As10 輝きは空へ
「ここをこうすれば…でも…う~ん」
授業間の休み時間、アリシアがクラスメイトと話していると何かを追いかける様に手を握ったり開いたりするヴィヴィオが視界に入った。
(何かの練習?)
「なにしてるの?」
思わず近くに行って聞いてみる。
「え、あっ、えっとね新しい検索魔法作れないかなって」
授業間の休み時間、アリシアがクラスメイトと話していると何かを追いかける様に手を握ったり開いたりするヴィヴィオが視界に入った。
(何かの練習?)
「なにしてるの?」
思わず近くに行って聞いてみる。
「え、あっ、えっとね新しい検索魔法作れないかなって」
「ふ~ん」
魔法はプログラムだから簡単な物を作るのはそれ程難しくはない。でもそれは魔力・リンカーコアを持っていて魔法が使える人に限られた話。アリシアもどんな風に作るのかは知っているけど魔力そのものが無いから使えない。
それにしても手で何かを追いかけているような…
「本当に検索魔法? 何か…例えばクロスファイアシュートの応用とか考えてない?」
クロスファイアシュート、元々彼女の母とその彼女に教導を受けた局員のオリジナル魔法だそうだが、応用しやすく使い勝手もいいからかヴィヴィオは模擬戦や関わった事件でもよく使っていた。
更にもっと良い使い方がないのかとか考えてると思ったのだけれど
「ええっ、ムリムリムリッ! あの魔法制御すっごく大変なんだから。」
「だよね…」
1個の魔法球を操作するだけでも凄く難しいのにクロスファイアシュートはそれを数個まとめて制御、集束して砲撃魔法に切り替えるのだ。威力や速度、状況によって切り替えるのだからどれ位大変なのかも検討がつかない。
ブンブン首を振って否定された。考えていた魔法とは違うらしい。
その時授業開始のチャイムが鳴り先生が教室に入ってくる。
「じゃあ出来たら見せて」
「うん」
(でも一体なんの魔法なんだろ?)
(ヴィヴィオ? 何かの遊びでしょうか?)
聖王教会へと戻る途中でシャッハはヴィヴィオを見かけた。声をかけようと喉の手前まで言葉が出かかった時、彼女が手を交差させたり伸ばしたりと旗から見れば踊っている様にも見える。
「ヴィヴィオ~」
「あっ、シスターシャッハ。ごきげんよう」
「ごきげんよう。少し前から見ていましたが、何かの踊りですか? 通りかかった人が首をかしげてましたよ」
「えっ、あっ…」
人通りがある道の往来だというのに気づいたのか赤面しうつむいてしまった。
「それで、何をしていたのですか?」
「シューター、魔法弾の遠隔操作なんですけど、もっと簡単に出来ないかなって」
「ああ、それでですね。てっきりその様な踊りがはやっているのかと」
踊っていたのではなく、両手で追いかける対象と追いかける魔法弾をイメージしていたようだ。
シャッハの戦闘スタイルは近接戦闘特化型。彼女の目指している操作がどの様なものかはわからない。でも、追いかけるのであれば…
「専門でないのでその辺りはよくわかりませんが、近接戦で高速戦闘が得意な魔導師が相手であればこちらが後を追っていても逃げられるか疲れるだけで不利にしかなりません。ですから動く先を読んで回り込むのも1つの方法です」
「そうか…そうですね。ありがとうございます! 何か出来そうです。」
「そうですか。頑張って下さい」
元気よく頭を下げた後、彼女は走っていってしまった。
シャッハはそれを笑顔で見送り、自らも教会戻ろうと歩き始める。
「……初等科の授業でそんな高度な魔法教えていたでしょうか?」
ふと思い出して彼女の行ってしまった影を見るのだった。
(ん? なにしてるんだろう?)
無限書庫でユーノ・スクライアが調べ物をしているとヴィヴィオが何かをしているのに気づいた。検索している風でも本を読んでいる風でもない。
「ヴィヴィオ、何してるんだい?」
「ユーノさん、えっと…新しい魔法出来ないかなって」
彼女が自らプログラムを考えているのは珍しい。
「へぇ~、どんな魔法?」
「えっと…同時に違うのを動かしたいんですけど…うまくいかなくて」
「プログラムの並列処理か…確かに難しいね。」
大人の魔導師でも難しい方法。でもその答えは簡単。
「そうだね…答えを教えるのはヴィヴィオの為にならないから僕からはヒントだけ。」
「今ヴィヴィオが考えてる魔法がどんな魔法かは判らないけれど、同時に違う魔法を使いたいならヴィヴィオだけがどんなに頑張っても難しいと思うな。」
「私…だけ?」
「そう、それはヴィヴィオが特別なんじゃなくて、僕もなのはもフェイトもみんなそう。でも僕達はみんなそれが出来る。ヴィヴィオもそれを知ってるんだよ。」
「ユーノさんやママ達も?」
キョトンとした眼で見つめる彼女に
「そう。頑張って考えてみて」
そう言って調査に戻った。
暫くして
「わかったーっ!!」
という彼女の声を聞き笑みを浮かべた。
「ただいま~、なのは、ヴィヴィオ…あれ、ヴィヴィオは?」
帰宅したフェイトが2人に言うと
「おかえり、フェイトちゃん。ヴィヴィオはもうおやすみ。無限書庫で何か頑張ってたみたい。」
「そうなんだ。」
帰った時に娘の顔が見れないのは残念と思いながらも彼女に何か頑張れる物が出来た事に嬉しくもあった。
「なのはは…もう平気?」
少し前まで彼女の表情が暗く何か思い詰めている様だった。でも先日リンディ達と何処かに行った後は吹っ切れた様に元の明るさを取り戻している。
「うん、もう大丈夫。フェイトちゃんありがとう。そうだ、昨日リンディさんにこれ貰ったんだけど一緒に飲まない?」
嬉しそうに小瓶を見せた。
(…なのは…違う意味でブレーキをかけないと大変だ)
「ちょっとだけだよ。朝ヴィヴィオが気づいちゃったら私まで怒られちゃう」
そう言ってキッチンからグラスを2つ持ってくる。
こういう大人の時間もたまにはいい。
同時刻、テスタロッサ家では
「ママおやすみなさい」
「おやすみなさい」
「アリシア、チェントおやすみなさい。」
寝室に行く2人を見送った後、フゥと一息ついてポンと端末を叩き周りにモニタを引き出す。
「これの製作者、本当に凄いわね…」
モニタに映っているのは刻の魔導書とバラバラになった紙片状態の写本。娘達が休んだ後プレシアはこの少しの時間を使って写本の修復をしていた。
今のプレシアにとって何より大切なものはアリシア達と過ごす時間。
2度と娘達に寂しい思いをさせない。
朝食を一緒に食べ2人と話す。学院に行くアリシアと一緒に出て、その後はチェントと共に研究所へ向かい昼食まではチンクに彼女を預け依頼をこなす。
昼食はチェントとチンクと3人で一緒に食べアリシアが学院から帰ってくるまでは再び研究に没頭する。遅くなる時はアリシアがチェントを連れ先に家に帰るけれど夕食までには必ず帰る。
そして夕食を食べながら2人から今日あった事を聞く。
施設1つを丸々1人で使っているのだからプレシアには暗に成果も求められる。しかし時間や体を犠牲にしてまでしようと思う昔の彼女はそこには居ない。
その結果何があるのかを身を以て知っているのだから。
でも…そんな彼女にも1つだけ気に掛かる事があった。
「私は時の庭園で死を覚悟した。あの時アリシアと一緒ならそれで良いと思ったわ。でも私は今から数年後のヴィヴィオに助けられた。」
目を瞑り記憶を辿る。時の庭園が崩壊し虚数空間に呑み込まれていく光景を、手を伸ばし助けようとするフェイトが遠ざかっているのを。
「もしあの時、ヴィヴィオが時空転移をして来ていたのなら私の体は今頃虚数空間に呑まれ、アリシアとリニスもあの場で眠った様になってあの場に体が残っている筈。」
『時空転移』は聖王特有の資質が無ければ使えない。しかも時空転移をした後には制約があって転移後、転移先の世界に居る場合は体を維持する為の魔力が必要になる。そして何より転移元には実体、眠ったままの身体が残ってしまう。
「魔法が使えないアリシア、転移すると向こうの体を維持しようとデバイスが魔力を使っていた…」
アリシアは何度かヴィヴィオと一緒に時空転移を経験している。事件解決後、彼女のデバイスを調べたらデバイスが予定以上に魔力を消費していたのに気づいた。調べていくと彼女が転移した後眠っている時だけ魔力を使っているのが判ったのだ。
それに気づいたからこそ異世界、闇の欠片事件に行く時はアリシアだけでなくチェントにもデバイスを渡した。チェントは魔力資質は持っているけれど、幼い身体で使うのは危険が伴う。
そこまで考えるとどうしても解けない問題が見えてくる。
「私達はどうしてこの時間に居られるの? 私はともかくアリシアもリニスも数年間の間体を維持する魔力は持っていないのに」
プレシアとアリシア、リニスを別時間から連れてきた魔法は当初時空転移だと考えていたけれど、【時空転移】とは大きく異なっている。
時空転移が時空を越えたコピー、複写であればプレシア達を連れてきた魔法はムーブ、移動。今彼女が使っている時空転移では元の身体に何かあれば影響を受けてしまう。
「見つけないと…未来の私達が居なくなってしまう」
見つけ彼女に伝えなければならない。時空転移ではない、時間と空間を越えた先の存在を移動させる魔法を。
彼女は遠き先のセピア色の夢を見る
傷つきならがも誰かを助けようとする少女の姿を、
家族や友と共に幸せな時間を過ごす少女の姿を、
瞳に強い力を宿した彼女は信じる道を進んでいく。
少女を中心に少しずつ広がっていく輪
少女が成長した時幼き子がその輪に加わり、
時を経て幼き子が少女と同じ位の年になり、
その少女もいつしか彼女同じく瞳に強き力を宿していた。
そして同じ様にその少女が中心に輪が広がっていく。
ある時いつの間にかその輪に入りたい、混ざりたいと思う心があった。
それが交差路を遙か先であったとしても…
~コメント~
AnotherStory~AdmixStory はヴィヴィオが主人公な話でした。
今話、As短編集はヴィヴィオも登場しますが、彼女の周りに居る家族や友達や見守る人達が主人公です。
ヴィヴィオと共に暮らすなのはやフェイト、クラスメイトのアリシア、アリシアの家族プレシアともう1人のマテリアル、チェント。八神はやてと守護騎士・リイン、ナカジマ家と聖王教会、無限書庫のユーノ、リンディやレティ、海鳴市に居る士郎・桃子等々
今までヴィヴィオ中心に書いてきて少しだけ違った視点でと思い、他キャラクターを重点に書かせて頂きました。
これで一旦短編集はおしまいです。最後までお付き合い頂きありがとうございました。
魔法はプログラムだから簡単な物を作るのはそれ程難しくはない。でもそれは魔力・リンカーコアを持っていて魔法が使える人に限られた話。アリシアもどんな風に作るのかは知っているけど魔力そのものが無いから使えない。
それにしても手で何かを追いかけているような…
「本当に検索魔法? 何か…例えばクロスファイアシュートの応用とか考えてない?」
クロスファイアシュート、元々彼女の母とその彼女に教導を受けた局員のオリジナル魔法だそうだが、応用しやすく使い勝手もいいからかヴィヴィオは模擬戦や関わった事件でもよく使っていた。
更にもっと良い使い方がないのかとか考えてると思ったのだけれど
「ええっ、ムリムリムリッ! あの魔法制御すっごく大変なんだから。」
「だよね…」
1個の魔法球を操作するだけでも凄く難しいのにクロスファイアシュートはそれを数個まとめて制御、集束して砲撃魔法に切り替えるのだ。威力や速度、状況によって切り替えるのだからどれ位大変なのかも検討がつかない。
ブンブン首を振って否定された。考えていた魔法とは違うらしい。
その時授業開始のチャイムが鳴り先生が教室に入ってくる。
「じゃあ出来たら見せて」
「うん」
(でも一体なんの魔法なんだろ?)
(ヴィヴィオ? 何かの遊びでしょうか?)
聖王教会へと戻る途中でシャッハはヴィヴィオを見かけた。声をかけようと喉の手前まで言葉が出かかった時、彼女が手を交差させたり伸ばしたりと旗から見れば踊っている様にも見える。
「ヴィヴィオ~」
「あっ、シスターシャッハ。ごきげんよう」
「ごきげんよう。少し前から見ていましたが、何かの踊りですか? 通りかかった人が首をかしげてましたよ」
「えっ、あっ…」
人通りがある道の往来だというのに気づいたのか赤面しうつむいてしまった。
「それで、何をしていたのですか?」
「シューター、魔法弾の遠隔操作なんですけど、もっと簡単に出来ないかなって」
「ああ、それでですね。てっきりその様な踊りがはやっているのかと」
踊っていたのではなく、両手で追いかける対象と追いかける魔法弾をイメージしていたようだ。
シャッハの戦闘スタイルは近接戦闘特化型。彼女の目指している操作がどの様なものかはわからない。でも、追いかけるのであれば…
「専門でないのでその辺りはよくわかりませんが、近接戦で高速戦闘が得意な魔導師が相手であればこちらが後を追っていても逃げられるか疲れるだけで不利にしかなりません。ですから動く先を読んで回り込むのも1つの方法です」
「そうか…そうですね。ありがとうございます! 何か出来そうです。」
「そうですか。頑張って下さい」
元気よく頭を下げた後、彼女は走っていってしまった。
シャッハはそれを笑顔で見送り、自らも教会戻ろうと歩き始める。
「……初等科の授業でそんな高度な魔法教えていたでしょうか?」
ふと思い出して彼女の行ってしまった影を見るのだった。
(ん? なにしてるんだろう?)
無限書庫でユーノ・スクライアが調べ物をしているとヴィヴィオが何かをしているのに気づいた。検索している風でも本を読んでいる風でもない。
「ヴィヴィオ、何してるんだい?」
「ユーノさん、えっと…新しい魔法出来ないかなって」
彼女が自らプログラムを考えているのは珍しい。
「へぇ~、どんな魔法?」
「えっと…同時に違うのを動かしたいんですけど…うまくいかなくて」
「プログラムの並列処理か…確かに難しいね。」
大人の魔導師でも難しい方法。でもその答えは簡単。
「そうだね…答えを教えるのはヴィヴィオの為にならないから僕からはヒントだけ。」
「今ヴィヴィオが考えてる魔法がどんな魔法かは判らないけれど、同時に違う魔法を使いたいならヴィヴィオだけがどんなに頑張っても難しいと思うな。」
「私…だけ?」
「そう、それはヴィヴィオが特別なんじゃなくて、僕もなのはもフェイトもみんなそう。でも僕達はみんなそれが出来る。ヴィヴィオもそれを知ってるんだよ。」
「ユーノさんやママ達も?」
キョトンとした眼で見つめる彼女に
「そう。頑張って考えてみて」
そう言って調査に戻った。
暫くして
「わかったーっ!!」
という彼女の声を聞き笑みを浮かべた。
「ただいま~、なのは、ヴィヴィオ…あれ、ヴィヴィオは?」
帰宅したフェイトが2人に言うと
「おかえり、フェイトちゃん。ヴィヴィオはもうおやすみ。無限書庫で何か頑張ってたみたい。」
「そうなんだ。」
帰った時に娘の顔が見れないのは残念と思いながらも彼女に何か頑張れる物が出来た事に嬉しくもあった。
「なのはは…もう平気?」
少し前まで彼女の表情が暗く何か思い詰めている様だった。でも先日リンディ達と何処かに行った後は吹っ切れた様に元の明るさを取り戻している。
「うん、もう大丈夫。フェイトちゃんありがとう。そうだ、昨日リンディさんにこれ貰ったんだけど一緒に飲まない?」
嬉しそうに小瓶を見せた。
(…なのは…違う意味でブレーキをかけないと大変だ)
「ちょっとだけだよ。朝ヴィヴィオが気づいちゃったら私まで怒られちゃう」
そう言ってキッチンからグラスを2つ持ってくる。
こういう大人の時間もたまにはいい。
同時刻、テスタロッサ家では
「ママおやすみなさい」
「おやすみなさい」
「アリシア、チェントおやすみなさい。」
寝室に行く2人を見送った後、フゥと一息ついてポンと端末を叩き周りにモニタを引き出す。
「これの製作者、本当に凄いわね…」
モニタに映っているのは刻の魔導書とバラバラになった紙片状態の写本。娘達が休んだ後プレシアはこの少しの時間を使って写本の修復をしていた。
今のプレシアにとって何より大切なものはアリシア達と過ごす時間。
2度と娘達に寂しい思いをさせない。
朝食を一緒に食べ2人と話す。学院に行くアリシアと一緒に出て、その後はチェントと共に研究所へ向かい昼食まではチンクに彼女を預け依頼をこなす。
昼食はチェントとチンクと3人で一緒に食べアリシアが学院から帰ってくるまでは再び研究に没頭する。遅くなる時はアリシアがチェントを連れ先に家に帰るけれど夕食までには必ず帰る。
そして夕食を食べながら2人から今日あった事を聞く。
施設1つを丸々1人で使っているのだからプレシアには暗に成果も求められる。しかし時間や体を犠牲にしてまでしようと思う昔の彼女はそこには居ない。
その結果何があるのかを身を以て知っているのだから。
でも…そんな彼女にも1つだけ気に掛かる事があった。
「私は時の庭園で死を覚悟した。あの時アリシアと一緒ならそれで良いと思ったわ。でも私は今から数年後のヴィヴィオに助けられた。」
目を瞑り記憶を辿る。時の庭園が崩壊し虚数空間に呑み込まれていく光景を、手を伸ばし助けようとするフェイトが遠ざかっているのを。
「もしあの時、ヴィヴィオが時空転移をして来ていたのなら私の体は今頃虚数空間に呑まれ、アリシアとリニスもあの場で眠った様になってあの場に体が残っている筈。」
『時空転移』は聖王特有の資質が無ければ使えない。しかも時空転移をした後には制約があって転移後、転移先の世界に居る場合は体を維持する為の魔力が必要になる。そして何より転移元には実体、眠ったままの身体が残ってしまう。
「魔法が使えないアリシア、転移すると向こうの体を維持しようとデバイスが魔力を使っていた…」
アリシアは何度かヴィヴィオと一緒に時空転移を経験している。事件解決後、彼女のデバイスを調べたらデバイスが予定以上に魔力を消費していたのに気づいた。調べていくと彼女が転移した後眠っている時だけ魔力を使っているのが判ったのだ。
それに気づいたからこそ異世界、闇の欠片事件に行く時はアリシアだけでなくチェントにもデバイスを渡した。チェントは魔力資質は持っているけれど、幼い身体で使うのは危険が伴う。
そこまで考えるとどうしても解けない問題が見えてくる。
「私達はどうしてこの時間に居られるの? 私はともかくアリシアもリニスも数年間の間体を維持する魔力は持っていないのに」
プレシアとアリシア、リニスを別時間から連れてきた魔法は当初時空転移だと考えていたけれど、【時空転移】とは大きく異なっている。
時空転移が時空を越えたコピー、複写であればプレシア達を連れてきた魔法はムーブ、移動。今彼女が使っている時空転移では元の身体に何かあれば影響を受けてしまう。
「見つけないと…未来の私達が居なくなってしまう」
見つけ彼女に伝えなければならない。時空転移ではない、時間と空間を越えた先の存在を移動させる魔法を。
彼女は遠き先のセピア色の夢を見る
傷つきならがも誰かを助けようとする少女の姿を、
家族や友と共に幸せな時間を過ごす少女の姿を、
瞳に強い力を宿した彼女は信じる道を進んでいく。
少女を中心に少しずつ広がっていく輪
少女が成長した時幼き子がその輪に加わり、
時を経て幼き子が少女と同じ位の年になり、
その少女もいつしか彼女同じく瞳に強き力を宿していた。
そして同じ様にその少女が中心に輪が広がっていく。
ある時いつの間にかその輪に入りたい、混ざりたいと思う心があった。
それが交差路を遙か先であったとしても…
~コメント~
AnotherStory~AdmixStory はヴィヴィオが主人公な話でした。
今話、As短編集はヴィヴィオも登場しますが、彼女の周りに居る家族や友達や見守る人達が主人公です。
ヴィヴィオと共に暮らすなのはやフェイト、クラスメイトのアリシア、アリシアの家族プレシアともう1人のマテリアル、チェント。八神はやてと守護騎士・リイン、ナカジマ家と聖王教会、無限書庫のユーノ、リンディやレティ、海鳴市に居る士郎・桃子等々
今までヴィヴィオ中心に書いてきて少しだけ違った視点でと思い、他キャラクターを重点に書かせて頂きました。
これで一旦短編集はおしまいです。最後までお付き合い頂きありがとうございました。
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