第41話「曖昧な記憶を追いかけて」
- リリカルなのは AdditionalStory > 第5章 夏休みの成果
- by ima
- 2015.01.31 Saturday 22:24
突然目の前が真っ暗になって、気がついたら全然知らない部屋に私は居た。
「ホホハ…(ここは)」
しゃべろうとしたら口に何か挟まっていて上手く言葉に出来ない。口の物を取ろうとして手も動かず、後ろで何かに固められているらしい。
(何…)
「ヴィヴィオ、起きた? 大丈夫?」
「アヒヒア(アリシア)」
「声を出さないで静かに、わかったら頷いて、違ったらゆっくり横に顔を振って。何処も痛くない? 気分はどう?」
「ホホハ…(ここは)」
しゃべろうとしたら口に何か挟まっていて上手く言葉に出来ない。口の物を取ろうとして手も動かず、後ろで何かに固められているらしい。
(何…)
「ヴィヴィオ、起きた? 大丈夫?」
「アヒヒア(アリシア)」
「声を出さないで静かに、わかったら頷いて、違ったらゆっくり横に顔を振って。何処も痛くない? 気分はどう?」
横に居たアリシアも口に布状の物を巻いていて手は後ろに、足はロープで巻かれている。言われた通り頷く。彼女は続けて囁く。
「良かった。私も大丈夫ってさっき起きたとこだけど…」
再び頷く。彼女も上手く話せない筈なのにどうやって話しているのだろう?
「多分だけど、私達誘拐されちゃったみたい。」
慌てて念話を送ろうとするけれど
「AMFの中だから魔法は使えないよ。」
言われた通り念話は出来なかった。
「さっき男の人がヴィヴィオとフェイトを誘拐したって管理局に連絡してた。」
既に管理局が知ってるならとホッと息をつく。
「だから急がないと…私はフェイトじゃないし、ヴィヴィオは無限書庫に行ってる。きっと悪戯だって思われちゃうから。人違いだって知られたら私達が危ない。」
そうだ、ヴィヴィオは今無限書庫に居る。そう思うと一気に恐怖が押し寄せてきて体が震えた。
「怖がらないで、大丈夫♪ お願いあるんだけど、私が立ち上がったら急いで柱の陰に隠れて。あとAMFが消えたらアインハルトさんに念話して。」
立ち上がったら? ロープでグルグル巻きにされているのにどうやって? そもそも何を言ってるのか理解出来なかったけれどコクンと頷いた。
ニコリと笑うアリシア。
「あと、怖かったら目を瞑ってていいからね♪」
そう言った後彼女を拘束していた口の布や足のロープはバラバラになった。立ち上がって近くにあった金属製のパイプを持つと下に強く叩きつける。
【カァアアアアン】
部屋の中に甲高い音が鳴り響く。その音で10メートル程先に居た男がこっちの様子に気づくが声をあげる前にアリシアは迫っていて振り返える前に背中と後頭部を連続で殴り男は倒れた。
「おいっ!」
さっきの音を聞いて駆けつけた男に対し
「ハァアアアアッ!」
低姿勢でダッシュ、膝に突きを入れ屈んだところを腹部殴って更に空中で回転し顎に蹴りを入れ2人目の男の方へと飛ぶ。男が手を前にかざして何か(多分魔法)を使おうとしたがAMFの中だというのに気づく前に腕をパイプで強打、着地したところで脛を殴った。
「ガキがっ!」
目の前で一瞬の間に3人もの男が倒れたのを見て4人目の男はアリシアの背後から鋭利なナイフらしき物で迫るが彼女は冷静にそれを避けて手を強打、手から離れたナイフを空中でキャッチし壁の方へと投げた。
直後何かが爆発し、2人の姿が爆風の中に消えたが男の苦悶の声が何度かした後
「も~…髪も服も埃だらけになっちゃったよ。待ってて今ロープ解くから」
何でも無かったようにヴィヴィオの所に戻って来た。
その後すぐヴィヴィオとアインハルトさんが来て、はやてさんに連絡したらシグナムさんが来てくれて私達はヴィヴィオの魔法で家に戻った。
私はストライクアーツを練習してるのに何も出来なくて…私ってストライクアーツって一体何なのだろう?
カルナージに来て隣のベッドで寝ているアリシアとその奥のヴィヴィオを眺めているとわからなくなる。
強いって一体何なのだろう?
「眠れないのですか?」
「ごめんなさい、起こしちゃいました。」
隣で寝ていたアインハルトを起こしてしまったらしい。
そのまま話すとアリシア達を起こしてしまいそうだからベッドに横になる。
「この前の事思い出してたんです。私何にも出来なくて…でもアリシアちゃんは1人で4人の男の人相手にしても何にも変わらなくて…でも魔法が使えないのに。ストライクアーツって強さって何だろうって…私なんかまだまだなのに変ですよね、こんな事考えちゃうなんて」
「アリシアさんやヴィヴィオさんの世界と私達の世界は違います。ストライクアーツはスポーツです。強さだけを求めるものじゃありません。ですから比べても仕方ありません。夜も遅いですし休みましょう。」
「はい…」
眠いところを起こして少し不機嫌だったのか、アインハルトはそう言うとヴィヴィオに背を向け眠ってしまった。
(ヴィヴィオ…やっぱり…)
アリシアの横で眠っていたヴィヴィオもアインハルトの声で目を覚ましていた。
アリシアの誘いに乗って夏休みを利用してここに来たのは幾つか目的があった。
砕け得ぬ闇事件でここのヴィヴィオは記憶を曖昧にする記憶封鎖を受けている。だから何も無ければ曖昧なままでその内忘れていく。
でも、強烈に印象づけられた事があったら? 元世界のはやてが異世界で会ったリインフォースの事を忘れられず、曖昧になってしまったからこそよりその想いが強くなってしまいジュエルシードを発動させた。ここのヴィヴィオが同じ様に私やオリヴィエ、レリックの事を忘れられず想いを強くしてしまったら?
こっちに来て数日間はヴィヴィオの考えすぎだと思っていた。
でもあの誘拐事件の後、ヴィヴィオの様子が少しおかしいのは気づいていたし、その理由も判っていたからなのはやフェイトにも相談はしていたのだけれど…
(記憶封鎖…消さなくちゃいけないのかな…)
まだ決めかねていた。
~コメント~
もしヴィヴィオがなのはVividの世界にやってきたら?
文庫版には入れていないSSオリジナルでした。
今話は文庫版執筆時に既に出来上がっていた話だったのですが、ASヴィヴィオではなくVividヴィヴィオとアリシアの話が主軸になっていたのとページ数の加減から省いた話になります。
ちなみにAMF空間でアリシアを縛っていたロープが切れたり素人顔負けの動きを見せたのはバルディッシュの中に入っているアシスト機能が動いてます。
AMF空間【程度】で使えなくなるようなデバイスを彼女の母が作る訳ないですよね(苦笑)
「良かった。私も大丈夫ってさっき起きたとこだけど…」
再び頷く。彼女も上手く話せない筈なのにどうやって話しているのだろう?
「多分だけど、私達誘拐されちゃったみたい。」
慌てて念話を送ろうとするけれど
「AMFの中だから魔法は使えないよ。」
言われた通り念話は出来なかった。
「さっき男の人がヴィヴィオとフェイトを誘拐したって管理局に連絡してた。」
既に管理局が知ってるならとホッと息をつく。
「だから急がないと…私はフェイトじゃないし、ヴィヴィオは無限書庫に行ってる。きっと悪戯だって思われちゃうから。人違いだって知られたら私達が危ない。」
そうだ、ヴィヴィオは今無限書庫に居る。そう思うと一気に恐怖が押し寄せてきて体が震えた。
「怖がらないで、大丈夫♪ お願いあるんだけど、私が立ち上がったら急いで柱の陰に隠れて。あとAMFが消えたらアインハルトさんに念話して。」
立ち上がったら? ロープでグルグル巻きにされているのにどうやって? そもそも何を言ってるのか理解出来なかったけれどコクンと頷いた。
ニコリと笑うアリシア。
「あと、怖かったら目を瞑ってていいからね♪」
そう言った後彼女を拘束していた口の布や足のロープはバラバラになった。立ち上がって近くにあった金属製のパイプを持つと下に強く叩きつける。
【カァアアアアン】
部屋の中に甲高い音が鳴り響く。その音で10メートル程先に居た男がこっちの様子に気づくが声をあげる前にアリシアは迫っていて振り返える前に背中と後頭部を連続で殴り男は倒れた。
「おいっ!」
さっきの音を聞いて駆けつけた男に対し
「ハァアアアアッ!」
低姿勢でダッシュ、膝に突きを入れ屈んだところを腹部殴って更に空中で回転し顎に蹴りを入れ2人目の男の方へと飛ぶ。男が手を前にかざして何か(多分魔法)を使おうとしたがAMFの中だというのに気づく前に腕をパイプで強打、着地したところで脛を殴った。
「ガキがっ!」
目の前で一瞬の間に3人もの男が倒れたのを見て4人目の男はアリシアの背後から鋭利なナイフらしき物で迫るが彼女は冷静にそれを避けて手を強打、手から離れたナイフを空中でキャッチし壁の方へと投げた。
直後何かが爆発し、2人の姿が爆風の中に消えたが男の苦悶の声が何度かした後
「も~…髪も服も埃だらけになっちゃったよ。待ってて今ロープ解くから」
何でも無かったようにヴィヴィオの所に戻って来た。
その後すぐヴィヴィオとアインハルトさんが来て、はやてさんに連絡したらシグナムさんが来てくれて私達はヴィヴィオの魔法で家に戻った。
私はストライクアーツを練習してるのに何も出来なくて…私ってストライクアーツって一体何なのだろう?
カルナージに来て隣のベッドで寝ているアリシアとその奥のヴィヴィオを眺めているとわからなくなる。
強いって一体何なのだろう?
「眠れないのですか?」
「ごめんなさい、起こしちゃいました。」
隣で寝ていたアインハルトを起こしてしまったらしい。
そのまま話すとアリシア達を起こしてしまいそうだからベッドに横になる。
「この前の事思い出してたんです。私何にも出来なくて…でもアリシアちゃんは1人で4人の男の人相手にしても何にも変わらなくて…でも魔法が使えないのに。ストライクアーツって強さって何だろうって…私なんかまだまだなのに変ですよね、こんな事考えちゃうなんて」
「アリシアさんやヴィヴィオさんの世界と私達の世界は違います。ストライクアーツはスポーツです。強さだけを求めるものじゃありません。ですから比べても仕方ありません。夜も遅いですし休みましょう。」
「はい…」
眠いところを起こして少し不機嫌だったのか、アインハルトはそう言うとヴィヴィオに背を向け眠ってしまった。
(ヴィヴィオ…やっぱり…)
アリシアの横で眠っていたヴィヴィオもアインハルトの声で目を覚ましていた。
アリシアの誘いに乗って夏休みを利用してここに来たのは幾つか目的があった。
砕け得ぬ闇事件でここのヴィヴィオは記憶を曖昧にする記憶封鎖を受けている。だから何も無ければ曖昧なままでその内忘れていく。
でも、強烈に印象づけられた事があったら? 元世界のはやてが異世界で会ったリインフォースの事を忘れられず、曖昧になってしまったからこそよりその想いが強くなってしまいジュエルシードを発動させた。ここのヴィヴィオが同じ様に私やオリヴィエ、レリックの事を忘れられず想いを強くしてしまったら?
こっちに来て数日間はヴィヴィオの考えすぎだと思っていた。
でもあの誘拐事件の後、ヴィヴィオの様子が少しおかしいのは気づいていたし、その理由も判っていたからなのはやフェイトにも相談はしていたのだけれど…
(記憶封鎖…消さなくちゃいけないのかな…)
まだ決めかねていた。
~コメント~
もしヴィヴィオがなのはVividの世界にやってきたら?
文庫版には入れていないSSオリジナルでした。
今話は文庫版執筆時に既に出来上がっていた話だったのですが、ASヴィヴィオではなくVividヴィヴィオとアリシアの話が主軸になっていたのとページ数の加減から省いた話になります。
ちなみにAMF空間でアリシアを縛っていたロープが切れたり素人顔負けの動きを見せたのはバルディッシュの中に入っているアシスト機能が動いてます。
AMF空間【程度】で使えなくなるようなデバイスを彼女の母が作る訳ないですよね(苦笑)
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