ヴィヴィオの日記帳 そのはち
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- by ima
- 2007.11.13 Tuesday 11:11
「ねぇヴィヴィオ、そろそろ寝ようか」
フェイトの言葉にコクリと頷くヴィヴィオ。
しかしなのはに怒られたことが余程応えてるらしく、いつもの明るさは微塵も感じなかった。なのはに怒られた事が余程こたえたのであろう
ふぅとため息をついて、フェイトはヴィヴィオを抱き上げ一緒にベッドへと入った。
ベッドに横になった後もヴィヴィオは眠れなさそうにじーっと手元を見つめている。
(エリオもこんな事あったな~)
フェイトの言葉にコクリと頷くヴィヴィオ。
しかしなのはに怒られたことが余程応えてるらしく、いつもの明るさは微塵も感じなかった。なのはに怒られた事が余程こたえたのであろう
ふぅとため息をついて、フェイトはヴィヴィオを抱き上げ一緒にベッドへと入った。
ベッドに横になった後もヴィヴィオは眠れなさそうにじーっと手元を見つめている。
(エリオもこんな事あったな~)
フェイトはそんな事を思い出しつつも、ヴィヴィオになのはがどうして怒ったのかをどうやって教えたら良いかと少し考えていた。
(考えるより聞いてみた方がいいのかも)
「ねぇヴィヴィオ、ヴィヴィオはどうしてなのはママが怒ったかわかるかな?」
「・・・約束・・・破ったから・・」
寝返りをうってフェイトの方を見るヴィヴィオ
「そうだね、でももっと大切な事があるんだよ。それは・・・」
同じ頃、なのははというと
「高町隊長、何か飲み物でも」
「ありがとうございます。シグナムさん。でも・・今は・・」
なのは達の1つ上のフロアにあるはやての部屋、いや八神家にお邪魔していた。部屋にある椅子に座り文字通り落ち込んでいた。
「なぁ、なのは。誰も怪我人出た訳じゃないし、そこまで思い詰めるのは・・」
「そうそう、ヴィヴィオちゃんも次は約束守ってくれるわよ。絶対」
今まで見たことも無いなのはの表情にヴィータやシャマルもフォローを試みる
「ありがとう。ヴィータちゃん、シャマルさん・・・でも、そう言う事じゃないんです・・」
「ただヴィヴィオが約束忘れていただけとかですの?」
首を振ってリインの答えを否定する。
「私・・・ヴィヴィオに手をあげてしまったんです。何があっても話し合いでって言ってるのに、その私が・・・最初に手をあげそうに・・・」
最後のあたりは嗚咽と重なり言葉は聞き取れなかった。
微かに手が震えている。
『なぁ・・相当重傷じゃねーか??』
『ああ・・・シャマル、メンタルケアも学んだのではないのか?』
『うん、でもなのはちゃんの悩んでるのは局員のケアというより』
『子を持つ母親の悩みではないだろうか』
『そうなんですの?ザフィーラ』
『多分・・・・』
かつて守護騎士ヴォルケンリッターとして管理局に名を轟かせた4人と局内でも希少なユニゾンデバイスが全員で考えても、この悩みを解決に導くことは出来そうになかった。
「ただいま~って、なんやこの空気の重さは!?」
そんな所へ運良くか運悪くかは判らないが、はやてが戻ってきた。
入るなり部屋の空気の重さに驚く。はやての問いかけに答える者は居なかった。しかし、部屋の片隅で異常な空気の重さを作っているのが一目見て判った。
「ごめんね・・・はやてちゃん・・」
「そんな怖い声で言わんと・・・・な!」
「・・・うん・・・」
(相当重傷やな・・・)
周りの光まで吸い込んでしまいそうな程沈んだなのはを見て守護騎士達がはやての方を見つめる。
既に万策が尽きている様だ
『はやて、何か良い案ないの?』
『『はやてちゃん』』
『『主はやて』』
『う~ん・・・そろそろやと思うんやけど・・・』
「はやて?何か・・」
ヴィータが聞こうとした瞬間、はやてが【来た】とばかりにポケットから携帯を取り出した。
「もしもし、あ~お久しぶりです。・・・はい♪・・・はい♪・・ありがとうございます。みんなで美味しく頂きました~・・・あっ・・はい。ちょい待って下さい」
シグナム達守護騎士の面々は「誰?」という風に互いに顔を見合わせていたが、はやてがなのはの方に歩み寄ると「あっ!」とシャマルが気付いた。
「なのはちゃん・・・」
「・・わたし?」
はやてはなのはに携帯を渡す。【誰だろう?】と思いながら
「もしもし」
と代わったところ携帯からは思いがけない人の声が聞こえた。
「久しぶり~なのは!元気にしてる?」
「おっお母さん!?」
そう、相手はなのはの母、桃子。はやて携帯を渡してシグナム達の方を向くと
『ちょっとみんなで散歩でもしよか』
と言いなのはを残して部屋を出て行った。
『なんか元気無いわね~』
「うん・・・ちょっと・・」
『ふ~ん・・ねぇ、覚えてる?なのは。昔私がなのはに凄く怒った事あったの』
「うん・・」
なのはは思い出す。それはまだ小学校に入る前の話。
『あの時なのは、どこからか練習刀を持ち出してきて危ない手つきで振り回していたんだよね。まだ士郎さんが病院にいて、私も美由紀もお店にずっと入っちゃってて。帰って見たとき吃驚しちゃったわよ』
「うん・・・私、あの時お兄ちゃんが練習してるの見て、私もあんな風に出来るのかなって。今なら凄く怖いことしてたってよくわかる」
『そう、小さい頃って『どうして、何故危ないの?』って判らないから、一度見てみたい・触ってみたいって思うものなのよね~。私も昔お母さんに凄く怒られた事あるもん』
「お母さんも?」
『桃子さんも子供の時はあったんだから~!』
「・・・・・」
『あー!なのは、信じてないでしょ!』
「ううん、そ、そんな事無いよ」
『ねぇ、なのは。もう一度ヴィヴィオちゃんとゆっくりお話してみようよ。ね!』
「・・・・うん、ありがとうお母さん」
相手の居なくなった携帯を机に置いて、目を閉じる。
久しぶりに聞いた母親の声がとても嬉しかった。
その時になって、なのははふとある事に気付いた。
どうして、ヴィヴィオが保管庫に行ったのかを、一体何が目的で入ったのかそれとも何かに引き寄せられたのか・・・
(もう、寝ちゃってるよね、そうだ!スフィアの記録を見れば)
思い立ったがなのはは再び隊舎へ向かおうとはやての部屋を出た。
「なのはちゃん」
「!?」
出た瞬間、はやてはなのはを待つかの様に扉の横に立っていた。出てきたなのはを呼び止め1枚の写真を見せる。
「見たいのこれやろ?。封印はきっちりされてたけど、もしかしたら古代ベルカは今の封印じゃ完全に処理出来ないのかもな」
写真の中には光った石に引きつけられるかの様にヴィヴィオが触れようとしていた。
「これ・・・」
「うちも後で気になって調べてたんよ。あの時のレリックの欠片とヴィヴィオが引き合ってるなんて考えてもなかったわ」
多分、ヴィヴィオがある程度まで近づくとレリックのかけらが反応してヴィヴィオを呼び寄せるのかも知れない。そしてヴィヴィオもそんな事を知らずに吸い寄せられるように部屋に入ったのかも・・
(ヴィヴィオ・・ゴメンね・・・)
「・・・ありがとう。はやてちゃん。明日ヴィヴィオにちゃんと謝る」
「うん♪それじゃ今日はもう寝よ」
「うん、それと・・ちょっとお願いが・・」
なのはとはやてはそのまま部屋へと戻っていった。
■がつ×にち
きょうはなのはままとあそびにいった
ゆうえんちっていうんだって。
なのはままおしごとやすんでいいの?ってきいたらきょうははやてさんにおやすみもらったから
ずっとう゛ぃう゛ぃおといっしょだよって。とってもうれしい
いっぱいのりもののっておべんとうもいっしょにたべたんだよ。
なのはままのおべんとうとてもおいしい
なのはままう゛ぃう゛ぃおにおこってごめんねって
う゛ぃう゛ぃおがやくそくまもらなかったのがわるいの
なのはままごめんなさい
ヴィヴィオの日記にはその時遊園地で撮った写真がたくさん挟んである。色々な場所で撮られていたが、その中でも変わらないものがあった。
本当に楽しそうなヴィヴィオの笑顔となのはの笑顔。それは2人の絆が強く結ばれた証でもあり、これから続いていく小さな一歩
(番外編)あふた~
「ばやて~~っ!」
「う゛・・・・」
「う~~~」
「クシュンっ!!」
「・・・・・・」
なのはとヴィヴィオが楽しんでいる頃、機動六課の宿舎・・はやての部屋ではというと・・・
「ちょっと待ってな、今氷もってくるさかい!」
昨夜外に出したままで、部屋に帰ることの出来なかった5人の骸がベッドに横たわっていた。
「「「「まだ死んでない(わよ)(ですっ!)!」」」」
ごもっとも。そして、その主は氷嚢を用意しつつもプログラムやデバイスでも風邪を引くことに少し感心していた。
~~ヴィヴィオの日記帳で初めての前後編です。少しベタかとも思いましたが、私がSSを書く中では心情を言葉にするのは稚拙ですので少しでも判りやすくと思いこんな形になりました。
もっとヴィヴィオに寄って書きたかったです。
次は・・・観察日記編!~~
(考えるより聞いてみた方がいいのかも)
「ねぇヴィヴィオ、ヴィヴィオはどうしてなのはママが怒ったかわかるかな?」
「・・・約束・・・破ったから・・」
寝返りをうってフェイトの方を見るヴィヴィオ
「そうだね、でももっと大切な事があるんだよ。それは・・・」
同じ頃、なのははというと
「高町隊長、何か飲み物でも」
「ありがとうございます。シグナムさん。でも・・今は・・」
なのは達の1つ上のフロアにあるはやての部屋、いや八神家にお邪魔していた。部屋にある椅子に座り文字通り落ち込んでいた。
「なぁ、なのは。誰も怪我人出た訳じゃないし、そこまで思い詰めるのは・・」
「そうそう、ヴィヴィオちゃんも次は約束守ってくれるわよ。絶対」
今まで見たことも無いなのはの表情にヴィータやシャマルもフォローを試みる
「ありがとう。ヴィータちゃん、シャマルさん・・・でも、そう言う事じゃないんです・・」
「ただヴィヴィオが約束忘れていただけとかですの?」
首を振ってリインの答えを否定する。
「私・・・ヴィヴィオに手をあげてしまったんです。何があっても話し合いでって言ってるのに、その私が・・・最初に手をあげそうに・・・」
最後のあたりは嗚咽と重なり言葉は聞き取れなかった。
微かに手が震えている。
『なぁ・・相当重傷じゃねーか??』
『ああ・・・シャマル、メンタルケアも学んだのではないのか?』
『うん、でもなのはちゃんの悩んでるのは局員のケアというより』
『子を持つ母親の悩みではないだろうか』
『そうなんですの?ザフィーラ』
『多分・・・・』
かつて守護騎士ヴォルケンリッターとして管理局に名を轟かせた4人と局内でも希少なユニゾンデバイスが全員で考えても、この悩みを解決に導くことは出来そうになかった。
「ただいま~って、なんやこの空気の重さは!?」
そんな所へ運良くか運悪くかは判らないが、はやてが戻ってきた。
入るなり部屋の空気の重さに驚く。はやての問いかけに答える者は居なかった。しかし、部屋の片隅で異常な空気の重さを作っているのが一目見て判った。
「ごめんね・・・はやてちゃん・・」
「そんな怖い声で言わんと・・・・な!」
「・・・うん・・・」
(相当重傷やな・・・)
周りの光まで吸い込んでしまいそうな程沈んだなのはを見て守護騎士達がはやての方を見つめる。
既に万策が尽きている様だ
『はやて、何か良い案ないの?』
『『はやてちゃん』』
『『主はやて』』
『う~ん・・・そろそろやと思うんやけど・・・』
「はやて?何か・・」
ヴィータが聞こうとした瞬間、はやてが【来た】とばかりにポケットから携帯を取り出した。
「もしもし、あ~お久しぶりです。・・・はい♪・・・はい♪・・ありがとうございます。みんなで美味しく頂きました~・・・あっ・・はい。ちょい待って下さい」
シグナム達守護騎士の面々は「誰?」という風に互いに顔を見合わせていたが、はやてがなのはの方に歩み寄ると「あっ!」とシャマルが気付いた。
「なのはちゃん・・・」
「・・わたし?」
はやてはなのはに携帯を渡す。【誰だろう?】と思いながら
「もしもし」
と代わったところ携帯からは思いがけない人の声が聞こえた。
「久しぶり~なのは!元気にしてる?」
「おっお母さん!?」
そう、相手はなのはの母、桃子。はやて携帯を渡してシグナム達の方を向くと
『ちょっとみんなで散歩でもしよか』
と言いなのはを残して部屋を出て行った。
『なんか元気無いわね~』
「うん・・・ちょっと・・」
『ふ~ん・・ねぇ、覚えてる?なのは。昔私がなのはに凄く怒った事あったの』
「うん・・」
なのはは思い出す。それはまだ小学校に入る前の話。
『あの時なのは、どこからか練習刀を持ち出してきて危ない手つきで振り回していたんだよね。まだ士郎さんが病院にいて、私も美由紀もお店にずっと入っちゃってて。帰って見たとき吃驚しちゃったわよ』
「うん・・・私、あの時お兄ちゃんが練習してるの見て、私もあんな風に出来るのかなって。今なら凄く怖いことしてたってよくわかる」
『そう、小さい頃って『どうして、何故危ないの?』って判らないから、一度見てみたい・触ってみたいって思うものなのよね~。私も昔お母さんに凄く怒られた事あるもん』
「お母さんも?」
『桃子さんも子供の時はあったんだから~!』
「・・・・・」
『あー!なのは、信じてないでしょ!』
「ううん、そ、そんな事無いよ」
『ねぇ、なのは。もう一度ヴィヴィオちゃんとゆっくりお話してみようよ。ね!』
「・・・・うん、ありがとうお母さん」
相手の居なくなった携帯を机に置いて、目を閉じる。
久しぶりに聞いた母親の声がとても嬉しかった。
その時になって、なのははふとある事に気付いた。
どうして、ヴィヴィオが保管庫に行ったのかを、一体何が目的で入ったのかそれとも何かに引き寄せられたのか・・・
(もう、寝ちゃってるよね、そうだ!スフィアの記録を見れば)
思い立ったがなのはは再び隊舎へ向かおうとはやての部屋を出た。
「なのはちゃん」
「!?」
出た瞬間、はやてはなのはを待つかの様に扉の横に立っていた。出てきたなのはを呼び止め1枚の写真を見せる。
「見たいのこれやろ?。封印はきっちりされてたけど、もしかしたら古代ベルカは今の封印じゃ完全に処理出来ないのかもな」
写真の中には光った石に引きつけられるかの様にヴィヴィオが触れようとしていた。
「これ・・・」
「うちも後で気になって調べてたんよ。あの時のレリックの欠片とヴィヴィオが引き合ってるなんて考えてもなかったわ」
多分、ヴィヴィオがある程度まで近づくとレリックのかけらが反応してヴィヴィオを呼び寄せるのかも知れない。そしてヴィヴィオもそんな事を知らずに吸い寄せられるように部屋に入ったのかも・・
(ヴィヴィオ・・ゴメンね・・・)
「・・・ありがとう。はやてちゃん。明日ヴィヴィオにちゃんと謝る」
「うん♪それじゃ今日はもう寝よ」
「うん、それと・・ちょっとお願いが・・」
なのはとはやてはそのまま部屋へと戻っていった。
■がつ×にち
きょうはなのはままとあそびにいった
ゆうえんちっていうんだって。
なのはままおしごとやすんでいいの?ってきいたらきょうははやてさんにおやすみもらったから
ずっとう゛ぃう゛ぃおといっしょだよって。とってもうれしい
いっぱいのりもののっておべんとうもいっしょにたべたんだよ。
なのはままのおべんとうとてもおいしい
なのはままう゛ぃう゛ぃおにおこってごめんねって
う゛ぃう゛ぃおがやくそくまもらなかったのがわるいの
なのはままごめんなさい
ヴィヴィオの日記にはその時遊園地で撮った写真がたくさん挟んである。色々な場所で撮られていたが、その中でも変わらないものがあった。
本当に楽しそうなヴィヴィオの笑顔となのはの笑顔。それは2人の絆が強く結ばれた証でもあり、これから続いていく小さな一歩
(番外編)あふた~
「ばやて~~っ!」
「う゛・・・・」
「う~~~」
「クシュンっ!!」
「・・・・・・」
なのはとヴィヴィオが楽しんでいる頃、機動六課の宿舎・・はやての部屋ではというと・・・
「ちょっと待ってな、今氷もってくるさかい!」
昨夜外に出したままで、部屋に帰ることの出来なかった5人の骸がベッドに横たわっていた。
「「「「まだ死んでない(わよ)(ですっ!)!」」」」
ごもっとも。そして、その主は氷嚢を用意しつつもプログラムやデバイスでも風邪を引くことに少し感心していた。
~~ヴィヴィオの日記帳で初めての前後編です。少しベタかとも思いましたが、私がSSを書く中では心情を言葉にするのは稚拙ですので少しでも判りやすくと思いこんな形になりました。
もっとヴィヴィオに寄って書きたかったです。
次は・・・観察日記編!~~
Comments
ヴィヴィオのレリックの欠片をもし回収していたら・・・という所からこの話が出来ました。
元々ヴィヴィオとなのはがけんかしちゃうっていう話を書きたかったのありましたけど
>錯乱坊様
ありがとうございます。
デバイスや色々な物もありましたが、日記帳らしく短くまとめられるレリックになりました。
次の観察日記の被害者は・・・いるのでしょうか?
>アダマ様
ありがとうございます。
ヴィヴィオの日記部分が読みづらいと聞いているのですが、ヴィヴィオが今の段階で漢字やカタカナは書けないと思いまして、今の方法になっています。
短編形式ですが読みやすいでしょうか?ちょっと気になってます
ヴィヴィオ視点からの話と言うのは楽しかったです。
次の観察日記も楽しみにしてますw
観察日記楽しみにしてます、次の対象は誰かなーー?
なるほど、そう来たか、という感じですw というか読むまでヴィヴィオにレリックが埋め込まれていたの忘れてました><;
観察日記楽しみにしていますw