AS42「まきこまれ体質?」
ある日の帰り道、家に向かっていると
「ヴィヴィオ~」
「?」
どこからともなくヴィヴィオを呼ぶ声が聞こえた。足を止めて振り返ると1台の車が近づいてきて窓が開いて中から少女が手を振った。
「久しぶり♪ ヴィヴィオ」
呼んだのはこのまえの撮影でなのはを演じていた少女。
「うん、ホントに久しぶり。こんな所でどうしたの?」
「ヴィヴィオ~」
「?」
どこからともなくヴィヴィオを呼ぶ声が聞こえた。足を止めて振り返ると1台の車が近づいてきて窓が開いて中から少女が手を振った。
「久しぶり♪ ヴィヴィオ」
呼んだのはこのまえの撮影でなのはを演じていた少女。
「うん、ホントに久しぶり。こんな所でどうしたの?」
「仕事です。朝からさっきまでずっと…」
「大変だね~」
ため息をつく彼女に苦笑いして言う。
「でも、好きでしてる仕事だから、ヴィヴィオは?」
「私? 私は家に帰るところ。」
ヴィヴィオがそう答えると彼女は身を乗り出して
「ここまででいいです。後は歩いて帰ります。お疲れ様でした。」
運転席の男性に言って車から降りてきた。そしてヴィヴィオの手を取って
「遊びに行きましょう♪ 前から一緒に行きたかったお店があるんです。」
「えっ、ええっ!?」
今来た市街地方向に引っ張られていった。
それから時間は過ぎて日が暮れかけた頃、アリシアがプレシア達が家に帰る準備をするのを待っているとチンクから連絡があった。
「プレシア、リンディ提督から通信が来ている。」
「何かしら? 繋いで頂戴。」
何の用か判らずとりあえず繋いで貰う。
『こんな時間にごめんなさいね…。先にみんなに…あちらの3人も居るから相談しようと思って。』
「私達に?」
「何ですか?」
プレシアの帰宅準備を待っていた大人ヴィヴィオ達もウィンドウの前に集まってくる。
彼女には3人のことは伝えてある。
『実は、さっき管理局の広報部に連絡があったのよ、ヴィヴィオを誘拐したって…。』
「「「「えええっ!?」」」」
『なのは役の子の事務所にも同じ連絡があって、地上本部からデバイスを探したんだけど2人のデバイスも見つからないの。2人一緒に誘拐されたんじゃないかって』
『まだ要求は来ていないから広報部も事務所も待っている段階なのだけれど、なのはさんとフェイトに話す前に相談したくって…どうすればいいかしら?』
「お姉ちゃん、ヴィヴィオ誘拐されたって、今から探しに行かなくちゃ…」
「何処を探すのよ。闇雲に探しても見つからないし…デバイス情報が取れないなら多分AMF系の物が使われてるわね。ヴィヴィオ、刻の魔導書で探しに行ける? ヴィヴィオの悠久の書に繋いで…」
「ううん、それより少し前に飛んだ方が早い。誘拐される前に会えれば事件が起こる前に連れて帰られる。」
流石に大人ヴィヴィオ達も慌てている。
大人ヴィヴィオが刻の魔導書を取り出すのを見て慌てて止めた。
「みんなちょっと待って! ハァ…ヴィヴィオ…何やってるのよまったく…昔の王様はみんなこうなのかな…」
アリシアは深くため息をつきながら言った。
「魔法が戻った途端に巻き込まれるなんて災難ね~」
と苦笑しながらプレシアも続いて言う。
慌てていないところを見ると私と同じ考えなのだろう。
時間を見るとヴィヴィオと別れてから3時間位経っている。
フェイト達が帰っていたら遅いねと言っている頃だ。
ヴィヴィオもそう考えていると思う…だったら、このまま【何もしない】彼女じゃない。
「リンディさん、ゲートに使用履歴が無いならヴィヴィオ達はまだミッドチルダに居ます。Stヒルデと家の場所を考えたら…クラナガンかその近くで爆発が起きると思うので対処して下さい。それと広報部と彼女の事務所には【誘拐は嘘で本当は家に遊びに来ていて少し遅くなるけど責任を持って家まで送ります】って伝えて下さい。私がそう言ってたって伝えたらいたずらとして処理する筈です。」
『…! そうね、わかったわ。』
リンディも私達2人が落ち着いている理由に気づいたらしい。
「お姉ちゃん、それじゃヴィヴィオ達は…助けなくちゃ!」
チェントが驚いて聞いてくる。
「あのね、忘れてない? ヴィヴィオのデバイスは直ってるんだよ? それにデバイスを使わなくてもあの力もあるんだから、この程度何とでもなる…むしろ…」
そう、ヴィヴィオのデバイスもなのは役の少女のデバイスも世間に出回っている普通のデバイスじゃない。デバイスのコアや魔力コアから魔力を受け取ってダイレクトに魔法が使える【専用機と試作機】だからだ。
2人の魔法を止めるつもりならそれこそデアボリックエミッションや聖王のゆりかごと同じレベルのAMFを作るかデバイスを奪って壊してしまうしかない。
そんなロストロギアクラスのAMFを簡単に用意出来る訳がなく、更にその手を使おうとした時点で【彼女が黙っている筈】がない。
万が一なのは役の少女が人質に取られていても、その行いは時間と場所を自由に動く彼女を怒らせることにしかならない。
よっぽどの大部隊で相当綿密な計画でない限りこの後の展開は見えている。
そしてこの誘拐事件はなのは役の少女はともかくヴィヴィオは偶然巻き込まれた可能性が高く、相手はそこまで考えていない。
そこまで言うと大人の私とヴィヴィオは気づいた。
「あ~…むしろ…犯人が心配だね。しっかり装備していたらいいけど…」
「AMFを使えば何とでもなるって思ってたら…大変ね。同情するわ…」
「…私、犯人がかわいそうになってきた…」
チェントも状況が理解出来たらしい。
「…そういう訳なので、よろしくお願いします。フェイトには私からメッセージ送っておきます。夕ご飯を家で食べてから帰るので遅くなるって。」
『そうね、わかったわ。』
そう言うとリンディからの通信は切れた。
それから10分ほど経った頃、クラナガンの港湾にある倉庫区画が突然爆発した。
付近にプラント設備があり、場所が場所だけに2次火災や誘爆、災害エリアの拡大の危険があった為、現地の消防隊より先に港湾レスキューが突入した。
「港湾レスキューです。誰か居ませんかっ!」
「スバル、あれ!」
真っ先に現場に到着して爆発した倉庫内に入ったスバルとノーヴェが見たのはロープで簀巻きになった5人の男性と3人の女性だった。
少し離れた所には爆発した何らかの魔導機器がある。
「爆発はこれ?」
火元は全くなく、煙は立ちこめているが熱も感じられない。
AMF発生機や武装デバイスの違法改造中に失敗して爆発したのだろうと考え、8人は事故と建造物への不法侵入と魔導機器の違法所持と改造として管理局に逮捕された。
運び出される中で目覚めた8人からは
「アイツらは…化け物だ…」
「AMFなんて…意味がねぇ…」
「う、撃たないで…ワァアアアアッ!」
と怯える姿に
「あの人達何を見たのかな?」
「さぁ…」
2人は何があったのかと首を傾げた。
「凄くびっくりしたけど、いい経験になった。」
「いい経験って…良い度胸してるよ。まぁアリシアと違って怪我もさせてないし、あれだけ怖がらせたら次はしないでしょ♪ あっ、メッセージが来てる。フォローはしてるから2人で家に来て一緒にご飯食べようって、行く?」
「勿論♪」
2人はその場から消えた。
~コメント~
猛暑が続くと本当に疲れるのが早くなります。外出される方は熱対策と水分補給をしっかりしてくださいね。
本話は久しぶりに【なのは役の少女】が登場です。(私の中では名前を付けているのですが、ゲストキャラに名前を付けると話が違った方向に行きそうなのであえてこの名前で通しています。
そして所々にあるように本話はAdditionalStory第37話~38話の続きになります。前回はVividヴィヴィオとアリシアが誘拐され、今回はヴィヴィオとなのは役の少女…1番手を出したらいけない相手ですが、RHdが修理中の時だったらこれで済んでいないので不幸中の幸いだったのかも知れません。
さて話は変わりますが、先日静奈君から表紙を入稿したと連絡が来ました。これで夏コミの新刊頒布は決まりました。
本話を含む短編集「リリカルなのはASおもちゃ箱 3」になります。
本文作業中に静奈君の家にお邪魔した時、丁度表紙の作業をしていたのを見ていました。静奈君の家には仕事がら液晶タブレットとか直接描く機器が色々揃っています。ペンを片手に描いているのかなと思っているとキーボードとマウスをカタカタさせてずっと英文を書いていました。最近はこういう描き方もあるそうです…(全然わからない…)
Tittwerを始めました。
https://twitter.com/ami_suzukazedou
SSについてとか活動についてとかを呟けたらいいなと思います。
「大変だね~」
ため息をつく彼女に苦笑いして言う。
「でも、好きでしてる仕事だから、ヴィヴィオは?」
「私? 私は家に帰るところ。」
ヴィヴィオがそう答えると彼女は身を乗り出して
「ここまででいいです。後は歩いて帰ります。お疲れ様でした。」
運転席の男性に言って車から降りてきた。そしてヴィヴィオの手を取って
「遊びに行きましょう♪ 前から一緒に行きたかったお店があるんです。」
「えっ、ええっ!?」
今来た市街地方向に引っ張られていった。
それから時間は過ぎて日が暮れかけた頃、アリシアがプレシア達が家に帰る準備をするのを待っているとチンクから連絡があった。
「プレシア、リンディ提督から通信が来ている。」
「何かしら? 繋いで頂戴。」
何の用か判らずとりあえず繋いで貰う。
『こんな時間にごめんなさいね…。先にみんなに…あちらの3人も居るから相談しようと思って。』
「私達に?」
「何ですか?」
プレシアの帰宅準備を待っていた大人ヴィヴィオ達もウィンドウの前に集まってくる。
彼女には3人のことは伝えてある。
『実は、さっき管理局の広報部に連絡があったのよ、ヴィヴィオを誘拐したって…。』
「「「「えええっ!?」」」」
『なのは役の子の事務所にも同じ連絡があって、地上本部からデバイスを探したんだけど2人のデバイスも見つからないの。2人一緒に誘拐されたんじゃないかって』
『まだ要求は来ていないから広報部も事務所も待っている段階なのだけれど、なのはさんとフェイトに話す前に相談したくって…どうすればいいかしら?』
「お姉ちゃん、ヴィヴィオ誘拐されたって、今から探しに行かなくちゃ…」
「何処を探すのよ。闇雲に探しても見つからないし…デバイス情報が取れないなら多分AMF系の物が使われてるわね。ヴィヴィオ、刻の魔導書で探しに行ける? ヴィヴィオの悠久の書に繋いで…」
「ううん、それより少し前に飛んだ方が早い。誘拐される前に会えれば事件が起こる前に連れて帰られる。」
流石に大人ヴィヴィオ達も慌てている。
大人ヴィヴィオが刻の魔導書を取り出すのを見て慌てて止めた。
「みんなちょっと待って! ハァ…ヴィヴィオ…何やってるのよまったく…昔の王様はみんなこうなのかな…」
アリシアは深くため息をつきながら言った。
「魔法が戻った途端に巻き込まれるなんて災難ね~」
と苦笑しながらプレシアも続いて言う。
慌てていないところを見ると私と同じ考えなのだろう。
時間を見るとヴィヴィオと別れてから3時間位経っている。
フェイト達が帰っていたら遅いねと言っている頃だ。
ヴィヴィオもそう考えていると思う…だったら、このまま【何もしない】彼女じゃない。
「リンディさん、ゲートに使用履歴が無いならヴィヴィオ達はまだミッドチルダに居ます。Stヒルデと家の場所を考えたら…クラナガンかその近くで爆発が起きると思うので対処して下さい。それと広報部と彼女の事務所には【誘拐は嘘で本当は家に遊びに来ていて少し遅くなるけど責任を持って家まで送ります】って伝えて下さい。私がそう言ってたって伝えたらいたずらとして処理する筈です。」
『…! そうね、わかったわ。』
リンディも私達2人が落ち着いている理由に気づいたらしい。
「お姉ちゃん、それじゃヴィヴィオ達は…助けなくちゃ!」
チェントが驚いて聞いてくる。
「あのね、忘れてない? ヴィヴィオのデバイスは直ってるんだよ? それにデバイスを使わなくてもあの力もあるんだから、この程度何とでもなる…むしろ…」
そう、ヴィヴィオのデバイスもなのは役の少女のデバイスも世間に出回っている普通のデバイスじゃない。デバイスのコアや魔力コアから魔力を受け取ってダイレクトに魔法が使える【専用機と試作機】だからだ。
2人の魔法を止めるつもりならそれこそデアボリックエミッションや聖王のゆりかごと同じレベルのAMFを作るかデバイスを奪って壊してしまうしかない。
そんなロストロギアクラスのAMFを簡単に用意出来る訳がなく、更にその手を使おうとした時点で【彼女が黙っている筈】がない。
万が一なのは役の少女が人質に取られていても、その行いは時間と場所を自由に動く彼女を怒らせることにしかならない。
よっぽどの大部隊で相当綿密な計画でない限りこの後の展開は見えている。
そしてこの誘拐事件はなのは役の少女はともかくヴィヴィオは偶然巻き込まれた可能性が高く、相手はそこまで考えていない。
そこまで言うと大人の私とヴィヴィオは気づいた。
「あ~…むしろ…犯人が心配だね。しっかり装備していたらいいけど…」
「AMFを使えば何とでもなるって思ってたら…大変ね。同情するわ…」
「…私、犯人がかわいそうになってきた…」
チェントも状況が理解出来たらしい。
「…そういう訳なので、よろしくお願いします。フェイトには私からメッセージ送っておきます。夕ご飯を家で食べてから帰るので遅くなるって。」
『そうね、わかったわ。』
そう言うとリンディからの通信は切れた。
それから10分ほど経った頃、クラナガンの港湾にある倉庫区画が突然爆発した。
付近にプラント設備があり、場所が場所だけに2次火災や誘爆、災害エリアの拡大の危険があった為、現地の消防隊より先に港湾レスキューが突入した。
「港湾レスキューです。誰か居ませんかっ!」
「スバル、あれ!」
真っ先に現場に到着して爆発した倉庫内に入ったスバルとノーヴェが見たのはロープで簀巻きになった5人の男性と3人の女性だった。
少し離れた所には爆発した何らかの魔導機器がある。
「爆発はこれ?」
火元は全くなく、煙は立ちこめているが熱も感じられない。
AMF発生機や武装デバイスの違法改造中に失敗して爆発したのだろうと考え、8人は事故と建造物への不法侵入と魔導機器の違法所持と改造として管理局に逮捕された。
運び出される中で目覚めた8人からは
「アイツらは…化け物だ…」
「AMFなんて…意味がねぇ…」
「う、撃たないで…ワァアアアアッ!」
と怯える姿に
「あの人達何を見たのかな?」
「さぁ…」
2人は何があったのかと首を傾げた。
「凄くびっくりしたけど、いい経験になった。」
「いい経験って…良い度胸してるよ。まぁアリシアと違って怪我もさせてないし、あれだけ怖がらせたら次はしないでしょ♪ あっ、メッセージが来てる。フォローはしてるから2人で家に来て一緒にご飯食べようって、行く?」
「勿論♪」
2人はその場から消えた。
~コメント~
猛暑が続くと本当に疲れるのが早くなります。外出される方は熱対策と水分補給をしっかりしてくださいね。
本話は久しぶりに【なのは役の少女】が登場です。(私の中では名前を付けているのですが、ゲストキャラに名前を付けると話が違った方向に行きそうなのであえてこの名前で通しています。
そして所々にあるように本話はAdditionalStory第37話~38話の続きになります。前回はVividヴィヴィオとアリシアが誘拐され、今回はヴィヴィオとなのは役の少女…1番手を出したらいけない相手ですが、RHdが修理中の時だったらこれで済んでいないので不幸中の幸いだったのかも知れません。
さて話は変わりますが、先日静奈君から表紙を入稿したと連絡が来ました。これで夏コミの新刊頒布は決まりました。
本話を含む短編集「リリカルなのはASおもちゃ箱 3」になります。
本文作業中に静奈君の家にお邪魔した時、丁度表紙の作業をしていたのを見ていました。静奈君の家には仕事がら液晶タブレットとか直接描く機器が色々揃っています。ペンを片手に描いているのかなと思っているとキーボードとマウスをカタカタさせてずっと英文を書いていました。最近はこういう描き方もあるそうです…(全然わからない…)
Tittwerを始めました。
https://twitter.com/ami_suzukazedou
SSについてとか活動についてとかを呟けたらいいなと思います。
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