第12話「ヴィヴィオにあるもの」
- リリカルなのは AffectStory > 第2章 3人の聖王
- by ima
- 2012.02.10 Friday 21:30
「ヴィヴィオ、魔法の制御能力が落ちて動きも鈍いです。今日は終わりにしましょう。」
「ハァハァハァ…」
(SSランクなんて言われて私…浮かれてた)
傷だらけで泥だらけ…いつもデバイスに助けられてるのに気づいてなかった。
(一緒に戦ってると思ってたけど、私だけじゃ何も出来なかった)
ジュエルシード事件でフェイトと戦って、時の庭園でジュエルシードを封印した時も
闇の書事件ではやてを助けようとリインフォースと戦った時も
チェントを追いかけて元の時間に戻そうとした時も
マテリアルを抑えて闇の書の復活を止めようとした時も
1人じゃなくてずっとRHdが一緒だったからなんとかなった…それを忘れて…
「ハァハァハァ…」
(SSランクなんて言われて私…浮かれてた)
傷だらけで泥だらけ…いつもデバイスに助けられてるのに気づいてなかった。
(一緒に戦ってると思ってたけど、私だけじゃ何も出来なかった)
ジュエルシード事件でフェイトと戦って、時の庭園でジュエルシードを封印した時も
闇の書事件ではやてを助けようとリインフォースと戦った時も
チェントを追いかけて元の時間に戻そうとした時も
マテリアルを抑えて闇の書の復活を止めようとした時も
1人じゃなくてずっとRHdが一緒だったからなんとかなった…それを忘れて…
じゃあ…私だけの力だったら…
「RHdジャケット解除、ガードと魔力のアシストだけおねがい。」
ジャケットと胸のアーマーを解除した。
「ハァアアアッ!」
驚いたオリヴィエの顔が見えた後、私は意識を失った。
「ん…あ、れ…ここは?」
目覚めると見知った天井があった。体全体が暖かい。
「起きたのね。あと少し、そのまま動かないで。」
声のする方を向くとそこにはコートを羽織ったシャマルが居た。暖かいのは彼女の治癒魔法を受けているかららしい。暫く動かずに緑色の光を受ける。
そして光が消えた後、ベッドから体を起こして腕を回してみるが得に痛む所もない。
「ありがとうございます。シャマル先生」
「シグナムとシャッハが見ていてこんなになるまで止めないなんて…何を考えてるのかしら。全くもう」
(それに乗った私も私なんですけど…)
怒る彼女に思わず苦笑する。
「聖王女もそうよ。ヴィヴィオにここまでするなんて。アリシアちゃんとチェントちゃんも近くに居たんでしょ。全身に数え切れない打撲、左腕なんて折れて肩も外れてたんだから」
「そこまで…」
青ざめて左腕に触れる。
「全部治したけど、その分体力使っちゃってるから今日は無理しないでね。」
「はい」
「じゃあ、みんなロビーで待ってるから行きましょうか」
服を着た後シャマルの手を取り部屋を出る。
ロビーでヴィヴィオの姿が見えた時、オリヴィエが立ち上がりこっちへ走ってきた。
「すみません。最後にまさか防御を全て切ってくるとは思わず…腕を…」
左腕の脱臼と骨折はその時受けたらしい。
「ううん、私が意地になって行っちゃったから…心配かけてゴメンね。アリシア、チェントも心配させてごめん。」
頭が冷えたヴィヴィオには彼女が何をしたかったのか判っていた。
鍛えようとしてくれていたのだ。
聖王の力を持つヴィヴィオには直接教え、まだ幼いもう1人の聖王にはその様子を見させる、アリシアにはそれを後で伝える為に。
でも、彼女が考えた方法は…
(多分…怖がってるよね…)
アリシアの裾を握りしめたまま話さない少女を見てその思いが当たっていると感じた。
「無茶するんだから…チェントも怖かったよね…」
模擬戦が終わった後でヴィヴィオが起きるまでの間、アリシアはチェントと共にオリヴィエから離れた場所で待っていた。
オリヴィエの様子を間近で見ていたチェントにとって、彼女は怖い人、ヴィヴィオを虐める人に映ったらしい、彼女と目が合う度に抱きついてきて震えていた。
いくら大丈夫と言われても目の前で模擬戦されたらそうもなる。アリシアも動かなかったのではなく怖くて動けなかったのだから。彼女はもっと怖かったに違いない。
それが判るから彼女がこっちを向くとキッとにらみ返す。
ヴィヴィオの生活を変えるような事をすれば敵になる。そう彼女に言った。
ヴィヴィオに怪我させるなんて…少しでも話かけられようものなら怒りから彼女の頬を思いっきり叩いてやりたい。そんな気持ちだった。
「大丈夫、お姉ちゃんが守ってあげるから…大丈夫。」
震える妹を優しく抱きしめ、落ち着くのを待つ。
「・・・こんなに…絶対許さないんだから…」
その夜、ヴィヴィオはベッドで寝転びながらオリヴィエとの模擬戦を思い出していた。
「動きは全部見きられていた。ノーヴェに教わった通り考えていたのに…」
再戦を挑んでも結果は同じだろう。彼女の強さは一朝一夕で越えられるものじゃない…
同じ戦法は使えない。
「私と同じなのに…オリジナルとの違いなのかな…」
遺伝子レベルで同じ筈なのに、ここまで違うのはショックだった。
「オリヴィエさんが持って無くて…私にあるもの…ママ達…友達…」
同じ方法では向かい合う事すら出来ない。彼女と違う所、オリヴィエになくてヴィヴィオにあるもの…ころんと寝返りをうつ。その時目に入ったのは…
「…そうか一緒になって戦えばいいんだ。そうだよねレイジングハート…」
最後は1人で向かっていって負けた。
力を借りるんじゃない…なのはやフェイト達の想いを受けた力。1人で勝てなくても一緒に向かっていけば…
「レイジングハート、もう1度私と一緒に頑張ってくれる?」
【If you wish. It is my wish. (私の願いも同じです。)】
「2人で勝とう、オリヴィエさんに」
【Yes.my master】
彼女の真似をしても敵わない。彼女にはなくてヴィヴィオにはあるもの。それをぶつけるのだ。全力全開で
数日後、ヴィヴィオの姿は元機動6課の訓練エリアにあった。
隊舎にはオリヴィエやアリシアとチェントだけでなく、なのはとフェイト、話を聞きつけたシグナムとシャッハとオットー、更に
「ヴィヴィオが模擬戦するって聞きまして。あの魔法が見られるかなって」
私服姿のティアナの姿もあった。
「使って欲しくないんだけどね…でもどうしてここを選んだんだろう? オリヴィエさんの立場考えたら教会の方が良い筈なのに…」
全員が首を傾げる。
「んっ…いっち、にー」
1人で柔軟体操をするヴィヴィオ。
ここを選んだのは幾つか理由がある。
アリシアとチェントはセンサーとカメラを通して見れるからヴィヴィオもオリヴィエも気にせず動けるし2人も怖くない。それにここ広くて周りを気にせずに済むし高レベル魔導師教導用の訓練施設だから他の場所より頑丈だ。
そして…
「ここは私が私を始めた場所。マテリアルでも聖王ヴィヴィオでもない、高町ヴィヴィオとして」
ここが私の出発地点。
「用意はできましたか?」
オリヴィエが監視室から出て来た。
「うん、準備OK。いつでも始められるよ。」
「では始めましょう。期待を裏切らないでくださいね」
「頑張ります」
互いに拳をコンッと打ち付けた後、少し離れる。
「いくよ、レイジングハートセェエエットアーップ!!」
虹色の光の柱に身を包まれた後、騎士甲冑姿のヴィヴィオが立っていた。
最初から全力で。
「先ずは手始めっ」
オリヴィエが構えるのと同時に8つの魔法球を作り出し高速回転させる。そして
「クロスファイアァアア、シュートッ!」
【ドォオオオオオオンッ!!!!】
魔法弾が集束し生まれた砲撃魔法はそのまま伸びてオリヴィエに直撃した。
~コメント~
もしオリヴィエがヴィヴィオの世界にやってきたら?
オリヴィエの意図が垣間見れる回でした。
最近すごく寒くなってきてインフルエンザにかかる方が増えています。今年はA・B型の2種類が多いそうなので皆様もお気をつけ下さい。来週はそんな関係で更新はお休みになります。(私はかかってませんが周りで何人かかかってしまいました)
「RHdジャケット解除、ガードと魔力のアシストだけおねがい。」
ジャケットと胸のアーマーを解除した。
「ハァアアアッ!」
驚いたオリヴィエの顔が見えた後、私は意識を失った。
「ん…あ、れ…ここは?」
目覚めると見知った天井があった。体全体が暖かい。
「起きたのね。あと少し、そのまま動かないで。」
声のする方を向くとそこにはコートを羽織ったシャマルが居た。暖かいのは彼女の治癒魔法を受けているかららしい。暫く動かずに緑色の光を受ける。
そして光が消えた後、ベッドから体を起こして腕を回してみるが得に痛む所もない。
「ありがとうございます。シャマル先生」
「シグナムとシャッハが見ていてこんなになるまで止めないなんて…何を考えてるのかしら。全くもう」
(それに乗った私も私なんですけど…)
怒る彼女に思わず苦笑する。
「聖王女もそうよ。ヴィヴィオにここまでするなんて。アリシアちゃんとチェントちゃんも近くに居たんでしょ。全身に数え切れない打撲、左腕なんて折れて肩も外れてたんだから」
「そこまで…」
青ざめて左腕に触れる。
「全部治したけど、その分体力使っちゃってるから今日は無理しないでね。」
「はい」
「じゃあ、みんなロビーで待ってるから行きましょうか」
服を着た後シャマルの手を取り部屋を出る。
ロビーでヴィヴィオの姿が見えた時、オリヴィエが立ち上がりこっちへ走ってきた。
「すみません。最後にまさか防御を全て切ってくるとは思わず…腕を…」
左腕の脱臼と骨折はその時受けたらしい。
「ううん、私が意地になって行っちゃったから…心配かけてゴメンね。アリシア、チェントも心配させてごめん。」
頭が冷えたヴィヴィオには彼女が何をしたかったのか判っていた。
鍛えようとしてくれていたのだ。
聖王の力を持つヴィヴィオには直接教え、まだ幼いもう1人の聖王にはその様子を見させる、アリシアにはそれを後で伝える為に。
でも、彼女が考えた方法は…
(多分…怖がってるよね…)
アリシアの裾を握りしめたまま話さない少女を見てその思いが当たっていると感じた。
「無茶するんだから…チェントも怖かったよね…」
模擬戦が終わった後でヴィヴィオが起きるまでの間、アリシアはチェントと共にオリヴィエから離れた場所で待っていた。
オリヴィエの様子を間近で見ていたチェントにとって、彼女は怖い人、ヴィヴィオを虐める人に映ったらしい、彼女と目が合う度に抱きついてきて震えていた。
いくら大丈夫と言われても目の前で模擬戦されたらそうもなる。アリシアも動かなかったのではなく怖くて動けなかったのだから。彼女はもっと怖かったに違いない。
それが判るから彼女がこっちを向くとキッとにらみ返す。
ヴィヴィオの生活を変えるような事をすれば敵になる。そう彼女に言った。
ヴィヴィオに怪我させるなんて…少しでも話かけられようものなら怒りから彼女の頬を思いっきり叩いてやりたい。そんな気持ちだった。
「大丈夫、お姉ちゃんが守ってあげるから…大丈夫。」
震える妹を優しく抱きしめ、落ち着くのを待つ。
「・・・こんなに…絶対許さないんだから…」
その夜、ヴィヴィオはベッドで寝転びながらオリヴィエとの模擬戦を思い出していた。
「動きは全部見きられていた。ノーヴェに教わった通り考えていたのに…」
再戦を挑んでも結果は同じだろう。彼女の強さは一朝一夕で越えられるものじゃない…
同じ戦法は使えない。
「私と同じなのに…オリジナルとの違いなのかな…」
遺伝子レベルで同じ筈なのに、ここまで違うのはショックだった。
「オリヴィエさんが持って無くて…私にあるもの…ママ達…友達…」
同じ方法では向かい合う事すら出来ない。彼女と違う所、オリヴィエになくてヴィヴィオにあるもの…ころんと寝返りをうつ。その時目に入ったのは…
「…そうか一緒になって戦えばいいんだ。そうだよねレイジングハート…」
最後は1人で向かっていって負けた。
力を借りるんじゃない…なのはやフェイト達の想いを受けた力。1人で勝てなくても一緒に向かっていけば…
「レイジングハート、もう1度私と一緒に頑張ってくれる?」
【If you wish. It is my wish. (私の願いも同じです。)】
「2人で勝とう、オリヴィエさんに」
【Yes.my master】
彼女の真似をしても敵わない。彼女にはなくてヴィヴィオにはあるもの。それをぶつけるのだ。全力全開で
数日後、ヴィヴィオの姿は元機動6課の訓練エリアにあった。
隊舎にはオリヴィエやアリシアとチェントだけでなく、なのはとフェイト、話を聞きつけたシグナムとシャッハとオットー、更に
「ヴィヴィオが模擬戦するって聞きまして。あの魔法が見られるかなって」
私服姿のティアナの姿もあった。
「使って欲しくないんだけどね…でもどうしてここを選んだんだろう? オリヴィエさんの立場考えたら教会の方が良い筈なのに…」
全員が首を傾げる。
「んっ…いっち、にー」
1人で柔軟体操をするヴィヴィオ。
ここを選んだのは幾つか理由がある。
アリシアとチェントはセンサーとカメラを通して見れるからヴィヴィオもオリヴィエも気にせず動けるし2人も怖くない。それにここ広くて周りを気にせずに済むし高レベル魔導師教導用の訓練施設だから他の場所より頑丈だ。
そして…
「ここは私が私を始めた場所。マテリアルでも聖王ヴィヴィオでもない、高町ヴィヴィオとして」
ここが私の出発地点。
「用意はできましたか?」
オリヴィエが監視室から出て来た。
「うん、準備OK。いつでも始められるよ。」
「では始めましょう。期待を裏切らないでくださいね」
「頑張ります」
互いに拳をコンッと打ち付けた後、少し離れる。
「いくよ、レイジングハートセェエエットアーップ!!」
虹色の光の柱に身を包まれた後、騎士甲冑姿のヴィヴィオが立っていた。
最初から全力で。
「先ずは手始めっ」
オリヴィエが構えるのと同時に8つの魔法球を作り出し高速回転させる。そして
「クロスファイアァアア、シュートッ!」
【ドォオオオオオオンッ!!!!】
魔法弾が集束し生まれた砲撃魔法はそのまま伸びてオリヴィエに直撃した。
~コメント~
もしオリヴィエがヴィヴィオの世界にやってきたら?
オリヴィエの意図が垣間見れる回でした。
最近すごく寒くなってきてインフルエンザにかかる方が増えています。今年はA・B型の2種類が多いそうなので皆様もお気をつけ下さい。来週はそんな関係で更新はお休みになります。(私はかかってませんが周りで何人かかかってしまいました)
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