AS35「カルナージにて~1~」
「っと、到着!」
トンっと地に降りた私はふぅっと息をついた。
突然決まったカルナージでのRHdのテスト。
色々準備も大変だったけれど、ここで問題なければ魔法を使っても良くなる。不安もあるけれどこの際置いておいて私は楽しみだった。
試験用の機器についてはマリエルが用意してなのは、フェイトとヴィータが本局から持ってくるらしい。みんなと地上本部から定期航行船でこっちに向かっているけれど、異世界の私やアリシアは船に乗れないので私が空間転移で連れてきた。チェント…大きい方の彼女には私の代わりに乗って貰っている。
「凄い…デバイスなしで1回で来るなんて」
「時間の誤差も殆どない…。使いこなしてるんだね。」
トンっと地に降りた私はふぅっと息をついた。
突然決まったカルナージでのRHdのテスト。
色々準備も大変だったけれど、ここで問題なければ魔法を使っても良くなる。不安もあるけれどこの際置いておいて私は楽しみだった。
試験用の機器についてはマリエルが用意してなのは、フェイトとヴィータが本局から持ってくるらしい。みんなと地上本部から定期航行船でこっちに向かっているけれど、異世界の私やアリシアは船に乗れないので私が空間転移で連れてきた。チェント…大きい方の彼女には私の代わりに乗って貰っている。
「凄い…デバイスなしで1回で来るなんて」
「時間の誤差も殆どない…。使いこなしてるんだね。」
2人に褒められて少し照れる。
「確か…あの山の向こうにルールーの家があったと思うんだけど…」
見える山1つを指さす。飛行魔法で1時間といったところか。
こっちのメガーヌとルーテシアは私の魔法について何も知らない。はやてから少しは聞いているかも知れないけれど…。
ここを使わせて貰う以上隠していたくないとアリシアやプレシア、なのは、フェイトと話し合って異世界の私達やデバイスについて話すつもりだ。でも移動時間の都合上私達の方が先に着くから少し離れたここで待つことになる。
「チェントに着いたら連絡するように言ってあるから、それまでゆっくりしましょう。」
と言って大人アリシアはデバイスからバスケットを取り出して中からシートを出して敷きサンドイッチと飲み物を取りだした。
準備が良いと驚く私の背を大人ヴィヴィオはポンっと叩いて
「私達も休も♪」
シートに座ってみんなが来る迄の時間を満喫した。
一方同じ頃、アリシア達はミッドチルダから管理局本局へゲートを使って移動し、そこから定期航行船に乗り換えて移動中だった。
「この子が未来の…本当にそっくりやね。」
「言われなきゃ気づかないわね~。」
「本当です~」
管理局で合流したはやてとシャマル、リインは2人のチェントを見比べて驚いていた。
3人の視線を受けて恥ずかしがる大きい方のチェントと、プレシアの横でキャンディを美味しそうに食べているご機嫌なチェント。
似ていると言われたら当然なのだけれど初めて会った者達にとっては目にかかれない光景だった。
「あんまりいじめないでくださいね。2人ともかわいい妹なんですから。」
前のシートに座っていたアリシアが後ろに向いて座席に膝立ちして言う。
「お前もアレは使えるのか?」
アレと言われて一瞬止まるが、時空転移のことだと気づいて
「はい、でもヴィヴィオみたいに上手く使えません。」
「彼女はバックアップなんです。ヴィヴィオがフォワードであっちの私がセンター…なのかな?」
「うん、私も戦技魔法は練習中です。ヴィヴィオやお姉ちゃんみたいには使えないけど…」
「それでも凄いんですよ。Stヒルデの定期テストでパーフェクトしちゃうんですから。」
「それは凄いな。」
「お姉ちゃん達が凄いのを見てたから…私なんてまだまだで…」
はやてに褒められて真っ赤になるチェント、その様子を見てヴィヴィオとは別人だと皆納得した。
「クスっ、ヴィヴィオもアリシアも負けてられないね。」
「そうね、次のテストはパーフェクトを狙いなさい。妹に出来たのだからアリシアも出来るでしょう?」
「えっ、そんな~」
フェイトとプレシアから言われて崩れるアリシアに皆が笑う。
「コラード先生、すみません。こんなことをお願いして。」
皆が談笑している中、なのはは隣に座るコラードに声をかける。
「退屈していたから丁度いいわ。それより私はなのはやフェイトを見誤っていたわ、ごめんなさいね。」
「えっ?」
フェイトも名前が出たのを聞いて振り向く。
「なのはがヴィヴィオの保護者になったのは聞いていたわ、けれど私は事件の最中に懐かれた子供だったからだと思っていた。」
「子供を育てるのは教導の様に教えるだけじゃない、泣いていたら慰めのが親だという人は多いけれど私は違うと思うのよ。そんなものは誰にでも出来る。本当の親は自分も一緒に悩んで寄り添い、心で泣きながら時には突き放さなくてはいけない。」
「エリオやキャロの様に気遣える子ばかりじゃない。どれだけ心を砕かなければいけないか…普通の家族の中で過ごしてきたなのはが抱えるには荷が重すぎると思っていたのよ。」
「でも2人は親になっている。ヴィヴィオはあの年で想像できない重荷を背負っていてもまっすぐ前を見られる子に育った。1人前以上の母親ね。」
ルーテシア達に話すと決めた時、なのはとフェイトはヴィヴィオと相談してコラードにもある程度話すと決めた。
彼女はリンディからプレシアとアリシアについては聞かされていたらしいが時空転移については初めてだったらしい。
「私もまだまだです。私達だけじゃ何も出来なくて…プレシアさんやアリシア、はやてちゃんやシグナムさん、ヴィータちゃん、シャマル先生、ザフィーラ、リインやアギト、リンディさん、マリエルさん…色んな人に支えて貰って今があるんです。」
「それがわかるなら十分よ。もう少し早く相談してくれたら私からも何か教えられたのだけれど…それはあの子達に託しましょう。」
時間移動魔法の魅力、誰でも戻して変えたい過去はある。あるからこそ誰にでも教える訳にはいかない。そう、それがなのは達の教官だったとしても…。
「はい」
なのはとフェイトはコラードの言葉を噛み締めて静かに頷いた。
「マリエルさん、機材も一緒に着いたみたい。運ぶの手伝って欲しいって。」
RHdにメッセージが届く。
「チェントからもメッセージが来た。今港に着いたって。」
「じゃあ行きますか。ヴィヴィオ、私とアリシアはここから飛んでいくからあっちで合流」
「うん」
空間転移を使う時、船の様な領域が囲えなければその分魔力を消費する。
大人ヴィヴィオはそれに気づいたからヴィヴィオをマリエル達と合流する際別々に行動した方がいいと考えたのだろう。
ヴィヴィオは頷いて立ち上がり、悠久の書を取り出し作業を送って飛んだ。
「……さてと、私達も行こうか。レイジングハート」
【Standby Ready Setup】
残った大人ヴィヴィオも立ち上がってジャケットを纏う。
「りょ~かい♪」
大人アリシアもバスケットをデバイスに入れて彼女と手を繋ぎ2人は飛び立った。
「また凄い魔法使えるようになったものね~」
「はい…」
「黙っていてすみません。」
全員集合となった後、ヴィヴィオが2人居たりヴィヴィオとフェイトと似た女性が居たりと色々突っ込みどころが多い状態になって混乱させない為になのはとヴィヴィオは機器が設置されるまでの間にメガーヌとルーテシアに事情を話した。
そして、今ここに来ている者以外で知っているのはリンディやエイミィといった一部の者しか居ない事も…。
「ヴィヴィオちゃん、その魔法で…クイントを助けたりは出来ないのよね?」
メガーヌが聞いてくる。誰と首をかしげるとなのはが横から
「スバルとギンガのお母さん。メガーヌさんとクイントさんは友達だったの」
メガーヌが頷く。
クイント…そういえば以前スバルから彼女が幼少期に事故で亡くなったと聞いたのを思い出す。
「…ごめんなさい、出来ません。クイントさんを助けたらスバルさんとギンガさんの未来が変わっちゃいます。スバルさんがティアナさんと会わなくなって機動6課にも入らなくなったら…私はここに居ません。だから…ごめんなさい。」
頭を下げる。不可能という訳じゃないけれど、今の時空転移なら彼女を助けた時点で別の時間軸が生まれるだろう。
そしてその時間のヴィヴィオ自身は資質は持っていても刻の魔導書や悠久の書と巡り会わない未来…生きているかわからない現在になっている可能性すらある。
「いいの、気にしないで。どんな魔法なのか聞きたかっただけだから。」
「そこまで便利な魔法じゃないのね。まぁ便利な魔法だったらベルカ聖王家は滅びてないか…」
ルーテシアの言葉に苦笑いして頷く。
「なのはちゃん、ヴィヴィオちゃん、話してくれてありがとう。私達も話さないわ…誰にも。」
「うん、でも…異世界に行くなら連れて行って欲しいところよね~♪」
「ま、まぁ…次に行くときは…」
ルーテシアの言葉に引きつった笑みで答えるのだった。
「ヴィヴィオ、テストについて説明するね。」
メガーヌとルーテシアと話終えて外に出てくるとマリエルが機器を設置し終えていた。
「イニシャライズは終わってるから、チェックしたらすぐテストを始めるね。」
「最初はRHdとの連携テスト。ジャケットと騎士甲冑、あと幾つかの魔法を使うテスト。何を使うかは私から指示するよ。」
「続いて模擬戦レベルでの運用テスト、大きいヴィヴィオと模擬戦でデータを取る。なのはちゃんとフェイトちゃんから指示を出すからよく聞いてね。今日するのはここまで」
「明日は負荷テスト。ヴィヴィオが全力を出してもRhdに異常が出ないかのテストをするつもり。」
「大切なのはこれはテストだから違和感あれば直ぐに教えて、RHdもエラーチェックはしてるけど何か気づいたら教えて。」
「はい」
マリエルの真剣な表情を見てヴィヴィオは気を引き締める。
これは遊びじゃないんだと。でも…
「ねえさま、あれなあに?」
「お魚だよ。いっぱい居るね~。入ってみようか」
「うん」
近くの小川でチェント興味津々に色々見ている。楽しそう…
「ヴィヴィオ、私達はお仕事、怪我することもあるから気を抜いちゃだめだよ。」
そんな風に思っているとなのはに叱られた。
「うん…じゃなかった、はい。RHdセットアップ。テスト始めるよ」
【All Right】
バリアジャケットを纏って飛び立った。
「RHd、安定してる。」
マリエルが幾つもの機器を使いながらデータを取っている。
増幅機能やバリアジャケットは勿論、騎士甲冑の支援プログラムは予定通り動いていて、デバイスからのプログラム起動も問題がない。
「RHdも凄いけど、振り回されてないあっちの私も大概だよね。」
大人ヴィヴィオはデータを覗き込みながら感嘆の声を出す。
「まだ充分に余裕あるね。ヴィヴィオ、次のテストに移るよ。模擬戦の相手よろしくね。」
「はい、アリシア、チェント。こっちも念のために準備お願い」
「了解♪」
「はい」
バリアジャケットを纏って空中に居るヴィヴィオの所に向かう。
「さてと…私もヴィヴィオに一矢報いたいところだね。」
誰ともなく呟く。
デバイスは私達の方が新しいけれど、性能だけだと彼女の方が上だ。あとは術者、ヴィヴィオ同士の差しかない。
「ヴィヴィオ、模擬戦前に言っておくけど。私相手だと聖王の鎧は使えないからね。」
「あっ! そうだった。魔法当たっちゃうんだ…」
最初から当てる気だったらしい。苦笑いする。
「それと、テストの中だけど手を抜かないでよ。私も本気で行くから。」
「…うん、よろしく。」
「えっ? ヴィヴィオ本気でって」
マリエルの近くで聞いたフェイトは慌てるのを見て大人アリシアは言った。
「大丈夫。ああ言わないと手加減しちゃう。ヴィヴィオは冷静だよ。それよりヴィヴィオには私から伝えるけどいい?」
バルディッシュを起動してレイジングハートと繋ぐ。
RHdもそうだが、こっちのレイジングハートも修理明けなのだ。
模擬戦ついでにエラーチェックすれば効率もいい。
「う、うん。」
(全く…心配性なんだから…でも少し位無茶しちゃうかもだけど)
親友のデバイスから送られて来たプランを見てニヤリと笑みを浮かべた。
~コメント~
ようやく登場です。ルーテシア&メガーヌinカルナージ
ルーテシアについては3作目あたりで設定を作っていましたが、結局お蔵入りになっていました。(Vivid世界のルーテシアは何度も登場しているのに…)
ともあれ色んな面々が集まって話が進んでいきます。
「確か…あの山の向こうにルールーの家があったと思うんだけど…」
見える山1つを指さす。飛行魔法で1時間といったところか。
こっちのメガーヌとルーテシアは私の魔法について何も知らない。はやてから少しは聞いているかも知れないけれど…。
ここを使わせて貰う以上隠していたくないとアリシアやプレシア、なのは、フェイトと話し合って異世界の私達やデバイスについて話すつもりだ。でも移動時間の都合上私達の方が先に着くから少し離れたここで待つことになる。
「チェントに着いたら連絡するように言ってあるから、それまでゆっくりしましょう。」
と言って大人アリシアはデバイスからバスケットを取り出して中からシートを出して敷きサンドイッチと飲み物を取りだした。
準備が良いと驚く私の背を大人ヴィヴィオはポンっと叩いて
「私達も休も♪」
シートに座ってみんなが来る迄の時間を満喫した。
一方同じ頃、アリシア達はミッドチルダから管理局本局へゲートを使って移動し、そこから定期航行船に乗り換えて移動中だった。
「この子が未来の…本当にそっくりやね。」
「言われなきゃ気づかないわね~。」
「本当です~」
管理局で合流したはやてとシャマル、リインは2人のチェントを見比べて驚いていた。
3人の視線を受けて恥ずかしがる大きい方のチェントと、プレシアの横でキャンディを美味しそうに食べているご機嫌なチェント。
似ていると言われたら当然なのだけれど初めて会った者達にとっては目にかかれない光景だった。
「あんまりいじめないでくださいね。2人ともかわいい妹なんですから。」
前のシートに座っていたアリシアが後ろに向いて座席に膝立ちして言う。
「お前もアレは使えるのか?」
アレと言われて一瞬止まるが、時空転移のことだと気づいて
「はい、でもヴィヴィオみたいに上手く使えません。」
「彼女はバックアップなんです。ヴィヴィオがフォワードであっちの私がセンター…なのかな?」
「うん、私も戦技魔法は練習中です。ヴィヴィオやお姉ちゃんみたいには使えないけど…」
「それでも凄いんですよ。Stヒルデの定期テストでパーフェクトしちゃうんですから。」
「それは凄いな。」
「お姉ちゃん達が凄いのを見てたから…私なんてまだまだで…」
はやてに褒められて真っ赤になるチェント、その様子を見てヴィヴィオとは別人だと皆納得した。
「クスっ、ヴィヴィオもアリシアも負けてられないね。」
「そうね、次のテストはパーフェクトを狙いなさい。妹に出来たのだからアリシアも出来るでしょう?」
「えっ、そんな~」
フェイトとプレシアから言われて崩れるアリシアに皆が笑う。
「コラード先生、すみません。こんなことをお願いして。」
皆が談笑している中、なのはは隣に座るコラードに声をかける。
「退屈していたから丁度いいわ。それより私はなのはやフェイトを見誤っていたわ、ごめんなさいね。」
「えっ?」
フェイトも名前が出たのを聞いて振り向く。
「なのはがヴィヴィオの保護者になったのは聞いていたわ、けれど私は事件の最中に懐かれた子供だったからだと思っていた。」
「子供を育てるのは教導の様に教えるだけじゃない、泣いていたら慰めのが親だという人は多いけれど私は違うと思うのよ。そんなものは誰にでも出来る。本当の親は自分も一緒に悩んで寄り添い、心で泣きながら時には突き放さなくてはいけない。」
「エリオやキャロの様に気遣える子ばかりじゃない。どれだけ心を砕かなければいけないか…普通の家族の中で過ごしてきたなのはが抱えるには荷が重すぎると思っていたのよ。」
「でも2人は親になっている。ヴィヴィオはあの年で想像できない重荷を背負っていてもまっすぐ前を見られる子に育った。1人前以上の母親ね。」
ルーテシア達に話すと決めた時、なのはとフェイトはヴィヴィオと相談してコラードにもある程度話すと決めた。
彼女はリンディからプレシアとアリシアについては聞かされていたらしいが時空転移については初めてだったらしい。
「私もまだまだです。私達だけじゃ何も出来なくて…プレシアさんやアリシア、はやてちゃんやシグナムさん、ヴィータちゃん、シャマル先生、ザフィーラ、リインやアギト、リンディさん、マリエルさん…色んな人に支えて貰って今があるんです。」
「それがわかるなら十分よ。もう少し早く相談してくれたら私からも何か教えられたのだけれど…それはあの子達に託しましょう。」
時間移動魔法の魅力、誰でも戻して変えたい過去はある。あるからこそ誰にでも教える訳にはいかない。そう、それがなのは達の教官だったとしても…。
「はい」
なのはとフェイトはコラードの言葉を噛み締めて静かに頷いた。
「マリエルさん、機材も一緒に着いたみたい。運ぶの手伝って欲しいって。」
RHdにメッセージが届く。
「チェントからもメッセージが来た。今港に着いたって。」
「じゃあ行きますか。ヴィヴィオ、私とアリシアはここから飛んでいくからあっちで合流」
「うん」
空間転移を使う時、船の様な領域が囲えなければその分魔力を消費する。
大人ヴィヴィオはそれに気づいたからヴィヴィオをマリエル達と合流する際別々に行動した方がいいと考えたのだろう。
ヴィヴィオは頷いて立ち上がり、悠久の書を取り出し作業を送って飛んだ。
「……さてと、私達も行こうか。レイジングハート」
【Standby Ready Setup】
残った大人ヴィヴィオも立ち上がってジャケットを纏う。
「りょ~かい♪」
大人アリシアもバスケットをデバイスに入れて彼女と手を繋ぎ2人は飛び立った。
「また凄い魔法使えるようになったものね~」
「はい…」
「黙っていてすみません。」
全員集合となった後、ヴィヴィオが2人居たりヴィヴィオとフェイトと似た女性が居たりと色々突っ込みどころが多い状態になって混乱させない為になのはとヴィヴィオは機器が設置されるまでの間にメガーヌとルーテシアに事情を話した。
そして、今ここに来ている者以外で知っているのはリンディやエイミィといった一部の者しか居ない事も…。
「ヴィヴィオちゃん、その魔法で…クイントを助けたりは出来ないのよね?」
メガーヌが聞いてくる。誰と首をかしげるとなのはが横から
「スバルとギンガのお母さん。メガーヌさんとクイントさんは友達だったの」
メガーヌが頷く。
クイント…そういえば以前スバルから彼女が幼少期に事故で亡くなったと聞いたのを思い出す。
「…ごめんなさい、出来ません。クイントさんを助けたらスバルさんとギンガさんの未来が変わっちゃいます。スバルさんがティアナさんと会わなくなって機動6課にも入らなくなったら…私はここに居ません。だから…ごめんなさい。」
頭を下げる。不可能という訳じゃないけれど、今の時空転移なら彼女を助けた時点で別の時間軸が生まれるだろう。
そしてその時間のヴィヴィオ自身は資質は持っていても刻の魔導書や悠久の書と巡り会わない未来…生きているかわからない現在になっている可能性すらある。
「いいの、気にしないで。どんな魔法なのか聞きたかっただけだから。」
「そこまで便利な魔法じゃないのね。まぁ便利な魔法だったらベルカ聖王家は滅びてないか…」
ルーテシアの言葉に苦笑いして頷く。
「なのはちゃん、ヴィヴィオちゃん、話してくれてありがとう。私達も話さないわ…誰にも。」
「うん、でも…異世界に行くなら連れて行って欲しいところよね~♪」
「ま、まぁ…次に行くときは…」
ルーテシアの言葉に引きつった笑みで答えるのだった。
「ヴィヴィオ、テストについて説明するね。」
メガーヌとルーテシアと話終えて外に出てくるとマリエルが機器を設置し終えていた。
「イニシャライズは終わってるから、チェックしたらすぐテストを始めるね。」
「最初はRHdとの連携テスト。ジャケットと騎士甲冑、あと幾つかの魔法を使うテスト。何を使うかは私から指示するよ。」
「続いて模擬戦レベルでの運用テスト、大きいヴィヴィオと模擬戦でデータを取る。なのはちゃんとフェイトちゃんから指示を出すからよく聞いてね。今日するのはここまで」
「明日は負荷テスト。ヴィヴィオが全力を出してもRhdに異常が出ないかのテストをするつもり。」
「大切なのはこれはテストだから違和感あれば直ぐに教えて、RHdもエラーチェックはしてるけど何か気づいたら教えて。」
「はい」
マリエルの真剣な表情を見てヴィヴィオは気を引き締める。
これは遊びじゃないんだと。でも…
「ねえさま、あれなあに?」
「お魚だよ。いっぱい居るね~。入ってみようか」
「うん」
近くの小川でチェント興味津々に色々見ている。楽しそう…
「ヴィヴィオ、私達はお仕事、怪我することもあるから気を抜いちゃだめだよ。」
そんな風に思っているとなのはに叱られた。
「うん…じゃなかった、はい。RHdセットアップ。テスト始めるよ」
【All Right】
バリアジャケットを纏って飛び立った。
「RHd、安定してる。」
マリエルが幾つもの機器を使いながらデータを取っている。
増幅機能やバリアジャケットは勿論、騎士甲冑の支援プログラムは予定通り動いていて、デバイスからのプログラム起動も問題がない。
「RHdも凄いけど、振り回されてないあっちの私も大概だよね。」
大人ヴィヴィオはデータを覗き込みながら感嘆の声を出す。
「まだ充分に余裕あるね。ヴィヴィオ、次のテストに移るよ。模擬戦の相手よろしくね。」
「はい、アリシア、チェント。こっちも念のために準備お願い」
「了解♪」
「はい」
バリアジャケットを纏って空中に居るヴィヴィオの所に向かう。
「さてと…私もヴィヴィオに一矢報いたいところだね。」
誰ともなく呟く。
デバイスは私達の方が新しいけれど、性能だけだと彼女の方が上だ。あとは術者、ヴィヴィオ同士の差しかない。
「ヴィヴィオ、模擬戦前に言っておくけど。私相手だと聖王の鎧は使えないからね。」
「あっ! そうだった。魔法当たっちゃうんだ…」
最初から当てる気だったらしい。苦笑いする。
「それと、テストの中だけど手を抜かないでよ。私も本気で行くから。」
「…うん、よろしく。」
「えっ? ヴィヴィオ本気でって」
マリエルの近くで聞いたフェイトは慌てるのを見て大人アリシアは言った。
「大丈夫。ああ言わないと手加減しちゃう。ヴィヴィオは冷静だよ。それよりヴィヴィオには私から伝えるけどいい?」
バルディッシュを起動してレイジングハートと繋ぐ。
RHdもそうだが、こっちのレイジングハートも修理明けなのだ。
模擬戦ついでにエラーチェックすれば効率もいい。
「う、うん。」
(全く…心配性なんだから…でも少し位無茶しちゃうかもだけど)
親友のデバイスから送られて来たプランを見てニヤリと笑みを浮かべた。
~コメント~
ようやく登場です。ルーテシア&メガーヌinカルナージ
ルーテシアについては3作目あたりで設定を作っていましたが、結局お蔵入りになっていました。(Vivid世界のルーテシアは何度も登場しているのに…)
ともあれ色んな面々が集まって話が進んでいきます。
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