第14話 「受け継がれしモノ?」

「こんにちは~♪」
「ごきげんよう、はやてさん。」
「あ、はやてちゃん。いらっしゃい」

 ヴィヴィオ達が過去から戻ってきて数日が経った頃、高町家にはやてが再び遊びにやってきた。

 4人が過去に行っている間にこっちの世界は2週間程経過していたらしい。
 ヴィヴィオは学院の先生からたっぷりお叱りとその間の課題を貰った。
 なのはとフェイト・はやてもユーノ達が連絡していたが、無断で任務や教導に穴を開けた事で幾つかのペナルティを受けていた。

 それでもヴィヴィオ達全員が過去へ行った事の後悔はしていなかったのだが…


「うん、あの後ふと思い出してな。引っ越した時の荷物を漁ってたら…これっ♪」
「あっ!!」
「うさぎのぬいぐるみ?」

 はやてがバッグから出したのは少し古ぼけたウサギのぬいぐるみ。
なのはは何の事か判らないがヴィヴィオはそれを見て思い出した。

「そうや、ヴィヴィオ。あとこれとな♪」
「あ! あの時ヴィヴィオ、はやてちゃんと会ってたんだ。」

 クリスマスカードに書かれた文字を見てなのはも納得する。

「うん、なのはママ達の前に出られなかったからすずかに頼んで持って行って貰ったの」
「最初誰から貰ったものか判らんからずっと置いてたんやけど、ヴィヴィオのプレゼントやったんやね。ありがとう」

 数日前の話なのに、はやてにとっては10数年前の話。
 少し奇妙な感じだった。


「はやてさん、今日はそれを見せに来てくれたの?」

 それだけだったら端末同士で話せば済むのにと思っていると、はやてはニヤリと笑みを浮かべる。
 その笑みは覚えがあった。
 そう、何か変な事を思いついた時の笑み。

「実はな…今日これからな…だから…」
「………ええーっ!」
 
 ヴィヴィオの声が高町家の中で響き渡った。



『はやて、久しぶり~。みんな元気?』
「うん、私は元気やねんけど…」
『何かあったの?』
「実は…すずかちゃんがな…」
『! え、何? すずかに何かあったの?』
「ちょっとした事故に巻き込まれて…こんな姿になってしもた」
「ア…アリサちゃん…私…」
『す、すずかっ!? うわっ! ガコッ! バタッ!! ……』
「ってのは冗談で…アレ? アリサちゃん?」
『……』
「アカン。驚かし過ぎた…アリサちゃん~!!」
「…はやてちゃんのしたかった事ってコレだったんだ…」
「…なのはママ…?」
「なのはちゃん、えらい怖いんですけど、顔が…」
「行って謝ってきなさい!! 今すぐにっ!!」
「はいっ!」

 
 騒々しくはやてが出て行った後、

「ふぅ、全くはやてちゃんはもうっ。でも、ヴィヴィオそうしてると本当に昔のすずかちゃんにそっくりだよね♪」
「やっぱり恥ずかしいよ~っ!」

 恥ずかしがるヴィヴィオを見て笑った。


【ピピピピピっ】
「あ、すずかちゃんからだ♪ はい、なのはです。すずかちゃんひさしぶり~♪」
『こんにちは、なのはちゃ…子供のわ…わたし?』
「あ、違うの、これはね…」
『フッ………バタッ』
「すずかちゃん!? もしもし? 違うんだって、すずかちゃんってば!!」
『……』
「…なのはママも行ってきた方がいいんじゃない?」
「…ねぇヴィヴィオ…ママと一緒にお出かけしない?」
「ウン♪」

 久しぶりに現在の海鳴に行けそうで、ヴィヴィオはちょっぴりはやてに感謝した。


~時と場所は変わり~
「……」
「どうしたの、なのは? じーっと空なんか見上げて」
「アリサちゃん、すずかちゃん。今ねヴィヴィオどうしてるのかな~って考えてたの。」
「ヴィヴィオまた来てたの!?」
「あの…アリサちゃん、ごめんね。私の親戚って紹介した女の子なんだけど」
「ええ、雫でしょ。…まさかあの子が」
「ごめんね、なのはちゃん達に知られたくなかったみたいだったから…」
「すずかちゃんも会ってたんだ。いいな~」
「ごめんね、なのはちゃんも黙っていて…」
「結局、私は何も知らずに喚いてただけだったのね。…まさかヴィヴィオも魔法使いで、あの時なのはやフェイトと一緒に居たなんて言わないわよね」
「それは…当たってる…かな」
「…ヴィヴィオちゃんも魔法使いだったんだ」
「ここにいたんだ。なのは、あのね…アリサどうしたの? 元気ないみたいだけど…」
「アリサちゃん風邪やったら後で石田先生に看て貰う? 後で顔見せるって言うてたから」
「ううん…大丈夫、ちょっと疲れただけだから…」
「それでね、さっきはやてと話してたんだけど、ヴィヴィオが何処に行ったのかなのはは聞いてない? 模擬戦で勝負の続きしたかったのに…」
「アハハハ…私もちゃんとお礼言いたいって思ってるんやけど知ってたら教えて欲しいんや」
「私も知らないの。でも…また会える気がするんだ…いつかまたきっと…」

 桜の花びらが舞う中で、なのはは空を見上げて言った。
 なのはの視線を追って、フェイトもはやてもすずかもアリサも空を見上げる。

「きっといつか…」

 また会える。なのはは何故かそんな気がしていた。


~~コメント~~

 もし高町ヴィヴィオが幼いなのは、魔法にまだ会っていない世界にやって来たら。これはAnotherSideやAnotherStoryのコンセプトでした。
 ヴィヴィオの稚拙な行動で未来は狂い始め、途中で過ちに気付いたヴィヴィオは元に戻そうとします。
 そして、なのはとフェイトが友達になるのを確信し、元の未来へ戻りました。

 でも、もし戻った未来が別の未来に進んでいたら…
 AgainStoryはそこから始まりました。
 なのは1期とAsで違う所、それはキャラクターの多さです。
 八神はやてと守護騎士・リインフォース・管理局の面々(1期で名前がついてなかったキャラクターまでAsで名前がついていました)という魅力ありすぎるキャラクター達。
 闇の書を巡ってそれぞれがそれぞれの立ち位置で話を進めていく、この立場毎の話をヴィヴィオ主体で進めたいなと思いこの話を書き始めました。
 立ち位置によって「闇の書」「夜天の魔導書」「魔導書」「あの子(この子)」「リインフォース」、一部「駄々っ子」とも呼ばれていますがそれぞれの時に何故その呼び方をしているのかというのを読み解いて頂けると嬉しいです。
 次に頭を悩まされたのは後半、クリスマスイブでした。
 なのはAsのクリスマスイブは一夜のうちに事件が進み解決へと向かいます。
 しかも、変に手を入れると話が崩れそうな程慌ただしく進んでいきます。
 ここでヴィヴィオが動くとしたら? なのは達が動くとしたら? 色々と伏線も考えていましたが、先にヴィヴィオ達が好き勝手に動いてくれたのもありこの様な話になりました。

 リーゼ姉妹がなのは達に変身し、守護騎士を闇の書に吸収させるシーンにヴィヴィオが出くわしてし、正体を暴かれた2人の姿を見て、以前無限書庫へ案内してくれた2人なのを思い出す(AnotherStory参照)という話もありましたが、リーゼ姉妹は3回しか登場せず(仮面の男+セリフだけ)、グレアム提督に至っては名前すら挙がってきませんでした。
 嫌いな訳じゃないんです。決して嫌いな訳じゃ…

 これでヴィヴィオのAs編はおしまいです。
 稚拙なSSを根気よく最後まで読んで頂いた貴方様、ありがとうございました。

 StrikerS編? キャラクターが多すぎて書くと頭が破裂してしまいそうです。

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