AS40「●●修行」
RHdのテストも終わり、慌ただしかった日常がようやく落ち着きを取り戻した頃、ヴィヴィオはアリシアと一緒になのはの故郷、海鳴市に来ていた。
本当は家族全員で来たかったところだけれど、なのはとフェイトは任務中でプレシアはチェントも居るのでと2人での帰省になった。
ヴィヴィオが来たかったのはこの前に来た時のお世話になったお礼の為と…桃子に料理を教わりたかったからである。
ブレイブデュエルの世界で八神はやてに料理を教わった時に褒められたのもあったけれど、その後でなのはやフェイトに作ったら美味しいって言われたのが嬉しかったから。
だったらヴィヴィオの知る中で1番料理が上手い桃子に教わりたいと考えた。
本当は家族全員で来たかったところだけれど、なのはとフェイトは任務中でプレシアはチェントも居るのでと2人での帰省になった。
ヴィヴィオが来たかったのはこの前に来た時のお世話になったお礼の為と…桃子に料理を教わりたかったからである。
ブレイブデュエルの世界で八神はやてに料理を教わった時に褒められたのもあったけれど、その後でなのはやフェイトに作ったら美味しいって言われたのが嬉しかったから。
だったらヴィヴィオの知る中で1番料理が上手い桃子に教わりたいと考えた。
一緒に来たアリシアも
「私も習おうかな…」
彼女がそう言って来たのにも理由があって、異世界から来た未来の私達の中で1番家庭的だったのがチェントだったからだ。
一緒に居る間、未来の私達は全く料理を作ることもなく食べたら後片付けをしていた。
このまま時間が進んで私達も同じになりたくない!
そう思ったらしい。
けれど…
「ヴィヴィオーっ! いる~っ?」
高町家にやってきて1時間位しか経っていないのにもの凄い音を立てて玄関を開け駆け込んで来た彼女を見て
(うわぁ…やっぱり来た…)
「こんにちは、雫さん」
来るだろうと思っていたけれど到着が早すぎた彼女に挨拶する。
「今度は勝ち逃げさせないよっ! 道場で勝負!」
「何か凄い音したけど…雫?」
自室に居た美由希がキッチンに顔を出す。
「ごめんね、今料理教わりたいからまた後…あっ! そうだ」
良い案を思いついて近くに居たアリシアの手を掴んで前に押し出した。
何かわからずそのままトトトっと数歩前に出る
「えっ? なに?」
「雫さん私より彼女の方が強いですよ! アリシア、いい練習相手見つかって良かったね♪」
ニコッと笑って言うが、察しのいい彼女はジト目で私を見ている。
『ヴィヴィオ~私を盾にしたでしょ?』
念話で鋭い突っ込みが来た。
『ごめん、そうでもしなくちゃ雫さんが…せっかく桃子さんに教わってるのに…』
桃子を見ると、ヴィヴィオを見てどうするのか待っている。その様子を見てため息をつくと
『…わかった。1つ貸しだからね』
そう言うとエプロンを外してテーブルにかけた。
「こんにちは、以前聖祥で会ってると思いますが、アリシア・テスタロッサです。」
「月村雫…。アリシア…うん、名前は聞いた事がある。去年転校したって…。魔法世界に行ったの?」
「はい、元々あっちで住んでいたので。」
雫がジーッとアリシアを見ている。
どれくらい強いのか見ようとしているのか?
「…本当にヴィヴィオより強いの?」
疑っている彼女にアリシアはニコッと笑って
「そうですね、雫さんを驚かせる自信はありますよ。」
先制攻撃をしかけた。
「……ふ~ん…じゃあ…する?」
雫の雰囲気が変わった。アリシアは矛先をヴィヴィオから自身に向けたのだ。
「そうですね。美由希さんも一緒に来てもらえませんか? 私達だけだと雫さんに何かあると大変なので。」
笑顔で更に攻撃する。
「う、うん。着替えて直ぐ行くから待ってて」
そう言うと美由希はキッチンを出て行った。
「先に行ってて下さい。私も着替えるので」
「逃げないよね?」
「どうして逃げなきゃいけないんですか? 気になるなら部屋の前で待っててくれても良いですよ。」
「…わかった」
そう言うと雫は玄関から外へ後に続いたアリシアも私に小さく手を振って客間へと向かった。
(こ…こわかった…)
こういう言葉の応酬では私はアリシアに勝てそうもない…。あんな気迫を受けても全部受け流しているのには流石にアワアワとしか出来なかった。
でもこれで嵐は去った。
3人が出て行ってふぅっと息をつく。
「クスッ、ヴィヴィオも大変ね。本当に元気になって来てくれて良かった。それに…料理を教えて欲しいって、凄く嬉しかった、桃子さん大感激!」
「美由希や雫はあんな感じでなのはは卒業したらあっちに行っちゃったでしょ…誰かと一緒作るなんて無かったのよ。ヴィヴィオが来てくれて本当に嬉しいわ」
桃子の顔を見る。
笑顔だけれど、どこか寂しそうな感じにも見える。
「…桃子さん…私…また来ていい? もっと沢山教えて欲しい。今日だけじゃなくて…それで、なのはママとフェイトママに食べて貰ってびっくりさせるの。」
「うん…ありがとうヴィヴィオ」
静かに抱き寄せられてヴィヴィオは彼女の温かさが心地よかった。
一方その頃、家の隣にある道場では
「ハァアアアッ!」
「タァアアアッ!」
雫とアリシアがカカカッと小気味よい音を立てて打ち合っていた。美由希は審判として見ていた。
(アリシア…凄い)
その動きに驚かされていた。
ヴィヴィオが雫と打ち合った時に感じたのは彼女が戦い慣れしていること、その彼女から強いよと言われたアリシアも同じように慣れているのだと思っていた。
しかし、驚いたのは彼女の動き。
美由希や雫の剣と全く同じ。しかも…
(多分…雫より強い…)
動きのキレや技の多さから来る強さじゃない。相手の動きを把握しその先を見通せる力…
唾をゴクリと飲み込みながら
(恭ちゃん…凄い子が居たよ)
突然現れた使い手に胸が躍った。
「アリシアちゃん凄いじゃない! 誰に教わったの?」
10分程打ち合うと雫の動きに鈍りが見えてきた。
アリシアはこのまま止めるか考えていると美由希が発した『止め』という言葉で彼女が止まりアリシアも木刀を下ろした。
その後で美由希に聞かれて小首をかしげる。
(あれ? 美由希さんは知らない? ママ、士郎さんと恭也さんからデータを貰ったのかな?)
この剣術を練習し始めたきっかけはバルディッシュに組み込まれたアシストプログラム。
プレシアが入れてくれたのだけれど、アリシアはてっきり元のデータを美由希から得た物だと思っていた。2人が美由希や雫に教えていないのには何か理由があるのかと考える。
「通信教育…みたいなもので…半年前位から始めたのでまだまだです。」
「……」
「通信教育って、そんなの私達してないけど…半年でここまで出来るのは凄いよ。」
あからさまに不機嫌になる雫。
その表情から苦笑いしながら目を反らした瞬間、殺気に変わった。
「嘘を…つくなっ!!」
「雫っ!!」
振り返った時には既に彼女の腕は動いていた。危険が迫るのを本能的に気づいて視界の色が消えていく。振り下ろされる木刀の軌跡に集中し紙一重で避ける。しかし続けて襲う攻撃
(4連っ!)
アシストプログラムにも入っていたしブレイブデュエルの世界でも使ったり練習した技
2撃目と3撃目の軌跡を読んだあと、続けて来る4撃目を狙って払いをかけて小太刀を弾き飛ばす。
カーンっと甲高い音を立てて雫の手から木刀が飛んで壁に当たった。
「……嘘…」
「…フゥっ…危なかった。私魔法は殆ど使えないから怪我するところだったよ。」
弾き飛ばした木刀を拾って雫に渡す。
彼女もこれで気づいたに違い無い。
どちらの技量が上なのか。
雫は木刀を受け取ると悔しそうに顔を歪めて道場から飛び出していった。
「ごめんなさい…上手く動ければ良かったんですが…」
美由希に謝る。
「ううん、私こそごめん。私が止めなきゃいけなかったのに…それよりアリシアちゃん…『見えてたの?』」
彼女の目が私を突き刺すように見つめる。
(ふーん…これは同じなんだ。)
「…見えてたというのは何なのかは判りません。でも…色の無い世界を見る方法は知っています。」
「あっ、勿論それは使っていませんし練習もしていません。理由も知っていて監視役も居るので。」
と家の方を向く。
「そうなんだ…」
美由希はそう言うと道場の隅に置いていた携帯を取って電話する。
「もしもし…父さん、今アリシアちゃんと…うん…」
電話の相手は士郎らしい。名前が出たけれど何を話してるのか?
「…わかった、私もそれがいいと思う。」
そう言うと通話を終えて携帯を置く。
「通信教育みたいなものっていうのわかったよ。父さんと恭ちゃんから教わったんだね。アリシアちゃんが言うとおりまだそれは練習しない方がいいって私も思う。だから今練習出来るものを教えてあげる。」
予想もしない言葉が返ってきて驚く。
「えっ?」
「大丈夫、父さんもいいって。木刀を真ん中あたりで交差させて体の横に伸ばして。持つ手から力は抜いておいてね。」
何をするつもりなのか判らないけれど、言われたとおり腕を伸ばして体の右横で木刀を交差させて持つ手の力を抜く。
美由希はその前にくると右手の木刀を引き絞る様に後ろへ下げる。高速の突きだ。
「ハッ!」
前にジャンプせずにそのまま木刀を繰り出す。
直後
【カァアアアン】
右手に軽い衝撃と美由希から見て奥側の木刀が弾かれて後方に飛んでいった。しかし左手で持っていた手前側の木刀は当たった感触すら感じられない。
「こういうの。面白いでしょ♪」
「衝撃だけが…伝わった?」
「昔、シグナムさんにも驚かれたんだよ。魔導師相手でも脅威だって。覚えておくと何かといいんじゃないかな。」
笑って言う美由希。
アリシアにもその理由は直ぐに理解出来た、その威力と何故脅威なのか…体が震える。
シールド系魔法で攻撃を止められても、衝撃を通せれば相手に届く。多分…聖王の鎧にも…特に魔力が弱いアリシアにとっては…最強の武器。
(…すごい…)
「お願いしますっ! それ教えて下さい!!」
「うん、でも…先に雫の機嫌直さなくちゃね…」
「あ…そうですね。アハハハ…」
あまりにも凄い物を見て自分でも興奮していたのに気づいて恥ずかしくなって頬を赤らめた。
~コメント~
カルナージ編が終わって、今回は海鳴の話です。
雫の性格付けがいまいち掴み切れてないので反省。
Tittwerを始めました。
https://twitter.com/ami_suzukazedou
SSについてとか活動についてとかを呟けたらいいなと思います。
「私も習おうかな…」
彼女がそう言って来たのにも理由があって、異世界から来た未来の私達の中で1番家庭的だったのがチェントだったからだ。
一緒に居る間、未来の私達は全く料理を作ることもなく食べたら後片付けをしていた。
このまま時間が進んで私達も同じになりたくない!
そう思ったらしい。
けれど…
「ヴィヴィオーっ! いる~っ?」
高町家にやってきて1時間位しか経っていないのにもの凄い音を立てて玄関を開け駆け込んで来た彼女を見て
(うわぁ…やっぱり来た…)
「こんにちは、雫さん」
来るだろうと思っていたけれど到着が早すぎた彼女に挨拶する。
「今度は勝ち逃げさせないよっ! 道場で勝負!」
「何か凄い音したけど…雫?」
自室に居た美由希がキッチンに顔を出す。
「ごめんね、今料理教わりたいからまた後…あっ! そうだ」
良い案を思いついて近くに居たアリシアの手を掴んで前に押し出した。
何かわからずそのままトトトっと数歩前に出る
「えっ? なに?」
「雫さん私より彼女の方が強いですよ! アリシア、いい練習相手見つかって良かったね♪」
ニコッと笑って言うが、察しのいい彼女はジト目で私を見ている。
『ヴィヴィオ~私を盾にしたでしょ?』
念話で鋭い突っ込みが来た。
『ごめん、そうでもしなくちゃ雫さんが…せっかく桃子さんに教わってるのに…』
桃子を見ると、ヴィヴィオを見てどうするのか待っている。その様子を見てため息をつくと
『…わかった。1つ貸しだからね』
そう言うとエプロンを外してテーブルにかけた。
「こんにちは、以前聖祥で会ってると思いますが、アリシア・テスタロッサです。」
「月村雫…。アリシア…うん、名前は聞いた事がある。去年転校したって…。魔法世界に行ったの?」
「はい、元々あっちで住んでいたので。」
雫がジーッとアリシアを見ている。
どれくらい強いのか見ようとしているのか?
「…本当にヴィヴィオより強いの?」
疑っている彼女にアリシアはニコッと笑って
「そうですね、雫さんを驚かせる自信はありますよ。」
先制攻撃をしかけた。
「……ふ~ん…じゃあ…する?」
雫の雰囲気が変わった。アリシアは矛先をヴィヴィオから自身に向けたのだ。
「そうですね。美由希さんも一緒に来てもらえませんか? 私達だけだと雫さんに何かあると大変なので。」
笑顔で更に攻撃する。
「う、うん。着替えて直ぐ行くから待ってて」
そう言うと美由希はキッチンを出て行った。
「先に行ってて下さい。私も着替えるので」
「逃げないよね?」
「どうして逃げなきゃいけないんですか? 気になるなら部屋の前で待っててくれても良いですよ。」
「…わかった」
そう言うと雫は玄関から外へ後に続いたアリシアも私に小さく手を振って客間へと向かった。
(こ…こわかった…)
こういう言葉の応酬では私はアリシアに勝てそうもない…。あんな気迫を受けても全部受け流しているのには流石にアワアワとしか出来なかった。
でもこれで嵐は去った。
3人が出て行ってふぅっと息をつく。
「クスッ、ヴィヴィオも大変ね。本当に元気になって来てくれて良かった。それに…料理を教えて欲しいって、凄く嬉しかった、桃子さん大感激!」
「美由希や雫はあんな感じでなのはは卒業したらあっちに行っちゃったでしょ…誰かと一緒作るなんて無かったのよ。ヴィヴィオが来てくれて本当に嬉しいわ」
桃子の顔を見る。
笑顔だけれど、どこか寂しそうな感じにも見える。
「…桃子さん…私…また来ていい? もっと沢山教えて欲しい。今日だけじゃなくて…それで、なのはママとフェイトママに食べて貰ってびっくりさせるの。」
「うん…ありがとうヴィヴィオ」
静かに抱き寄せられてヴィヴィオは彼女の温かさが心地よかった。
一方その頃、家の隣にある道場では
「ハァアアアッ!」
「タァアアアッ!」
雫とアリシアがカカカッと小気味よい音を立てて打ち合っていた。美由希は審判として見ていた。
(アリシア…凄い)
その動きに驚かされていた。
ヴィヴィオが雫と打ち合った時に感じたのは彼女が戦い慣れしていること、その彼女から強いよと言われたアリシアも同じように慣れているのだと思っていた。
しかし、驚いたのは彼女の動き。
美由希や雫の剣と全く同じ。しかも…
(多分…雫より強い…)
動きのキレや技の多さから来る強さじゃない。相手の動きを把握しその先を見通せる力…
唾をゴクリと飲み込みながら
(恭ちゃん…凄い子が居たよ)
突然現れた使い手に胸が躍った。
「アリシアちゃん凄いじゃない! 誰に教わったの?」
10分程打ち合うと雫の動きに鈍りが見えてきた。
アリシアはこのまま止めるか考えていると美由希が発した『止め』という言葉で彼女が止まりアリシアも木刀を下ろした。
その後で美由希に聞かれて小首をかしげる。
(あれ? 美由希さんは知らない? ママ、士郎さんと恭也さんからデータを貰ったのかな?)
この剣術を練習し始めたきっかけはバルディッシュに組み込まれたアシストプログラム。
プレシアが入れてくれたのだけれど、アリシアはてっきり元のデータを美由希から得た物だと思っていた。2人が美由希や雫に教えていないのには何か理由があるのかと考える。
「通信教育…みたいなもので…半年前位から始めたのでまだまだです。」
「……」
「通信教育って、そんなの私達してないけど…半年でここまで出来るのは凄いよ。」
あからさまに不機嫌になる雫。
その表情から苦笑いしながら目を反らした瞬間、殺気に変わった。
「嘘を…つくなっ!!」
「雫っ!!」
振り返った時には既に彼女の腕は動いていた。危険が迫るのを本能的に気づいて視界の色が消えていく。振り下ろされる木刀の軌跡に集中し紙一重で避ける。しかし続けて襲う攻撃
(4連っ!)
アシストプログラムにも入っていたしブレイブデュエルの世界でも使ったり練習した技
2撃目と3撃目の軌跡を読んだあと、続けて来る4撃目を狙って払いをかけて小太刀を弾き飛ばす。
カーンっと甲高い音を立てて雫の手から木刀が飛んで壁に当たった。
「……嘘…」
「…フゥっ…危なかった。私魔法は殆ど使えないから怪我するところだったよ。」
弾き飛ばした木刀を拾って雫に渡す。
彼女もこれで気づいたに違い無い。
どちらの技量が上なのか。
雫は木刀を受け取ると悔しそうに顔を歪めて道場から飛び出していった。
「ごめんなさい…上手く動ければ良かったんですが…」
美由希に謝る。
「ううん、私こそごめん。私が止めなきゃいけなかったのに…それよりアリシアちゃん…『見えてたの?』」
彼女の目が私を突き刺すように見つめる。
(ふーん…これは同じなんだ。)
「…見えてたというのは何なのかは判りません。でも…色の無い世界を見る方法は知っています。」
「あっ、勿論それは使っていませんし練習もしていません。理由も知っていて監視役も居るので。」
と家の方を向く。
「そうなんだ…」
美由希はそう言うと道場の隅に置いていた携帯を取って電話する。
「もしもし…父さん、今アリシアちゃんと…うん…」
電話の相手は士郎らしい。名前が出たけれど何を話してるのか?
「…わかった、私もそれがいいと思う。」
そう言うと通話を終えて携帯を置く。
「通信教育みたいなものっていうのわかったよ。父さんと恭ちゃんから教わったんだね。アリシアちゃんが言うとおりまだそれは練習しない方がいいって私も思う。だから今練習出来るものを教えてあげる。」
予想もしない言葉が返ってきて驚く。
「えっ?」
「大丈夫、父さんもいいって。木刀を真ん中あたりで交差させて体の横に伸ばして。持つ手から力は抜いておいてね。」
何をするつもりなのか判らないけれど、言われたとおり腕を伸ばして体の右横で木刀を交差させて持つ手の力を抜く。
美由希はその前にくると右手の木刀を引き絞る様に後ろへ下げる。高速の突きだ。
「ハッ!」
前にジャンプせずにそのまま木刀を繰り出す。
直後
【カァアアアン】
右手に軽い衝撃と美由希から見て奥側の木刀が弾かれて後方に飛んでいった。しかし左手で持っていた手前側の木刀は当たった感触すら感じられない。
「こういうの。面白いでしょ♪」
「衝撃だけが…伝わった?」
「昔、シグナムさんにも驚かれたんだよ。魔導師相手でも脅威だって。覚えておくと何かといいんじゃないかな。」
笑って言う美由希。
アリシアにもその理由は直ぐに理解出来た、その威力と何故脅威なのか…体が震える。
シールド系魔法で攻撃を止められても、衝撃を通せれば相手に届く。多分…聖王の鎧にも…特に魔力が弱いアリシアにとっては…最強の武器。
(…すごい…)
「お願いしますっ! それ教えて下さい!!」
「うん、でも…先に雫の機嫌直さなくちゃね…」
「あ…そうですね。アハハハ…」
あまりにも凄い物を見て自分でも興奮していたのに気づいて恥ずかしくなって頬を赤らめた。
~コメント~
カルナージ編が終わって、今回は海鳴の話です。
雫の性格付けがいまいち掴み切れてないので反省。
Tittwerを始めました。
https://twitter.com/ami_suzukazedou
SSについてとか活動についてとかを呟けたらいいなと思います。
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