第03話「失われる心」
- AdventStory's After > 第1章 消えた光
- by ima
- 2017.06.20 Tuesday 09:41
「ねぇねぇヴィヴィオちゃん」
検査室に向かう最中ヴィヴィオは彼女を案内している医療スタッフの女性に声をかけられた。
「なのはさんとフェイトさんと沢山練習してるのよね?」
「ママ達と練習?」
首を傾げる。
「そうじゃなきゃヴィータさんに勝って空戦Sランクなんて取れないわよね。最近よくシャマルさんの所にも来ているし…。でも、いくら成長スピードが早い時期でも無理しちゃだめよ。」
(?…あっそうか)
検査室に向かう最中ヴィヴィオは彼女を案内している医療スタッフの女性に声をかけられた。
「なのはさんとフェイトさんと沢山練習してるのよね?」
「ママ達と練習?」
首を傾げる。
「そうじゃなきゃヴィータさんに勝って空戦Sランクなんて取れないわよね。最近よくシャマルさんの所にも来ているし…。でも、いくら成長スピードが早い時期でも無理しちゃだめよ。」
(?…あっそうか)
どうやら彼女は私がここに来たのはママ達との魔法練習で無茶をしたからだと思っているらしい。彼女の誤解を解くよりそのまま思って貰った方が良いと考えて
「えへへ、そうなんです。ママ達がいっぱい教えてくれるからつい~。」
笑って答えると
「やっぱり、でもエースオブエース直伝の特訓じゃ熱も入るわよね。この前の撮影でもトップエース級の空戦魔導師並の戦い方だったもの。…そう言えばクラウディアとアースラのセンサーで計れない魔力値だったって話も聞いたけど…誰かが話を大きくしたのね。」
「そ、そうですよ。頑張ってもSが精一杯なんですから。」
慌ててフォローする。
言われてみれば闇の書事件の撮影でリインフォースと戦った時、数台のカメラが動いていた。カメラが動いていたということはアースラやクラウディアのセンサーも向けられていて当然…その中でユニゾンを使ったからセンサーを振り切ったのは間違いない。
でも、事件が終わってから今までそんな話は聞いていない。
考えられるのはあの場に居たなのはやフェイト、はやて、リンディやクロノ、プレシア達が何らかの方法で隠してくれた?
(私…守られてるんだ…)
大人ヴィヴィオの言葉を思い出して少し嬉しくなった。
「じゃあしっかり検査して休んで早く元気になろうね。」
「はい♪」
検査室の前でヴィヴィオは元気よく頷くのだった。
その頃管理局本局に居たマリエル・アテンザはあるデータを目にして愕然としていた。
今朝フェイトとシャーリーを通じてRHdが持ち込まれた。
最初マリエルはシャーリーからヴィヴィオが魔法が使えなくなったと聞いてその一因がデバイスが原因ではと考えていつもメンテで使っている機器に繋いで状況を確認しようとしたところ…戻って来たのは【SystemError】というメッセージだけだった。
機器の設定を見直したり隣の機器に繋いでも同じメッセージしか返さない。
彼女の手元に届いた時、RHdは既に機能を停止していたのだ。
急遽緊急モードでデバイスのシステムを無視してRHdのインテリジェントシステムを呼び起こす。RHdの状況はマリエルの予想を遙かに超えていた。
スタンバイモードは問題が無い状態、しかしアクティブモードは致命的とも言えた。
インテリジェントシステムやメインプログラム付近にあったコアとメインフレームが失われていた。不幸中の幸いかインテリジェントシステムが入っていたサブユニットは残っていた為、メンテ機器から受けた魔力に寄ってメッセージが返せる様になったらしい。
通常であれば修理不可能として新しいデバイスが渡されるレベル。
「これは…」
状況がほぼ掴めた時点でマリエルはフェイトに通信を繋いだ。
「え? ちょ、ちょっと待って下さい。なのはっ!」
ヴィヴィオの検査が終わるのを待っていたフェイトはマリエルからの通信に最初彼女が何を言っているのか判らず、近くに居たなのはを呼んだ。
「すみません、もう一度話して下さい。」
『はい、RHdですが修理が出来ない状態なんです。幾つかの消耗パーツのダメージはありますが致命的なのはコアユニットとメインフレームが失われていて…交換出来るパーツがありません。』
「え? だって、朝RHdは問題無いって言ってましたよ? フェイトちゃんも聞いたよね?」
なのはも驚いている。
『きっと…各部のユニットをチェックする魔力も無かったのかインテリジェントシステムにも影響があったのか…スタンバイモードとインテリジェントシステムは無事なので別のデバイスに移せますがアクティブモードはもう…』
「でも、コアユニットとメインフレームを交換すれば…」
そこまで言いかけて止まる。
RHd-レイジングハートセカンドのコアはレリック片を使っている。それもJS事件でヴィヴィオの体内にあって破壊され欠片を回収して…。そしてメインフレームはジュエルシード。
『…交換可能だろうと思われるパーツはあります。遺失物管理部が管理しているレリックとジュエルシードを用いれば。ですが…』
マリエルが言いよどむ。
なのはもフェイトも理由は判っている。
第1級指定されてしまったロストロギアをデバイスに組み込む事は出来ない。レリック片は欠片だけではほぼ無害とわかり、ヴィヴィオとの相性もあったから運良く使えただけ。
『ヴィヴィオが持っている完全体レリックを組み込む事は技術的に出来ます。しかし装備部の判断だけでは…最低でも遺失物管理部からの許可が無い限り出来ないんです。今はレイジングハートと同じ構成で組み直しています。とりあえずはそれで…』
「…お願いします……」
そうとしか答えられなかった。
そんな話から少し経ったミッドチルダ、研究所の中でプレシアは今朝アリシアから聞いた話を思い出していた。
ヴィヴィオが魔法が使えなくなったと聞いて、最初は慌ててブレスレットを填めた。しかし聞いた後もアリシアやリニス、プレシア自身にも何も起きなかった。
どうも存在が消えるまで時間軸に影響がある問題ではないらしい。であれば先日まで無茶をしていた彼女が休む良い機会だと考え直し、休息も必要だとアリシアに伝えた。
だが先程フェイトからRHdの故障状況を聞いて流石に深刻に受け止めざるえなかった。
ヴィヴィオの体調の問題は時間が解決してくれるだろうがこちらはそうはいかない。
消えたレリック片とジュエルシード。そのどちらも手元というか身近にある。
レリック片の残りはアリシアのペンダントに入っているし時の庭園から持って来たジュエルシードはチェントのペンダントに入っている。RHdと同じ様にチェントも適性があればいずれ使うだろうとそのままにしていた。
アリシアに事情を話せばは喜んでレリック片を渡すだろうしチェントのペンダントからも取り出せる。
しかしアリシアから蒼い光に包まれてクラナガンから上空へ移動したと聞いてレリック片とジュエルシードが何らかの影響で繋がっている。それに2人から貰ってまで直すのをヴィヴィオが受け入れるかという問題もある
ジュエルシードは強い思いがあれば叶うとされる結晶体。ナンバーは割り振られているがそれぞれに違いは無い。しかしレリックには明らかな違いがある。レリック片の代わりにヴィヴィオが持っている完全体レリックを入れてしまえばと考えるが、そうするとヴィヴィオの魔力が再び不安定になる可能性もある。
そもそも管理局で正規の手続きを取れるだろうか?
「何か…方法を考えなければいけないわね。」
まだ呟くことしか出来なかった。
~コメント~
本話はAdventStoryの続編になります。
ヴィヴィオに影響があったのですから彼女のデバイスは…という話でした。
さて、連絡が遅れましたがコミックマーケット92は…落選してしまいました。
(残念ですが、これもまた運命ですね。)
次回イベントはコミックトレジャーを予定しているそうです。
静奈君が仕事先でお酒飲んだりフグ食べたりと満喫していた反動なのかもと思っていたり…
「えへへ、そうなんです。ママ達がいっぱい教えてくれるからつい~。」
笑って答えると
「やっぱり、でもエースオブエース直伝の特訓じゃ熱も入るわよね。この前の撮影でもトップエース級の空戦魔導師並の戦い方だったもの。…そう言えばクラウディアとアースラのセンサーで計れない魔力値だったって話も聞いたけど…誰かが話を大きくしたのね。」
「そ、そうですよ。頑張ってもSが精一杯なんですから。」
慌ててフォローする。
言われてみれば闇の書事件の撮影でリインフォースと戦った時、数台のカメラが動いていた。カメラが動いていたということはアースラやクラウディアのセンサーも向けられていて当然…その中でユニゾンを使ったからセンサーを振り切ったのは間違いない。
でも、事件が終わってから今までそんな話は聞いていない。
考えられるのはあの場に居たなのはやフェイト、はやて、リンディやクロノ、プレシア達が何らかの方法で隠してくれた?
(私…守られてるんだ…)
大人ヴィヴィオの言葉を思い出して少し嬉しくなった。
「じゃあしっかり検査して休んで早く元気になろうね。」
「はい♪」
検査室の前でヴィヴィオは元気よく頷くのだった。
その頃管理局本局に居たマリエル・アテンザはあるデータを目にして愕然としていた。
今朝フェイトとシャーリーを通じてRHdが持ち込まれた。
最初マリエルはシャーリーからヴィヴィオが魔法が使えなくなったと聞いてその一因がデバイスが原因ではと考えていつもメンテで使っている機器に繋いで状況を確認しようとしたところ…戻って来たのは【SystemError】というメッセージだけだった。
機器の設定を見直したり隣の機器に繋いでも同じメッセージしか返さない。
彼女の手元に届いた時、RHdは既に機能を停止していたのだ。
急遽緊急モードでデバイスのシステムを無視してRHdのインテリジェントシステムを呼び起こす。RHdの状況はマリエルの予想を遙かに超えていた。
スタンバイモードは問題が無い状態、しかしアクティブモードは致命的とも言えた。
インテリジェントシステムやメインプログラム付近にあったコアとメインフレームが失われていた。不幸中の幸いかインテリジェントシステムが入っていたサブユニットは残っていた為、メンテ機器から受けた魔力に寄ってメッセージが返せる様になったらしい。
通常であれば修理不可能として新しいデバイスが渡されるレベル。
「これは…」
状況がほぼ掴めた時点でマリエルはフェイトに通信を繋いだ。
「え? ちょ、ちょっと待って下さい。なのはっ!」
ヴィヴィオの検査が終わるのを待っていたフェイトはマリエルからの通信に最初彼女が何を言っているのか判らず、近くに居たなのはを呼んだ。
「すみません、もう一度話して下さい。」
『はい、RHdですが修理が出来ない状態なんです。幾つかの消耗パーツのダメージはありますが致命的なのはコアユニットとメインフレームが失われていて…交換出来るパーツがありません。』
「え? だって、朝RHdは問題無いって言ってましたよ? フェイトちゃんも聞いたよね?」
なのはも驚いている。
『きっと…各部のユニットをチェックする魔力も無かったのかインテリジェントシステムにも影響があったのか…スタンバイモードとインテリジェントシステムは無事なので別のデバイスに移せますがアクティブモードはもう…』
「でも、コアユニットとメインフレームを交換すれば…」
そこまで言いかけて止まる。
RHd-レイジングハートセカンドのコアはレリック片を使っている。それもJS事件でヴィヴィオの体内にあって破壊され欠片を回収して…。そしてメインフレームはジュエルシード。
『…交換可能だろうと思われるパーツはあります。遺失物管理部が管理しているレリックとジュエルシードを用いれば。ですが…』
マリエルが言いよどむ。
なのはもフェイトも理由は判っている。
第1級指定されてしまったロストロギアをデバイスに組み込む事は出来ない。レリック片は欠片だけではほぼ無害とわかり、ヴィヴィオとの相性もあったから運良く使えただけ。
『ヴィヴィオが持っている完全体レリックを組み込む事は技術的に出来ます。しかし装備部の判断だけでは…最低でも遺失物管理部からの許可が無い限り出来ないんです。今はレイジングハートと同じ構成で組み直しています。とりあえずはそれで…』
「…お願いします……」
そうとしか答えられなかった。
そんな話から少し経ったミッドチルダ、研究所の中でプレシアは今朝アリシアから聞いた話を思い出していた。
ヴィヴィオが魔法が使えなくなったと聞いて、最初は慌ててブレスレットを填めた。しかし聞いた後もアリシアやリニス、プレシア自身にも何も起きなかった。
どうも存在が消えるまで時間軸に影響がある問題ではないらしい。であれば先日まで無茶をしていた彼女が休む良い機会だと考え直し、休息も必要だとアリシアに伝えた。
だが先程フェイトからRHdの故障状況を聞いて流石に深刻に受け止めざるえなかった。
ヴィヴィオの体調の問題は時間が解決してくれるだろうがこちらはそうはいかない。
消えたレリック片とジュエルシード。そのどちらも手元というか身近にある。
レリック片の残りはアリシアのペンダントに入っているし時の庭園から持って来たジュエルシードはチェントのペンダントに入っている。RHdと同じ様にチェントも適性があればいずれ使うだろうとそのままにしていた。
アリシアに事情を話せばは喜んでレリック片を渡すだろうしチェントのペンダントからも取り出せる。
しかしアリシアから蒼い光に包まれてクラナガンから上空へ移動したと聞いてレリック片とジュエルシードが何らかの影響で繋がっている。それに2人から貰ってまで直すのをヴィヴィオが受け入れるかという問題もある
ジュエルシードは強い思いがあれば叶うとされる結晶体。ナンバーは割り振られているがそれぞれに違いは無い。しかしレリックには明らかな違いがある。レリック片の代わりにヴィヴィオが持っている完全体レリックを入れてしまえばと考えるが、そうするとヴィヴィオの魔力が再び不安定になる可能性もある。
そもそも管理局で正規の手続きを取れるだろうか?
「何か…方法を考えなければいけないわね。」
まだ呟くことしか出来なかった。
~コメント~
本話はAdventStoryの続編になります。
ヴィヴィオに影響があったのですから彼女のデバイスは…という話でした。
さて、連絡が遅れましたがコミックマーケット92は…落選してしまいました。
(残念ですが、これもまた運命ですね。)
次回イベントはコミックトレジャーを予定しているそうです。
静奈君が仕事先でお酒飲んだりフグ食べたりと満喫していた反動なのかもと思っていたり…
Comments