第1話 「星の欠片のPrerude-前奏曲-」
気付かないうちにあの人の影を追っていた。
最初少し気になっただけ
本当にただそれだけだった。
なのに癒えぬ傷を抱いたまま、
楽しかった時が次の瞬間悪夢へと変わる。
泣き叫ぶことも助けを請うことも出来なかった。
それでも私の瞳は零れる涙を止める事はできなかった。
最初少し気になっただけ
本当にただそれだけだった。
なのに癒えぬ傷を抱いたまま、
楽しかった時が次の瞬間悪夢へと変わる。
泣き叫ぶことも助けを請うことも出来なかった。
それでも私の瞳は零れる涙を止める事はできなかった。
JS事件が終わりをみて数日が経ち、慌ただしかった機動6課も少しずつ元の日常に戻りつつあった。
八神はやては部隊長室で1人山のような書類と戦っている。
陸士部隊や関係各所への報告書と連絡書・始末書の数々…誰かに手伝って貰いたくても手伝える状態の者が誰も居らず、諦めて机の上の書類に戻った。
唸りながらも片付けているとドアをノックする音が聞こえた。
「失礼します」
「は~い、どうぞ~。どうしたん? ティアナ」
「八神部隊長、訓練施設の使用許可を頂きたいのですが」
入ってきた彼女の話を聞いて首を傾げる。
「ええけど、ほとんど壊れてて動かへんよ…ティアナ、どうしたん?」
聞くと彼女は少し照れくさそうに
「事件の後みんな病院や本局なので勘が鈍らない様に体を動かしたいと思いまして。あと試してみたい魔法とか…駄目でしょうか」
事件で受けたフォワード隊の受けたダメージは酷かった。
部隊長の高町なのははブラスターの影響とゆりかご内での戦いでそのまま即入院、同じくゆりかごへと入ったヴィータもはやての修復だけでは癒えきれず同じく入院、同じく部隊長のフェイト・T・ハラオウンもキャロ・エリオと一緒に休息を兼ねての療養中、パートナーのスバル・ナカジマも姉のギンガ・ナカジマとの戦闘後の調整で2人とも戻ってきていない。
唯一軽傷だったのは副部隊長のシグナムだが、彼女は事件で被害を受けた首都航空隊に出向している。
今6課に居るフォワード陣と言えば怪我をリインに治してもらったティアナだけだった。
「ええよ、でも怪我せんといてな。」
「はい、ありがとうございます」
一礼して嬉しそうに出て行くティアナを見送った後、後で様子を見に行こうと再び書類の山と格闘を始めた。
「まぁこれだけ動けば問題ないでしょ」
はやてが言った通り、訓練施設はいつもの様に操作しても動かなかった。
ティアナは端末を開きいくつかの部分を触らないと動かなかったが、幸いティアナが使おうと考えていた機能はさほど苦労せずに動かす事が出来た。
探していたのは回避する的。
打ち損じても問題のない場所で、いくつか試しておきたい魔法があった。
「クロスミラージュお願いね」
【Yes. Standby Ready .BlazemodeSetup】
『もし、あの時…狙撃魔法で遠距離サポートが出来ていれば、バラバラにならずになんとか出来た』
JS事件は結果として捕らわれのギンガやヴィヴィオを助け、ルーテシアを救い、戦闘機人を保護する事は出来た。
最初は隊長達が頑張ってくれたのだと思っていた。しかし徐々に報告が上がるにつれ運が良かっただけとティアナは考えるようになっていた。
『中長距離を制しながら仲間のフォローをするのがセンターガードの役目だよ』
(みんながなのはさんが戻ってくるまでに、このモードを使いこなすんだ。)
「スタートッ!」
ティアナの声に合わせたかの様に的役のガジェットドローンが遙か遠方に現れた。
事件の直後でもあり、的のガジェットドローンで驚く者が居ても困ると考え大きく「TARGET」と表示させていた。ここからでも見えるから見間違う者も居ないだろう。
(スバルが見たらお腹を抱えて大笑いするでしょうね)
ふとそんな事を考えつつもBlazeModeのクロスミラージュを構え魔法弾を撃ち出した。
「ハァッハァッ…40発中7発命中だなんて、実戦にはほど遠いわ」
もう少し当たる物だと思っていたが出てきた結果に肩を落とす。
【Sorry .My Master】
「ううん、クロスミラージュのせいじゃないわよ。時間もいっぱいあるし頑張りましょ。」
【Yes】
気を取り直して立ち上がった時、いきなり背後から声が聞こえた。
「その練習、手伝おうか?」
~こめんと~
久しぶりのSS掲載です。この話は以前時空管理局通信に一部掲載していた物を再編集したものです。
今まで書いた中でもちょっと雰囲気が違った話ですが、楽しんで頂けると幸いです。
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