AS21「輪廻~After~」
「うん、じゃあまたね♪ ルネッサさん、ありがとうございました。」
ヴィヴィオはそう言って虹色の光球の中に消えていった。
ルネッサはイクス達とそれを見送った。
光が消えた後ルネッサの前に1人の女性が来る。ヴィヴィオに似ているがどこかプレシアの様な雰囲気も感じる。
「ルネッサ・マグナスさん。挨拶が遅くなりました。チェント・テスタロッサです。母さん…プレシアの代理で来ました。」
紹介されて『あぁ』と納得する。
彼女はプレシアの所で見た小さなヴィヴィオっぽい少女の成長後らしい。
ヴィヴィオはそう言って虹色の光球の中に消えていった。
ルネッサはイクス達とそれを見送った。
光が消えた後ルネッサの前に1人の女性が来る。ヴィヴィオに似ているがどこかプレシアの様な雰囲気も感じる。
「ルネッサ・マグナスさん。挨拶が遅くなりました。チェント・テスタロッサです。母さん…プレシアの代理で来ました。」
紹介されて『あぁ』と納得する。
彼女はプレシアの所で見た小さなヴィヴィオっぽい少女の成長後らしい。
「ルネッサさんはリンディ提督とも話して私達の研究施設で助手扱いで来て頂く事になっています。聖王教会系の研究施設ですから管理局との繋がりもそれ程ありませんし、用意した居住区も教会関係者が殆どなのでルネッサさんの名前を聞いても気付かれないと思います。それでも心配でしたら、今使ってる名前と持ってる認証キーを使って下さい。時期を見て観察保護も外せるようにすると母さん達が言ってましたから少しの間我慢してくださいね。」
プレシアから手紙と一緒に預かった認証キーは過去世界でレリックを探す時に使っていた。
それがここでも使えるようだ。
「居住区…といってもマンションの1室ですが、必要そうな物は勝手に揃えさせて貰ってます。私が選んじゃったので…好みに合わなかったら言って下さいね。」
しかも既に働く場所や住む場所まで用意されていた。
「いえ…どうして私なんかの為にそこまで…」
チェントに聞くと彼女はイクスと顔を見合わせ少し笑って。
「だって、ルネッサさんは今、この時間を繋いでくれた1人なんですよ。」
「私が?」
「はい、ルネッサさんがレリックを母さんに渡してくれて、母さんからヴィヴィオにレリックが渡って、ヴィヴィオが1人の女の子と幾つかの世界を救ったんです。公には出来ませんけど、知ってる人はみんなわかってます。」
「そして…あなたには辛い記憶でしょうが、マリアージュ事件で海底遺跡から私を目覚めさせてくれたから私はここに居て彼女達を導けています。」
チェントとイクスに言われて今までの疑問が氷解した。
マリアージュ事件で局員でありながら何人もの人を殺め、大災害を起こした。
通常そんな事件を犯した者が長期とは言え収監される程度では済まない。しかし…実際に収監されて10年と少しで外に出てきた。
ロストロギアとは言え只の石を探してきただけだと考えていたが…プレシアが言っていた『砕け得ぬ闇事件』にあれが深く関わっていたらしい。
(プレシアは…厳しくもあり優しいな…)
レリックを探す間にかつての自分が事件を起こし始めたのをニュースで知った。
フォルスへ直ぐに行って彼女を止めれば事件も拡大もせず被害も少なくて済む。でもそこで立ち止まって考える。
昔の私は私に会っていただろうか?
もし会えば未来が変わってしまうのではないか?
その時自分はどうなるのか?
私の考えだけで未来が変わってしまう時間にどうしてプレシアは連れてきたのか? と考えた時、ルネッサは彼女が何を考えてここに連れてきたのか気付いた。
レリックが必要なだけならわざわざ事件が起きる時間を狙って行く必要もない。
プレシアは時間移動魔法を使うヴィヴィオと昔の自身を見せる事で今の私が何を思うか試していたのだと。
「概ね平和な世界、壊すのは簡単で維持するのは難しい。だからこそ守りたい。ヴィヴィオ、あなたとレリックに私の意思を託します…か…」
数時間前に言った言葉を呟く。
考え方を変えるだけだとしたらわざとらし過ぎるけれど…気分は悪くない。
「はい?」
「いいえ、チェント、イクス、お世話になります。」
そう言い手を差し出すのだった。
「っと、ただいま~♪」
ヴィヴィオが降り立ったのは飛んだ直後だったらしく、なのはとプレシアが家の中に入ろうとしている時だった。
「あっ、おかえりヴィヴィオ。」
「おかえりなさい。その様子だと心配しなくていいわね」
ベルカ聖王の系譜でも資質のある者しか使えなかった時空転移。
本当は繋がらなかった時間を繋いだから今がある。
「はい、絶対大丈夫です。」
それを改めて知ってヴィヴィオは満面の笑みで答えた。
~コメント~
レリックはルネッサが探してきたという話は刻の移り人を書いている時から考えていましたが、今回はルネッサをどうしてあの時間に連れて行ったのかという話でした。
輪廻シリーズはこれでおしまいです。次話よりまた少しだけ短編に戻ります。
プレシアから手紙と一緒に預かった認証キーは過去世界でレリックを探す時に使っていた。
それがここでも使えるようだ。
「居住区…といってもマンションの1室ですが、必要そうな物は勝手に揃えさせて貰ってます。私が選んじゃったので…好みに合わなかったら言って下さいね。」
しかも既に働く場所や住む場所まで用意されていた。
「いえ…どうして私なんかの為にそこまで…」
チェントに聞くと彼女はイクスと顔を見合わせ少し笑って。
「だって、ルネッサさんは今、この時間を繋いでくれた1人なんですよ。」
「私が?」
「はい、ルネッサさんがレリックを母さんに渡してくれて、母さんからヴィヴィオにレリックが渡って、ヴィヴィオが1人の女の子と幾つかの世界を救ったんです。公には出来ませんけど、知ってる人はみんなわかってます。」
「そして…あなたには辛い記憶でしょうが、マリアージュ事件で海底遺跡から私を目覚めさせてくれたから私はここに居て彼女達を導けています。」
チェントとイクスに言われて今までの疑問が氷解した。
マリアージュ事件で局員でありながら何人もの人を殺め、大災害を起こした。
通常そんな事件を犯した者が長期とは言え収監される程度では済まない。しかし…実際に収監されて10年と少しで外に出てきた。
ロストロギアとは言え只の石を探してきただけだと考えていたが…プレシアが言っていた『砕け得ぬ闇事件』にあれが深く関わっていたらしい。
(プレシアは…厳しくもあり優しいな…)
レリックを探す間にかつての自分が事件を起こし始めたのをニュースで知った。
フォルスへ直ぐに行って彼女を止めれば事件も拡大もせず被害も少なくて済む。でもそこで立ち止まって考える。
昔の私は私に会っていただろうか?
もし会えば未来が変わってしまうのではないか?
その時自分はどうなるのか?
私の考えだけで未来が変わってしまう時間にどうしてプレシアは連れてきたのか? と考えた時、ルネッサは彼女が何を考えてここに連れてきたのか気付いた。
レリックが必要なだけならわざわざ事件が起きる時間を狙って行く必要もない。
プレシアは時間移動魔法を使うヴィヴィオと昔の自身を見せる事で今の私が何を思うか試していたのだと。
「概ね平和な世界、壊すのは簡単で維持するのは難しい。だからこそ守りたい。ヴィヴィオ、あなたとレリックに私の意思を託します…か…」
数時間前に言った言葉を呟く。
考え方を変えるだけだとしたらわざとらし過ぎるけれど…気分は悪くない。
「はい?」
「いいえ、チェント、イクス、お世話になります。」
そう言い手を差し出すのだった。
「っと、ただいま~♪」
ヴィヴィオが降り立ったのは飛んだ直後だったらしく、なのはとプレシアが家の中に入ろうとしている時だった。
「あっ、おかえりヴィヴィオ。」
「おかえりなさい。その様子だと心配しなくていいわね」
ベルカ聖王の系譜でも資質のある者しか使えなかった時空転移。
本当は繋がらなかった時間を繋いだから今がある。
「はい、絶対大丈夫です。」
それを改めて知ってヴィヴィオは満面の笑みで答えた。
~コメント~
レリックはルネッサが探してきたという話は刻の移り人を書いている時から考えていましたが、今回はルネッサをどうしてあの時間に連れて行ったのかという話でした。
輪廻シリーズはこれでおしまいです。次話よりまた少しだけ短編に戻ります。
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