18話 バレンタインパニック(中編)

●SUBARU Side

「ん~っ」

 翌朝、朝練の施設設置当番に当たっていたスバルが起きると、就寝時には居なかったティアがベッドで眠っていた。

「おはようティア。もう朝だよ~」

 ティアはいつも朝が弱い。その事を身にしみて知っているから今朝はどうやって起こそうかと少し考えピンと閃いた。
 2段式ベッドの上から起こさぬようティアのベッドにそ~っと忍び込んで、起こさぬようにティアを抱え自分のベッドに移動させる。そして着ていた部屋着をそーっと脱いで・・

「スバルぅ~あんたはっ!」

 それから少し時間が経った時、いきなり宿舎全体に響き渡るティアナの怒声が木霊した。
 しかし、宿舎で眠る他の者は既に慣れた様子で、誰も騒ぎ出す事も無かった。


「ったく、あんな起こし方はやめてよねー」

 ティアに叩かれた頬が少しヒリヒリする。少し腫れているかも知れないが、いつもの元気なティアナだと確信出来て、スバルの作戦は半ば成功だった。

「おはようございます。ティアナさん、スバルさん。わっ!すごく赤くなってます・・」

 キャロが起きてきて顔を見た瞬間少し驚いた。

「いや~ティアを起こすのにちょっとね、ヘヘッ」
「朝起きて本気で別の世界に行きかけたわよ。もうっ」

 心なしかティアの頬が赤い

「治癒魔法使いましょうか?」
「私丈夫だから、でもこの顔で朝練に行ったらみんなビックリするから頼める?」

 なのはさんやエリオが見たらどうしたのかと心配されるかも知れないし、そうすれば何があったか言わないといけない。流石に今朝の事を説明するのは恥ずかしいからキャロの好意に甘えることにした。

「はい、それじゃ・・・」

 キャロはスバルの頬に手をあて小さく呟くと【ミッド式の魔法陣】が現れ赤く腫れていた箇所が瞬く間に跡形も無くなった。

「ありがと、キャロ」
「スバル、当番なんだからあんまりゆっくり出来ないわよ」
「じゃあまた後で」

 急かすティアと一緒に訓練着に着替える為部屋に走っていった。



「ふぅ~流石にちょっとハードだったね」
「うん、あと少しだからね~」

 六課の運用期間はあと2ヶ月少し、隊長・副隊長はみんな何かを渡そうと私だけじゃなくてティアやキャロ・エリオに一生懸命教えてくれるから熱も入る。
 なんとか新型のマッハキャリバーとの連携も出来るようになったけど、まだACSは短時間しか使えない。それにバスターも・・
 シャワーを浴びてスッキリした後いち早く制服に着替えたティアナはスバルに言った

「ちょっとフェイトさんの所に行ってくるわね」
「うん、私も後で部屋に戻ってからオフィスに行くね」
「じゃあ♪」

 ティアナの後ろ姿を見送って、もう少しだけ火照った体と新しいバスターの事を考えていた。

「私も着替えて行こっと」

 部屋に戻って制服に着替えようとした時、足に何かぶつかって倒れる。

「やばっ・・中大丈夫かな??」

 紙で出来た袋に包みが1つ。包みから小さなカードがはみ出していた【Dear Friends&MyFamily】と

「ティアのおみやげ??友達と家族へ?」

 もしかするとおみやげを忘れたのかも知れないと思って包みを取り出して。隊舎へ向かう事にした。

「ん?この甘い香りは」

 オフィスで訓練の報告書を書いていると、包みから溢れる香りに釣られてきたのかヴィータ副隊長がやって来た。

「あっこれです。」

 クンクンと包みを嗅ぐ仕草に犬並みの嗅覚かもと少し思う。

「これカカオ・・チョコレートかっ!」
「チョコレート?チョコポッドみたいな物ですか?」

 聞いたことが無い食べ物によく似たお菓子の名前を出して聞いてみる。

「う~ん、よく似てるんだけど・・これスバルの?」

 包みを目を輝かせながら聞くヴィータ副隊長、多分凄く食べたいんだろうな~と思いつつ

「これティアのです。Dear Friends&MyFamily って書いてましたけど」

と言った直後、

「ならおみやげじゃないのか?Feiendsって俺たちの分もあるんだろ?」

 とかなり強引に開けていくとハート型の容器に一口サイズのお菓子がびっしりと入っていた。しかも少しずつ色が違っていて宝石箱の様にも見える

「凄い綺麗!」

見とれていると、副隊長がその中の1つをちょいと口にいれて

「美味いっ!スバルも食べてみろよ」
「それじゃ・・1つだけ・・・」

 同じ色の物を1つつまんで口に入れる。するとスゥーっと口の中で溶け甘い香りが広がった。
 チョコポッドより凄く香りが良くて甘さもそれ程強くない

「美味しいっ」

 感動している間に副隊長は嬉しそうにドンドン食べている。そこに

「ヴィータさん、スバルさんどうしたの??」

 なのはさんの所にやってきたヴィヴィオが興味津々で見つめている。

「ティアナのおみやげだってさ、ヴィヴィオも1個食べてみな」

 副隊長は1個取り出してヴィヴィオの口に入れた。ヴィヴィオはモグモグと食べる。

「おいし~っ!」

30分後

「全部食べちゃった・・・どうしよう・・」

そこには空っぽになった器が1つ

「後でティアナに礼に行くって言っておいて」
「なのはママのところ行ってくる~」

と副隊長とヴィヴィオは戻っていった。

 現状、空になった器と包み紙、それとカード。あとヴィータ副隊長からの伝言・・何てティアに言えばいいかな?



少し考えているとティアが慌てて入ってきた。

「スバルっ、あんたあの紙袋のなか・・・・」

机に広がった器と包み紙を呆然と見つめる

「ゴメン、ティアこれ・・」
「食べちゃったんだ・・・全部・・・」

私だけが食べた訳じゃなかったけれど、

「うん・・・」

 答えた後、ティアは包みと容器だけを持ってオフィスから出て行った。
 そして戻ってきた後、何事も無く席に座り報告書を入れはじめた。
 暫く続いた沈黙に耐えかねて、もう一度謝ろうとティアに声をかけた

「あの・・ティア?」
「・・・・・」
「ゴメン、その・・」
「・・・・・」
「ティア、あのねっ」
「・・・・・報告書出来たから先に戻る」
「えっ、ちょっと待って急いで私も出すから」

 でも、ティアは何も聞かなかった様にそのままオフィスから出て行った。しかし、それ以上にショックだったのは戻ってきた後、一度も私の方を向いてくれなかった事だった。



●Hayate Side

 その日はいつも通りに目覚めた。
毎朝の日課になっているティアナの声が良い目覚まし変わりになっている。
 残すところあと2ヶ月少しになった六課もここまで来れば後は運用時の報告とスタッフ全員の次の所属を割り当てる事である。
 フォワード隊は全員ほぼ決まりやし、他のスタッフとも面談して希望する職場を用意できるのも隊舎を壊されながらもゆりかごの停止と戦闘機人やスカリエッティを保護・逮捕出来た厚遇処置、そして地上部隊の裏で行われていた事の真相を外部に漏らさない様にと上部が恐れた為だろう。
 まぁ、捜査官に戻ればそんなの関係無いけど、地上に残った仲間の希望を叶えて貰えるのであれば話に乗ってしまおう
 そんな事を寝ぼけた頭で考えているとリインが起こしに来てくれた。
 もうそんな時間なのかと慌てて身支度する事にした。

「なのはちゃん、フォワード隊の訓練どんな感じ?」

 朝練の終わったなのはと一緒に朝食を取ることにした、今日はなのはだけでは無くフェイトやシグナム・ヴィータも参加していたらしく珍しく全員で食事を取ることが出来た。

「うん、良い感じだよ。隊長陣とチーム戦をしてても結構勝率上がってるんじゃないかな?」
「まぁこちらはリミットがかかった状態だが、動きは悪くない」

 なのはの体は全快とは行かないまでも、リミットがかかっている状態で十分に動けているのに安堵した。シャマルも無言で頷いているので、経過も順調の様だ。

「ティアナやスバルも?」
「うん、2人ともオフシフト開けたばっかりで凄く元気」

 笑って言うなのはの言葉にティアナは上手く行った事を嬉しく思った。あと、仕事の話をしなければとなのはに聞く

「なのはちゃん、救助隊の偉いさんがスバルの事を見たいって話があったよな?」
「うん、確か明日だっけ?」
「その前になうちも見に行って良いかな?午後の訓練」

 なのはは端末を出してカリキュラムを見る

「うん、スターズとライトニングの模擬戦だから大丈夫」

 フロントアタッカー&センターガードとガードウィング&フルバック・・訓練になるのか?と少し思ったが、そこは何か考えがあるのだろう

「ありがとな」

 礼をいいつつ、午前中に急いで仕事を片付けてしまおうと気合いを入れることにした。


 午後、訓練の状況を見るのにリインと一緒に訓練施設に向かった。

「それじゃ、次はスターズとライトニングの模擬戦するよ~」
「「「「了解」」」」

 フォワード隊の声も揃っていて、息もぴったりなのだろうと期待が膨らむ。ただ、ティアナの様子が少し暗いように感じた。もしかすると昨日夜遅く帰ってきた事で疲れが残っているのかも知れない。

「でも、このままじゃエリオとキャロの方が少し辛いからスバルはウィングロード使っちゃダメだよ」

【限定された環境と市街地を想定しての訓練】か・・エリオはキャロの支援を受けつつキャロも守らないといけない。
 逆に支援を受けられず空中戦は出来ないスバルをティアナがどうフォローするかによってかなり変わる筈、それにスバルはACSは禁止されていない。そしてティアナの集束砲
 なるほど、そのままであれば互いに決定打を欠いているが新たに教わったスキルを組み込めれば勝機も生まれると言う訳か。少し危険な気もするが、訓練だからこそ無理が利くし使いこなせないと意味がない。
 最初は無茶なと思っていたが、なかなか良く考えられてる。

 チラリとこっちを見たなのはに手を振って答える。元々なのはが教官なのだから自分があえて言うことも無いだろう。

「それじゃ行くよ、準備いい?」
「「「「はいっ」」」」
「それじゃ、開始っ!」

 しかし、その結果はあっけなくついた。
 キャロとフリードがスバルとティアナを牽制している間に、エリオがスバルに対して接近戦へと持ち込み紫電一閃で離脱、そして合流した2人のコンビネーションでティアナも離脱した。
 朝練の話とは全く違った内容に首を傾げる。
 エリオもキャロもこれほど呆気なく勝負がつくとは思っていなかったらしく互いに顔を見合わせている。

『本当ならティアナがキャロを牽制する事でエリオを足止めに出来たはずやし、機会も何度かあった。でもスバルと上手く合わずに逆にそこを突かれた感じかな?』

 素人目にもよくわかる状態だからもちろんなのはにも判っているはずだ

「スバル、ティアナもどうしたの?朝練で凄く上手く出来てたのに??」
「あの、私がっ」
「すみません。」

 スバルが何か言おうとしたのを止めるかの様にティアナがなのはに頭を下げた。
 それでスバルとティアナの間に何かあったのだと全員が判ってしまった。なのはもそれ以上何も言わず。

「じゃあ次はいつもの様に別々に練習しよっか」
「「「「了解」」」」

 そのかけ声は最初に聞いた時より心なしかバラバラの様な気がしていた。



「なぁリイン」
「なんです?はやてちゃん」
「スバルとティアナに何かあったんかな?」

 部隊長室に戻ってきたはやては一緒にみていたリインに何となく聞いてみた。

「マッハキャリバーもクロスミラージュも特に問題無かったみたいですし、疲れが出ただけじゃないですの?」
「そうかな~、何かもっと深いところに根がありそうな気がしてな~」

 直接聞くとどうやっても2人とも上司部下として答えるだろうし、シャーリーに頼んでそれとなく聞いて貰おうかと考えていると

「はやて~ただいま~」
「只今戻りました。」

 地上部隊へ教導官として出向していたヴィータと教会本部に用事を頼んでいたシグナムが帰ってきた。

「お帰り~2人ともお疲れさん。」

 出迎えた時、何となく甘い香りがした。気になって

「シグナム、ヴィータ何か甘い物でも食べたんか?」
「いいえ、特には」

 元々甘い物があまり好きでは無いシグナムが香りがするほど食べる事も無く納得する。しかし

「ああ、久しぶりにチョコ食べたけど美味かった~っ!」

 嬉しそうに言うヴィータの言葉に引っかかりを覚えた。
 ん?チョコってチョコポッド?でも久しぶりってこの前食べたばかりやん!まさか・・・・
 嫌な予感が脳裏をかすめる

「ヴィータ、その・・もしかして、チョコってチョコレートか?」
「ああ、ティアナの土産でスバルがオフィスに持ってきたんだ。美味しかったぞ!」

 満面な笑顔で答えるヴィータ。予想的中

「なぁヴィータ今、何月か知ってるか?」
「えっと2月だよ」

 その時点でシグナムも気付く。

「うちらの世界で2月に何か無かった??あとチョコレートってこの辺で売ってる?」
「えっと・・ハロウィン・・クリスマス・・・雛祭り・・行き過ぎか・・ゴメンわかんない。チョコはチョコポッドとかなら売ってるけど、あれは無いな」

まだ事情が判っていないらしい。

 ティアナ、本当にゴメン!さり気なく言った事を朝一番に出て夜ギリギリまで行って持って帰ってきたのに、それをうちの家族がトドメ刺してしまいました。

謝るに謝れない事を家族がしでかした事に何故か体が震えてだしていた。尋常でない気配をシグナムとリインは察する。

 しかも当の本人に自覚も反省の色も無いようです。これだけはうちがしっかり教えるから

「はやて、どうかした?」
「な、なぁヴィータ、ヴィータ前に熱い物より冷たい物の方がいいって言ってなかった?」

 腹の中からの怒りを必死に静めつつにこやかな笑みを作って聞く

「ああ、鍋とかよりアイスの方が好きだよ」

 引き出しの中から愛用のデバイスを取り出し、近くで見守っているリインに命令する

「そうか・・・リインユニゾンええな!」
「えっ、ハイですっ!ユニゾンインッ」
「はやて・・なにを?」

 騎士甲冑をいきなり纏い、更にリインとユニゾンしたはやてはヴィータに対して笑いながら



「暫く頭冷やしとりっ!!!!!アーテム・デス・アイセスっ!!」



 問答無用にヴィータを中心とした大きな氷の結晶を作り出した。

「シグナムもヴィータ助けたら同じ目に遭わすで!シャマルとザフィーラにもそう言うといてっ」

 騎士甲冑を解除して制服に戻り、シグナムに言い残すとそのまま部屋を駆け出していった。

 残されたシグナムとリインは初めて本気で怒ったはやてを見て二度と怒らせないようにしようと堅く心に刻む事にした。



 多分スバルがティアナの物を勝手に開けて食べることは無い筈、それをしたのはヴィータだという確信があった。スバルもヴィータの勢いに押されただけかも知れない。何より、自分が言っておいてヴィータが台無しにした事の罪悪感を酷く感じていた。
 隊舎を走り回って探すが、何処にもティアナの姿が無い。まさかと色々考えてしまうが、何より最初に謝りたかった。

「ハァハァ・・ティアナ何処にいったんや・・」

 流石に息が切れてしまった時、目の前をヴィヴィオが通り過ぎた。手にはカメラを持っている。もしかすると

「ヴィヴィオ、ティアナみかけなかった?」
「ティアナさん?ヘリの所にいたよ。チョコ美味しかったってお礼言ったから」

 ヴィヴィオも巻き込んだのか、明日まで氷漬けにしておいてやろうかと本気で思いつつ。
 ヘリ・・格納庫、ヴァイスが居る場所。ヤバイっ!急がんと

「ありがとな~」

そう言い残して、もう一走りしていた。

 格納庫の前でティアナの後ろ姿を見つける。中の様子を見ているようだ。近くまで来て息を整え、そっとティアナの肩を叩く。

「ティアナ」
「えっ!八神部隊長」
「うん、ちょっとええ?」
「・・・・はい」

 午後も夕方にならないと宿舎は人通りが多くない。ティアナを伴って自室に招いた。

「ティアナも何か飲む」
「いえ・・」

 午後の訓練を見ていた事はティアナも気付いている。その事と思われているのであれば誤解は解いておきたい。そして・・ ティアナの正面に立ち頭を下げる

「訓練での事とちゃうよ。それより、ゴメン。本当にゴメン。ヴィータが、うちの子が折角持って帰ってきたチョコレート食べてしもて。どんな言い訳してもあかんと思う。うちが変な事を言ったからだって恨んでくれてもええ。でも、スバル、スバルとヴィヴィオだけは許してあげて。あの子達が悪いことする筈ないから。だからお願いや」

 ティアナの顔は見えなかった。頬を叩かれる位は覚悟が出来ている。今なら何を言われてもしょうがないと思う。それ以上の事をしたのだから。
 しかしティアナの答えは違った

「八神部隊長、顔を上げてください。私怒っている訳じゃないんです。もし、本当に渡したい物だったら部屋でスバルに誤解される様な置き方をしちゃたかなって。スバルが食べたって言った時、確かに腹が立ちました。思いっきり叩いちゃおうかって思っちゃうくらい。でもその時気付いたんです。私だけ何か空回りしてたんじゃないかって。そんな事を考えていたら訓練でもあんな風になっちゃって・・・」

 ティアナの肩が震えている。

「でも、折角行ってきたんやろ?」
「いいんです。明日にはきっちり切り替えて頑張りますっ、だから・・失礼しますっ」

敬礼して部屋から駆けだして出て行った。



 1人残されてしまいどうしようかと悩んだあげく、とりあえずもう1人の保護者の所に向かう事にした。

「えっ!ヴィヴィオそんな物食べたの!?」
「うん、ヴィータが薦めたらしいんや・・・それにスバルも・・・」
「それであの訓練か~もしかしてすごく複雑?」

 ここからクラナガン経由で海鳴に戻っても4時間くらいで充分辿りつけるだろう。朝一番に出て行って深夜になると言うことは現地で長時間何かをしていたと考えた方が自然だ。
 なのはもはやてもその答えは見つかっていた。多分ティアナの手作りだったのだろう。桃子ならそうするだろうという確信もどこかにあった。
 だから新しいチョコを買ってきてティアナに返すという方法は出来ない。変わりの物が無いのだから。
 それも気にかかったがもう1つ気になることがある。明日は日本で言うバレンタインデーであり、しかも午後から特別救助隊の人がスバルの能力視察に来るのだ。今のままスバルとティアナがコンビを組んでも2人とも引きずって上手く合わせられないだろうし、それを視察対象にされてしまうのはマイナス以外の何物でも無い。

「とりあえず、お母さんに連絡してみるね」

 なのはは携帯を取り出してボタンを押した。フリーモードにしてくれたらしい

『はい、翠屋です』
「あっお母さん。なのはです。」
「お久しぶりです。はやてです」
『なのは、はやてちゃん久しぶり~!良かった~こっちから連絡したしたくでも通じないしどうしようかと困っていたの』

 桃子もこっちに連絡を取ろうとしていた?互いに顔を見合わせ首を傾げる

『昨日ティアナさんと一緒にチョコレート作ったんだけど、間違えて私のチョコレートを渡しちゃったの。お店のみんなで食べてねって感じで。気付いて慌てて探したんだけど連絡も取れないし困っていた所だったのよ~。桃子さん大失敗~』

「桃子さん、もしかしてそっちにティアナの作ったチョコまだあるんですか??」

もしかしてと思いつつ聞いた

『ええ、頑張って作ったチョコだもの、食べていいのは1人だけでしょ♪』
「わかった。お母さん明日取りに行くから預かってて」
『いいわよ待ってるから』

 携帯を切ったなのははこっちを見た。あとは誰がどうやって取りに行くか?

「うち、明日朝から来客の相手せなあかんし・・なのはちゃん頼める?」

 六課のあるメンバーが希望している所属長が来ることは以前から決まっていたし、そのメンバーの為にも外すことは出来ない。

「うん・・・なんとか頑張ってみる」

 フェイトも出張中でシグナム・シャマル・ヴィータ・ザフィーラは教会で検診する事になっている。
 半分自身なさげに答えるなのはにはやても託すしか無かった。


-同じ頃-
<<なぁシグナム、いつまでこんな状態なんだろう?>>
<<主はやてに聞け。今回は自業自得だ>>
<<でもはやて念話完全に切ってるらしくて繋がんないんだよ>>
<<明日教会に行く時には開放して貰えるのではないか?>>
<<それまでずっとこのまま?スゲー冷たいんだけど・・・>>
<<・・・・>>
<<おぃシグナム?>>
<<・・・・>>
<<シグナムまで、はやて~寒いよ~冷たいよ~謝るからここから出して>>

 氷漬けにされて言葉が出ないヴィータは念話で助けを求めていた。しかし、部隊長室には立ち入り禁止の札が貼られており、特定の者以外には念話が出来ないようにという徹底ぶりだった。
 それをヴィータは知ることもない



~~コメント~~
久しぶりの連日更新です。
今回もヴィヴィオの出番は凄く少ないです。ごめんなさい。
次回はかなり?大活躍のハズです。
なのはやフェイトの本気はアニメの方でも何度かありましたが、はやてが本気で怒ると凄く怖いかも知れません。

ホームページのバレンタインぱにっく2008ですが、私も今日頑張ってみました。
2頁3頁は見つかりましたが、1頁目はまだです。ハードルがドンドン上がるそうなので頑張って見つけてみようかな

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Comments

錯乱坊
ヴィヴィオ食べちゃったーと思ったら、桃子さんのチョコ、なのは頑張れ速攻で取りにいけ。
ティアのチョコ思い人に渡せると良いですね、報われて欲しいものです。
2008/02/07 06:47 PM

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