第01話「魔法がつかえないっ?」
- AdventStory's After > 第1章 消えた光
- by ima
- 2017.05.25 Thursday 15:15
「…ィオ…ヴィオ…」
誰かが私を呼ぶ声が聞こえる。その声で瞼を開くが周りが暗くて見えない。
「…だれ~? 何処にいるの?」
起きて立ち上がる。確か部屋のベッドで眠っていた筈なのに、どう見ても部屋中というかミッドチルダじゃない。ここは一体何処?
「ヴィヴィオ…ヴィヴィオ…」
今度はさっきよりはっきり呼ぶ声が聞こえた。
ここに居ても仕方がないと思って呼ぶ声を目指して足を進める。
「…ここ…何か変…」
誰かが私を呼ぶ声が聞こえる。その声で瞼を開くが周りが暗くて見えない。
「…だれ~? 何処にいるの?」
起きて立ち上がる。確か部屋のベッドで眠っていた筈なのに、どう見ても部屋中というかミッドチルダじゃない。ここは一体何処?
「ヴィヴィオ…ヴィヴィオ…」
今度はさっきよりはっきり呼ぶ声が聞こえた。
ここに居ても仕方がないと思って呼ぶ声を目指して足を進める。
「…ここ…何か変…」
この場所の異常さに気づいたのはついさっき、辺りが暗くてよく見えないのに、何故か私の姿はわかる。それに…起きた時はパジャマ姿だったのに今はStヒルデの制服に変わっていた。着替えた訳でもないのに…
「夢…?」
否定は出来ないけれど肯定も出来ない。
「ヴィヴィオ…く…ました…とう。」
また声が遠くなってきた。慌てて走り出す。
「待って! あなたは誰?」
『ヴィヴィオっ!』
「!?」
その時急に耳元で大きな声が聞こえた思いっきり驚いて飛び上がった。
「ヴィヴィオ~もう朝だよっ♪」
「…ん…なのは…ママ?」
「おはよ♪ 今日から学院でしょ。用意しないと遅刻しちゃうよ」
私が瞼を開くと目の前に笑顔のなのはが居た。
「…おはよ…、なのはママ」
「朝ご飯出来てるから着替えて降りてきてね。」
「は~い」
答えながら私はベッドから降りた。
(…何か見たの…夢?)
何か見たような気がするのだけど何を見たのか思い出せない。
「まぁいいや、! 早く着替えなきゃ」
慌ててパジャマから制服に着替えて、髪をリボンで止めてから相棒に声をかける。
「おはよう、RHd。今日から学院だよ。楽しみだね♪」
色々あった事件も終わって今日から久しぶりにStヒルデに行けるのが楽しみ。
何とか夜の間に課題は終わらせてまだ少し眠いけど…
それでもみんなに会えるのは嬉しかった。
いつもと同じ様に相棒にも声をかける。
【…………】
いつもなら「今日も元気ですね」とか返事してくれるのに何も応答しない。、
「RHd? どうしたの?」
【…………】
赤い宝玉を手に取る。やっぱり返事がない
「………ママーっ!!」
私はそこでようやく大変な事が起きているのに気づいて、慌てて部屋を駆け出た。
フェイトが朝食を並べているとバタバタと愛娘が階段を駆け降りてきた。
「おはよう、お寝坊さ」
「フェイトママ、RHdが変なのっ。見て」
朝の挨拶もそぞろに両手に持ったデバイスを差し出された。
「…デバイスが変?」
「話しかけても返事してくれないの。」
何を言っているのだろうと首を傾げながら彼女から待機状態のデバイスを受け取る。
「おはよう、RHd」
【GoodMorning】
……特に何も問題はなさそうだ。そこにキッチンからヴィヴィオの朝食を持ってなのはが来た。
「フェイトちゃん、ヴィヴィオ、どうしたの?」
「なのはママ、デバイスが変なの。」
「…変?」
「話かけても返事してくれないの。もしかして壊れちゃったかも…」
「壊れた?」
彼女のデバイスは特別製でそんなに簡単に壊れるものじゃない。
「RHd、何か異常起きてる?」
【NoProblem】
即座に返事もしている。でも…
「ねっ、話しかけても全然答えてくれないでしょ? ママ、どうしよう…」
「…なのは…」
なのはから笑顔が消える。彼女も異常に気づいたらしい。
「うん…ヴィヴィオ、今日は学院お休みしよう」
そう、異常が起きているのはRHdじゃなくてヴィヴィオだと。
「え…ええっ! ごめん、もう1回言って。」
アリシアがシャワーで汗を流している所に通信が届いた。
プレシアの許しを貰い早速体力作りの一環として今日から少し早めに起きて練習を始めたのだ。あの剣を使うにはまだ身体が弱すぎる。
いくら魔力コアのアシストがあっても下手をすれば歩けなくなるというのを身を以て知った。
直ぐには強化出来ないけれど、鍛える為に異世界の恭也達もしていた練習の1つ、ジョギングから始めた。
「アリシア~早くしなさい~」
リビングからプレシアが呼んでいる。
「は~い、ごめんフェイト何だって? ヴィヴィオがどうしたの?」
『だから、ヴィヴィオが魔法使えなくなったんだって。今からシャマル先生の所に連れて行くから今日お休みするって先生に伝えて。』
「……うそ…でしょ?……ママーっ!!」
私は衝撃の余り手に持っていたシャワーヘッドを投げだし濡れたまま浴室を飛び出した。
「うん、予想通り魔法の使い過ぎね♪」
ミッドチルダ地上本部にある医療班の処置室でシャマルは笑顔で言った。それを聞いてなのはとフェイトもやっぱり…と洩らす。
「はい?」
しかし余りに軽く返された為思わず聞き返す
「昨日、私もはやてちゃんと一緒に聞いてきっと今日来るって思っていたわ。あんな無茶して何もない筈ないでしょう?」
そう言われてしまえばそうなのだけど…
「でも昨日まで何も無かったんです。1度倒れちゃったけどゆりかごに治して貰って転移も出来たし…」
「きっとそれが限界だったのよ。1ヶ月位はゆっくりしなさい。それとも昔のなのはちゃんみたいに入院して精密検査する?」
「いえ…そこまでは…」
魔法が使えないと言われてヴィヴィオは驚いていた。感覚としてはRHdやレイジングハートとお話出来ないだけで他には全く異常が無かったから。何か身体に違和感があればデバイスではなく自身を疑っただろう。
「じゃあ、あと少しだけ検査しましょう。」
そう言って近くに居たスタッフに声をかけて彼女について行く様に言われ後に続いた。
「ありがとうございますシャマル先生、てっきり私みたいにオーバードライブの影響が出たのかって思ってました。」
「うん、使い過ぎただけで良かった。」
胸をなで下ろしたなのははシャマルに礼を言う。
しかし、彼女はヴィヴィオが部屋から出て行ってドアが閉まったのを見計らって険しい表情で向き直る
「原因が魔法の使い過ぎには間違いないと思う。でも…リンカーコアが全く機能していない、鼓動も感じなかった。」
「本当に治るか判らない…もしかするともう魔法が使えないかも知れない…。症状だけならあの時のなのはちゃんより重傷よ。」
その言葉に背筋が凍り付く。
「…でも、今はっ!」
「ええ、今はまだ無茶した後だからって思ってる。でも、1ヶ月…2ヶ月経っても同じ様に思えるかしら。なのはちゃんなら判るわよね?」
「はい…」
なのはは頷く。彼女自身も苦い記憶がある。
今まで身近にあったものを突然失ってしまったという恐怖…怪我が治りきっていないのに魔法の練習を始めてクロノやユーノに怒られていた。
あの恐怖を彼女も味わうのかと考えると胸が締め付けられる。
「と、暗い話はここまでにしておいて、なのはちゃん、フェイトちゃん。ヴィヴィオと3人で一緒に気分転換してきなさい。」
重い空気を払おうとするかの様に急にシャマルが話を変える。しかしなのはとフェイトはその意図がわからず聞き返した。
「気分転換…ですか?」
「私も専門外だからはっきりそうだって言えないんだけど…昨夜の話だとヴィヴィオはなのはちゃんとフェイトちゃんと戦って倒したんでしょう、勝ったんじゃなくて…。それってヴィヴィオにとって凄い心理的負担になっている筈、心の何処かで魔法を使いたく無いって拒否した結果が今…っていう可能性もあるのよ。」
言われて頷く。
昨日の話だときっと異世界のなのはやフェイトは本気で戦っている。彼女達を倒すのと模擬戦で勝つのとでは大きな差がある。
「……どうすればいいでしょう?」
「そうね~、魔法を意識しないで良くて平和な所が理想ね。」
シャマルの呟きになのはは1つ心当たりがあった。
ブレイブデュエルの世界。あこなら魔法がそもそも使えないし平和だ。でもあの世界には時空転移が必要だから今は行けない。カルナージは平和だけど魔法を意識しないでいられる世界じゃない。
「…何処が…」
「…あっ! なのは、海鳴に行こう。」
「海鳴? でも…あこはヴィヴィオの魔法じゃないと…」
「そうじゃなくてこっちの!」
「海鳴市、懐かしいわね~♪」
懐かしそうに言うシャマルを見て
(そっか…そうだ、うん!)
「はい、両親に連絡してみます。」
魔法を意識しないで良くて平和な所、ぴったりだった。
~コメント~
少しご無沙汰してしまいました。
本話はタイトルの通り前話「AdventStory」の後日談的な話です。
読んでいて「あれ?」と思う所は色々出てくると思いますがその辺は少しずつ回収していくつもりなのでおつきあい下さいませ。
少し話が変わりますがイベントについてです。
5/28に開催されますリリカルマジカルですが、鈴風堂は欠席させて頂きます。
新刊も用意して静奈君が参加予定だったのですが、先日行けなくなったと連絡があり、私が代わりにと調整を試みましたが元々仕事の都合で行けない日だったので欠席という形になりました。
次回イベントでは今回の分を含めて持っていく予定ですのでよろしくお願いいたします。
「夢…?」
否定は出来ないけれど肯定も出来ない。
「ヴィヴィオ…く…ました…とう。」
また声が遠くなってきた。慌てて走り出す。
「待って! あなたは誰?」
『ヴィヴィオっ!』
「!?」
その時急に耳元で大きな声が聞こえた思いっきり驚いて飛び上がった。
「ヴィヴィオ~もう朝だよっ♪」
「…ん…なのは…ママ?」
「おはよ♪ 今日から学院でしょ。用意しないと遅刻しちゃうよ」
私が瞼を開くと目の前に笑顔のなのはが居た。
「…おはよ…、なのはママ」
「朝ご飯出来てるから着替えて降りてきてね。」
「は~い」
答えながら私はベッドから降りた。
(…何か見たの…夢?)
何か見たような気がするのだけど何を見たのか思い出せない。
「まぁいいや、! 早く着替えなきゃ」
慌ててパジャマから制服に着替えて、髪をリボンで止めてから相棒に声をかける。
「おはよう、RHd。今日から学院だよ。楽しみだね♪」
色々あった事件も終わって今日から久しぶりにStヒルデに行けるのが楽しみ。
何とか夜の間に課題は終わらせてまだ少し眠いけど…
それでもみんなに会えるのは嬉しかった。
いつもと同じ様に相棒にも声をかける。
【…………】
いつもなら「今日も元気ですね」とか返事してくれるのに何も応答しない。、
「RHd? どうしたの?」
【…………】
赤い宝玉を手に取る。やっぱり返事がない
「………ママーっ!!」
私はそこでようやく大変な事が起きているのに気づいて、慌てて部屋を駆け出た。
フェイトが朝食を並べているとバタバタと愛娘が階段を駆け降りてきた。
「おはよう、お寝坊さ」
「フェイトママ、RHdが変なのっ。見て」
朝の挨拶もそぞろに両手に持ったデバイスを差し出された。
「…デバイスが変?」
「話しかけても返事してくれないの。」
何を言っているのだろうと首を傾げながら彼女から待機状態のデバイスを受け取る。
「おはよう、RHd」
【GoodMorning】
……特に何も問題はなさそうだ。そこにキッチンからヴィヴィオの朝食を持ってなのはが来た。
「フェイトちゃん、ヴィヴィオ、どうしたの?」
「なのはママ、デバイスが変なの。」
「…変?」
「話かけても返事してくれないの。もしかして壊れちゃったかも…」
「壊れた?」
彼女のデバイスは特別製でそんなに簡単に壊れるものじゃない。
「RHd、何か異常起きてる?」
【NoProblem】
即座に返事もしている。でも…
「ねっ、話しかけても全然答えてくれないでしょ? ママ、どうしよう…」
「…なのは…」
なのはから笑顔が消える。彼女も異常に気づいたらしい。
「うん…ヴィヴィオ、今日は学院お休みしよう」
そう、異常が起きているのはRHdじゃなくてヴィヴィオだと。
「え…ええっ! ごめん、もう1回言って。」
アリシアがシャワーで汗を流している所に通信が届いた。
プレシアの許しを貰い早速体力作りの一環として今日から少し早めに起きて練習を始めたのだ。あの剣を使うにはまだ身体が弱すぎる。
いくら魔力コアのアシストがあっても下手をすれば歩けなくなるというのを身を以て知った。
直ぐには強化出来ないけれど、鍛える為に異世界の恭也達もしていた練習の1つ、ジョギングから始めた。
「アリシア~早くしなさい~」
リビングからプレシアが呼んでいる。
「は~い、ごめんフェイト何だって? ヴィヴィオがどうしたの?」
『だから、ヴィヴィオが魔法使えなくなったんだって。今からシャマル先生の所に連れて行くから今日お休みするって先生に伝えて。』
「……うそ…でしょ?……ママーっ!!」
私は衝撃の余り手に持っていたシャワーヘッドを投げだし濡れたまま浴室を飛び出した。
「うん、予想通り魔法の使い過ぎね♪」
ミッドチルダ地上本部にある医療班の処置室でシャマルは笑顔で言った。それを聞いてなのはとフェイトもやっぱり…と洩らす。
「はい?」
しかし余りに軽く返された為思わず聞き返す
「昨日、私もはやてちゃんと一緒に聞いてきっと今日来るって思っていたわ。あんな無茶して何もない筈ないでしょう?」
そう言われてしまえばそうなのだけど…
「でも昨日まで何も無かったんです。1度倒れちゃったけどゆりかごに治して貰って転移も出来たし…」
「きっとそれが限界だったのよ。1ヶ月位はゆっくりしなさい。それとも昔のなのはちゃんみたいに入院して精密検査する?」
「いえ…そこまでは…」
魔法が使えないと言われてヴィヴィオは驚いていた。感覚としてはRHdやレイジングハートとお話出来ないだけで他には全く異常が無かったから。何か身体に違和感があればデバイスではなく自身を疑っただろう。
「じゃあ、あと少しだけ検査しましょう。」
そう言って近くに居たスタッフに声をかけて彼女について行く様に言われ後に続いた。
「ありがとうございますシャマル先生、てっきり私みたいにオーバードライブの影響が出たのかって思ってました。」
「うん、使い過ぎただけで良かった。」
胸をなで下ろしたなのははシャマルに礼を言う。
しかし、彼女はヴィヴィオが部屋から出て行ってドアが閉まったのを見計らって険しい表情で向き直る
「原因が魔法の使い過ぎには間違いないと思う。でも…リンカーコアが全く機能していない、鼓動も感じなかった。」
「本当に治るか判らない…もしかするともう魔法が使えないかも知れない…。症状だけならあの時のなのはちゃんより重傷よ。」
その言葉に背筋が凍り付く。
「…でも、今はっ!」
「ええ、今はまだ無茶した後だからって思ってる。でも、1ヶ月…2ヶ月経っても同じ様に思えるかしら。なのはちゃんなら判るわよね?」
「はい…」
なのはは頷く。彼女自身も苦い記憶がある。
今まで身近にあったものを突然失ってしまったという恐怖…怪我が治りきっていないのに魔法の練習を始めてクロノやユーノに怒られていた。
あの恐怖を彼女も味わうのかと考えると胸が締め付けられる。
「と、暗い話はここまでにしておいて、なのはちゃん、フェイトちゃん。ヴィヴィオと3人で一緒に気分転換してきなさい。」
重い空気を払おうとするかの様に急にシャマルが話を変える。しかしなのはとフェイトはその意図がわからず聞き返した。
「気分転換…ですか?」
「私も専門外だからはっきりそうだって言えないんだけど…昨夜の話だとヴィヴィオはなのはちゃんとフェイトちゃんと戦って倒したんでしょう、勝ったんじゃなくて…。それってヴィヴィオにとって凄い心理的負担になっている筈、心の何処かで魔法を使いたく無いって拒否した結果が今…っていう可能性もあるのよ。」
言われて頷く。
昨日の話だときっと異世界のなのはやフェイトは本気で戦っている。彼女達を倒すのと模擬戦で勝つのとでは大きな差がある。
「……どうすればいいでしょう?」
「そうね~、魔法を意識しないで良くて平和な所が理想ね。」
シャマルの呟きになのはは1つ心当たりがあった。
ブレイブデュエルの世界。あこなら魔法がそもそも使えないし平和だ。でもあの世界には時空転移が必要だから今は行けない。カルナージは平和だけど魔法を意識しないでいられる世界じゃない。
「…何処が…」
「…あっ! なのは、海鳴に行こう。」
「海鳴? でも…あこはヴィヴィオの魔法じゃないと…」
「そうじゃなくてこっちの!」
「海鳴市、懐かしいわね~♪」
懐かしそうに言うシャマルを見て
(そっか…そうだ、うん!)
「はい、両親に連絡してみます。」
魔法を意識しないで良くて平和な所、ぴったりだった。
~コメント~
少しご無沙汰してしまいました。
本話はタイトルの通り前話「AdventStory」の後日談的な話です。
読んでいて「あれ?」と思う所は色々出てくると思いますがその辺は少しずつ回収していくつもりなのでおつきあい下さいませ。
少し話が変わりますがイベントについてです。
5/28に開催されますリリカルマジカルですが、鈴風堂は欠席させて頂きます。
新刊も用意して静奈君が参加予定だったのですが、先日行けなくなったと連絡があり、私が代わりにと調整を試みましたが元々仕事の都合で行けない日だったので欠席という形になりました。
次回イベントでは今回の分を含めて持っていく予定ですのでよろしくお願いいたします。
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