AS23「ママの先生」

「なのはママ、フェイトママただいま~♪」
 
 ヴィヴィオは地上本部へ寄った後、そのまま家に帰ってきた。
 先になのはとフェイトにメールしたら2人とも私の研修が気になって早めに帰ってきていた。

「おかえり~ヴィヴィオ♪ !?」
「先生どんな人だった…えっ?」

 出迎えたなのはとフェイトが私の横に立っている人を見て固まった。

「元気そうね、なのは、フェイト」
「「コラード先生!?」」
「えっ? えっ? ママ達知ってる人?」

 2人から出た素っ頓狂な声にヴィヴィオはたじろいだ。

 

「まさか先生がヴィヴィオの研修担当だなんて、驚きました」
「隊長も人が悪いんだから、もうっ」
「私も驚いたわよ。教え子からやんちゃ娘の子供の空戦研修を担当してくれないかって聞いた時には」

 リビングにコラードを案内した後、なのはがお茶を持ってきて座って言った。
 コラードの言葉を聞いてヴィヴィオは首を傾げる。
 教え子は多分研修を頼んだ人だから置いておいて研修を受けるのは『やんちゃ娘』と言う言葉が引っかかった。
 その子供が私だから…

「コラード先生、もしかしてやんちゃ娘ってママ達ですか?」
「ええそうよ、私の教えた中でも飛びきり元気で負けん気が強くて何にでも飛び込んでいく無鉄砲で…3ヶ月の短期プログラム中に直して欲しいってリンディから頼まれて頭を抱えたわよ。」
「あ~…」
 
 思わず納得する。
 過去世界や異世界を含めヴィヴィオが会ってきた子供の頃のなのはとフェイトは確かにそんな感じだった。

「あの…先生…その話はその辺で…」
「私達にも一応親の威厳というか…そういうものが…」
「そんな子が今や教導隊のエースと敏腕執務官なのだから…私も老けるわけよね。」
「「あはははは…」」

 たじたじになっているなのはとフェイトと懐かしそうに話すコラード。聞くからに凄い人が先生になってくれたのだと心躍らせてた。

「昔話は置いておいて、ヴィヴィオの研修について話しましょうか。」

 コラードは一息つくとここに来た本題を話し始めた。

「ヴィヴィオの研修について私が管理局から一任されました。終了時には空戦Sは勿論SSも視野に入れた期待値を考えているわ。当然カリキュラムも多めになるわね。」
「でもまだ彼女は初等科生、司書の仕事もあるし学院の授業や友人とのコミュニケーションも大切な勉強の1つ。だから1年か2年、週1日か2日で今くらいの時間を充てようと考えているわ。中身だけを詰め込みで覚えても意味がないでしょう。」
「はい…ヴィヴィオ、出来る?」
「うん…じゃなくて、はい」
 なのはに聞かれて答える。

「カリキュラムは試験結果と関係者のヒアリングから私が考えて、研修の間に課題を出していきます。ヴィヴィオは判らない所があれば私に連絡してもいいし、お母さんに聞いても良い。勿論、無限書庫で調べてもいいわよ。あなた達は答えを教えては駄目。特にフェイトは子供に甘いところがあるから注意して」
「はい」
「はい」
「はい」
 
 それぞれ答える3人。何故かヴィヴィオよりなのはとフェイトの方が真剣になって聞いている気がする…

「ほかには…あ、そうそう。私も年だからあなた達を教えた頃みたいには動けないから魔法実技研修も手伝ってくれると助かるわ。それとカリキュラムが出来たらなのはにも渡すから私が来られない時はあなたに研修を任せます。」
「先生、どこかお体の具合が…?」
「…この年になると何処か悪くなるものよ。気にする事でもないけれど、2年の間に何があるか判らないわよね。」
「…はい。」
 
 そこまで言うとコラードはヴィヴィオの方を向いて頬を崩す。
「そんなに意気込まないで。それよりもヴィヴィオは将来どうなりたいかを考えておいて。前衛部隊や候補生志願者以外でこの研修を受けるのはとても珍しいのよ。私に頼んだ人は研修の間に教導隊への入隊を促して欲しいって相談してきた位だから、それだけ凄い事、自信を持って。」
「はいっ!」

 元気よく答えるヴィヴィオの横でなのはは誰の事が気づいているらしく肩を落として笑みを浮かべるのだった。

こうしてヴィヴィオの少し変わった研修は始まった。

~コメント~
 ヴィヴィオの空戦研修。
 特訓…みたいな話でもいいかなと思いましたが、コラードには管理局側のプレシア的な立ち位置に居て欲しいとも思いこんな感じになりました。

 それは兎も角、夏コミの新刊については来週辺りに発表出来ると思います。(2人で必死に制作中)

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