローグでもない。そんな話です。
どこでどういう風に繋がるのか? お楽しみにお待ち下さい。
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