第24話「背を追いかけて」
- リリカルなのは AgainStory3 > 第4章 「交錯する思いの先にみるもの」
- by ima
- 2013.03.29 Friday 20:46
クロノとリンディがクラウディアで広報部局員と話していた頃、無人世界では準備が整い撮影が再開されていた。
今から撮影するのははやて扮するリインフォースとフェイト、なのはの激突シーン。
はやてはヴィヴィオとの戦いで相当なダメージを受けていてシャマルを含む医療班や撮影スタッフから代役を立てるという提案もあった。しかし…
「私は大丈夫です。全面協力するって言ったんですから代役頼んだら全面協力とちゃいますよね。」
今から撮影するのははやて扮するリインフォースとフェイト、なのはの激突シーン。
はやてはヴィヴィオとの戦いで相当なダメージを受けていてシャマルを含む医療班や撮影スタッフから代役を立てるという提案もあった。しかし…
「私は大丈夫です。全面協力するって言ったんですから代役頼んだら全面協力とちゃいますよね。」
笑って代役を拒んだらしい。
アリシアはなのは役の少女と柔軟体操した後、愛機を起動させてヴィヴィオの方を向いて言う。
「ヴィヴィオ、見ててね私達の魔法」
「うん、2人とも頑張って」
応援を背に市街区へ飛んでいった。
クリスマスイブのシーン、ヴィヴィオははやてと交代してからスタッフの後ろでモニタを見ていた。近くでシュテルやディアーチェ・ユーリ、レヴィも興味津々な様子でジッと見ている。
「ヴィヴィオよく見とけ。」
「ヴィータさん…」
そこにヴィータとシグナムがやってきて声をかけられた。
「私達もリインフォースに吸収されたからな、暫く休憩だ。」
そう言って横に来てモニタを見つめる。
「あいつらのデバイスな、局員用に調整された強めのコアを入れてるんだ。言っても総合BかCランクの出力しか出ない物だけど。」
モニタ向こうでは撮影が始まってリインフォースに対してなのはとフェイトが2人で挑んでいる。2人は笑みを浮かべながら見つめている。
「フヨフヨ浮くしか出来なかった奴らがもう空戦魔導師を相手出来る位飛んでやがる。」
「………」
「持って生まれた才能…などという言葉では片付けては失礼だな。あれは2人の努力の結果だ。魔力資質がなくても優秀な魔導師は存在するというのを証明している。」
「シグナムさん…」
2人はアリシア達の魔法を指導していた。
「ヴィヴィオ、私達がアリシア達を教導してた理由知ってるか?」
「ううん、はやてさんが全面協力するって言ってたからじゃないんですか?」
「まぁそれもあるけど、撮影前スタッフが決まった後全員集まっただろ、あの後2人が私達のところに来たんだ。『戦技魔法を教えてください』ってな。」
「私はアリシアがコアのテストで魔法使う所を見てたから断った。『魔法もろくに使えない奴に教える程暇じゃない』ってな。それ以外にも教導も入っていたしシグナムも航空隊の任務がある。巡教中の護衛も控えてた。撮影が始まればその分誰かにフォローして貰うことになるから先に休んで貰うつもりだったからな。」
「………」
「それでも2人は引き下がらなかった。どうすれば魔法もろくに使えない奴じゃないって認めてもらえますか?って。」
「それで私達は誰からも補助を受けずに自分のデバイスを使って自由に飛べたら考えてもいいと答えた。」
数ヶ月前、魔力コアのテストでアリシアは初めて飛行魔法を使った。その時彼女は飛ぶどころか浮くのが精一杯で、その後のジュエルシード事件の記録映像を撮影した時もフェイトとバルディッシュがサポートしていた。
なのは役の少女も魔力とデバイスサポートをなのはから受けていた。
「はやてにもイジワルだと言われたんだけどな。でもな、あいつらそれを1週間でクリアしてみせたんだ。2人でいきなり隊舎に来て新デバイスを使って訓練エリアを本当に自在に飛びやがった。流石に私も驚いたぞ。」
「1週間…」
「約束だったからな。それで練習以外の時間は課題を与えて、私は教導中以外の時間、シグナムはまとまった時間があれば2人に指導していた。凄いだろ。」
頷く。魔力資質の無い2人がそう簡単に魔法を使えるようになる訳がない。その裏には想像も出来ない程の練習をしていたに違いない。
「その時聞いたんだよ。そこまで頑張って何を目指してるんだと。アリシアが魔法を覚えたいならなのはやフェイトから順を追って教えて貰えるだろうし、学院でも学習できる。それにコアやデバイスはあいつの母親が作ったんだからな。急がなくても優秀な魔導師になる資質は十分だ。そしたら何て答えたと思う?」
「…シグナムさん、ヴィータさんやママ達みたいになりたい…ですか?」
その答えに2人は顔を見合わせ笑った後こっちを見て
「ヴィヴィオ、お前に勝ちたいそうだ。」
「!?」
「勝って、守って貰うんじゃなくて並んで歩けるのを証明したい。最新の魔力センサーを振り切って1級のロストロギアを1人でぶっ倒すやつに勝とうと思うバカが居るなんて、聞いた私達も冗談だと思って笑ったよ。でもな…」
リインフォースがデアボリックエミッションを使いなのはがシールドを張ってフェイトを守る。 なのはとフェイトも見ているがサポートをしてる風には見えない。むしろ2人の作る軌跡に驚いている。
「あれ…まさか…1人で?」
「1週間で飛べたのだ。1ヶ月間しっかり教えてやればあれくらい造作もない。」
「はやても本調子じゃねーけど魔法は本物だ。」
「ヴィヴィオ、お前がなのはやフェイトの背中を見て追いかけてたみたいに今度はお前を追いかける奴が現れたんだ。ヴィヴィオ、簡単に追い抜かれるんじゃねーぞ。」
今撮影されているのは動きは決まっていても当たればダメージを負う本物の魔法。
『ハーケンセイバーッ』
鎌状のバルディッシュから撃ち出し後を追いかけるアリシア、受け止めたはやての反対方向から打ち込む。はやてはハーケンセイバーをそのままアリシアへと逸らす。自分の魔法を受けたアリシアはシールドで魔力を軽減させ離れる。高速飛行する中で体の重心移動で軌道を変える高度な技だ。
『バスターシフトっ』
なのは役の少女と共に砲撃魔法を撃ち込む。元のコアが弱いからか威力は知れているだろうがそれはコアの問題。タイミングはアリシアと完全に合っていた。
その後もヴィヴィオは2人の姿を追いかけていた。
ソニックフォームになって猛スピードではやての撃った魔法弾を全て避けながら突っ込むアリシア。その姿に心が震えた。
「カァアアット! OK」
「どうだった、私達の魔法」
戻って来たアリシアが声をかけてくる。
「どうって…凄いよ。本当に補助なしで?」
「もちろん。ビックリしたでしょ。2人でいっぱい練習したんだよ。ね~♪」
「ね~♪」
なのは役の少女と2人声を揃えて言う。
「ほんまに昔のなのはちゃんとフェイトちゃんをまとめて相手してるみたいできつかったわ~。次の手判ってるし使う魔法も決まってるから何とか相手出来たけど、実戦になったら負けるんとちゃう?」
リインフォースの姿のままでドリンクをトレイに乗せて持って来たはやてはそう言いながら1本ずつ渡す。ヴィヴィオもその中の1本を受け取る。
「そんなに?」
「デバイスは管理局、教会が作った試作型やからAA位の強度はあるよ。何より適正も資質もない子供が総合SSを追い詰めてるんやから…気づいたらみんな驚くやろな。ブラッディダガーも全部避けられたしな。本気で1・2発当てるつもりやったのに。」
「そんな、はやてさん本調子じゃないだけですよ。普通ならすぐ負けちゃってます。」
「あ~私もシグナムとヴィータの教導受けようかな。最近事務仕事ばっかりで鈍ってもうて…」
「すっごく厳しいですよ。失敗したら怒られて落されちゃいます。」
「う…それは勘弁」
笑う3人。そんな彼女達をヴィヴィオは微笑みながら見ていた。
「………」
それからも驚きの連続だった。
近くに作られたセットでフェイトが取り込まれた世界がこんな世界で…なのはやはやてとこんな風に繋がっていたのかと思い返す。
体験した闇の書事件でフェイトが取り込まれた際フェイトがそれで良いと言った理由も判った。
リインフォースとエクセリオンモードのなのはがぶつかる。
空戦教練になりそうな程凄い動きに驚く。ヴィータは満面の笑みを浮かべそれを見ている。
水色の刀身を見せたザンバーがリインフォースの放った攻撃を砕いた。
そして遂にヴィヴィオの出番だ。
「ヴィヴィオ、行くぞ。」
ヴィータに背中を叩かれ夢中になって見ていたのに気づく。
「はいっ」
我に返って元気よく答えた。
撮影は終盤にさしかかっていた。
「いこか、リインフォース」
はやてが目覚め、闇の書が祝福の風リインフォースとなる。
はやての騎士甲冑を着たヴィヴィオやシグナム達守護騎士、フェイト役のアリシア、なのは役の少女が揃って防衛システム、ナハトヴァールを封印するシーン。
(………)
「ごめんな…おやすみな。響け終演の笛、ラグナロク!!」
発動をはやてに任せベルカの魔方陣だけ作りだし広げる。
空に消える闇の書防衛システム、ナハトヴァール。
元々は夜天の魔導書を守る為に作られたプログラム、暴走しなければこんな風に消される事も無かっただろう…それを思うとやりきれない気持ちになる。でも…
「…バイバイ…ナハトヴァール」
誰にも聞こえないように呟いた。
クラウディアで任務に戻ると言って彼が出て行った後、彼女がクロノに聞く。
「クロノ、もし彼女がこれ以上の力を持っていたら…あなたはどうする?」
「…正直迷います。最新式に換わったクラウディアの魔力センサーですら計測不能になる魔力…現状では彼女の能力だけでも驚異です。もしまだ上があるのなら秩序維持の為に魔力の厳重封印を提言するでしょう。」
「そうね、管理局としてはそう考えるのが当然よね…悲しいけれど。」
「そうですね…優秀な魔導師は重宝されますが特出した者は敬遠されてしまう…特出した力は災いでしかない…悲しいですがそう思う局員の方が多いでしょう。」
優秀な魔導師は1人でも多く欲しい、だが組織の理解を超える特出した力を持つ魔導師は逆効果になる場合がある。聖王の力と魔法が正にそれだ。先の戦闘データが明るみになれば彼女の意志に関わらずベルカ聖王の直系と見なされるだろう。それは即ち管理局・聖王教会だけでなく幾つもの管理世界を巻き込んでしまう。
それが判っているからクロノはあえて災いと言っている。彼女を排除する為ではなく、彼女が今までと変わらない生活を送り続けられる為に…
そんな優しい彼をこれ以上巻き込む訳にはいかない。
「だから、ごめんなさい。…あなたの記憶少しだけ消させて貰うわ。」
そう言ってカード状の物を額につけた。友人から預かった対象の記憶を曖昧に出来るデバイス。
「そんな……かあさ…」
「今は知らない方がいい。あなたは知ってはいけない…」
薄まる意識の中で悲しそうな声を聞いた。
~コメント~
もしヴィヴィオの世界でMovie2ndA'sが作られたら
ついにMovie2ndA'sのBD/DVDが発売されました。
なのはA's放映当時、私は静奈君程なのはに夢中になっていなくてどうして彼がこんな風に同じ物を幾つも買うのだろう?と不思議に思っていました。
でも、今手元に超特装版と特装版・通常版のBD&DVDが1セットずつあります。
某店の財布が思った以上にいい出来なので特装版をもう1つ買おうか悩んでいます。
これが俗に言う「なの破産」なのですね。
引き落とされる月が怖いです。
アリシアはなのは役の少女と柔軟体操した後、愛機を起動させてヴィヴィオの方を向いて言う。
「ヴィヴィオ、見ててね私達の魔法」
「うん、2人とも頑張って」
応援を背に市街区へ飛んでいった。
クリスマスイブのシーン、ヴィヴィオははやてと交代してからスタッフの後ろでモニタを見ていた。近くでシュテルやディアーチェ・ユーリ、レヴィも興味津々な様子でジッと見ている。
「ヴィヴィオよく見とけ。」
「ヴィータさん…」
そこにヴィータとシグナムがやってきて声をかけられた。
「私達もリインフォースに吸収されたからな、暫く休憩だ。」
そう言って横に来てモニタを見つめる。
「あいつらのデバイスな、局員用に調整された強めのコアを入れてるんだ。言っても総合BかCランクの出力しか出ない物だけど。」
モニタ向こうでは撮影が始まってリインフォースに対してなのはとフェイトが2人で挑んでいる。2人は笑みを浮かべながら見つめている。
「フヨフヨ浮くしか出来なかった奴らがもう空戦魔導師を相手出来る位飛んでやがる。」
「………」
「持って生まれた才能…などという言葉では片付けては失礼だな。あれは2人の努力の結果だ。魔力資質がなくても優秀な魔導師は存在するというのを証明している。」
「シグナムさん…」
2人はアリシア達の魔法を指導していた。
「ヴィヴィオ、私達がアリシア達を教導してた理由知ってるか?」
「ううん、はやてさんが全面協力するって言ってたからじゃないんですか?」
「まぁそれもあるけど、撮影前スタッフが決まった後全員集まっただろ、あの後2人が私達のところに来たんだ。『戦技魔法を教えてください』ってな。」
「私はアリシアがコアのテストで魔法使う所を見てたから断った。『魔法もろくに使えない奴に教える程暇じゃない』ってな。それ以外にも教導も入っていたしシグナムも航空隊の任務がある。巡教中の護衛も控えてた。撮影が始まればその分誰かにフォローして貰うことになるから先に休んで貰うつもりだったからな。」
「………」
「それでも2人は引き下がらなかった。どうすれば魔法もろくに使えない奴じゃないって認めてもらえますか?って。」
「それで私達は誰からも補助を受けずに自分のデバイスを使って自由に飛べたら考えてもいいと答えた。」
数ヶ月前、魔力コアのテストでアリシアは初めて飛行魔法を使った。その時彼女は飛ぶどころか浮くのが精一杯で、その後のジュエルシード事件の記録映像を撮影した時もフェイトとバルディッシュがサポートしていた。
なのは役の少女も魔力とデバイスサポートをなのはから受けていた。
「はやてにもイジワルだと言われたんだけどな。でもな、あいつらそれを1週間でクリアしてみせたんだ。2人でいきなり隊舎に来て新デバイスを使って訓練エリアを本当に自在に飛びやがった。流石に私も驚いたぞ。」
「1週間…」
「約束だったからな。それで練習以外の時間は課題を与えて、私は教導中以外の時間、シグナムはまとまった時間があれば2人に指導していた。凄いだろ。」
頷く。魔力資質の無い2人がそう簡単に魔法を使えるようになる訳がない。その裏には想像も出来ない程の練習をしていたに違いない。
「その時聞いたんだよ。そこまで頑張って何を目指してるんだと。アリシアが魔法を覚えたいならなのはやフェイトから順を追って教えて貰えるだろうし、学院でも学習できる。それにコアやデバイスはあいつの母親が作ったんだからな。急がなくても優秀な魔導師になる資質は十分だ。そしたら何て答えたと思う?」
「…シグナムさん、ヴィータさんやママ達みたいになりたい…ですか?」
その答えに2人は顔を見合わせ笑った後こっちを見て
「ヴィヴィオ、お前に勝ちたいそうだ。」
「!?」
「勝って、守って貰うんじゃなくて並んで歩けるのを証明したい。最新の魔力センサーを振り切って1級のロストロギアを1人でぶっ倒すやつに勝とうと思うバカが居るなんて、聞いた私達も冗談だと思って笑ったよ。でもな…」
リインフォースがデアボリックエミッションを使いなのはがシールドを張ってフェイトを守る。 なのはとフェイトも見ているがサポートをしてる風には見えない。むしろ2人の作る軌跡に驚いている。
「あれ…まさか…1人で?」
「1週間で飛べたのだ。1ヶ月間しっかり教えてやればあれくらい造作もない。」
「はやても本調子じゃねーけど魔法は本物だ。」
「ヴィヴィオ、お前がなのはやフェイトの背中を見て追いかけてたみたいに今度はお前を追いかける奴が現れたんだ。ヴィヴィオ、簡単に追い抜かれるんじゃねーぞ。」
今撮影されているのは動きは決まっていても当たればダメージを負う本物の魔法。
『ハーケンセイバーッ』
鎌状のバルディッシュから撃ち出し後を追いかけるアリシア、受け止めたはやての反対方向から打ち込む。はやてはハーケンセイバーをそのままアリシアへと逸らす。自分の魔法を受けたアリシアはシールドで魔力を軽減させ離れる。高速飛行する中で体の重心移動で軌道を変える高度な技だ。
『バスターシフトっ』
なのは役の少女と共に砲撃魔法を撃ち込む。元のコアが弱いからか威力は知れているだろうがそれはコアの問題。タイミングはアリシアと完全に合っていた。
その後もヴィヴィオは2人の姿を追いかけていた。
ソニックフォームになって猛スピードではやての撃った魔法弾を全て避けながら突っ込むアリシア。その姿に心が震えた。
「カァアアット! OK」
「どうだった、私達の魔法」
戻って来たアリシアが声をかけてくる。
「どうって…凄いよ。本当に補助なしで?」
「もちろん。ビックリしたでしょ。2人でいっぱい練習したんだよ。ね~♪」
「ね~♪」
なのは役の少女と2人声を揃えて言う。
「ほんまに昔のなのはちゃんとフェイトちゃんをまとめて相手してるみたいできつかったわ~。次の手判ってるし使う魔法も決まってるから何とか相手出来たけど、実戦になったら負けるんとちゃう?」
リインフォースの姿のままでドリンクをトレイに乗せて持って来たはやてはそう言いながら1本ずつ渡す。ヴィヴィオもその中の1本を受け取る。
「そんなに?」
「デバイスは管理局、教会が作った試作型やからAA位の強度はあるよ。何より適正も資質もない子供が総合SSを追い詰めてるんやから…気づいたらみんな驚くやろな。ブラッディダガーも全部避けられたしな。本気で1・2発当てるつもりやったのに。」
「そんな、はやてさん本調子じゃないだけですよ。普通ならすぐ負けちゃってます。」
「あ~私もシグナムとヴィータの教導受けようかな。最近事務仕事ばっかりで鈍ってもうて…」
「すっごく厳しいですよ。失敗したら怒られて落されちゃいます。」
「う…それは勘弁」
笑う3人。そんな彼女達をヴィヴィオは微笑みながら見ていた。
「………」
それからも驚きの連続だった。
近くに作られたセットでフェイトが取り込まれた世界がこんな世界で…なのはやはやてとこんな風に繋がっていたのかと思い返す。
体験した闇の書事件でフェイトが取り込まれた際フェイトがそれで良いと言った理由も判った。
リインフォースとエクセリオンモードのなのはがぶつかる。
空戦教練になりそうな程凄い動きに驚く。ヴィータは満面の笑みを浮かべそれを見ている。
水色の刀身を見せたザンバーがリインフォースの放った攻撃を砕いた。
そして遂にヴィヴィオの出番だ。
「ヴィヴィオ、行くぞ。」
ヴィータに背中を叩かれ夢中になって見ていたのに気づく。
「はいっ」
我に返って元気よく答えた。
撮影は終盤にさしかかっていた。
「いこか、リインフォース」
はやてが目覚め、闇の書が祝福の風リインフォースとなる。
はやての騎士甲冑を着たヴィヴィオやシグナム達守護騎士、フェイト役のアリシア、なのは役の少女が揃って防衛システム、ナハトヴァールを封印するシーン。
(………)
「ごめんな…おやすみな。響け終演の笛、ラグナロク!!」
発動をはやてに任せベルカの魔方陣だけ作りだし広げる。
空に消える闇の書防衛システム、ナハトヴァール。
元々は夜天の魔導書を守る為に作られたプログラム、暴走しなければこんな風に消される事も無かっただろう…それを思うとやりきれない気持ちになる。でも…
「…バイバイ…ナハトヴァール」
誰にも聞こえないように呟いた。
クラウディアで任務に戻ると言って彼が出て行った後、彼女がクロノに聞く。
「クロノ、もし彼女がこれ以上の力を持っていたら…あなたはどうする?」
「…正直迷います。最新式に換わったクラウディアの魔力センサーですら計測不能になる魔力…現状では彼女の能力だけでも驚異です。もしまだ上があるのなら秩序維持の為に魔力の厳重封印を提言するでしょう。」
「そうね、管理局としてはそう考えるのが当然よね…悲しいけれど。」
「そうですね…優秀な魔導師は重宝されますが特出した者は敬遠されてしまう…特出した力は災いでしかない…悲しいですがそう思う局員の方が多いでしょう。」
優秀な魔導師は1人でも多く欲しい、だが組織の理解を超える特出した力を持つ魔導師は逆効果になる場合がある。聖王の力と魔法が正にそれだ。先の戦闘データが明るみになれば彼女の意志に関わらずベルカ聖王の直系と見なされるだろう。それは即ち管理局・聖王教会だけでなく幾つもの管理世界を巻き込んでしまう。
それが判っているからクロノはあえて災いと言っている。彼女を排除する為ではなく、彼女が今までと変わらない生活を送り続けられる為に…
そんな優しい彼をこれ以上巻き込む訳にはいかない。
「だから、ごめんなさい。…あなたの記憶少しだけ消させて貰うわ。」
そう言ってカード状の物を額につけた。友人から預かった対象の記憶を曖昧に出来るデバイス。
「そんな……かあさ…」
「今は知らない方がいい。あなたは知ってはいけない…」
薄まる意識の中で悲しそうな声を聞いた。
~コメント~
もしヴィヴィオの世界でMovie2ndA'sが作られたら
ついにMovie2ndA'sのBD/DVDが発売されました。
なのはA's放映当時、私は静奈君程なのはに夢中になっていなくてどうして彼がこんな風に同じ物を幾つも買うのだろう?と不思議に思っていました。
でも、今手元に超特装版と特装版・通常版のBD&DVDが1セットずつあります。
某店の財布が思った以上にいい出来なので特装版をもう1つ買おうか悩んでいます。
これが俗に言う「なの破産」なのですね。
引き落とされる月が怖いです。
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