第06話 「壊れた過去と現在となの(後編)」

「今日はフェイトちゃん学校お休みしたの、家の都合なんだって」

 はやてに紹介されて数日後、ヴィヴィオは図書館で月村すずかと会っていた。
 すずかに貰った服を着て彼女と一緒にいると双子の姉妹に見えるらしく、彼女が普段から図書館に良く来ていた事も相まってか、姉妹揃って読書好きなのだろうと思われどんな本を読んでいても特に気にされずに済んだ。
 
 


 
「家の都合? 何かあったの?」
「ううん、先生に聞いても判らないんだって」
(…本当に魔力を取られたんだ…)

 ヴィヴィオは直感的に気付く、はやてが言っていたのは本当の事だったのだと。
 助けに行けばと良かったという気持ちと自身で答えを出した事なのだからそれで良いんだという気持ちがヴィヴィオの中でせめぎ合う。

「どうしたの? ヴィヴィオちゃん」
「ううん何でも無い。はやてちゃんは?」

 この時間にはいつも来ているらしいがはやてもシグナム達も見ていない。

「今日読みたい本があるから来るって言ってたんだけど…」
「そうなんだ」

 何かが動き始めている。
 そんな雰囲気を感じた。



 一方、なのはとフェイトはというと
 シグナムやヴィータ・ザフィーラが別世界に飛ぶ度に後を追いかけ、彼女達の行く先へ先回りをしてリンカーコアを持つ現地の魔導師や生物を避難させたり別の場所への転送を繰り返していた。
 ベルカの騎士、特にザフィーラは鋭敏な感覚を持っている。
 蒐集対象全てを逃がせる筈もなく、既に蒐集されてしまった対象にはその都度治癒魔法を使い癒していった。


 その中で
『BusterMode Drive Ignition』
「いくよっ久しぶりの長距離砲撃っ!!」
『LoarCartridge Divine Buster Extension』

なのはの上空に桜色の光が大きく広がり、環状型の加速魔法が延びていく

「ディバイィィンバスタァァ!!」
「昔の私ってこんな無茶してたの…」

 ある世界で長距離砲撃タイプのディバインバスターをヴィータ目掛けて撃つなのはを見たなのはは思わず呟く。
 一切手加減無しの全力砲撃をしていたような気がする。

 なのはの前に立てるなら基礎から教えてあげたい。
 頑張るのは悪いことじゃないけれど、身を削る砲撃は事故の元なんだよと
 言ってる側からリーゼアリアが変身した仮面の男に打ち消され、バインドで拘束された。

(もっと周りを見て、昔の私っ)


更にもう一方でも

「もっと考えて動いてっ、速さに頼っちゃダメ」

 砂漠世界のある場所でフェイトはオロオロしながら見守っていた。
そう、ここではこの世界のフェイトとシグナムが戦っているのだ。

「プラズマッ、スマッシャァァアッ!」
「飛竜一閃っ!!」
「ここで砲撃しても疲れるだけで防がれちゃうっ…もうっ!」
(速く動けば動くほど、冷静に相手を見ないといけないの。もっと冷静にシグナムさんを見て。よく見ればわかるから)

 そうこうしているとこっちにもリーゼロッテ扮する仮面の男が現れフェイトは背後から襲われてしまう。

(ああっ、もう。もっと周囲に気を配って)

2人とも人のことは言えないと言うのを改めて感じていた。


 そしてはやては魔力が戻った今も海鳴に居た。
 今日も朝から1人ある場所へと来て誰かを待つようにじっと椅子に座っている。

「12月12日…過去が正しかったら、今日私はここに…運び込まれる」
 海鳴大学病院の待合室で、昔の自分が搬送されてくるのを。
 今日搬送されてこなければ、はやての魔力を取り込んだ影響で世界が少し変わった事を意味する。
 見定める良い機会。

(なのはちゃんとフェイトちゃんが魔力爆撃に負荷をかけてくれたり、蒐集対象を逃がしたりしてくれてるけど、そんな程度で打ち消せる程私の魔力は弱くない。どう出るか…)

 気になっている事はある。どうして主と同じはやて自身のリンカーコアから魔力を奪う事が出来たのか?
(あの子は一度魔力を取り込んだ者からは二度と取り込めない筈や)
 しかも蒐集した相手が今の主と同一人物では蒐集せずに、取り込まれたかも知れない。
 この世界のはやてと自分は全くの別人なのか?
 そんな事を考えつつ辺りを気にしていると玄関から聞き慣れた声が聞こえてきた。

「はやてっ、病院に着いたよ。もうちょっとだけ頑張って!」
「はやてちゃん、しっかりっ!!」

 周りに気を配る余裕も無い程慌てている守護騎士達の姿とストレッチャーに乗せられて運ばれていくはやての姿。

「もう少しや…頑張ってな、昔の私」

 はやては呟き病院を後にした。



「「ただいま~」」
「おかえりなさい。なのはママ、フェイトママ」
「おかえりーなのはちゃん、フェイトちゃん。もうちょっとでご飯出来るから待っててな」

 その夜、ヴィヴィオ達はいつもより早い時間に全員顔を合わせた。

「うん、お腹ぺこぺこ」
「私も~」
「ヴィヴィオもお手伝いしてくれてるんよ」
「そうなんだ、偉いね」

 フェイトに誉められてヴィヴィオは嬉しかった。

 そして、夕食後

「なのはちゃん、フェイトちゃん。シグナムとヴィータを先回りして妨害するの止めて大丈夫や。ありがとうな」
「えっ?」
「どうして?」

 はやてが言った言葉に驚いてフェイトが聞き返した。

「今日な海鳴大学病院に行ってきたんや。昔の私が今日運び込まれて事件解決まで入院した。もし、私の魔力で浸食が早くなっていれば既に入院してるし、闇の書のページが埋まらかったらもう少しずれてるやろうと思ってな」
「それで?」
「こっちの私も今日病院に運ばれて入院したよ。シャマルがすずかちゃんに連絡してたしな」
「それですずかと待ってたのにはやてが図書館に来なかったんだ…」

 ヴィヴィオにも納得がいった。

「だから、元の世界と同じ時間が進み出してるから、妨害は終了。ありがとうな。」

 なのはとフェイトは少し納得がいかないらしい

「でも…」
「はやて、せめて蒐集された魔導師や動物の治療しちゃだめ?」

 なのは達はシグナムやヴィータ・ザフィーラによって傷つけられた者達を気遣っていた。はやては首を振り

「ううん、それは是非お願いしたい位や…でも判ってると思うけど、24日迄に疲れは抜いておいてな」
「うん♪」
「モチロン」

 ヴィヴィオはもしヴィヴィオがその場に居たとして、果たしてそこまで気遣えただろうか、なのはやフェイトの様に振る舞えただろうかと思った。

(やっぱりママ達は凄い)



「主はやてっ!」
「フェイトっ!」
「シグナム、アルフさんっ」

 ユーノがなのは達4人をベッドで寝かしアリシアを見送り、無限書庫で置いてきた調査について色々と話をして落ち着いた頃、リインの素っ頓狂な声を聞いて玄関を見ると今度はシグナムとアルフが来ていた。

「リイン、主はやてはどこに」
「フェイトはどこっ? あ、ユーノ!フェイトもここに居るんだろ?」

 リインを落ち着かせて彼女に納得したのはついさっき。
 ハァ~とため息をつきながらリインと同じ様に家中を探そうとする2人を止めた。

「シグナムさんもアルフも落ち着いて、ちゃんと説明するから…あのね…」


~~コメント~~
 高町ヴィヴィオがなのはAsの世界にやってきたら? というのがこの話のコンセプトです。
 アニメの話数で言えば7~8話辺りでしょうか。
 StrikerS(CDドラマの方です)の頃のなのはとフェイトがAsの頃の自分の姿を見たとすれば、どんな印象を持ったでしょう。前話を振り返って今度はなのは達3人を一緒に連れてきて書きたいと思っていたシーンです。

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