第00話 「夏休みの計画」
- リリカルなのは AdditionalStory > 第0章 夏休みの計画
- by ima
- 2014.01.02 Thursday 20:00
世界は必然が積み重なってできている。
いくら偶然と思えようと何か理由があるからそこにある。
必然が連なっているからこそ世界は成り立っている。
例え幾つもの事象が目の前にあっても、選んだ事象だけが必然になる。
些細な事でも重大な事でも変わらない。それが理であり真意。
これはそんな理を築く少女の物語
いくら偶然と思えようと何か理由があるからそこにある。
必然が連なっているからこそ世界は成り立っている。
例え幾つもの事象が目の前にあっても、選んだ事象だけが必然になる。
些細な事でも重大な事でも変わらない。それが理であり真意。
これはそんな理を築く少女の物語
「ヴィヴィオ、アリシア今日一緒に水着買いに行かない?」
ある日教室で、私―高町ヴィヴィオが親友のアリシア・テスタロッサとおしゃべりしているとクラスメイトのリオに声をかけられた。
「水着?」
「うん、明日から夏休みでしょ。みんなでプールに行こうってコロナと話してたんだ。」
「でも去年のしか無いから帰りに買いに行こうって。」
「うん、行く行く~♪。プールっていつ行くの?」
「明日に決まってるじゃない♪ 折角の夏休みなんだから思いっきり遊ばなきゃ」
拳を握りしめ力説するリオ、コロナはその様子を見て引きつった笑みを浮かべている。
(…もしかしてリオって…)
どうも彼女は夏休み後半に課題を仕上げるタイプらしい。そしてコロナは彼女の課題が終わらなかった時に巻き込まれた経験があるようだ。
「リオ~ちゃんと課題もしなきゃだめだよ。去年コロナに手伝ってもらったでしょ♪」
「え!? どうして知ってるの? って…あ!」
アリシアの誘導尋問に引っかかったと気づきリオは赤面する。
「それはそうとして…私も水着欲しいなって思ってたからいいよ。ヴィヴィオも明日ならいいよね。」
「え!? でも、明日って約束…あ、そっか、うん、大丈夫♪ 私も行く~」
少し言葉を詰まらせたが、彼女の意図を理解して頷いて答えた。
私とアリシアは夏休みに私達にしか出来ないある計画を立てているのだ。
1ヶ月前、ヴィヴィオがアリシアと模擬戦をしてから少し経った日
「夏休みにあっちのヴィヴィオの所へ遊びに行かない?」
私の家に遊びに来ていたアリシアが持ちかけた。
【あっちの私】というのは、異世界―並行世界に居るヴィヴィオのこと。普通なら知り得ない世界なのだけれど、私はある魔法のおかげでその世界を知り、行くことが出来る。
【時空転移】―過去・未来だけでなく、並行世界へも自由に行き来出来る魔法。
古代ベルカでも資質のある者だけが使えた失われた魔法。1年前にヴィヴィオはあるきっかけでその魔法に目覚めた。ジュエルシード事件や闇の書事件、そしてヴィヴィオ自身の出生に関わったJS事件を始め並行世界にも行く。
その中、もう1人の高町ヴィヴィオの居る世界がある事を知る。
アリシアはそこへ行こうと言いだしたのだ。
「だってあっちのヴィヴィオやアインハルトさん…だったっけ? 凄く強いんでしょ。私も競ってみたいよ。」
「「「…………ハァ…」」」
その言葉を聞いた私となのはママ、プレシアさんは合わせてもいないのに、一様に驚き唖然とした後で揃って深いため息をついた。
「…やっぱり姉妹だね…」
なのはママの呟きに深く頷く。どうやらバトルマニアと言われたもう1人のママの起源はここにあったらしい。
そう思いながらも私もどこかであっちの私やアインハルトさんと競ってみたいし、教えてもらった魔法を見せたいと考えていたから予定を立て始めた。
まずはじめに私だけで時空転移を使ってアインハルトさんを訪れた。念話や通信、手紙を送れたら良いのだけれど異世界間で繋がらないから直接会い行くしかない。
彼女は最初驚いていたけれど、やがてそれが喜びに変わって通信でヴィヴィオを呼び出した後、彼女を通じてなのはやフェイトにも来ることが知られ、少し遊びに来るだけの予定が1週間の滞在予定が立ってしまった。
逆に運悪く、私達と一緒に行こうと考えていたなのはママ、フェイトママは任務が入ってしまい滞在期間が延びて長期の休暇が取りづらくなった事も相まって
「ごめんね、私たちの分も楽しんできてね」
と凄く残念そうに言われた。
更にアリシアと一緒に行ってあっちのフェイトママを驚かせようと考えていたプレシアとチェントも行けなくなってしまった。
2度に渡る撮影に協力した事で保護観察が解かれたからだ。
そして保護観察中に手続きは進めていたらしく夏休みが終わったら直ぐにStヒルデ学院幼等科へ編入する。
その準備を色々しなくてはならず、結局私とアリシアだけの小旅行となってしまった。
プレシアさんがチェントを連れて学院へ見学に行った時、新しい友達がいっぱい出来たと聞いて懐かしく思えた。
チェントは凄く嬉しそうに届いたばかりの制服を着て教会本部まで行ってセインや騎士カリムにまで見せて回っていたそうだ。
ヴィヴィオ達がそんな風に用意をしていた頃、もう1人のヴィヴィオ達も珍しい客が来訪すると聞いてアインハルトは勿論、ヴィヴィオやなのは、フェイトだけでなくリオやコロナも集まっていた。
「折角こっちに来るんだから、みんなに紹介しようよ~」
「でも…あまり知られてしまうのはヴィヴィオさんも嫌がるのではないでしょうか」
「模擬戦はしたいよね。あれから絶対すっごく強くなってるよ」
「私は一緒にお菓子作りとかしたいかな」
「どこかに遊びに行きませんか? 一緒にキャンプとか」
「私は…姉さんとゆっくりお話したい。プレシア母さんの事とか…」
異世界ヴィヴィオの事を知る6人が集まって予定を立てていた。全員集まればスケジュールも立てられると考えていたけれど意見が合わず
「ヴィヴィオ達が来てから何をしたいか聞こう」
という事に落ち着いた。
そして、夏休みが始まって2日目…
「用意できた~?」
「待って~あとこのトランクだけ…っと重っ!」
プレシアの研究施設にある広場で待っているとアリシアが大きなトランクを持って来る。
「アリシア…荷物多すぎるんじゃない?」
「アインハルトさんやヴィヴィオ、あっちのフェイトとなのはさんにお土産持って行かなきゃ。凄く悩んだんだよ~あっちに影響あったら駄目でしょ」
「…それはそうだけど」
時空転移やそれに連なる魔法を使う時絶対に忘れちゃいけない事がある。
それは未来に影響を及ぼすと言うこと。
過去であれば辛い場面も目を瞑らなきゃいけない事もあるし現在や未来なら更に注意しなきゃいけない。使えば使う程残酷な現実と向き合わなくちゃいけない魔法。考えると本当は使っちゃいけないのかもと思う。
闇の書の管制人格だったリインフォースさんが言っていた【血に課せられた呪い】というのはこの事…でも今は迷っていない。
未来が変えられるならみんなが笑う未来に切り替えられると言うこと。それが出来るのもこの魔法なのだから。
「うん、準備OK。ママ、チェント行ってきます。」
「アリシア、ヴィヴィオ気をつけて行ってらっしゃい。」
「「はい♪」」
悠久の書を開き私達は元居た世界から飛び出した。
~コメント~
あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
又、昨年末に開催されましたコミックマーケット85に参加された皆様お疲れ様でした。
ということで少し時間が空いてしまいましたが、気分も一新して新章突入です。
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