~刻の移り人外伝~ 第1話 「師匠と呼ばせてっ」
近い未来時間軸同士が衝突する。
ヴィヴィオはそれを回避すべくなのは達を連れて異世界の海鳴市にやってきた。これは深刻な事件の傍らで暇を持て余した者達が織りなす少し変わったお話です。
「あ~もう、毎日船内待機なんて言われたら気が滅入っちゃうよ。」
商店街のアーケードを2人の女性が通り抜ける。
すれ違った者は全員その姿に歩みを止め振り返る。
2人とも妙齢で目に留まる位綺麗な女性。それだけなら異性が振り返っているのだが老若男女が歩みを止めたのは彼女達の服装だった。
ヴィヴィオはそれを回避すべくなのは達を連れて異世界の海鳴市にやってきた。これは深刻な事件の傍らで暇を持て余した者達が織りなす少し変わったお話です。
「あ~もう、毎日船内待機なんて言われたら気が滅入っちゃうよ。」
商店街のアーケードを2人の女性が通り抜ける。
すれ違った者は全員その姿に歩みを止め振り返る。
2人とも妙齢で目に留まる位綺麗な女性。それだけなら異性が振り返っているのだが老若男女が歩みを止めたのは彼女達の服装だった。
「居住性は良いですよ」
「う~そうだけど、窮屈じゃない?。急いでたから遊べる物とか何にも持ってこなかったし…そうだ、折角出て来たんだからちょっと探検しようよ。」
そう、2人は異世界から来たシスター(見習い?)。
「セイン姉様、私達は遊ぶためにここへ来たのではありません。」
「チェッ、そうだけどさ…ディード、相変わらず頭硬い…」
「セイン姉様が無頓着なだけです。」
「…そうかな~? ま、いいや。こうやって買い物に出られたんだし。どこで食材売ってるかわかる?」
ポジティブにすぐに頭を切り替えられるのはセインのいいところだ。その様子を見てディードはクスッと笑いポケットから紙片を取り出し見る。
「はい、その角を曲がって少し歩けば見えるそうです。」
トットットッと数歩走って角に立ち見る。
「スーパーミクニヤ…あったよ~♪」
事の始まりは2日前に起きた。
突然聖王教会の騎士カリム・グラシアから呼び出されたのだ。それもセインだけでなくディードとオットー、元ナンバーズで教会に所属する全員を。
セインを含む3人は何故呼び出されたのかわからず、言われた通り彼女の執務室を訪れた。するとそこにはカリムとチンクが待っていた。チンクは元ナンバーズの中で拘留されている者を除けば長姉にあたり、今は近所にある研究施設で助手をしている。
その彼女から驚くべき事を聞かされた。
ヴィヴィオが時間移動魔法が使える事、今いる時間軸が他の時間軸と衝突し消えてしまう事、原因を突き止めたヴィヴィオが戻って来た時一緒に行く者として聖王教会から3人が候補にあがった事。
ヴィヴィオは彼女達のマスター、ジェイル・スカリエッティが作ったベルカ聖王のマテリアル。彼女に対し敬意も持っているが、それよりも友達として困っているのを放っておけない。
3人は2つ返事で引き受けた。そして身の回りの物をバッグに詰めてアースラに乗り込み備品の積み込みを手伝っているとヴィヴィオが戻って来てそのまま異世界の海鳴市に来たのだった。
まさか管理外世界デビューが異世界の過去になるとは誰も思っていなかった。そしてそれは思わぬ誤算を生んでいて…
「フロントアタッカー陣があれ程食べるなんて、考えていませんでしたから。」
「まさか積み込んだ食料の1/3を1日で食べちゃうなんて思わなかったからね~あ、そこの醤油って書いてるの4つ籠に入れて。それと横の砂糖と塩って書いた袋も5つ位入れて」
元機動6課とナカジマ家の面々、特にスバルとノーヴェ、エリオの食欲に教会組の3人は目を丸くした。1ヶ月程度は大丈夫だという食料を積んだつもりだったのにこのペースでは4日と持たない。
慌ててはやてにその事を報告し、苦肉の策として追加食材は各々現地調達をしはじめた。
幸いアースラを停泊している場所は市街から少し離れた海岸、岸壁地帯で少し沖に出れば海産物の宝庫。
セインとディードは現地の食料を調理する為の調味料を買いに来たのだった。
「随分買いましたね…」
「こんなものでしょ。大食らいが5人も居るからね。そこの店の影に入って転送してもらおう。」
「はい」
両手いっぱいの袋を抱えて店の影に行くと、セインが何か嗅ぎつけた様に鼻を鳴らす。
「…何この美味しい臭い…」
「香りですか? 私にはわかりませんが…」
「こっちからみたい…クンクン…」
「セイン姉様、どこへ行くのですか? 荷物は?」
仕方なく全部の袋を持って彼女の後を追いかける。
「今日も良い香り~うん♪」
その頃、商店街の片隅にある喫茶店「翠屋」では開店前の仕込みが始まっていた。翠屋のパティシエ、高町桃子はオーブンからクッキーを出してトレイに並べるとそれを持ってカウンターの方を向く。
「あなた~、そろそろこっちも…キャアッ!!」
「桃子、どうした…!?」
トレイを落とす音と悲鳴を聞いて彼女の夫、士郎が入って来て彼女の視線の先を追いかけ、息を呑んだ。
「あ、ご、ごきげんよう…」
2人の視線の先、ドアには上半身だけ出た女性が居たのだ。
「あ~もう、すっごく驚いて心臓止まるかと思っちゃったわよ」
「ごめんなさい…凄く美味しそうな臭いだったからつい…」
「申し訳ありません、姉が驚かせてしまいまして…」
「いいわよ。でも…どうしましょう…今からまた焼いてたら開店出来ないわね」
セインはカウンターで出されたクッキーを1つ手に取り口に入れる。
「手伝います! いえ、手伝わせてください…ううん、師匠と呼ばせてください!! 」
「ええっ!?」
そして…時は流れてとある研究施設の庭で始まったお茶会、ヴィヴィオはクッキーを1つつまみ食べる。
「おいしい。これセインが作ったの?」
「そうだよ。会心の1作」
余程美味しいのかアリシアとチェントも目を輝かせ、チンクも唸っている。
「この味どこかで食べた気するんだけど…どこでだろ?」
「それは秘密♪」
「そうね…」
プレシアだけが何か気づいた風に答えつつ、欠片を1つ口に入れた。
~コメント~
AffectStoryt~刻の移り人~ではヴィヴィオやオリヴィエだけでなく元機動6課のフォワード陣、元ナンバーズ組も一緒に海鳴市へ行きました。
本編ではヴィヴィオをメインに話を進めましたが、掲載中に「他のキャラはどうしたの?」「外伝で書いてほしい」という拍手を頂き考えていました。
今回は元ナンバーズ教会組のセインとディードが主人公です。彼女達はAffectStoryではロングアーチ・ライトニングに編成追加され、セインはオットーと共にスタッフの食事を一手に引き受けてました。
「う~そうだけど、窮屈じゃない?。急いでたから遊べる物とか何にも持ってこなかったし…そうだ、折角出て来たんだからちょっと探検しようよ。」
そう、2人は異世界から来たシスター(見習い?)。
「セイン姉様、私達は遊ぶためにここへ来たのではありません。」
「チェッ、そうだけどさ…ディード、相変わらず頭硬い…」
「セイン姉様が無頓着なだけです。」
「…そうかな~? ま、いいや。こうやって買い物に出られたんだし。どこで食材売ってるかわかる?」
ポジティブにすぐに頭を切り替えられるのはセインのいいところだ。その様子を見てディードはクスッと笑いポケットから紙片を取り出し見る。
「はい、その角を曲がって少し歩けば見えるそうです。」
トットットッと数歩走って角に立ち見る。
「スーパーミクニヤ…あったよ~♪」
事の始まりは2日前に起きた。
突然聖王教会の騎士カリム・グラシアから呼び出されたのだ。それもセインだけでなくディードとオットー、元ナンバーズで教会に所属する全員を。
セインを含む3人は何故呼び出されたのかわからず、言われた通り彼女の執務室を訪れた。するとそこにはカリムとチンクが待っていた。チンクは元ナンバーズの中で拘留されている者を除けば長姉にあたり、今は近所にある研究施設で助手をしている。
その彼女から驚くべき事を聞かされた。
ヴィヴィオが時間移動魔法が使える事、今いる時間軸が他の時間軸と衝突し消えてしまう事、原因を突き止めたヴィヴィオが戻って来た時一緒に行く者として聖王教会から3人が候補にあがった事。
ヴィヴィオは彼女達のマスター、ジェイル・スカリエッティが作ったベルカ聖王のマテリアル。彼女に対し敬意も持っているが、それよりも友達として困っているのを放っておけない。
3人は2つ返事で引き受けた。そして身の回りの物をバッグに詰めてアースラに乗り込み備品の積み込みを手伝っているとヴィヴィオが戻って来てそのまま異世界の海鳴市に来たのだった。
まさか管理外世界デビューが異世界の過去になるとは誰も思っていなかった。そしてそれは思わぬ誤算を生んでいて…
「フロントアタッカー陣があれ程食べるなんて、考えていませんでしたから。」
「まさか積み込んだ食料の1/3を1日で食べちゃうなんて思わなかったからね~あ、そこの醤油って書いてるの4つ籠に入れて。それと横の砂糖と塩って書いた袋も5つ位入れて」
元機動6課とナカジマ家の面々、特にスバルとノーヴェ、エリオの食欲に教会組の3人は目を丸くした。1ヶ月程度は大丈夫だという食料を積んだつもりだったのにこのペースでは4日と持たない。
慌ててはやてにその事を報告し、苦肉の策として追加食材は各々現地調達をしはじめた。
幸いアースラを停泊している場所は市街から少し離れた海岸、岸壁地帯で少し沖に出れば海産物の宝庫。
セインとディードは現地の食料を調理する為の調味料を買いに来たのだった。
「随分買いましたね…」
「こんなものでしょ。大食らいが5人も居るからね。そこの店の影に入って転送してもらおう。」
「はい」
両手いっぱいの袋を抱えて店の影に行くと、セインが何か嗅ぎつけた様に鼻を鳴らす。
「…何この美味しい臭い…」
「香りですか? 私にはわかりませんが…」
「こっちからみたい…クンクン…」
「セイン姉様、どこへ行くのですか? 荷物は?」
仕方なく全部の袋を持って彼女の後を追いかける。
「今日も良い香り~うん♪」
その頃、商店街の片隅にある喫茶店「翠屋」では開店前の仕込みが始まっていた。翠屋のパティシエ、高町桃子はオーブンからクッキーを出してトレイに並べるとそれを持ってカウンターの方を向く。
「あなた~、そろそろこっちも…キャアッ!!」
「桃子、どうした…!?」
トレイを落とす音と悲鳴を聞いて彼女の夫、士郎が入って来て彼女の視線の先を追いかけ、息を呑んだ。
「あ、ご、ごきげんよう…」
2人の視線の先、ドアには上半身だけ出た女性が居たのだ。
「あ~もう、すっごく驚いて心臓止まるかと思っちゃったわよ」
「ごめんなさい…凄く美味しそうな臭いだったからつい…」
「申し訳ありません、姉が驚かせてしまいまして…」
「いいわよ。でも…どうしましょう…今からまた焼いてたら開店出来ないわね」
セインはカウンターで出されたクッキーを1つ手に取り口に入れる。
「手伝います! いえ、手伝わせてください…ううん、師匠と呼ばせてください!! 」
「ええっ!?」
そして…時は流れてとある研究施設の庭で始まったお茶会、ヴィヴィオはクッキーを1つつまみ食べる。
「おいしい。これセインが作ったの?」
「そうだよ。会心の1作」
余程美味しいのかアリシアとチェントも目を輝かせ、チンクも唸っている。
「この味どこかで食べた気するんだけど…どこでだろ?」
「それは秘密♪」
「そうね…」
プレシアだけが何か気づいた風に答えつつ、欠片を1つ口に入れた。
~コメント~
AffectStoryt~刻の移り人~ではヴィヴィオやオリヴィエだけでなく元機動6課のフォワード陣、元ナンバーズ組も一緒に海鳴市へ行きました。
本編ではヴィヴィオをメインに話を進めましたが、掲載中に「他のキャラはどうしたの?」「外伝で書いてほしい」という拍手を頂き考えていました。
今回は元ナンバーズ教会組のセインとディードが主人公です。彼女達はAffectStoryではロングアーチ・ライトニングに編成追加され、セインはオットーと共にスタッフの食事を一手に引き受けてました。
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