第6話「異相世界」
- リリカルなのは AdmixingStory > 2章 クロスポイント
- by ima
- 2011.05.23 Monday 14:40
「そんな事が起こるのですか?」
翌日、ストライクアーツの練習を終えアインハルトを駅まで送りに行く時、2人になったのを見計らって昨夜思いついた事を話した。
「時空転移は元々過去へ行くのに使っていました。それに前に異世界に行った時はもっと昔に行ってましたから。」
時空転移を何度も使っているヴィヴィオには明確なイメージを魔導書に伝える事が出来る。けれど、初めて使った時みたいに中途半端なイメージを送ってしまえば時間にズレが起きる。そして魔力もそれなりに無ければ遡れる時間も短くなる。
翌日、ストライクアーツの練習を終えアインハルトを駅まで送りに行く時、2人になったのを見計らって昨夜思いついた事を話した。
「時空転移は元々過去へ行くのに使っていました。それに前に異世界に行った時はもっと昔に行ってましたから。」
時空転移を何度も使っているヴィヴィオには明確なイメージを魔導書に伝える事が出来る。けれど、初めて使った時みたいに中途半端なイメージを送ってしまえば時間にズレが起きる。そして魔力もそれなりに無ければ遡れる時間も短くなる。
(…チェントが使ったのかも)
お絵かき用のペンと紙、アリシアに似た筆跡だけしか証拠は無いからあくまでも可能性。
こっちにアリシアは居ないから調べる事も出来ない。
でも何らかの事件にここのヴィヴィオが巻き込まれているのに、ヴィヴィオが普通に生活していれば相手は何らかの動きを見せる筈。ずっとそれを警戒していた。
でも、今の様に狙えるタイミングをわざと作っていても何も起こらない。
(わかってもどうしようもないんだけど…)
こっちの刻の魔導書が使えない以上、出来る事はない。
「全部私の勝手な推測です。だからこっちに居る間私も何かをしたいんです。アインハルトさん、カイザーアーツ…私に教えてくれませんか? 本格的に」
彼女の練習を見ていて一朝一夕で得られる物ではないのは判っている。でも訓練と実践では得る経験は絶対的に違う。彼女が求めているのはあくまでも守る為の強さ。だからそれを学びたいと思った。
驚いた顔をするアインハルト、しかし口には笑みが浮かんでいた。
「すみません、私の…カイザーアーツは教えられません。それに…ヴィヴィオさんに教えるのは私じゃありません。そうですね。」
「ああ、そうだ。」
「!?」
バッと振り返るとノーヴェが立っていた。
「2人になってからずっと後ろを付いてこられてたんですよ。気づきませんでした?」
全然気づかなかった。
「話は聞かせて貰った。なのはさん達やスバル、リオとコロナにも黙っていてやる。あたしの特訓は厳しいぞ。覚悟はいいな」
「うん…じゃなかった、はいっ!」
「お、おじゃまします。」
一方で…ヴィヴィオは初めて来た家の様にカチンコチンになっていた。家に入ってからリビングに居ても背筋を伸ばしたまま座っている。
「ヴィヴィオ、ここはヴィヴィオの家なんだからそんなに固くならないで。」
「はい、なのはママ…じゃなかった。なのはさん」
「私はヴィヴィオにとってママだからなのはママでいいよ。ヴィヴィオも私がヴィヴィオさんって呼ぶのは変でしょ。」
頷くヴィヴィオ
「じゃあ、そういう事で。プレシアさん家に遊びに行く予定もなくなっちゃったし、フェイトちゃんも出かけちゃったから…ヴィヴィオどうする? そうだ一緒にお風呂に入ろうか」
「はい、…じゃなくてうん」
(違う世界に来てきっと心細いのに、私に心配させないようにって…ヴィヴィオはやっぱりヴィヴィオだ)
目の前の彼女の様子を見ながらなのはは思った。
同じ頃
【ピンポーン】
「はーい…フェイト、どうしたの? こんな夜遅く」
「エイミィ、いきなり来てゴメンね。あの…母さんまだ起きてるかな?」
クラナガン郊外にある、ハラオウン邸にフェイトはやってきていた。
「まだ起きてるけど…何でもいいや、入って入って」
玄関に出てきたエイミィに中へ促され家の中に入る。
「フェイト?」
「母さん、久しぶりです。」
リビングに行くとリンディは就寝前のお茶を飲んでいた。変わった時間に来た珍客に少し驚いている。
「あの…クロノは?」
「只今旦那様は航海の真っ最中、アルフは子供達を寝かしつけてそのまま寝ちゃったんじゃないかな。何か困り事? 連絡取ろうか?」
丁度良かった、彼女達しか居ないのは不幸中の幸い。
「ううん…母さんに相談があって…回収されたロストロギア、何とかして手に入れられないかな?」
「「……」」
2人とも黙ってしまう。
「……」
「「…ロストロギア?」」
「うん。」
「「どうして?」」
リンディもエイミィも合わせた様に聞いてくる。そういう反応しか出来ないだろうとは考えていたから、事情を話した。
「今朝姉さん…アリシアから連絡があったんです。ヴィヴィオが居なくなったって。プレシア母さんが言うには私達が行けない異世界に行っちゃって戻って来られないんだって。」
「ええっ!? ヴィヴィオが行方不明!」
「最後まで話を聞きましょう。続けてフェイト」
「はい、姉さんがそれを知って泣いちゃって。チェントが気を遣って異世界のヴィヴィオをこっちに呼んでしまったんです。異世界のヴィヴィオとここのヴィヴィオが入れ替わったんじゃないかって。」
「入れ替わった…ヴィヴィオが?」
「はい、それで問題を解決する為にゆりかごで回収したレリック片が必要なんです。」
フェイト自身も事態を全部知っている訳ではないから、上手く事情を話せたとも思えない。
「幾つか回収されたレリックの完全体ではなくて、ゆりかごで回収したレリック片が必要なのね?」
「はい、それも急いで。母さんならどこに保管されてるのか知ってますよね?」
本局執務官であるフェイトがミッドで回収されたロストロギアがどこにあるのか詳しくは知らない。
教えて貰ってそこから少しの間借りられたらと考えたのだ。理由はこの際事件の関係資料名目といったところか。
後で知られたら免職どころか犯罪者になってしまう。
エイミイが腕を組みウ~ンと唸り、リンディも手元のティーカップを手にとって何か考えている。
「私も場所は知ってるよ。でもフェイト、聞いたらすぐ取りに行くつもりでしょ。適当な理由をつけて…クロノが居たら真っ先に反対するだろうね。『執務官の職務を何だと思ってるんだ』って。でもヴィヴィオの為?」
沈黙で答える。
「そうね~じゃあ、使っちゃった事にしましょうか」
「…え?」
リンディが何を言ってるのか判らない。キョトンと彼女を見つめているとおもむろに端末を引き出し誰かを呼び出す。
『はい~、八神です。』
「はやてさん、夜遅くにごめんなさいね。1つお願いがあるの」
「はやて?」
呼び出したのは何とはやてだった。寝ぼけ眼をゴシゴシっとこすってモニタを見て驚いた後
『リンディ提督、エイミィさん久しぶりです。フェイトちゃんもいるん? それでお願い事というのは何です。』
起きたらしい。
「地上本部で保管しているレリックの欠片を譲って貰えないかしら。名目は…そうね~ある女の子の為と言うところかしら。」
『…レリックじゃなくてレリックの欠片ですか?』
「ええそうよ、ゆりかごで回収されたレリックの欠片」
黙ってしまうはやて。暫く無言の時間が過ぎて
『判りました。明日朝1番に彼女の所へ持って行ったらいいですか?』
「ええ、お願いね。」
それだけで話が通じていた。
『フェイトちゃんもなのはちゃんも水くさいな~。困ってるならちゃんと話してな。リンディ提督、後は任せて下さい』
そう言うとはやてはモニタを切ってしまった。
「はやてちゃん、アレだけでわかったんだ。」
「深夜の直接通信、フェイトも居たのだから十分よ。レリックだと無理させてしまうけれど、欠片だけなら…デバイスのコアにした位だもの」
そうだった。
「はやてさん流石よね。じゃあフェイト、あなたは何をしないといけないのかわかるかしら?」
リンディとはやての会話とエイミィに言われた事で自覚した。
「帰って休みます…」
「正解。執務官の仕事は大変だし、ヴィヴィオが居なくなって心配でたまらないと思うけれどきちんと休まないと視野を広く持てないわよ。あなたもなのはさんもね」
彼女の言う通りヴィヴィオが居なくなって狼狽していたとは言えリンディに聞く前にはやてに言えば良かったのだ。
「それにね、私達はみんなヴィヴィオに助けて貰ってるの。フェイトが私の娘になったのも、はやてさん達が管理局に居るのも彼女が居なければ…。はやてさんじゃないけれど水くさいわね。」
「本当に…そうですね。」
リンディが笑いながら言った言葉に苦笑して頷いた。
翌朝、なのははフェイトとヴィヴィオを連れ再びプレシアの研究所へ来ていた。プレシア達は全員泊まり込みだったらしく、アリシアが眠そうな顔でなのは達にごきげんようと挨拶し、そのまま顔を洗いに行ってしまう。
「…大変そうだね。」
彼女の姿にヴィヴィオがポツリと洩らす。丁度その時
「おはようございます。なのはちゃん達も来たんやね」
後ろから声をかけられて振り返ると陸士隊の制服を着たはやてが手を上げていた。
「おはようはやてちゃん。みんなまで、どうして?」
はやてと一緒に居たのはシグナム、シャマル、ヴィータ、リインとザフィーラまでいる。守護騎士全員。
「はやて、レリック借りられなかったの? シグナム?」
「すまない、頼まれていた物は借りられなかった。」
「ごめんなさいね」
「そんな…」
フェイトの呟きと共に一瞬目の前が真っ暗になった。
「みんな、こんな時にからかったら後知らんよ。フェイトちゃん、頼まれてた物はこれでええな」
そう言ってポケットから小さな金属製の箱を取り出し中を開ける。
赤く光る結晶。レリックだ
「レリック?」
「そうや、ゆりかごで回収してRHdのコアを作った時の余り。これが最後の欠片」
「でも…借りられなかったんじゃ」
「うん借りてないよ。貰ってきた。」
「!?」
「フェイトさんに連絡貰ってからロストロギアの譲渡する手続きを調べて朝からみんなで手分けして全部の申請をしてきましたですよ。」
ロストロギアってそんなに簡単に貰える物ではない。ヴィヴィオのデバイスを作る際ですら本局と地上本部を何度往復したことか…
「手分けって言っても本局と地上本部で殆ど片付いちゃったんですけどね」
「シグナム~っ」
シグナムを涙目で睨むフェイト
「嘘は言っていないぞ。私達はヴィヴィオに貸しを作りたいだけだからな」
「でも…レリック何に使うん? RHdの強化?」
「さぁ?」
はやてに聞かれてなのは自身、そう言って首を傾げた。
~コメント~
もし高町ヴィヴィオがなのはvividの世界に行ってしまったら?
今話は端役になっていたフェイトメインの話でした。
目を離したら色んな事件に巻き込まれるヴィヴィオって良く考えてみると某探偵事務所に預けられている某少年に似てるかも。
お絵かき用のペンと紙、アリシアに似た筆跡だけしか証拠は無いからあくまでも可能性。
こっちにアリシアは居ないから調べる事も出来ない。
でも何らかの事件にここのヴィヴィオが巻き込まれているのに、ヴィヴィオが普通に生活していれば相手は何らかの動きを見せる筈。ずっとそれを警戒していた。
でも、今の様に狙えるタイミングをわざと作っていても何も起こらない。
(わかってもどうしようもないんだけど…)
こっちの刻の魔導書が使えない以上、出来る事はない。
「全部私の勝手な推測です。だからこっちに居る間私も何かをしたいんです。アインハルトさん、カイザーアーツ…私に教えてくれませんか? 本格的に」
彼女の練習を見ていて一朝一夕で得られる物ではないのは判っている。でも訓練と実践では得る経験は絶対的に違う。彼女が求めているのはあくまでも守る為の強さ。だからそれを学びたいと思った。
驚いた顔をするアインハルト、しかし口には笑みが浮かんでいた。
「すみません、私の…カイザーアーツは教えられません。それに…ヴィヴィオさんに教えるのは私じゃありません。そうですね。」
「ああ、そうだ。」
「!?」
バッと振り返るとノーヴェが立っていた。
「2人になってからずっと後ろを付いてこられてたんですよ。気づきませんでした?」
全然気づかなかった。
「話は聞かせて貰った。なのはさん達やスバル、リオとコロナにも黙っていてやる。あたしの特訓は厳しいぞ。覚悟はいいな」
「うん…じゃなかった、はいっ!」
「お、おじゃまします。」
一方で…ヴィヴィオは初めて来た家の様にカチンコチンになっていた。家に入ってからリビングに居ても背筋を伸ばしたまま座っている。
「ヴィヴィオ、ここはヴィヴィオの家なんだからそんなに固くならないで。」
「はい、なのはママ…じゃなかった。なのはさん」
「私はヴィヴィオにとってママだからなのはママでいいよ。ヴィヴィオも私がヴィヴィオさんって呼ぶのは変でしょ。」
頷くヴィヴィオ
「じゃあ、そういう事で。プレシアさん家に遊びに行く予定もなくなっちゃったし、フェイトちゃんも出かけちゃったから…ヴィヴィオどうする? そうだ一緒にお風呂に入ろうか」
「はい、…じゃなくてうん」
(違う世界に来てきっと心細いのに、私に心配させないようにって…ヴィヴィオはやっぱりヴィヴィオだ)
目の前の彼女の様子を見ながらなのはは思った。
同じ頃
【ピンポーン】
「はーい…フェイト、どうしたの? こんな夜遅く」
「エイミィ、いきなり来てゴメンね。あの…母さんまだ起きてるかな?」
クラナガン郊外にある、ハラオウン邸にフェイトはやってきていた。
「まだ起きてるけど…何でもいいや、入って入って」
玄関に出てきたエイミィに中へ促され家の中に入る。
「フェイト?」
「母さん、久しぶりです。」
リビングに行くとリンディは就寝前のお茶を飲んでいた。変わった時間に来た珍客に少し驚いている。
「あの…クロノは?」
「只今旦那様は航海の真っ最中、アルフは子供達を寝かしつけてそのまま寝ちゃったんじゃないかな。何か困り事? 連絡取ろうか?」
丁度良かった、彼女達しか居ないのは不幸中の幸い。
「ううん…母さんに相談があって…回収されたロストロギア、何とかして手に入れられないかな?」
「「……」」
2人とも黙ってしまう。
「……」
「「…ロストロギア?」」
「うん。」
「「どうして?」」
リンディもエイミィも合わせた様に聞いてくる。そういう反応しか出来ないだろうとは考えていたから、事情を話した。
「今朝姉さん…アリシアから連絡があったんです。ヴィヴィオが居なくなったって。プレシア母さんが言うには私達が行けない異世界に行っちゃって戻って来られないんだって。」
「ええっ!? ヴィヴィオが行方不明!」
「最後まで話を聞きましょう。続けてフェイト」
「はい、姉さんがそれを知って泣いちゃって。チェントが気を遣って異世界のヴィヴィオをこっちに呼んでしまったんです。異世界のヴィヴィオとここのヴィヴィオが入れ替わったんじゃないかって。」
「入れ替わった…ヴィヴィオが?」
「はい、それで問題を解決する為にゆりかごで回収したレリック片が必要なんです。」
フェイト自身も事態を全部知っている訳ではないから、上手く事情を話せたとも思えない。
「幾つか回収されたレリックの完全体ではなくて、ゆりかごで回収したレリック片が必要なのね?」
「はい、それも急いで。母さんならどこに保管されてるのか知ってますよね?」
本局執務官であるフェイトがミッドで回収されたロストロギアがどこにあるのか詳しくは知らない。
教えて貰ってそこから少しの間借りられたらと考えたのだ。理由はこの際事件の関係資料名目といったところか。
後で知られたら免職どころか犯罪者になってしまう。
エイミイが腕を組みウ~ンと唸り、リンディも手元のティーカップを手にとって何か考えている。
「私も場所は知ってるよ。でもフェイト、聞いたらすぐ取りに行くつもりでしょ。適当な理由をつけて…クロノが居たら真っ先に反対するだろうね。『執務官の職務を何だと思ってるんだ』って。でもヴィヴィオの為?」
沈黙で答える。
「そうね~じゃあ、使っちゃった事にしましょうか」
「…え?」
リンディが何を言ってるのか判らない。キョトンと彼女を見つめているとおもむろに端末を引き出し誰かを呼び出す。
『はい~、八神です。』
「はやてさん、夜遅くにごめんなさいね。1つお願いがあるの」
「はやて?」
呼び出したのは何とはやてだった。寝ぼけ眼をゴシゴシっとこすってモニタを見て驚いた後
『リンディ提督、エイミィさん久しぶりです。フェイトちゃんもいるん? それでお願い事というのは何です。』
起きたらしい。
「地上本部で保管しているレリックの欠片を譲って貰えないかしら。名目は…そうね~ある女の子の為と言うところかしら。」
『…レリックじゃなくてレリックの欠片ですか?』
「ええそうよ、ゆりかごで回収されたレリックの欠片」
黙ってしまうはやて。暫く無言の時間が過ぎて
『判りました。明日朝1番に彼女の所へ持って行ったらいいですか?』
「ええ、お願いね。」
それだけで話が通じていた。
『フェイトちゃんもなのはちゃんも水くさいな~。困ってるならちゃんと話してな。リンディ提督、後は任せて下さい』
そう言うとはやてはモニタを切ってしまった。
「はやてちゃん、アレだけでわかったんだ。」
「深夜の直接通信、フェイトも居たのだから十分よ。レリックだと無理させてしまうけれど、欠片だけなら…デバイスのコアにした位だもの」
そうだった。
「はやてさん流石よね。じゃあフェイト、あなたは何をしないといけないのかわかるかしら?」
リンディとはやての会話とエイミィに言われた事で自覚した。
「帰って休みます…」
「正解。執務官の仕事は大変だし、ヴィヴィオが居なくなって心配でたまらないと思うけれどきちんと休まないと視野を広く持てないわよ。あなたもなのはさんもね」
彼女の言う通りヴィヴィオが居なくなって狼狽していたとは言えリンディに聞く前にはやてに言えば良かったのだ。
「それにね、私達はみんなヴィヴィオに助けて貰ってるの。フェイトが私の娘になったのも、はやてさん達が管理局に居るのも彼女が居なければ…。はやてさんじゃないけれど水くさいわね。」
「本当に…そうですね。」
リンディが笑いながら言った言葉に苦笑して頷いた。
翌朝、なのははフェイトとヴィヴィオを連れ再びプレシアの研究所へ来ていた。プレシア達は全員泊まり込みだったらしく、アリシアが眠そうな顔でなのは達にごきげんようと挨拶し、そのまま顔を洗いに行ってしまう。
「…大変そうだね。」
彼女の姿にヴィヴィオがポツリと洩らす。丁度その時
「おはようございます。なのはちゃん達も来たんやね」
後ろから声をかけられて振り返ると陸士隊の制服を着たはやてが手を上げていた。
「おはようはやてちゃん。みんなまで、どうして?」
はやてと一緒に居たのはシグナム、シャマル、ヴィータ、リインとザフィーラまでいる。守護騎士全員。
「はやて、レリック借りられなかったの? シグナム?」
「すまない、頼まれていた物は借りられなかった。」
「ごめんなさいね」
「そんな…」
フェイトの呟きと共に一瞬目の前が真っ暗になった。
「みんな、こんな時にからかったら後知らんよ。フェイトちゃん、頼まれてた物はこれでええな」
そう言ってポケットから小さな金属製の箱を取り出し中を開ける。
赤く光る結晶。レリックだ
「レリック?」
「そうや、ゆりかごで回収してRHdのコアを作った時の余り。これが最後の欠片」
「でも…借りられなかったんじゃ」
「うん借りてないよ。貰ってきた。」
「!?」
「フェイトさんに連絡貰ってからロストロギアの譲渡する手続きを調べて朝からみんなで手分けして全部の申請をしてきましたですよ。」
ロストロギアってそんなに簡単に貰える物ではない。ヴィヴィオのデバイスを作る際ですら本局と地上本部を何度往復したことか…
「手分けって言っても本局と地上本部で殆ど片付いちゃったんですけどね」
「シグナム~っ」
シグナムを涙目で睨むフェイト
「嘘は言っていないぞ。私達はヴィヴィオに貸しを作りたいだけだからな」
「でも…レリック何に使うん? RHdの強化?」
「さぁ?」
はやてに聞かれてなのは自身、そう言って首を傾げた。
~コメント~
もし高町ヴィヴィオがなのはvividの世界に行ってしまったら?
今話は端役になっていたフェイトメインの話でした。
目を離したら色んな事件に巻き込まれるヴィヴィオって良く考えてみると某探偵事務所に預けられている某少年に似てるかも。
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