第27話「ヴィヴィオの降臨」

「う…ん……」

 高町家の客間、布団に寝かされた少女の口から言葉が洩れる。
その声を聞いてなのはは彼女の顔を覗く。


 ここのなのはから翠屋でヴィヴィオが倒れたと連絡を受けた。しかし娘のヴィヴィオはブレイブデュエルのグランプリで遊んでいるし、ここの未来からやってきたヴィヴィオはグランツ研究所のオペレーションルームで観戦している。
 3人目のヴィヴィオと聞いて心配というより何処から来たのかというのと何かの前触れの様な気がしてシャマルにフェイトやヴィヴィオ達にグランプリが終わって落ち着いたら高町家に来るように伝言を頼んだ。
 そうして戻ってくると士郎が客間に布団を敷いていた。
「お帰り、なのはのパジャマだけど…ヴィヴィオちゃんを着替えさせてくれないか。」
「うん」

 パジャマを受け取ると力を失った少女の服をそっと脱がせ着せ替えて寝かせた。

(…ヴィヴィオ…に似てるけれど…やっぱり違う…)

 顔つきや背は見間違う程似ているのだけれど、少し線が細い気がするしU-Dに貫かれて僅かに残っていた左肩の傷痕が見当たらない。
 リビングに戻ると士郎がアイスコーヒーを用意していて

「店に来る途中で2人の女の子の前で倒れたらしい。店になのはが居るって知っていて連れてきてくれたんだ。ハネキツネだったかな…角が生えたかわいいペットを連れていた。知ってるかい?」
「はい。」

 言われて思い出す。シュテル達の友人、わかばとこのはらしい。先日グランツ研究所で昼食を一緒に食べていた時自己紹介と一緒に翠屋に居るのを話した。

「…なのは…あの子はヴィヴィオちゃんか?」
「え?」
「あ、いや…母親にこんな事を言ってはいけないんかと思ったんだが、昨日の朝練でヴィヴィオちゃんに少し相手をして貰った。…その時と少し雰囲気が違う気がしたんだ。」

 昨日の朝、士郎が朝練に行った後ヴィヴィオに肩を借りて帰って来た時と比べているらしい。

「私も判らないけれどヴィヴィオとは別人です。今ヴィヴィオはアリシアと一緒にブレイブデュエルで遊んでいるし、あの子の肩に傷跡が無かったから。でも…無関係でもないと思います。お父さんはお店に戻って。何かあれば連絡するから…後は私に任せて。」
「そうだな…」

 飲み終えたグラスを流しに置いて士郎は店に戻った。 
 

 
 少女は時を置かずまぶたがゆっくり開く。

「……なのは…さん…?」
「…私を知ってるんだね?」

 ヴィヴィオなら『なのはママ』というから彼女は別人、しかも大人の姿のなのはを知っているという事は全くの無関係でもない。

「…ここは?」
「ここは海鳴市の私の家。ねぇ、あなたの名前…教えてくれるかな?」
「私は…」

 少女の名前を聞いてなのはは驚愕の余り言葉を失った。



「っと。」

 その頃アリシアは円柱形の台座に降りた。
 ブレイブデュエルに飛び込んで目に入ったのは色んなステージがあってその中央に闘技場を見つけた。1番目立ちそうな場所だったからそこを選んだ。

「ここ、さっきヴィヴィオがデュエルしてたとこだよね?」

 辺りを見回す。空中や海中ステージだったら今の彼女には勝てそうにない。そういう意味で言えばまだ何とかなりそうだ。

「で、どこにいるの?」

 肝心の彼女を探す。上空や周りを見ても姿が見えない。流石に不意打ちするとは思えないけれど一応警戒する。
 そんな時、空から淡い虹色の光が差し込む。その上から降りてくる人影を見つけた。
 神々しい光を背に降りてくる彼女を見てつい見とれてしまう。

「聖王さまの降臨だね…」
 

「ごめん、ちょっと探しちゃった。」
「ううん、そんなに待ってないよ」

 台座に降りたヴィヴィオはアリシアに駆け寄る。

「どこで対戦する?」
「そうだね~ちょっと広い場所がいいかな」
「じゃあ、あの広場にしようよ。」
「うん。」

 2人は闘技場から少し東に離れた所にある草原へと向かう。
 地面にトンッと着いた後、

「RHd」

 ジャケットを騎士甲冑に切り替える。アリシアもブレイズモードに変わって2本の水色の刃を持っていた。

「さっきも言ったけど手加減なしで」
「アリシアもね。」

 さっきのシュテルの件もあって苦笑する。互いに10メートル程離れて魔法の起動準備をする。

「それじゃ、いくよ…」
「うん…」
「「レディ…ファイっ!!」」 

 それぞれのかけ声で構えた。



「………」
「………」
「………」
「………」
「…故障でしょうか?」

 管制室でユーリは首を傾げる。

「あれ?」
「通信エラー?」
「ラグった?」

 T&Hで司会のアリシアやアリサも首をかしげる。
 互いに声をかけた後2人は構えたがピクリとも動かないのだ。

「ううん、デュエルは始まっているよ。」
「うん…」

 なのはとフェイトがアリサに答え

「…すっごい気迫」
「2人共相手がどう動くか知っています。知っているからこそ動けないんです。しかし…」
『ハァッ!!』

 アリシアの声と共にヴィヴィオも動いた。


 アリシアの動きを止めようとアクセルシューターを20個作り追いかけさせながら回り込ませ四方からぶつける。
 同時にインパクトキャノンの発射態勢を取る。前後左右から同時に攻撃すればいくら彼女でも全部切り捨てられず、唯一上空を空けておいてそこを狙い撃ちし下からはクロスファイアシュートで襲わせる。
 だが彼女は予想に反して猛スピードでこっちに向かいながら前方のシューターを切ってきた。

「っ!!」

 インパクトキャノンで牽制しながら両拳に光を集め

「タァァアアッ!!」

 振り抜いてきたバルディッシュの刃面を思いっきり殴った。

「遅いっ!」

 だがアリシアはそれに驚く事もなく、バルディッシュを手から離して水色の剣を振りかぶる。

「それもっ!」

 ヴィヴィオは瞬時に左足に光を集めその刃を蹴り壊すが上がった足をアリシアは掴んで勢いの方向を変えて投げ飛ばし宙を舞っていたバルディッシュを掴みなおしてヴィヴィオを追撃する。

「クロスファイアァァアシュートッ!」

 ヴィヴィオはだた投げられるのではなく、最初に放ったシューターを追撃させていてこっちに集中したタイミングを見計らって切り替えた。

「わっ!」

 ここまでは予想していなかったらしく慌てて軌道を変えるがマントの1部が触れて散った。

「次は私からッ!」

 ヴィヴィオは再び20個のアクセルシューターを放って高速回転させる。
 そのままクロスファイアシュートに切り替えようとするがバルディッシュから放たれた光弾が集束直前にぶつかり爆発を起こす。
 目的はアリシアの視界を妨げる事、爆発で起きた煙に飛び込み両手から2本のインパクトキャノンを放った。
 1射目を避けたアリシアだったが続けざまに来てもう片方のマントを失う。しかしそれでヴィヴィオの場所を捉えて土煙の中に飛び込み今度はこっちに距離を詰めて4連撃を加える。
 ヴィヴィオも3撃迄は拳で払うが最後の1撃がヴィヴィオのマントを切って端切れが光って散る。そのままラッシュで攻め続けようとするアリシアにヴィヴィオは既に放っていたアクセルシューターを上下左右から襲わせる。
 それに気づいて離れようとした瞬間にインパクトキャノンを放ち巨大なクロスファイアシュートに変えた。
 アリシアはSonicMoveを起動して上空へと避け、クロスファイアシュートは草原に大きな爆発と土煙を起こした。

 爆発はその後何度も続きそのまま隣の市街地ステージへと移っていった。



(やっぱり力押しじゃっ!)

 バルディッシュの束を握り直しながら再び動く。
 視界が広がった草原ステージでは動きやすいけれどヴィヴィオにも捉えられやすい。
 市街地ステージに来れば障害物が多く隠れやすいし瓦礫に紛れてという戦法も使える。そう考えて動いたけれど…

「インパクトキャノンっ!!」
「!?」

 ヴィヴィオはインパクトキャノンでビルの反対側に居たアリシアを狙ってきた。爆発する前に高速で回り込んで

「ハァアアッ!」

 4連撃を打ち込む。しかしその位置を彼女は予想していたのか防御姿勢で防がれた。

「っ!!」

 舌打ちして一気に離れる。



 2人のデュエルに八神堂の観戦者は勿論、グランツ研究所、T&Hの観戦者もジッと見て誰も言葉を口にしなかった、いや出来なかった。
 今までは接近戦なら近接用のカードを使い、中・長距離戦だったら砲撃・射撃系のカードを使ってデュエルするのがセオリー。
 しかしヴィヴィオとアリシアは距離も魔法を『魔法』としてではなくもっと身近なものの様に使っていた。魔法を使ったデュエルというより魔法を組み込んだデュエル、距離も系統も関係ない。

「素早く考えて…」
「素早く動く…」

 シュテルとフェイトもデュエルを見てヴィヴィオの母、高町なのはから何度も言われた事を思い出す。
 常に相手の動きを考え適した魔法を使う。
 ヴィヴィオもアリシアも全くカードを読み込ませていない。使うスキルは全て読み込んでいる。

「こんな方法があったんだ…」

 フェイトの横でなのはは呟く。
 アリシアの剣術はカードスキルとは違った攻撃方法。どうすれば対抗出来るのか判らず、なのはは彼女とのデュエルで同じ舞台に立とうとしたけれどより使いこなす彼女に軍配が上がった。負けた後悔しい気持ちと一緒に反則じゃないかとも少し思った。
 でも、対抗方法はもっと簡単だった。
 ブレイブデュエルの攻撃は攻撃と防御の数値で決まる。だったらアリシアが攻撃する時は完全防御すればいい。堅い防御を誇るセイクリッドなら今のヴィヴィオの様にガードしてしまえばリアル剣術であっても魔法を伴っていなければダメージを受けない。
 アリシアはそれを知ってわざと挑発したり攻撃のカウンターを狙わせていた。だけどヴィヴィオは更にそれを見抜いていた。

「2人とも凄い…」

 自然と感嘆の声が出ていた。



「やっぱりヴィヴィオは凄いよ。全然当たんない。」

 市街地戦になって数分、幾つものビルに穴が開いている。
その側でアリシアが言う。

「アリシアもね。ライオット使わないの?」

 道路の反対側でヴィヴィオは答える。

「フォートレス使っていいよ。」
「あれつけちゃったらアリシア追いかけられないよ。」
「そうだね…じゃあウォーミングアップも出来たから、いくよ。ライトニングッ!」

 アリシアのジャケットが変わり腰を低く落とし両手の短剣を構える。

(来る…)

 刹那アリシアの姿が消えた、なのは戦で使った技だ。なのははゴクリと息をのむ。
 4連撃が来ると思った瞬間、ヴィヴィオは左に向けてインパクトキャノンを放ち後ろにジャンプしながら腕を交差させた。直後正面に現れたアリシアの4連撃が襲う。
 インパクトキャノンによって吹き飛ぶビル群だが2人の視界には全く映っていない。
 防御態勢を取った騎士甲冑では攻撃が通らず全て防御され地に足がつくとそのまま正面へ突撃再びインパクトキャノンを放つが当たったと思った瞬間彼女の姿は再び消えた。

「!!」

 ヴィヴィオは今度は前にダッシュして体を倒れたビルの看板をジャンプ台にして反対方向に飛び捻って右横に腕を交差させる。
 すると再びアリシアの4連撃がその正面から放たれた。再びアリシアの攻撃が防御される。
インパクトキャノンを放つがまた彼女は姿を消した。

【ドドドドォォオオオン】

 数発ものインパクトキャノンの直撃を受けて道路のアスファルト面が波打ちめくれ上がった。



「攻撃を全部防御してる。」
「…まさか…見えてる?」

 アリサとすずかが声を震わせる。
 なのはが同じ攻撃を受けた時、アリシアは勿論彼女も突然目の前に現れて全く見えていなかったらしい。

「見えてから反応してたら間に合わない。でも何処から攻撃が来るかは判ってるね。」
「そうだな…父さんに頼んでよかった。」

 横で見ていた美由希と恭也が答える。

「「「「えっ?」」」」

 なのはとフェイト、アリサ、すずかが2人の方を向く。

「俺たちがアリシアにアレを見せた後、父さんに頼んでヴィヴィオにも見せた。ヴィヴィオはあれの対策を考えていたらしいな。」
「対策?」

 突然現れるのに対策なんて思いつかない。

「相手に見えない速さで動いていたら動く方も時間が限られるでしょ。だから動く前に攻撃位置を絞って狙わなきゃいけない。どの方向から何処を攻撃するのかって。でもそこを先に潰されちゃったら単調な攻撃になる。ヴィヴィオちゃんはそれを正面から受けてるよね。」

 モニタの中で数度に渡る攻防は繰り広げられているがアリシアの攻撃は全て防御されている。

「ヴィヴィオは最初にアリシアが狙った位置を潰してから次の攻撃を防いでいる。建物をわざと壊して攻撃方向を絞らせているのか…凄いな。」

 恭也が感心するのを見て驚きながら再び中央のモニタに視線を戻した。



「全く驚かされますね。」

 シュテルもまさかアレにこんな攻略方法があるとは予想外だった。
 シューターを使わないのはアリシアが切り捨てるから、砲撃系なら範囲も広いし防御の薄い彼女に当たれば大ダメージになる。

「それでも彼女もただ動いてる訳ではなさそうですが…」

 あれ程の動きを続けるには相当な集中力が必要な筈だ。アリシアに残された時間は短い。

 
 
(右っ! 後ろからっ!)

 ヴィヴィオはアリシアの行き先を見つける為に神経を研ぎ澄ませていた。目やRHdを通した情報を見ていては間に合わない。

『ヴィヴィオちゃんがさっき話してくれた感じを意識的に持てば充分越えられる』

 士郎が教えてくれた恐怖と悪寒が来る方向を感じ取る。

(左下っ、前っ!)

 士郎ですら一瞬動くだけであの様だった。いくらブレイブデュエルの中とは言え連続で動くには限界がある。なのはとのデュエル以降今まで使っていなかったのもそれが理由だろう。
 だったらこの攻勢を防ぎ切れば勝機はある。

(でも…するしかっ!)

 でもそこまで待つ訳にはいかない。



(そろそろだねっ!)

 アリシアはニヤリと笑ってスキルを起動させる。
 まさかこんな形で止められるとは思わなかった。
 恭也と美由希と交わした約束、元世界に戻ったら彼らは破っても2人には判らない。だから他の誰か…一緒に来たフェイトやなのはに話して目を光らせるのだろうと思っていた。だけどそれは違った。
 ヴィヴィオに教えたらしい。
 元々ゲームの中以外で使うつもりは無い、だからこそここで越えたい。
 ヴィヴィオの左側面を狙うが先にインパクトキャノンを放たれそのまま正面へと向かい

「バルディッシュ!」
【SonicMove】

 モノクロームの世界が更に遅くなる。
 彼女を飛び越え直上から最後の切り札

「ジェットっザンバァアアアッ!!」

 小太刀を前で重ねて大剣に変え大きな水色の刃を生み出す。それを体を回転させながら伸ばしてぶつける。
 しかし…
 振りかぶった時、見えていなかった筈なのにヴィヴィオは真っ直ぐジャンプしてきた。腰のジャケットがジェットザンバーに触れて切り裂かれるがそのまま接近を許してしまい両手を捕まれた。

「捕まえたっ!!」

 直後虹色の光が2人を含む辺り一体を包み込んだ。

「…うそ……」

 攻撃態勢のまま薄い防御で集束砲の拡散攻撃を受けたらどうなるか?
 アリシアが気づいた時には8割以上あったライフポイントを全て失った後だった。



「あー悔しいっ! もうちょっとで勝てると思ったのにっ! あんなのいつから準備してたのよ」

 瓦礫の山と化したビル群の中でまだ倒れそうになかった建物の屋上に降りる。支えていた手を解いてアリシアは言う。

「始めからかな…アリシアなら気づいてるかもって思ってた。最初にアクセルシューターを撃った時1個だけ上空に飛ばしたんだ。あとは使った魔力を集めていくだけ…結構重くて大変だから慣れるのに時間かかっちゃった。」
「じゃあ…まさか今までのデュエルで全部使ってたの?」

 はにかんで頷く。

「どんなデュエルが1番集められるかもわかんなかったから…シュテルとディアーチェが1番大変だった。大きくなりすぎて制御しきれないんじゃないかって。」

 ヴィヴィオが答えるとアリシアは呆れた顔をして嘆息する。

「…なんだ…私なんてまだまだじゃない。でも楽しかった、ありがとう。それとおめでとうチャンピオン♪」
「ありがとう、アリシア」

差し出された手を強く握りしめた。



「スターライトブレイカー、ランクSR+の集束系砲撃スキルカードです。使用者の攻撃値を数10倍にした砲撃魔法、ですがそれ以外の使い方をヴィヴィオさんは見つけていました。」

 モニタの中で2人が握手しているのを見ながらユーリはヴィヴィオが使ったカードについて話す。

「自分と相手の使った魔法の残滓を集めて魔力ゲージを通常よりも多く回復させる。つまり魔法を使えば使う程、あの魔法を起動させていれば魔力が戻る。シュテルの魔法を相殺させていたのは限界を見るつもりだったのだろうな。だがSR+をそれ程の威力にするまで維持しながら他の魔法を使いデュエルするのは我にも出来ん。」

 無茶苦茶だと言わんばかりに息をつくディアーチェ 
 しかしシュテルは2人の話を聞いて腑に落ちた。
 準決勝でヴィヴィオと戦っていた時に意図的に魔法を相殺させていた理由、負けて話した時まだ何かを隠してると感じた理由…これを知っていたら同じ系統のカード、ハーキュリーブレイカーとルシフェリオンブレイカーを持つシュテルは別の方法を考えていただろう。

「私も考え付きませんでした…」
   
 

 ブレイブデュエルから戻ったヴィヴィオとアリシアには他のデュエリストや観客から大きな拍手で迎えられた。
 デュエルの後、ヴィヴィオやアリシアが使った魔法についてはやてを通して色々質問を受けた。
 照れながら2人が答えるとはやてを含む全員が唖然とするシーンもあった。
 そしてそのままはやてからチャンピオンのカードと研究所からやって来たアミタからトロフィーを受け取った。

「博士からお祝いの言葉を預かっています。新しい風を呼び込んでくれた2人が大変な結果を残してくれた。ブレイブデュエルの中で使う魔法は想像力次第で無限の魅力と可能性を持ち、現実世界からのイメージはブレイブデュエルでより大きな形になる。ブレイブデュエルの世界はこれからも広がるだろう。」
「最後になったがヴィヴィオくん優勝おめでとう、アリシア君もとても良いデュエルをありがとう。」
 

「なぁヴィヴィオちゃん、どうしてアリシアちゃんが居る場所わかったん?」

 グランプリを終えて観客も帰った頃、古書店の2階で休んでいるとはやてに聞かれた。

「あっ、それ私も知りたい。それまで見えてなかったよね?」

アリシアも身を乗り出す。他の面々もヴィヴィオの顔を見る。

「アリシアが使ってたアレは昨日士郎さん…なのはのお父さんに見せて貰ってたんです。キャンプで恭也さんがアリシアに見せてたらしくて、元の世界に戻ってアリシアがそれの練習をしていたら止めてくれ、足を壊して歩けなくなるからって。だから私ちょっとズルしてました。」

 ヴィヴィオはアリシアを見て言う。フェイトは一瞬ギョッとしてアリシアを見る。

「見せて貰った時、一瞬凄く怖い感じがして咄嗟に持ってた棒を振ったら当たったんです。士郎さんは『その感覚がわかるなら大丈夫』みたいな事を言ってくれて、実際アリシアが使った時も同じ感じがしてそこにインパクトキャノンを使ってました。」
「攻撃点の予測か…見切りとは違うが似たものだろう。」

 シグナムが頷いて言う。

「だから私もアリシアが見えてませんでした。最後はアリシアSonicMove使ったでしょ?」
「うん…」
「現実の技じゃなくてブレイブデュエルのスキルを使ったから何処にいるのかすぐに判った。私のデバイス【RHd】を通してね♪」

 胸の赤いペンダントを見せる。

「この子は杖や剣にならないけどその代わりプロトタイプみたいな数値を出してくれるから。」
「「「「ええっ!」」」」 

 聞いていたリインフォースやヴィータやシャマルまで驚く。

「補助支援型で良いのでしょうか? 初めて聞きます」
「それでシュテルの攻撃全部相殺出来た訳やな…」
「あんな数字を全部見ながらデュエルなんて…絶対無理だ」

 ヴィータの言葉にヴィヴィオは苦笑して頷いた。




「フェイトママ、なのはママはお店? 途中から居なくなったけど…」
「多分、お店が忙しくなったんじゃないかな?」

 フェイトが頷いた時シャマルが口を手に当てた

「あっ! 私伝言を頼まれていたのすっかり忘れちゃってた。なのはさんからグランプリが終わって落ち着いてから家に来てって。」
「家に?」
「何だろう?」

 フェイトとアリシアも判らないらしい。

「T&Hのなのはちゃんから電話があって渡した時凄く驚いていたわ。」
「驚く? わかりました。はやてさんちょっと行ってきます。」
「うん、遅くなるようなら電話してな。」

 そう言って立ち上がりフェイトとアリシアと一緒に高町家へと向かった。

~コメント~
 やっとグランプリが終わりました。
 ヴィヴィオ、アリシア動きすぎ…
今話は色々種明かしな回でした。
 第1話のコメントで触れました「AdventStory」のAdventの意味ですが「降臨する」という意味もあります。
 また、2章では新しい風が「到来」するという意味でもあります。

 降臨するヴィヴィオを見たら…ブレイブデュエルじゃなければ逃げたくなりますよね。

 折り返し地点も越えているので次話からブレイブデュエルの話から次のステージに変わります。

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