第01話 「出逢いとはじまり」
- リリカルなのは AdditionalStory > 第1章 もう1つの世界
- by ima
- 2014.01.03 Friday 21:15
「っと、到着。ってあれ?」
トンっと降り立ったヴィヴィオが辺りを見回す。
使ったのは時間移動魔法-【時空転移】ではなく異世界間に存在する刻の魔導書を使い移動する【旅の扉】…の筈なのだけれど…
「ねぇヴィヴィオここ海鳴じゃない? 少しだけ海の香りするし、あっちに見える看板日本語だよ。」
「えっ?」
彼女の視線を追いかけ看板を見つける。確かにミッド標準文字じゃない。
。
トンっと降り立ったヴィヴィオが辺りを見回す。
使ったのは時間移動魔法-【時空転移】ではなく異世界間に存在する刻の魔導書を使い移動する【旅の扉】…の筈なのだけれど…
「ねぇヴィヴィオここ海鳴じゃない? 少しだけ海の香りするし、あっちに見える看板日本語だよ。」
「えっ?」
彼女の視線を追いかけ看板を見つける。確かにミッド標準文字じゃない。
。
「失敗したみたい。戻ってもう1回…」
連続転移するのではなく1度戻ろう。そう思って悠久の書を取りだそうとする。しかし
「……?」
「あれ? RHd?」
【……】
胸のペンダントに向かって声をかける。だが幾ら待っても反応しない。
「嘘…まさか、RHdセットアップ!」
【……】
反応を示さないRHd。そんな…まさか…でも…
サーっと背筋に寒気が走る。
「どうしたの? 顔青くしちゃって、1度戻るんでしょ。早く戻ろ」
「アリシア…魔法…使えなくなっちゃった…」
私は彼女にそう伝えるのが精一杯だった。
「どうしよう…魔法使えなくちゃ戻れないよ…」
アリシアも置かれた状況に気づいてバルディッシュを取り出し起動させようとしたり、胸のペンダントから端末を出そうとしているけれどバルディッシュもペンダントも何の反応も示さなかった。
「……」
「……」
「…行こう」
「…えっ?」
「……よしっ、ここが何処なのか調べよう。魔法が使えなくなった原因が判るかも知れないし、ここに居ても魔法は戻らないと思う。」
今までも何度か不安になった時、悩む私とは違ってアリシアは動いてくれた。それを知っているから
「うん♪」
重い空気を振り払って彼女の手を取った。
「海鳴市なのは間違いないみたい。でも…」
2人少し歩き回ったところでアリシアが呟く。
「でも?」
「なんか違うの。私の知ってる海鳴市でもないし、ヴィヴィオと行った海鳴市とも違うんだ。まぁ一緒だったら魔法も使えるんだけどね…本当にここ海鳴市なのかな?」
首を傾げう~んう~んと悩んでいると
「フェイトちゃん、大きな荷物を持って何処かにおつかいかい?」
通りがかった初老の老人に声をかけられた。
「えっ、はい。そうなんです。」
「お店のお手伝い偉いね~がんばりなよ。」
「ありがとうございます。」
礼を言った後、クルリとこっちを振り返って言った。
「ヴィヴィオ、フェイトのお店探そう。」
「え?」
「さっきのおじいちゃんが言ってたじゃない。私をフェイトに間違えて【お店のお手伝い偉いね~】って、って事はここにもフェイトが居てお店を手伝ってるって。つまり…フェイトが居るって事は…」
「あっ!魔法!!」
笑顔で頷くアリシア。そう、フェイトに会えば何か判るかも知れないということ。
戻れる希望が見つかった。
私達は街を彷徨いながら声をかけてくる人を探し始めた。
その途中
「あの子…ケ…スト…位の…」
「うん、きっとそうだよ。」
アリシアを指さし同い年位の男の子が2人で話している。何か知っているみたいだ。
「ねぇ、私がどうかしたの?」
彼女も気づいていたらしく、声をかける。
「うん、僕たちとデュエルしてくれないかなって」
「デュエル…対戦?」
「全国ロケテスト2位と対戦出来たら自慢できるよ」
「…ヴィヴィオ…」
今度は私にも判った。どうやらここのフェイトは何かのゲームのテストをして全国2位になっているらしい。
彼女の真面目さを踏まえると、さっきのおじいさんが言っていたお店の手伝いにも関係している。
ということはゲーム関係のお店を手伝っている可能性が高い。
そこまで判れば海鳴市にあるゲーム関係のお店を探せばいい。
「ごめんね。私フェイトじゃないんだ。でも…そのゲームすっごく興味ある。教えてくれない?」
「えっ? お店探すんじゃないの?」
2人に店の話を聞けばいいと考えていた私と違って彼女はゲームを教えて貰おうとしていた。
付いてきてと言った少年2人の後を歩きながら
「ちょっと面白そうじゃない、遊んじゃお♪」
楽しそうな顔で答えた。
一方その頃
『へぇ~ヴィヴィオとアリシアが旅行か~、確かにあの2人にしか出来ひん旅行やね』
「私達も一緒に行きたかったんだけどね~」
なのはが教導隊のオフィスで報告書を整理しているとはやてから通信が入った。
退院してから暫くはのんびりしていたみたいだが、権限が戻った直後から仕事の鬼に戻っていて1月位は休みなしで働いてヴィータ達が心配していたの耳にしていた。
『次行くときは私も誘ってな♪』
「それでどうしたの? はやてちゃんが直接連絡してくるなんて、最近ずっと忙しくて夜も遅いんだって? ヴィータちゃん心配してたよ。」
『ああ、うん…ちょうその事でななのはちゃんに相談があって連絡したんよ。何か事件が起きても即座に動ける様にする部隊作ろうとしたらどうすればええかな~って、なのはちゃんというか教導隊の1員としてどうかなって』
「部隊? 機動6課みたいに?」
『ああ、うん…そんなとこ」
普段彼女から相談を受ける時、ある程度自分で答えを見つけていてそれを計る場合が多い。でも今回は言葉を濁している。まだ言えない何かがあるのかそれとも彼女自身見えていないのか?
兎も角相談内容を反芻して答えられる面だけを伝える事にした。
「そうだね、機動6課みたいにある事件・遺失物を追いかける期間限定的な部隊ならフォワード、サポート含めても通常の半分くらいの人員で始めていざというときに協力して貰える部隊があればいいと思う。でも、期間も事件も遺失物も限定されない部隊は難しいんじゃないかな。陸士部隊の様にもっと大きな組織編成の中でなら1部署だけ専門部隊を作る事も出来るかも知れないけど、部隊間のコストや評価の問題がある。機動6課もそうだったけど専門部隊は時間も集中して使えるからね」
機動6課はそう言う面では随分色々な面で恵まれていた。騎士カリムの預言、提督の後ろ盾、事件の推移、そして優秀なスタッフ。1年の期間限定とは言えこれ程揃った部隊の設立は今後も難しいだろう。
なのは自身そんな部隊があれば良いと思った事は何度もある。しかしそれを実現するには部隊コスト制という管理局の考え方そのものをひっくり返さないといけない。
『そうやね~……』
モニタ向こうのはやてはそう言うと黙ってしまった。少し否定的な事を言い過ぎたか?
「あっ、でも私もあった方が良いと思うよ。」
『ううん、まだまだ考えんとあかんな~って思ってただけやから、気にせんといて。…うん、また相談していい?』
「もちろん♪ また機動6課みたいに同じ部隊になれたらいいよね」
なのはが言ったその言葉が数年後実現する事になるのだが、その時の彼女は知る由もなかった。
「これがカードホルダーとメモリー…だっけ?」
少年2人に連れて行って貰ったヴィヴィオとアリシアはそこで2つの機械を貰った。ホルダーと言いながらカードをどうやって入れるのかとマジマジと見る。
「『ブレイブホルダー』と『データカートリッジ』ね。こんなの貰っちゃっていいのかな?」
「僕たちも持ってるよ。ホラ」
そう言って2人もポケットから同じ様な物を見せてくれた。本当に配っているらしい。
それにしても…
「アリシア…」
「うん、見つかったね♪」
カードホルダー…じゃなかったブレイブホルダーに描かれた模様を見て頷く。その模様は紛れもなく『ミットチルダ式魔方陣』。
魔法が使えるかはまだわかんないけど…
そのままヴィヴィオとアリシアはオリジナルカードを作ってくれるというカードローダーに連れて行って貰ってカードを作った。拠点となるお店にはもっと多くのカードローダーが並んでいるらしい。そこで
「バルディッシュ!!」
アリシアが先に作ったカードを見て目を見開く。カードには起動状態のバルディッシュが描かれていたのだ。
「じゃあもしかして…」
続けてヴィヴィオがカードローダーの中に入る。
教えて貰ったとおり身長、体重、年齢、性別を入れてカメラで撮影されるのを待つ。その時
【Ma…r…】
一瞬何か聞こえた気がした。
「アリシア、何か言った?」
「ううん、何にも。それよりカード見せてよ。」
「はい」
そう言ってホルダーから取り出したカードを見せる。アリシアと同じ様なカード。でも少年2人は少し驚いていた。
「デバイス持ってない、それよりランク見ろよ」
「『R』スゲー!!」
「珍しいカードなの?」
2人の反応をみて首を傾げる。
カードにはランクがあって私のはR-レアで他のカードより珍しいらしい。
「カードも出来たみたいだし遊ぼっか。あの大きなカプセルに入るんでしょ。」
アリシアの指さした方に2台のカプセルらしき物がある。
「うん。あっ塾の時間。」
「えっ? 本当だ。僕達これから行かなきゃいけないんだ。ごめんね」
「ううん、私達こそ教えてくれてありがとう。今度は一緒に遊ぼうね♪」
2人が走って出て行くのを見送る。そして…
「さてと…アリシア、ヒント探しに行こうか。」
「うん」
このゲームで何か見つかる。そんな確信がヴィヴィオにはあった。
「「ブレイブデュエル、スタンバイ!!」」
「2人を案内してくれてありがとうございました。」
店から出てきた2人に待っていた少女は礼を言う
「うん、でも…こんな事しなくても誘っちゃえばいいのに」
「そうだよ。だって君は…」
「ええ、私が彼女達と会うのはまだ早すぎますから…」
華奢な手が触れたメガネが怪しげな光を放っていた。
「すごーい、これゲームの中でしょ。」
「うん、ここまで凄いなんて思ってなかった。」
壮大な空の上に浮かんでいる。ずっと下には海、山も見える。
「来ただけじゃ面白くないから遊んでみよ。『フリートレーニング』を選んでるし。バルディッシュ!」
【Yes Sir】
アリシアの手に現れたのは彼女のデバイス-バルディッシュ。
「思った通り♪ ヴィヴィオも早くっ」
カードをカードホルダーに読み込ませ
「うん、RHdセットアップ!」
デバイスを呼び出す。しかし…
【………】
「……アレ?」
出てこない。もう一度カードを読み込ませる。
【……】
出てこない。何か違うのか?
「アリシア~…」
「う~ん…私のデバイスは出るのにヴィヴィオのは出ない、何か違いあるのかな?」
「違いって…私のカードにデバイスは無かったから?」
「う~ん…わかんない。フェイトを見つけて聞いた方が早いんじゃないかな」
初心者2人が悩んでいても仕方がない。
「うん…そうだね。時間も無い…」
言いかけた瞬間、空にウィンドウが表示された。
「Coution?」
「It's an intruder(乱入者です)」
乱入? 誰?
オロオロしているとアリシアがニヤリと笑う。
「来たよ。ヴィヴィオは下がってて」
そう言って上空へと上がっていった。
「ま、待って! アリシアっ!!」
慌ててヴィヴィオも彼女の後を追いかけた。
~コメント~
Additionalとは付加されたという意味です。そしてその意味通り付加された世界での話、本来のヴィヴィオ達の世界とは根本的に違う世界の話として今回はInnocentの世界が主な舞台です。
本当は半年以上前に開始する予定だっだのですが、話の都合上アリシアがある程度前に出て貰う必要があり、更にASでのヴィヴィオの成長がネックになっていたので先にASを書かせて頂きました。
Innocentの作者、川上修一先生の描かれる楽しそうな雰囲気を壊さずに話を進めていきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
連続転移するのではなく1度戻ろう。そう思って悠久の書を取りだそうとする。しかし
「……?」
「あれ? RHd?」
【……】
胸のペンダントに向かって声をかける。だが幾ら待っても反応しない。
「嘘…まさか、RHdセットアップ!」
【……】
反応を示さないRHd。そんな…まさか…でも…
サーっと背筋に寒気が走る。
「どうしたの? 顔青くしちゃって、1度戻るんでしょ。早く戻ろ」
「アリシア…魔法…使えなくなっちゃった…」
私は彼女にそう伝えるのが精一杯だった。
「どうしよう…魔法使えなくちゃ戻れないよ…」
アリシアも置かれた状況に気づいてバルディッシュを取り出し起動させようとしたり、胸のペンダントから端末を出そうとしているけれどバルディッシュもペンダントも何の反応も示さなかった。
「……」
「……」
「…行こう」
「…えっ?」
「……よしっ、ここが何処なのか調べよう。魔法が使えなくなった原因が判るかも知れないし、ここに居ても魔法は戻らないと思う。」
今までも何度か不安になった時、悩む私とは違ってアリシアは動いてくれた。それを知っているから
「うん♪」
重い空気を振り払って彼女の手を取った。
「海鳴市なのは間違いないみたい。でも…」
2人少し歩き回ったところでアリシアが呟く。
「でも?」
「なんか違うの。私の知ってる海鳴市でもないし、ヴィヴィオと行った海鳴市とも違うんだ。まぁ一緒だったら魔法も使えるんだけどね…本当にここ海鳴市なのかな?」
首を傾げう~んう~んと悩んでいると
「フェイトちゃん、大きな荷物を持って何処かにおつかいかい?」
通りがかった初老の老人に声をかけられた。
「えっ、はい。そうなんです。」
「お店のお手伝い偉いね~がんばりなよ。」
「ありがとうございます。」
礼を言った後、クルリとこっちを振り返って言った。
「ヴィヴィオ、フェイトのお店探そう。」
「え?」
「さっきのおじいちゃんが言ってたじゃない。私をフェイトに間違えて【お店のお手伝い偉いね~】って、って事はここにもフェイトが居てお店を手伝ってるって。つまり…フェイトが居るって事は…」
「あっ!魔法!!」
笑顔で頷くアリシア。そう、フェイトに会えば何か判るかも知れないということ。
戻れる希望が見つかった。
私達は街を彷徨いながら声をかけてくる人を探し始めた。
その途中
「あの子…ケ…スト…位の…」
「うん、きっとそうだよ。」
アリシアを指さし同い年位の男の子が2人で話している。何か知っているみたいだ。
「ねぇ、私がどうかしたの?」
彼女も気づいていたらしく、声をかける。
「うん、僕たちとデュエルしてくれないかなって」
「デュエル…対戦?」
「全国ロケテスト2位と対戦出来たら自慢できるよ」
「…ヴィヴィオ…」
今度は私にも判った。どうやらここのフェイトは何かのゲームのテストをして全国2位になっているらしい。
彼女の真面目さを踏まえると、さっきのおじいさんが言っていたお店の手伝いにも関係している。
ということはゲーム関係のお店を手伝っている可能性が高い。
そこまで判れば海鳴市にあるゲーム関係のお店を探せばいい。
「ごめんね。私フェイトじゃないんだ。でも…そのゲームすっごく興味ある。教えてくれない?」
「えっ? お店探すんじゃないの?」
2人に店の話を聞けばいいと考えていた私と違って彼女はゲームを教えて貰おうとしていた。
付いてきてと言った少年2人の後を歩きながら
「ちょっと面白そうじゃない、遊んじゃお♪」
楽しそうな顔で答えた。
一方その頃
『へぇ~ヴィヴィオとアリシアが旅行か~、確かにあの2人にしか出来ひん旅行やね』
「私達も一緒に行きたかったんだけどね~」
なのはが教導隊のオフィスで報告書を整理しているとはやてから通信が入った。
退院してから暫くはのんびりしていたみたいだが、権限が戻った直後から仕事の鬼に戻っていて1月位は休みなしで働いてヴィータ達が心配していたの耳にしていた。
『次行くときは私も誘ってな♪』
「それでどうしたの? はやてちゃんが直接連絡してくるなんて、最近ずっと忙しくて夜も遅いんだって? ヴィータちゃん心配してたよ。」
『ああ、うん…ちょうその事でななのはちゃんに相談があって連絡したんよ。何か事件が起きても即座に動ける様にする部隊作ろうとしたらどうすればええかな~って、なのはちゃんというか教導隊の1員としてどうかなって』
「部隊? 機動6課みたいに?」
『ああ、うん…そんなとこ」
普段彼女から相談を受ける時、ある程度自分で答えを見つけていてそれを計る場合が多い。でも今回は言葉を濁している。まだ言えない何かがあるのかそれとも彼女自身見えていないのか?
兎も角相談内容を反芻して答えられる面だけを伝える事にした。
「そうだね、機動6課みたいにある事件・遺失物を追いかける期間限定的な部隊ならフォワード、サポート含めても通常の半分くらいの人員で始めていざというときに協力して貰える部隊があればいいと思う。でも、期間も事件も遺失物も限定されない部隊は難しいんじゃないかな。陸士部隊の様にもっと大きな組織編成の中でなら1部署だけ専門部隊を作る事も出来るかも知れないけど、部隊間のコストや評価の問題がある。機動6課もそうだったけど専門部隊は時間も集中して使えるからね」
機動6課はそう言う面では随分色々な面で恵まれていた。騎士カリムの預言、提督の後ろ盾、事件の推移、そして優秀なスタッフ。1年の期間限定とは言えこれ程揃った部隊の設立は今後も難しいだろう。
なのは自身そんな部隊があれば良いと思った事は何度もある。しかしそれを実現するには部隊コスト制という管理局の考え方そのものをひっくり返さないといけない。
『そうやね~……』
モニタ向こうのはやてはそう言うと黙ってしまった。少し否定的な事を言い過ぎたか?
「あっ、でも私もあった方が良いと思うよ。」
『ううん、まだまだ考えんとあかんな~って思ってただけやから、気にせんといて。…うん、また相談していい?』
「もちろん♪ また機動6課みたいに同じ部隊になれたらいいよね」
なのはが言ったその言葉が数年後実現する事になるのだが、その時の彼女は知る由もなかった。
「これがカードホルダーとメモリー…だっけ?」
少年2人に連れて行って貰ったヴィヴィオとアリシアはそこで2つの機械を貰った。ホルダーと言いながらカードをどうやって入れるのかとマジマジと見る。
「『ブレイブホルダー』と『データカートリッジ』ね。こんなの貰っちゃっていいのかな?」
「僕たちも持ってるよ。ホラ」
そう言って2人もポケットから同じ様な物を見せてくれた。本当に配っているらしい。
それにしても…
「アリシア…」
「うん、見つかったね♪」
カードホルダー…じゃなかったブレイブホルダーに描かれた模様を見て頷く。その模様は紛れもなく『ミットチルダ式魔方陣』。
魔法が使えるかはまだわかんないけど…
そのままヴィヴィオとアリシアはオリジナルカードを作ってくれるというカードローダーに連れて行って貰ってカードを作った。拠点となるお店にはもっと多くのカードローダーが並んでいるらしい。そこで
「バルディッシュ!!」
アリシアが先に作ったカードを見て目を見開く。カードには起動状態のバルディッシュが描かれていたのだ。
「じゃあもしかして…」
続けてヴィヴィオがカードローダーの中に入る。
教えて貰ったとおり身長、体重、年齢、性別を入れてカメラで撮影されるのを待つ。その時
【Ma…r…】
一瞬何か聞こえた気がした。
「アリシア、何か言った?」
「ううん、何にも。それよりカード見せてよ。」
「はい」
そう言ってホルダーから取り出したカードを見せる。アリシアと同じ様なカード。でも少年2人は少し驚いていた。
「デバイス持ってない、それよりランク見ろよ」
「『R』スゲー!!」
「珍しいカードなの?」
2人の反応をみて首を傾げる。
カードにはランクがあって私のはR-レアで他のカードより珍しいらしい。
「カードも出来たみたいだし遊ぼっか。あの大きなカプセルに入るんでしょ。」
アリシアの指さした方に2台のカプセルらしき物がある。
「うん。あっ塾の時間。」
「えっ? 本当だ。僕達これから行かなきゃいけないんだ。ごめんね」
「ううん、私達こそ教えてくれてありがとう。今度は一緒に遊ぼうね♪」
2人が走って出て行くのを見送る。そして…
「さてと…アリシア、ヒント探しに行こうか。」
「うん」
このゲームで何か見つかる。そんな確信がヴィヴィオにはあった。
「「ブレイブデュエル、スタンバイ!!」」
「2人を案内してくれてありがとうございました。」
店から出てきた2人に待っていた少女は礼を言う
「うん、でも…こんな事しなくても誘っちゃえばいいのに」
「そうだよ。だって君は…」
「ええ、私が彼女達と会うのはまだ早すぎますから…」
華奢な手が触れたメガネが怪しげな光を放っていた。
「すごーい、これゲームの中でしょ。」
「うん、ここまで凄いなんて思ってなかった。」
壮大な空の上に浮かんでいる。ずっと下には海、山も見える。
「来ただけじゃ面白くないから遊んでみよ。『フリートレーニング』を選んでるし。バルディッシュ!」
【Yes Sir】
アリシアの手に現れたのは彼女のデバイス-バルディッシュ。
「思った通り♪ ヴィヴィオも早くっ」
カードをカードホルダーに読み込ませ
「うん、RHdセットアップ!」
デバイスを呼び出す。しかし…
【………】
「……アレ?」
出てこない。もう一度カードを読み込ませる。
【……】
出てこない。何か違うのか?
「アリシア~…」
「う~ん…私のデバイスは出るのにヴィヴィオのは出ない、何か違いあるのかな?」
「違いって…私のカードにデバイスは無かったから?」
「う~ん…わかんない。フェイトを見つけて聞いた方が早いんじゃないかな」
初心者2人が悩んでいても仕方がない。
「うん…そうだね。時間も無い…」
言いかけた瞬間、空にウィンドウが表示された。
「Coution?」
「It's an intruder(乱入者です)」
乱入? 誰?
オロオロしているとアリシアがニヤリと笑う。
「来たよ。ヴィヴィオは下がってて」
そう言って上空へと上がっていった。
「ま、待って! アリシアっ!!」
慌ててヴィヴィオも彼女の後を追いかけた。
~コメント~
Additionalとは付加されたという意味です。そしてその意味通り付加された世界での話、本来のヴィヴィオ達の世界とは根本的に違う世界の話として今回はInnocentの世界が主な舞台です。
本当は半年以上前に開始する予定だっだのですが、話の都合上アリシアがある程度前に出て貰う必要があり、更にASでのヴィヴィオの成長がネックになっていたので先にASを書かせて頂きました。
Innocentの作者、川上修一先生の描かれる楽しそうな雰囲気を壊さずに話を進めていきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
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