第49話「詩編の意味」
- リリカルなのは AdventStory > 第5章 聖王の意思
- by ima
- 2016.10.10 Monday 23:24
「お姉ちゃんこれからどうするの? データの解析は終わってるよね?」
「えっ? 昨日まだだって…」
ヴィヴィオが高町家に出かけた後4人で取る朝食の中、チェントが大人アリシアに聞く。
思わずアリシアも聞き返す。
「特務6課のデータは終わってるよ。私とヴィヴィオはカレドウルフの実験施設に行くつもり。先にラプターが関係ないって言い切れる証拠を掴まなくちゃ。チェント、アリシアと一緒に留守番お願いね。あっそうだ! 2人でこっちの魔導技術についてもう少し調べて貰えるかな? 管理局の装備品系に絞っていいから」
昨日と違って【管理局の装備品】に絞ってというのに2人して疑問符を浮かべる。
「でも…2人で大丈夫?」
「えっ? 昨日まだだって…」
ヴィヴィオが高町家に出かけた後4人で取る朝食の中、チェントが大人アリシアに聞く。
思わずアリシアも聞き返す。
「特務6課のデータは終わってるよ。私とヴィヴィオはカレドウルフの実験施設に行くつもり。先にラプターが関係ないって言い切れる証拠を掴まなくちゃ。チェント、アリシアと一緒に留守番お願いね。あっそうだ! 2人でこっちの魔導技術についてもう少し調べて貰えるかな? 管理局の装備品系に絞っていいから」
昨日と違って【管理局の装備品】に絞ってというのに2人して疑問符を浮かべる。
「でも…2人で大丈夫?」
「平気平気♪ カレドウルフでEC作ってたらそれこそ大変でしょ。そうだな~…夕方にはメッセージ送るし、夜になっても何も連絡無かったらヴィヴィオに連絡して。チェント、外に出るならこれ使ってね。ここでその格好目立っちゃうから。」
(ヴィヴィオ…持って来てたんだ…)
ブレイブデュエルの世界で変装用に持って来ていたのは知っていたけどまさかこっちにまで持って来ているとは思わずアリシアは苦笑する。
「方針は決まったし、朝ご飯食べたら作戦開始だね♪」
大人ヴィヴィオがそう言ってスープを飲んで言った。
その様子を見てアリシアは
(あっちの2人…本当に信頼してるんだ…ヴィヴィオと私はどうなのかな?)
大人アリシアの言った話に特に何も言わなかった彼女達の関係を見て思うのだった。
「ねぇ、何か気になってるんじゃないの?」
朝食を終え2人に見送られた後、歩きながらヴィヴィオはアリシアに聞く。
「どうして?」
「ヴォルフラムでデータ整理まで終わったんでしょ? いつもだったら私にも教えてくれるのに何にも教えてくれない。それにヴィヴィオをこっちのヴィヴィオの所に行かせて、アリシアにもチェントを付けた。私…ううん、ヴィヴィオに何か関係あるんじゃないの?」
「ハァ~、そういう所の勘は鋭いんだから。」
溜息をつくアリシア
「私もまだそうだっていう確証が得られてないの。でも…昨日、何となくなんだけど刻の魔導書にあったメッセージの意味が判った気がしたんだ。」
「偽りの魂を弄ぶなっていう意味判ったの?」
「ううん、何となくでしか無いし…私が考えてる事が当たってるって保証も無い。今日はその確証を得たい。その時は絶対話すからそれまでは…ごめん。」
何かきっかけを掴んでいるらしいけれど、それがまだ見えていないらしい。
「いいよ。行き先と目的を教えて参謀殿♪」
刻の魔導書を取り出して開く。
「うん、行き先は…」
そして行き先を聞いてイメージを作り出し、浮かんだ詩編を紡ぎ飛んだ。
それから少し時が経った頃、アリシアはチェントと一緒に街の図書館に来ていた。
「ここで管理局の装備品なんて調べられるの? 管理局に行くかヴィヴィオに聞いた方が早くない?」
疑問符を浮かべてついてくるチェントが聞く
「局員でもないのに教えて下さいなんて言ったら怪しまれるでしょ。私達はここじゃパスも持ってない。テスト中とか詳しいものはわかんないけど、公開されてる情報は見つかるよ。」
アリシアが連れて来たのは図書館のニュースライブラリ。昨日思い出したのが海鳴市に居た時、図書館に行った時昔のニュースが調べられるという事。
早速行ってみると思った通りのコーナーを見つけた。ただその時は調べる内容が曖昧すぎて使えなかったけれど今日は調べる条件が判っている。
パスも家に忘れてきたとか言えば館内専用のパスと端末を貸してくれるのも確認済みだ。
「検索魔方陣を使わなくてもここならね♪ 私達はバックアップ、出来ることをしよっ♪」
「そんな方法あったんだ…」
呆然としているチェントの手を取ってアリシアは図書館に入っていった。
こうして大人ヴィヴィオと大人アリシアはカレドウルフ社でアリシアとチェントはミッドチルダの1都市にある図書館で調査を始めた。
更に時間が過ぎて日が傾き始めた頃、アリシアとチェントが図書館から出てきた。
「あ~、こんな時間になるなんて予想外だよ~、もうクタクタ~」
肩を落として呟くアリシアにチェントは苦笑しながら
「私も少し疲れた。思ったよりデータ集まったね。」
「多すぎだよ~」
アリシアが思っていた通り…思っていた以上のデータが図書館にはあった。
管理局の装備品と言っても、制服や一般局員の所持品から本局で採用されている物、更には特殊な救急用等多岐に渡って見つかった。流石に本局教導隊た次元航行部隊、首都航空隊等のデータは見つからなかったけれど…それでも多すぎた。
「魔導技術のレベルは私の世界とあんまり変わらないのかな? 少し時代遅れの物もあったけど…」
「………」
呟く彼女の言葉に気付かされる。今日調べた中には全く知らない物が沢山あった。アリシアから見れば彼女は数年後の未来から来ているのと同じで、彼女から見たらここは過去だけれどアリシアにとっては未来になる。
(…調べたの…事件が終わったら消さなくちゃ)
元の世界に帰った後、何かの拍子に持ち帰ったデータが出てしまうと何かとんでもない事を起こしてしまう、忘れないようにと心に留め置くのだった。
一方で、家路に向かうヴィヴィオとアリシアの足取りは重かった。
カレドウルフの研究施設には難なく潜入出来たのだけれど調べていく中で2人は絶句する物を見つけてしまった。
それは…運用される事無く廃棄されたラプターの残骸。
ラプターは製造された全台が運用されておらず欠陥品ととして廃棄された端末が存在した。
「システムに馴染めずに自律プログラム異常の為…廃棄」
プレシアの指摘していた存在矛盾を残したまま試験運用されていた。それも問題が起きた個体だけを廃棄して。
「そうだよね…。自律プログラム…自我…意識を持っているのに他の自分が得た情報が入って来たら…崩壊しちゃうよね。」
もし全く同じ姿の自分が複数人居て、彼女達が見聞きし得た情報が常に自分に流れ込んできたら…意識を、自我を保っていられるだろうか?
聖骸布から人造的に作られたヴィヴィオにとっては他人事と思えず恐怖を覚える。
「それもあるけど、あの子達にこれも話す?」
アリシアが見せたのはラプターの設計図。
ラプターの動力は内蔵バッテリが使われている。それはヴォルフラムの資料でも書かれていた。しかしラプター間の同期では魔法力が使われていた。そこで使われていたのは高魔力結晶体。
2人はそれを知っている。
「魔力コア…、ここにプレシアさんは居ないから作れない。多分だけど、あっちの私達が持って来た物。」
異世界のヴィヴィオとアリシアがこの世界の過去に来た時に始まっていた。
「プレシアさん…私たちがラプターの話をした時から気づいてたんじゃない? 研究室で私が持って来たデータを見てたけど…今思えばラプターに絞っていた気がする。」
「多分…ううん、母さんは知ってた。だからあの時言わなかった…ヴィヴィオも居たから。」
アリシアの言葉に頷く。
彼女は知っていた。しかしヴィヴィオが居たからあえて話さず存在矛盾という問題だけを提起した。それは暗に『ヴィヴィオに聞かせるな』と言う意味だったのだろうか。
「どうする? 巻き込んじゃった以上話さなきゃとは思うけど…母さんから最後の手は受け取ってるけど…使って終わらせる?」
アリシアに聞かれて迷う。確かにその方法で終わらせられる…でも根本的な解決になっていない。
「うん…でもまだ絶対にラプターだって決まった訳じゃないし。他にもまだ調べられ…」
「いいえ、貴方達が見た物が全てです。」
「「!!」」
大人ヴィヴィオはアリシアの前に出る。対してアリシアも後方へジャンプしバルディッシュを取り出した。
「誰っ!」
「っ!?…」
「ウソ…」
暗闇の中から現れた者を見て2人は驚きの余り言葉を失った。
何故ならば目の前に居たのは見間違える筈のない…
「イ…ク…ス…?」
イクスヴェリアだったからだ。
「何故彼女を巻き込…いいえ、今更伝えても意味がありません…貴方達が見た物が墜ち行く世界の始まりです。」
「…っ! どうしてイクスがそれを知ってるの? 落ち行く世界の始まりって何? ううん、どうして私達を知って…本当にイクスっ?」
半ば叫ぶ様にヴィヴィオはイクスに問いかける。元世界の彼女は私達の魔法は知らない。仮に知っていたとしてもここに来られない。
でも…目の前に居るのはどう見てもイクス…本人
「……冥府の王イクスヴェリアとイクスヴェリアが生み出すマリアージュ…、死者の魂を弄んだ国は滅びました。偽りの魂と死者の魂…何処が違うのでしょう…」
「…ここは墜ち行く世界、貴方達が得た物だけが希望の光です。」
「わかんないよっ! もっと判る様に教えてっ!」
ヴィヴィオが駆け寄ろうとすると彼女は微笑み光の中に消えた。
「……消えた? 7色…虹の光…時空転移?」
何故彼女がその魔法を?
伸ばした手が先程まで彼女が居た場所を掠めたのはその数秒後だった。
「アリシア…今のって夢じゃないよね?」
「うん…幻惑系魔法じゃない…ここで私達2人を知ってるのはチェントと子供の私達だけだし、イクスが…さっきの彼女、私達の世界のイクスだった?」
流石のアリシアも一瞬の間に起きた事が整理出来ないでいた。
(ここのイクス?…ううん、彼女は気になるけど何を伝えに来たの? 墜ち行く世界…イクスヴェリアとマリアージュ…死者の魂と偽りの魂の違い? 私達が得たものが希望の光?)
彼女が本物か偽物かは置いておいて、彼女は何かを伝える為に来たのは間違い無い。
イクスが生み出すマリアージュは単純な命令しか出来なかった。でも周りにある物があれば無限に増えていく。
得た物…私達が得た物はラプターの製造過程とその廃棄された映像と廃棄理由、それが希望の光?
(彼女は何を言いたかったの?)
「アリシア…」
心配そうに考え込む私を見るヴィヴィオ。目の前の彼女を見てハッと気付いた。
「ヴィヴィオ…そうか…偽りの魂はラプターなんだ。」
アリシアはあの文字の【本当の意味】に気付いた。
~コメント~
今回はヴィヴィオ以外のメンバー回でした。
ちょっとシリアス感強すぎたと反省…
(ヴィヴィオ…持って来てたんだ…)
ブレイブデュエルの世界で変装用に持って来ていたのは知っていたけどまさかこっちにまで持って来ているとは思わずアリシアは苦笑する。
「方針は決まったし、朝ご飯食べたら作戦開始だね♪」
大人ヴィヴィオがそう言ってスープを飲んで言った。
その様子を見てアリシアは
(あっちの2人…本当に信頼してるんだ…ヴィヴィオと私はどうなのかな?)
大人アリシアの言った話に特に何も言わなかった彼女達の関係を見て思うのだった。
「ねぇ、何か気になってるんじゃないの?」
朝食を終え2人に見送られた後、歩きながらヴィヴィオはアリシアに聞く。
「どうして?」
「ヴォルフラムでデータ整理まで終わったんでしょ? いつもだったら私にも教えてくれるのに何にも教えてくれない。それにヴィヴィオをこっちのヴィヴィオの所に行かせて、アリシアにもチェントを付けた。私…ううん、ヴィヴィオに何か関係あるんじゃないの?」
「ハァ~、そういう所の勘は鋭いんだから。」
溜息をつくアリシア
「私もまだそうだっていう確証が得られてないの。でも…昨日、何となくなんだけど刻の魔導書にあったメッセージの意味が判った気がしたんだ。」
「偽りの魂を弄ぶなっていう意味判ったの?」
「ううん、何となくでしか無いし…私が考えてる事が当たってるって保証も無い。今日はその確証を得たい。その時は絶対話すからそれまでは…ごめん。」
何かきっかけを掴んでいるらしいけれど、それがまだ見えていないらしい。
「いいよ。行き先と目的を教えて参謀殿♪」
刻の魔導書を取り出して開く。
「うん、行き先は…」
そして行き先を聞いてイメージを作り出し、浮かんだ詩編を紡ぎ飛んだ。
それから少し時が経った頃、アリシアはチェントと一緒に街の図書館に来ていた。
「ここで管理局の装備品なんて調べられるの? 管理局に行くかヴィヴィオに聞いた方が早くない?」
疑問符を浮かべてついてくるチェントが聞く
「局員でもないのに教えて下さいなんて言ったら怪しまれるでしょ。私達はここじゃパスも持ってない。テスト中とか詳しいものはわかんないけど、公開されてる情報は見つかるよ。」
アリシアが連れて来たのは図書館のニュースライブラリ。昨日思い出したのが海鳴市に居た時、図書館に行った時昔のニュースが調べられるという事。
早速行ってみると思った通りのコーナーを見つけた。ただその時は調べる内容が曖昧すぎて使えなかったけれど今日は調べる条件が判っている。
パスも家に忘れてきたとか言えば館内専用のパスと端末を貸してくれるのも確認済みだ。
「検索魔方陣を使わなくてもここならね♪ 私達はバックアップ、出来ることをしよっ♪」
「そんな方法あったんだ…」
呆然としているチェントの手を取ってアリシアは図書館に入っていった。
こうして大人ヴィヴィオと大人アリシアはカレドウルフ社でアリシアとチェントはミッドチルダの1都市にある図書館で調査を始めた。
更に時間が過ぎて日が傾き始めた頃、アリシアとチェントが図書館から出てきた。
「あ~、こんな時間になるなんて予想外だよ~、もうクタクタ~」
肩を落として呟くアリシアにチェントは苦笑しながら
「私も少し疲れた。思ったよりデータ集まったね。」
「多すぎだよ~」
アリシアが思っていた通り…思っていた以上のデータが図書館にはあった。
管理局の装備品と言っても、制服や一般局員の所持品から本局で採用されている物、更には特殊な救急用等多岐に渡って見つかった。流石に本局教導隊た次元航行部隊、首都航空隊等のデータは見つからなかったけれど…それでも多すぎた。
「魔導技術のレベルは私の世界とあんまり変わらないのかな? 少し時代遅れの物もあったけど…」
「………」
呟く彼女の言葉に気付かされる。今日調べた中には全く知らない物が沢山あった。アリシアから見れば彼女は数年後の未来から来ているのと同じで、彼女から見たらここは過去だけれどアリシアにとっては未来になる。
(…調べたの…事件が終わったら消さなくちゃ)
元の世界に帰った後、何かの拍子に持ち帰ったデータが出てしまうと何かとんでもない事を起こしてしまう、忘れないようにと心に留め置くのだった。
一方で、家路に向かうヴィヴィオとアリシアの足取りは重かった。
カレドウルフの研究施設には難なく潜入出来たのだけれど調べていく中で2人は絶句する物を見つけてしまった。
それは…運用される事無く廃棄されたラプターの残骸。
ラプターは製造された全台が運用されておらず欠陥品ととして廃棄された端末が存在した。
「システムに馴染めずに自律プログラム異常の為…廃棄」
プレシアの指摘していた存在矛盾を残したまま試験運用されていた。それも問題が起きた個体だけを廃棄して。
「そうだよね…。自律プログラム…自我…意識を持っているのに他の自分が得た情報が入って来たら…崩壊しちゃうよね。」
もし全く同じ姿の自分が複数人居て、彼女達が見聞きし得た情報が常に自分に流れ込んできたら…意識を、自我を保っていられるだろうか?
聖骸布から人造的に作られたヴィヴィオにとっては他人事と思えず恐怖を覚える。
「それもあるけど、あの子達にこれも話す?」
アリシアが見せたのはラプターの設計図。
ラプターの動力は内蔵バッテリが使われている。それはヴォルフラムの資料でも書かれていた。しかしラプター間の同期では魔法力が使われていた。そこで使われていたのは高魔力結晶体。
2人はそれを知っている。
「魔力コア…、ここにプレシアさんは居ないから作れない。多分だけど、あっちの私達が持って来た物。」
異世界のヴィヴィオとアリシアがこの世界の過去に来た時に始まっていた。
「プレシアさん…私たちがラプターの話をした時から気づいてたんじゃない? 研究室で私が持って来たデータを見てたけど…今思えばラプターに絞っていた気がする。」
「多分…ううん、母さんは知ってた。だからあの時言わなかった…ヴィヴィオも居たから。」
アリシアの言葉に頷く。
彼女は知っていた。しかしヴィヴィオが居たからあえて話さず存在矛盾という問題だけを提起した。それは暗に『ヴィヴィオに聞かせるな』と言う意味だったのだろうか。
「どうする? 巻き込んじゃった以上話さなきゃとは思うけど…母さんから最後の手は受け取ってるけど…使って終わらせる?」
アリシアに聞かれて迷う。確かにその方法で終わらせられる…でも根本的な解決になっていない。
「うん…でもまだ絶対にラプターだって決まった訳じゃないし。他にもまだ調べられ…」
「いいえ、貴方達が見た物が全てです。」
「「!!」」
大人ヴィヴィオはアリシアの前に出る。対してアリシアも後方へジャンプしバルディッシュを取り出した。
「誰っ!」
「っ!?…」
「ウソ…」
暗闇の中から現れた者を見て2人は驚きの余り言葉を失った。
何故ならば目の前に居たのは見間違える筈のない…
「イ…ク…ス…?」
イクスヴェリアだったからだ。
「何故彼女を巻き込…いいえ、今更伝えても意味がありません…貴方達が見た物が墜ち行く世界の始まりです。」
「…っ! どうしてイクスがそれを知ってるの? 落ち行く世界の始まりって何? ううん、どうして私達を知って…本当にイクスっ?」
半ば叫ぶ様にヴィヴィオはイクスに問いかける。元世界の彼女は私達の魔法は知らない。仮に知っていたとしてもここに来られない。
でも…目の前に居るのはどう見てもイクス…本人
「……冥府の王イクスヴェリアとイクスヴェリアが生み出すマリアージュ…、死者の魂を弄んだ国は滅びました。偽りの魂と死者の魂…何処が違うのでしょう…」
「…ここは墜ち行く世界、貴方達が得た物だけが希望の光です。」
「わかんないよっ! もっと判る様に教えてっ!」
ヴィヴィオが駆け寄ろうとすると彼女は微笑み光の中に消えた。
「……消えた? 7色…虹の光…時空転移?」
何故彼女がその魔法を?
伸ばした手が先程まで彼女が居た場所を掠めたのはその数秒後だった。
「アリシア…今のって夢じゃないよね?」
「うん…幻惑系魔法じゃない…ここで私達2人を知ってるのはチェントと子供の私達だけだし、イクスが…さっきの彼女、私達の世界のイクスだった?」
流石のアリシアも一瞬の間に起きた事が整理出来ないでいた。
(ここのイクス?…ううん、彼女は気になるけど何を伝えに来たの? 墜ち行く世界…イクスヴェリアとマリアージュ…死者の魂と偽りの魂の違い? 私達が得たものが希望の光?)
彼女が本物か偽物かは置いておいて、彼女は何かを伝える為に来たのは間違い無い。
イクスが生み出すマリアージュは単純な命令しか出来なかった。でも周りにある物があれば無限に増えていく。
得た物…私達が得た物はラプターの製造過程とその廃棄された映像と廃棄理由、それが希望の光?
(彼女は何を言いたかったの?)
「アリシア…」
心配そうに考え込む私を見るヴィヴィオ。目の前の彼女を見てハッと気付いた。
「ヴィヴィオ…そうか…偽りの魂はラプターなんだ。」
アリシアはあの文字の【本当の意味】に気付いた。
~コメント~
今回はヴィヴィオ以外のメンバー回でした。
ちょっとシリアス感強すぎたと反省…
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