第09話「グランツ研究所にて~その2~」
- リリカルなのは AdventStory > 第1章 再会と出逢い
- by ima
- 2015.11.26 Thursday 23:18
「さてと…」
ポッドに入ったヴィヴィオは考える。
対戦相手のシュテルとは何度も対戦している。彼女のジャケットも私と同じセイクリッド、防御力が高くて火力が強い遊撃タイプ、遊撃タイプだからこそどう出てくるかわからない。しかも彼女の方がブレイブデュエルについて詳しいし所持カードも多い。
前と同じ戦法を取るかセイクリッドの特性を前に出すか?
それともアリシアみたいに魔法以外の場所まで持ち込むか?
ポッドに入ったヴィヴィオは考える。
対戦相手のシュテルとは何度も対戦している。彼女のジャケットも私と同じセイクリッド、防御力が高くて火力が強い遊撃タイプ、遊撃タイプだからこそどう出てくるかわからない。しかも彼女の方がブレイブデュエルについて詳しいし所持カードも多い。
前と同じ戦法を取るかセイクリッドの特性を前に出すか?
それともアリシアみたいに魔法以外の場所まで持ち込むか?
「考えても仕方ないよね。」
考えても答えが出るわけではなく結局彼女の出方次第で行こうと決めブレイブホルダーを掲げた。
一方でシュテルも
「彼女はどの様に攻めるでしょうか…」
ヴィヴィオの戦法は多彩だ。複数の魔法を同時に使う技巧派なのかと思えば自らインファイトもするし予想できないトリッキーな戦い方もする。しかも昨日彼女が得たカードはグランツが再検証し、アミタが再テストをした程強力なもの…彼女が使えばどれ程の威力になるかはわからない。
でもそんな彼女だからこそ競え会えることが嬉しく心が躍る。
「行きましょう、至福の地へ」
ブレイブホルダーを掲げる。
「アリシアはどっちが勝つと思う?」
ヴィヴィオとシュテルが準備している間にアリシアはなのはに聞かれた。彼女を見ると心配そうとか言うより興味があって聞いているらしい。
「そうですね~」
う~ん…と少し上を仰いで考えた後
「デュエルの場所次第じゃないですか♪」
と答えた。
「デュエルの場所? どのステージになるかで決まっちゃうんですか? 雲海ステージを設定していますが大丈夫でしょうか…」
アリシアの言葉を聞いてユーリが心配そうに言う。
「違う違う、場所って言ったのが悪かった。ヴィヴィオもシュテルも同じジャケットで遠近関係ないでしょ。だったらどちらが得意な状態に持ち込めるかってこと。」
「ブレイブデュエルのルールみたいな中で戦えばシュテルが断然有利。でもシュテル、ヴィヴィオに手加減禁止って言っちゃったから絶対何かしてくるよね。それにシュテルが対応できるかで決まるんじゃないかな。」
そう答えるとなのはは笑顔で頷く。
「そうだね。相手より自分の方が強い場所・環境・状況を見つけるのが大事。さっきのデュエルも同じ。アリシアはレヴィちゃんより持ってるカードも少ないし、ブレイブデュエルのプレイ時間も短い。」
レヴィがなのはとアリシアの顔を交互に見ているのを見て頷く。
なのははレヴィにアドバイスをするつもりらしい。
「でも得意な剣をゲームの中で使ってカードの少なさやプレイ時間の短さをカバーしているし、効果範囲も判ってる。場所・環境・状況の全てで勝っている所にレヴィちゃんを誘ったから勝った。」
再び頷く。
「だからレヴィちゃんが得意なところ、場所・環境・状況で相手とデュエルすれば勝てるんじゃないかな。」
「…そっか…うんっ、アリシアもう1度ボクと勝負だっ!!」
聞いた直後に勝負を挑む彼女に苦笑する。
「だがその程度はシュテルも予想済みだ。全国1位の名は伊達ではない。」
「そうやね~、シュテルは得意な所も苦手な所も研究してるからな。」
ディアーチェとはやてが口々に言う。
「そうなんだけど、そこがヴィヴィオが強いっていうか凄い所なんだよね。」
「最初は相手の戦法に合わせるんだけど途中から自分のペースに乗せちゃったり、ついさっきまで勝ってるって思わせておいて突然自分の得意な場所に切り替えちゃう。私が誘うならヴィヴィオは突然掌返しする感じ。」
アリシア自身、彼女の戦い方はもの凄く研究したし実際に模擬戦もした。でもその中で彼女はアリシアが思いつかない事をさらりとやってのけた。
(だから安心しちゃってるところもあるんだけどね…)
「みんなヴィヴィオが使うまで考えてもなかったでしょ。デッキのスキルカードを全部組み合わせて使ったり、同じスキルを30回も同時に使ったりなんて。」
「シュテルがどこまでヴィヴィオを研究してるかかな~」
そんな事を言っていると2人は用意出来たらしくブレイブホルダーを掲げた。それを見て全員の会話が止まる。
「「ブレイブデュエル スタンバイ、カードドライブ リライズアーップ!!」」
2人は大空の中へと飛び込んでいった。
「空と雲と浮島…昨日と同じステージだね。」
ヴィヴィオは辺りを見回す。浮島を使った地上戦も出来るだろうけれど空中戦がメインになりそうだ。
「ヴィヴィオが慣れたステージを選らんだのでしょう。先に私のデッキを見ますか?」
「ううん、見てもわかんないならいい。」
「わかりました。では…」
「うん…」
シュテルが離れてデバイスを構える。
ヴィヴィオも彼女との距離を取って構える。
「「レディ…Goっ!!」」
2人はほぼ同時に動いた。
「まずは手始めっ!!」
アクセルシューター6個作ってシュテルめがけて放ちその後を追いかける。シュテルは回避行動を取りながら3個の魔法球を作って3個を撃ち落とし、残り3個とヴィヴィオが射線上に揃った瞬間
「行きますっ」
砲撃魔法が放たれた。
「っと」
だがヴィヴィオはそれを難なく避けるがシューターの回避が間に合わず消されてしまった。
「集束前にベースになる物を壊せばあの砲撃は使えません。ヴィヴィオと一緒に狙えば同時に避けられません」
少し驚く。彼女もクロスファイアシュートの弱点を見つけたらしい。
「すごい。じゃあこれはっ! ハァアアアッ」
今度は拳に魔力を集める。避けた瞬間にシューターとなって相手にぶつける。昨日トーレに使った戦法だ。しかしシュテルは
「ルシフェリオンクローで十分です。」
拳を受けてシューターを全て手で受けきった。
「!?」
このまま近接戦をすると不利と感じたヴィヴィオは離れようとインパクトキャノンで目くらましをするが離れ際に彼女が放ったシューターを2発受けてしまった。
「本当に調べてたんだ。凄い」
どうするかを考える。アクセルシューターをいっぱい作ってってしちゃうと魔力切れになる。フォートレスを使ってというのも使い慣れていないデバイスだし、攻撃と防御に自由度が無くなるからもし彼女が高速移動系のスキルをデッキに入れていたら対応出来ないしあの威力は魔力消費も相当激しい筈。勿論騎士甲冑やあの鎧は使えない。
何処かの司令の様に【歩くロストロギア】とまではいかないけれど普段魔力残量というものに無縁なヴィヴィオにとって魔力の効率的な運用は未体験の分野。
(出来れば乱戦に持ち込みたいけど…そうだ♪)
ある方法を思いつく。
「シュテル、本気でいくよっ♪」
フォートレス&ストライクカノンのカードを読み込ませた。
「やっぱり使っちゃったね。」
ヴィヴィオを周りに現れた彼女の背丈程の巨大な盾、そしてそれを超える長い砲口、現れたデバイスの方が彼女より明らかに大きい。
モニタを眺めつつどっちが本体なんだかとアリシアは苦笑する。
ヴィヴィオの弱点は彼女の魔法レパートリーの少なさ。出鼻を挫いて乱戦に持ち込ませなければ魔力制限が邪魔をしていつもの戦法は使えない。
しかも相手は対策を考えてきたシュテル。グランツ研究所の施設をフルに使って研究していただろう。となれば意表を突いてシュテルの得意な場所からヴィヴィオの得意な場所に移らないといけない。でも…
「あんな大きなの持ったら動くの遅くなるんじゃないかな、シュテルがソニックムーブ持ってたら勝ち目無いと思うんだけど…」
「シュテルん、入れてないよ」
レヴィが疑問に答える。
「どうしてわかるの?」
「あ奴があのカードを入れているからだ。アクセルシューター対策用のディザスターヘッド、砲撃対策用のブラストヘッド、近接対策用のルシフェリオンクロー、そしてあのカード対策用の…」
ディアーチェが言うのとほぼ同時にシュテルのデバイスも形を変えた。
「SR+スキルカード、ルシフェリオンドライバー」
「残ってる魔力量はシュテルの方が多いです。」
砲撃勝負になるなら慣れていないカードを出したヴィヴィオが不利。でもモニタ向こうの彼女はシュテルがデバイスを変化させたのを見て笑みを浮かべる。
「でもヴィヴィオちゃんの笑顔、絶対何か考えてるな。」
はやての言葉にアリシアも頷いた。
「RHd、魔力全部使った様に見せて撃つよ。シュテルが撃ってきたら飲み込まれちゃうからその前にカノンは外して。あとは打ち合わせ通り。」
【All Right】
「じゃあ…いくよっ!」
重い砲塔を抱えてヴィヴィオは上へと飛び上がった。
「砲撃戦での勝負ならっ!」
ヴィヴィオが飛び上がるのを見てシュテルも飛び立つ。ルシフェリオンドライバーをはじめとする砲撃スキルは相手が攻撃できないロングレンジで使うのがセオリーだ。だがそれはチーム戦の場合であり、今の様に1対1で対戦している時は相手に避けられてしまう。
となるとどこを狙うか?
即ち相手が放った直後に射線から移動し、発射直後の硬直時にこちらの砲撃を叩き込む。
アイテムカードでロングレンジ系のデザインで射程は彼女の方が長い可能性を考える。ヴィヴィオが動いたのはベストポイントを探す為、シュテルは彼女を追いかけながら自分の最大射程になる距離を測っていた。
ヴィヴィオが暫く飛ぶと上空に1つの浮島…というか大きい岩塊が見えた。
「見つけたっ!」
まっすぐ進んで裏へと回り身を隠し魔力をストライクカノンに送る。そして
「作戦開始っ!」
影からシュテルの位置を見て横に飛び出る。
ヴィヴィオ浮島を飛び出て浮島と挟む場所に回り込んでシュテルに照準を合わせる。しかしシュテルはヴィヴィオが隠れた時点で次を想定していた。ヴィヴィオが放った直後、横にずれて砲撃魔法を避けた後ルシフェリオンブレイカーを放つ。
だがそれがヴィヴィオの狙いだった。
ヴィヴィオが狙ったのはシュテルの奥の浮島…に置いてきたフォートレスのシールド。
シールドは砲撃に当たる前に避けその奥に隠されていた虹色の光球が姿を現す。
それら2つの魔法は組み合わさり、得意技のクロスファイアシュートとなって再びシュテルへと動いた。
一方のヴィヴィオもストライクカノンを放りだして両手と残り2枚の盾を広げ残った魔力を全部使ってシュテルの放った砲撃魔法受けてまとめ上げ…
「いっけぇえええええっ!!」
撃ち返した。
「!?」
シュテルは次弾をチャージして直ぐに撃とうとするが、背後から襲い来るクロスファイアシュートに気づかずルシフェリオンブレイカーが破壊され、気づいた瞬間自ら放った砲撃魔法の直撃を受け大爆発に巻き込まれた。
「ぶいっ♪」
笑顔でVサインを掲げるヴィヴィオ
「「……」」
相手の魔法を撃ち返したのを見てアミタやディアーチェ、ユーリ、レヴィは唖然とし、アリシア、なのは、フェイトはヤレヤレといった顔を見せるのだった。
~コメント~
ASシリーズのヴィヴィオとシュテルは過去に3度対戦しています。
戦績はヴィヴィオの2勝1敗なので、シュテルを含むDMS全員が次に来た時に勝とうと色々研究していました。
次回はようやく登場なあの人達です。
考えても答えが出るわけではなく結局彼女の出方次第で行こうと決めブレイブホルダーを掲げた。
一方でシュテルも
「彼女はどの様に攻めるでしょうか…」
ヴィヴィオの戦法は多彩だ。複数の魔法を同時に使う技巧派なのかと思えば自らインファイトもするし予想できないトリッキーな戦い方もする。しかも昨日彼女が得たカードはグランツが再検証し、アミタが再テストをした程強力なもの…彼女が使えばどれ程の威力になるかはわからない。
でもそんな彼女だからこそ競え会えることが嬉しく心が躍る。
「行きましょう、至福の地へ」
ブレイブホルダーを掲げる。
「アリシアはどっちが勝つと思う?」
ヴィヴィオとシュテルが準備している間にアリシアはなのはに聞かれた。彼女を見ると心配そうとか言うより興味があって聞いているらしい。
「そうですね~」
う~ん…と少し上を仰いで考えた後
「デュエルの場所次第じゃないですか♪」
と答えた。
「デュエルの場所? どのステージになるかで決まっちゃうんですか? 雲海ステージを設定していますが大丈夫でしょうか…」
アリシアの言葉を聞いてユーリが心配そうに言う。
「違う違う、場所って言ったのが悪かった。ヴィヴィオもシュテルも同じジャケットで遠近関係ないでしょ。だったらどちらが得意な状態に持ち込めるかってこと。」
「ブレイブデュエルのルールみたいな中で戦えばシュテルが断然有利。でもシュテル、ヴィヴィオに手加減禁止って言っちゃったから絶対何かしてくるよね。それにシュテルが対応できるかで決まるんじゃないかな。」
そう答えるとなのはは笑顔で頷く。
「そうだね。相手より自分の方が強い場所・環境・状況を見つけるのが大事。さっきのデュエルも同じ。アリシアはレヴィちゃんより持ってるカードも少ないし、ブレイブデュエルのプレイ時間も短い。」
レヴィがなのはとアリシアの顔を交互に見ているのを見て頷く。
なのははレヴィにアドバイスをするつもりらしい。
「でも得意な剣をゲームの中で使ってカードの少なさやプレイ時間の短さをカバーしているし、効果範囲も判ってる。場所・環境・状況の全てで勝っている所にレヴィちゃんを誘ったから勝った。」
再び頷く。
「だからレヴィちゃんが得意なところ、場所・環境・状況で相手とデュエルすれば勝てるんじゃないかな。」
「…そっか…うんっ、アリシアもう1度ボクと勝負だっ!!」
聞いた直後に勝負を挑む彼女に苦笑する。
「だがその程度はシュテルも予想済みだ。全国1位の名は伊達ではない。」
「そうやね~、シュテルは得意な所も苦手な所も研究してるからな。」
ディアーチェとはやてが口々に言う。
「そうなんだけど、そこがヴィヴィオが強いっていうか凄い所なんだよね。」
「最初は相手の戦法に合わせるんだけど途中から自分のペースに乗せちゃったり、ついさっきまで勝ってるって思わせておいて突然自分の得意な場所に切り替えちゃう。私が誘うならヴィヴィオは突然掌返しする感じ。」
アリシア自身、彼女の戦い方はもの凄く研究したし実際に模擬戦もした。でもその中で彼女はアリシアが思いつかない事をさらりとやってのけた。
(だから安心しちゃってるところもあるんだけどね…)
「みんなヴィヴィオが使うまで考えてもなかったでしょ。デッキのスキルカードを全部組み合わせて使ったり、同じスキルを30回も同時に使ったりなんて。」
「シュテルがどこまでヴィヴィオを研究してるかかな~」
そんな事を言っていると2人は用意出来たらしくブレイブホルダーを掲げた。それを見て全員の会話が止まる。
「「ブレイブデュエル スタンバイ、カードドライブ リライズアーップ!!」」
2人は大空の中へと飛び込んでいった。
「空と雲と浮島…昨日と同じステージだね。」
ヴィヴィオは辺りを見回す。浮島を使った地上戦も出来るだろうけれど空中戦がメインになりそうだ。
「ヴィヴィオが慣れたステージを選らんだのでしょう。先に私のデッキを見ますか?」
「ううん、見てもわかんないならいい。」
「わかりました。では…」
「うん…」
シュテルが離れてデバイスを構える。
ヴィヴィオも彼女との距離を取って構える。
「「レディ…Goっ!!」」
2人はほぼ同時に動いた。
「まずは手始めっ!!」
アクセルシューター6個作ってシュテルめがけて放ちその後を追いかける。シュテルは回避行動を取りながら3個の魔法球を作って3個を撃ち落とし、残り3個とヴィヴィオが射線上に揃った瞬間
「行きますっ」
砲撃魔法が放たれた。
「っと」
だがヴィヴィオはそれを難なく避けるがシューターの回避が間に合わず消されてしまった。
「集束前にベースになる物を壊せばあの砲撃は使えません。ヴィヴィオと一緒に狙えば同時に避けられません」
少し驚く。彼女もクロスファイアシュートの弱点を見つけたらしい。
「すごい。じゃあこれはっ! ハァアアアッ」
今度は拳に魔力を集める。避けた瞬間にシューターとなって相手にぶつける。昨日トーレに使った戦法だ。しかしシュテルは
「ルシフェリオンクローで十分です。」
拳を受けてシューターを全て手で受けきった。
「!?」
このまま近接戦をすると不利と感じたヴィヴィオは離れようとインパクトキャノンで目くらましをするが離れ際に彼女が放ったシューターを2発受けてしまった。
「本当に調べてたんだ。凄い」
どうするかを考える。アクセルシューターをいっぱい作ってってしちゃうと魔力切れになる。フォートレスを使ってというのも使い慣れていないデバイスだし、攻撃と防御に自由度が無くなるからもし彼女が高速移動系のスキルをデッキに入れていたら対応出来ないしあの威力は魔力消費も相当激しい筈。勿論騎士甲冑やあの鎧は使えない。
何処かの司令の様に【歩くロストロギア】とまではいかないけれど普段魔力残量というものに無縁なヴィヴィオにとって魔力の効率的な運用は未体験の分野。
(出来れば乱戦に持ち込みたいけど…そうだ♪)
ある方法を思いつく。
「シュテル、本気でいくよっ♪」
フォートレス&ストライクカノンのカードを読み込ませた。
「やっぱり使っちゃったね。」
ヴィヴィオを周りに現れた彼女の背丈程の巨大な盾、そしてそれを超える長い砲口、現れたデバイスの方が彼女より明らかに大きい。
モニタを眺めつつどっちが本体なんだかとアリシアは苦笑する。
ヴィヴィオの弱点は彼女の魔法レパートリーの少なさ。出鼻を挫いて乱戦に持ち込ませなければ魔力制限が邪魔をしていつもの戦法は使えない。
しかも相手は対策を考えてきたシュテル。グランツ研究所の施設をフルに使って研究していただろう。となれば意表を突いてシュテルの得意な場所からヴィヴィオの得意な場所に移らないといけない。でも…
「あんな大きなの持ったら動くの遅くなるんじゃないかな、シュテルがソニックムーブ持ってたら勝ち目無いと思うんだけど…」
「シュテルん、入れてないよ」
レヴィが疑問に答える。
「どうしてわかるの?」
「あ奴があのカードを入れているからだ。アクセルシューター対策用のディザスターヘッド、砲撃対策用のブラストヘッド、近接対策用のルシフェリオンクロー、そしてあのカード対策用の…」
ディアーチェが言うのとほぼ同時にシュテルのデバイスも形を変えた。
「SR+スキルカード、ルシフェリオンドライバー」
「残ってる魔力量はシュテルの方が多いです。」
砲撃勝負になるなら慣れていないカードを出したヴィヴィオが不利。でもモニタ向こうの彼女はシュテルがデバイスを変化させたのを見て笑みを浮かべる。
「でもヴィヴィオちゃんの笑顔、絶対何か考えてるな。」
はやての言葉にアリシアも頷いた。
「RHd、魔力全部使った様に見せて撃つよ。シュテルが撃ってきたら飲み込まれちゃうからその前にカノンは外して。あとは打ち合わせ通り。」
【All Right】
「じゃあ…いくよっ!」
重い砲塔を抱えてヴィヴィオは上へと飛び上がった。
「砲撃戦での勝負ならっ!」
ヴィヴィオが飛び上がるのを見てシュテルも飛び立つ。ルシフェリオンドライバーをはじめとする砲撃スキルは相手が攻撃できないロングレンジで使うのがセオリーだ。だがそれはチーム戦の場合であり、今の様に1対1で対戦している時は相手に避けられてしまう。
となるとどこを狙うか?
即ち相手が放った直後に射線から移動し、発射直後の硬直時にこちらの砲撃を叩き込む。
アイテムカードでロングレンジ系のデザインで射程は彼女の方が長い可能性を考える。ヴィヴィオが動いたのはベストポイントを探す為、シュテルは彼女を追いかけながら自分の最大射程になる距離を測っていた。
ヴィヴィオが暫く飛ぶと上空に1つの浮島…というか大きい岩塊が見えた。
「見つけたっ!」
まっすぐ進んで裏へと回り身を隠し魔力をストライクカノンに送る。そして
「作戦開始っ!」
影からシュテルの位置を見て横に飛び出る。
ヴィヴィオ浮島を飛び出て浮島と挟む場所に回り込んでシュテルに照準を合わせる。しかしシュテルはヴィヴィオが隠れた時点で次を想定していた。ヴィヴィオが放った直後、横にずれて砲撃魔法を避けた後ルシフェリオンブレイカーを放つ。
だがそれがヴィヴィオの狙いだった。
ヴィヴィオが狙ったのはシュテルの奥の浮島…に置いてきたフォートレスのシールド。
シールドは砲撃に当たる前に避けその奥に隠されていた虹色の光球が姿を現す。
それら2つの魔法は組み合わさり、得意技のクロスファイアシュートとなって再びシュテルへと動いた。
一方のヴィヴィオもストライクカノンを放りだして両手と残り2枚の盾を広げ残った魔力を全部使ってシュテルの放った砲撃魔法受けてまとめ上げ…
「いっけぇえええええっ!!」
撃ち返した。
「!?」
シュテルは次弾をチャージして直ぐに撃とうとするが、背後から襲い来るクロスファイアシュートに気づかずルシフェリオンブレイカーが破壊され、気づいた瞬間自ら放った砲撃魔法の直撃を受け大爆発に巻き込まれた。
「ぶいっ♪」
笑顔でVサインを掲げるヴィヴィオ
「「……」」
相手の魔法を撃ち返したのを見てアミタやディアーチェ、ユーリ、レヴィは唖然とし、アリシア、なのは、フェイトはヤレヤレといった顔を見せるのだった。
~コメント~
ASシリーズのヴィヴィオとシュテルは過去に3度対戦しています。
戦績はヴィヴィオの2勝1敗なので、シュテルを含むDMS全員が次に来た時に勝とうと色々研究していました。
次回はようやく登場なあの人達です。
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