第04話「めざすべきもの」
- AdventStory's After > 第1章 消えた光
- by ima
- 2017.07.01 Saturday 12:15
「私達に…戦技魔法の特訓して欲しいと?」
「お願いします!」
本局教導隊にやって来た少女にシュテルは小首を傾げた。
少女と一緒に来たユーリを見るが彼女も困惑気味に苦笑いしていた。
事はユーリの元に少女-チェントが来たところから始まった。
彼女は先日までアリシアやヴィヴィオに連れられて何処かに行っていたとなのはから聞いていた。娘が局員になってからなのはは前線に出るよりもっぱら教導任務に就くことが増えており家を長期不在にすることが無くなった為、逆に娘からの連絡が途切れると連絡が頻繁に来る様になった。
子供の頃から魔力共有契約をしていて同じ教導隊に所属しているのだからわざわざ通信で連絡しなくてもいいと思うのだけれど…ディアーチェ曰く「心配性が親馬鹿っている」らしい。
「お願いします!」
本局教導隊にやって来た少女にシュテルは小首を傾げた。
少女と一緒に来たユーリを見るが彼女も困惑気味に苦笑いしていた。
事はユーリの元に少女-チェントが来たところから始まった。
彼女は先日までアリシアやヴィヴィオに連れられて何処かに行っていたとなのはから聞いていた。娘が局員になってからなのはは前線に出るよりもっぱら教導任務に就くことが増えており家を長期不在にすることが無くなった為、逆に娘からの連絡が途切れると連絡が頻繁に来る様になった。
子供の頃から魔力共有契約をしていて同じ教導隊に所属しているのだからわざわざ通信で連絡しなくてもいいと思うのだけれど…ディアーチェ曰く「心配性が親馬鹿っている」らしい。
シュテル自身、ヴィヴィオは友達というより家族に近く彼女が心配する気持ちもわからない訳でもなく彼女が遠方の世界に出張してる時は話し相手になっている。
閑話休題、2人が彼女を連れて行くというのは過去か未来・他の時間軸に何かあったのだろうと考えていた。それから数日経って昨夜なのはからの『定期連絡』が無かったからヴィヴィオ達が帰ってきたと思い、今日か明日あたりにヴィヴィオかアリシアから土産話でも聞けるのではと心待ちにしていた。
しかし真っ先に連絡があったのはチェントからだったのに少し驚いた。
「チェント…何故そう考えたのですか? あなたはアリシアの様に戦技魔法より検索魔法や情報整理が出来る様になりたいと聞いていますし、その為に司書のライセンスも取ったのでしょう?。」
部署の中で大っぴらに話せる内容ではないと考え、シュテルは2人を連れて隣のミーティングルームへ移った。
『レヴィとディアーチェはフェイトとはやてと一緒に出ている様なのでメッセージを送っておきました。ディアーチェから返信です、シュテルの判断に任せるそうです』
『わかりました。』
ユーリがフォローする。彼女はリンディ元統括官のとの魔力供給契約が外れた後、教導や前線に出ることは無く無限書庫で司書をしている。私達に連絡するなら彼女が1番捕まえやすい。
彼女に念話を送り返して再びチェントの方を向く。
「そうです…よね」
聞いた直後彼女の表情が曇る。
「勘違いしないでください。私達はチェントに教えたくないから言っている訳ではありません。あなたは高ランク魔導師になれる資質は十分にあります、既に情報処理についてはヴィヴィオより優れていると思っています。もし今から特訓すればオーバーSランクを目指す事も可能だとも…。」
「私が…そんな」
「私も教導隊の1人です。資質を見る目はあるつもりです。ですが資質を見定めるのと同じ様に動機も必要です。何を思って考えを変えたのか知らなければなりません。私達が納得出来るものであれば私達4人は全力で協力します。」
「教えてくれませんか? 何故あなたがそう思ったのかを」
シュテルが聞くとチェントは言葉を選びながら話し始めた。
彼女が特訓を申し出た理由はヴィヴィオとアリシアの背中を見てだと推測したが、彼女の話はその遙か上を行っていた。
殆ど同じ年の異世界のヴィヴィオ・アリシアとの違い。
聖王のゆりかごを動かしながら結界を作りフル装備のなのはやフェイトやヴィータ達を倒す程の魔力運用と心の強さ、逆に殆ど魔力がないのにフェイトと渡り合うアリシア、目の前でそれを見ている事しか出来なかった悔しさ…
「私はもう…お姉ちゃんやヴィヴィオが倒れるのを見ていたくないし足手まといになりたくないんです。お願いします。私に特訓して下さい。戦技魔法や時空転移が使える様に…私もなりたい。」
瞳を潤ませながら言う彼女にシュテルも流石に彼女にかける言葉を持っていなかった。
一方その頃、ミッドチルダ北部にあるプレシアの研究所の1室にアリシアはヴィヴィオと籠もっていた。彼女達の前にあるのは大きなカプセル。
「思ってたより反動が酷いね…」
他人事の様に言う彼女に溜息をつきながら突っ込む。
「ぶっつけ本番であんな事するからでしょ。時空転移で瞬間移動するなんて無茶苦茶よ。時空震起こすつもりなのって焦ったんだからね。」
「いや…まぁ…あっちの私がやったから私にも出来るかな~って、シグナムさんに勝つ方法あれ位しか無かった訳だし…」
あの状況で手加減が無いシグナム相手にするなら彼女の予想を超えなきゃいけなかったのは判るけれど、何も私達の予想を超える必要はない。
「それも判るけど…あと数秒遅れてたらバルディッシュと3rd壊れてたわよ。」
「そこも含めて私も手伝うから、直して。お願いっ!」
パンッと音を立てて拝むように縋るヴィヴィオにアリシアは再び溜息をつきつつも
「言われなくても直すわよ。私達の相棒なんだし…2nd、3rd、バルディッシュもお疲れ様。」
待機状態の3機がキラッと光って答えるのを見て微笑んだ。
先の事件から戻って来てすぐ、アリシアはヴィヴィオとチェントからデバイスを預かり、自身のデバイスとまとめてチェックした。
思っていた通り魔力の過負荷と戦闘によるダメージが酷かった。このままメンテナンスに出せば何をしたのかマリエルやシャーリー達に聞かれるし、勝手に動いて壊したとなっては始末書を書かなきゃいけない。
アリシア達にも理由があったのだけれど公に話す訳にもいかず、結局先に母の研究所の施設を借りて直す事にした。
それもバレたら十分怒られるのだけれど…要はバレなければいいのだ。
「パーツは何とかなるし…1週間位…かな?」
「えーっ、3日で何とかなんないの!」
背後で文句を言う親友に近くにあったバインダーを持ちあげる。丁度良い重さと固さだ。そのままポイッと投げると直後にゴンっと重い音と悲鳴が聞こえた。
「何すんのよっ!」
「1週間! この子達は兎も角、ヴィヴィオも完治してないでしょ。シャマル先生に頼んで入院する?」
いくら騎士甲冑と聖王の鎧を使ってもストライクカノンの砲撃をまともに受けたのだ。無事な筈がない。
「完治してない怪我人にバインダー投げるかな…」
「分厚い本を投げるよりましでしょ。デバイスだけ直しても仕方ないでしょ。デスクワークもいっぱいあるんだから。あっ、私も分もよろしくね♪」
そう言って近くの端末にあったデータを彼女に投げた。後ろで「何この量…」と呟く声が聞こえたがあえて無視していると、キーを叩く音が聞こえ始めた。
諦めたらしい。
そうして私は3機の修復に集中した。
それから1時間ほど経った時、操作中の端末からコール音が聞こえた。ここのナンバーを知っているのは数人しか居ない。母さんの顧客だろうか?
「はい、テスタロッサ研究所です」
『こんにちは、アリシア』
新しい画面が開き現れたのはユーリだった。
「ユーリさん、こんにちは。」
『今日は…アリシアだけですか?』
「母さんは会議で出ています。ヴィヴィオならここに居ますよ。」
「こんにちは~ユーリさん」
そう言うと後ろから抱きついてきた。
「あっ、チェントを連れ回しちゃってすみませんでした。調査や検索…遅れちゃってますよね? 丁度元司書が1人余ってるんで手伝いますよ♪」
「ちょっと!」
苦情を言う彼女を無視する。
『ありがとうございます。丁度人手も足りていないのでまた今度~。今日はそうじゃなくてチェントについて聞きたくて連絡しました。』
「チェントの?」
ヴィヴィオと顔を見合わせる。
『今日、私とシュテルの所に戦技魔法の特訓して欲しいって来たんです。』
「「!!」」
『私達もアッチの話は聞きましたけれど…その様子じゃ聞いてないですよね?』
何故彼女がそう思ったのか少し考える。
同じ年か少し幼いヴィヴィオと会ったのが原因だろうか? 彼女と比べて何も出来なかったと自分を責めているのだとしたら勘違いも良いところだ。先日の事件は適材適所であり、彼女は彼女として出来ること以上の事をしてくれた。むしろ彼女が居なければ私達はここに居ない。
ヴィヴィオと私とチェント、3人がそれぞれのポジションに居るから全力を出せるのだ。
(やっぱりアレかな…)
思い当たるのは1つだけある。
フェイトが聖王のゆりかごに向かってきた時、ヴィヴィオが倒れた時、彼女が外に出るのを止めさせた。模擬戦の経験も少なく、戦技魔法が殆ど使えない彼女が出ても事態を悪化させるしか無いと考えたから。でも…あの時の言い方だと足手まといと思ったのかも知れない。
私達に相談せずにユーリとシュテルの所に行ったのは、相談出来なかったから…。
「すみません、ちょっと驚いてます。ユーリさん、シュテルさんは何て言ってますか?」
『てっきりヴィヴィオみたいに…と言うのかと思っていたのでシュテルも私も困ってます。資質は半分保証されてる様なものですし、レヴィやディアーチェも鍛えたらオーバーSも狙えるって以前から言ってますし、シュテルも認めています。』
『でも…私は今の3人がそれぞれのポジションをより高める方が良いんじゃないかって…。戦技魔法の練習をするならデバイスの改修も要るのでアリシアとプレシアに相談しようと思ったんです。』
「ありがとうございます。母さんには私から話します。チェントには私達が知らない風にしていて下さい。本当に思ってるなら彼女から聞きたいので」
『はい、今夜私達も相談します。シュテルは特訓に前向きみたいです。ヴィヴィオ、追い越されないように頑張って下さいね。』
そう言うと通信は切れた。
「…アリシア、どうする?」
私達は何かある度に彼女を連れ回していたけれど、彼女を都合の良いアイテムの様に思っていなかったか? 増幅要員、データを解析する助手、身の回りを見てくれるキーパー…彼女が何も思わないで付いてきた訳じゃない。彼女は彼女なりに今までの事件を見て来ている。
「少し考えさせて」
アリシアだけで決められるものじゃないけれど、ヴィヴィオに聞かれてそうとしか答えられなかった。
~コメント~
オリジナル色の強い話になってしまいました。
舞台元の話は以前掲載しているのですが、簡単に世界感だけ紹介します。
大人ヴィヴィオ達の世界は砕け得ぬ闇事件(なのはGOD)の後、シュテル、ディアーチェ、レヴィ、ユーリがなのは達の世界に残り家族になった世界です。
なのはがシュテルと、フェイトがレヴィと、はやてがディアーチェと魔力共有契約(フェイトとアルフみたいなもの)で3人の存在を維持する魔力を補完していてユーリだけリンディから魔力供給を受けています。
そんな関係から時間が進み、JS事件が起きてヴィヴィオが家族になり、ヴィヴィオが時空転移に目覚めて~とAnotherStory~AgainSTStoryに似た経験をしてきています。
大人ヴィヴィオの居る現在ではマテリアル+ユーリはミッドチルダで家を借りてシュテル達は教導隊、ユーリが無限書庫司書で最近不在がちのユーノをカバーしています。
…でもよく考えると、機動6課にあの4人が加われば…スカリエッティにとっては悪夢だったのではと少し恐怖。
閑話休題、2人が彼女を連れて行くというのは過去か未来・他の時間軸に何かあったのだろうと考えていた。それから数日経って昨夜なのはからの『定期連絡』が無かったからヴィヴィオ達が帰ってきたと思い、今日か明日あたりにヴィヴィオかアリシアから土産話でも聞けるのではと心待ちにしていた。
しかし真っ先に連絡があったのはチェントからだったのに少し驚いた。
「チェント…何故そう考えたのですか? あなたはアリシアの様に戦技魔法より検索魔法や情報整理が出来る様になりたいと聞いていますし、その為に司書のライセンスも取ったのでしょう?。」
部署の中で大っぴらに話せる内容ではないと考え、シュテルは2人を連れて隣のミーティングルームへ移った。
『レヴィとディアーチェはフェイトとはやてと一緒に出ている様なのでメッセージを送っておきました。ディアーチェから返信です、シュテルの判断に任せるそうです』
『わかりました。』
ユーリがフォローする。彼女はリンディ元統括官のとの魔力供給契約が外れた後、教導や前線に出ることは無く無限書庫で司書をしている。私達に連絡するなら彼女が1番捕まえやすい。
彼女に念話を送り返して再びチェントの方を向く。
「そうです…よね」
聞いた直後彼女の表情が曇る。
「勘違いしないでください。私達はチェントに教えたくないから言っている訳ではありません。あなたは高ランク魔導師になれる資質は十分にあります、既に情報処理についてはヴィヴィオより優れていると思っています。もし今から特訓すればオーバーSランクを目指す事も可能だとも…。」
「私が…そんな」
「私も教導隊の1人です。資質を見る目はあるつもりです。ですが資質を見定めるのと同じ様に動機も必要です。何を思って考えを変えたのか知らなければなりません。私達が納得出来るものであれば私達4人は全力で協力します。」
「教えてくれませんか? 何故あなたがそう思ったのかを」
シュテルが聞くとチェントは言葉を選びながら話し始めた。
彼女が特訓を申し出た理由はヴィヴィオとアリシアの背中を見てだと推測したが、彼女の話はその遙か上を行っていた。
殆ど同じ年の異世界のヴィヴィオ・アリシアとの違い。
聖王のゆりかごを動かしながら結界を作りフル装備のなのはやフェイトやヴィータ達を倒す程の魔力運用と心の強さ、逆に殆ど魔力がないのにフェイトと渡り合うアリシア、目の前でそれを見ている事しか出来なかった悔しさ…
「私はもう…お姉ちゃんやヴィヴィオが倒れるのを見ていたくないし足手まといになりたくないんです。お願いします。私に特訓して下さい。戦技魔法や時空転移が使える様に…私もなりたい。」
瞳を潤ませながら言う彼女にシュテルも流石に彼女にかける言葉を持っていなかった。
一方その頃、ミッドチルダ北部にあるプレシアの研究所の1室にアリシアはヴィヴィオと籠もっていた。彼女達の前にあるのは大きなカプセル。
「思ってたより反動が酷いね…」
他人事の様に言う彼女に溜息をつきながら突っ込む。
「ぶっつけ本番であんな事するからでしょ。時空転移で瞬間移動するなんて無茶苦茶よ。時空震起こすつもりなのって焦ったんだからね。」
「いや…まぁ…あっちの私がやったから私にも出来るかな~って、シグナムさんに勝つ方法あれ位しか無かった訳だし…」
あの状況で手加減が無いシグナム相手にするなら彼女の予想を超えなきゃいけなかったのは判るけれど、何も私達の予想を超える必要はない。
「それも判るけど…あと数秒遅れてたらバルディッシュと3rd壊れてたわよ。」
「そこも含めて私も手伝うから、直して。お願いっ!」
パンッと音を立てて拝むように縋るヴィヴィオにアリシアは再び溜息をつきつつも
「言われなくても直すわよ。私達の相棒なんだし…2nd、3rd、バルディッシュもお疲れ様。」
待機状態の3機がキラッと光って答えるのを見て微笑んだ。
先の事件から戻って来てすぐ、アリシアはヴィヴィオとチェントからデバイスを預かり、自身のデバイスとまとめてチェックした。
思っていた通り魔力の過負荷と戦闘によるダメージが酷かった。このままメンテナンスに出せば何をしたのかマリエルやシャーリー達に聞かれるし、勝手に動いて壊したとなっては始末書を書かなきゃいけない。
アリシア達にも理由があったのだけれど公に話す訳にもいかず、結局先に母の研究所の施設を借りて直す事にした。
それもバレたら十分怒られるのだけれど…要はバレなければいいのだ。
「パーツは何とかなるし…1週間位…かな?」
「えーっ、3日で何とかなんないの!」
背後で文句を言う親友に近くにあったバインダーを持ちあげる。丁度良い重さと固さだ。そのままポイッと投げると直後にゴンっと重い音と悲鳴が聞こえた。
「何すんのよっ!」
「1週間! この子達は兎も角、ヴィヴィオも完治してないでしょ。シャマル先生に頼んで入院する?」
いくら騎士甲冑と聖王の鎧を使ってもストライクカノンの砲撃をまともに受けたのだ。無事な筈がない。
「完治してない怪我人にバインダー投げるかな…」
「分厚い本を投げるよりましでしょ。デバイスだけ直しても仕方ないでしょ。デスクワークもいっぱいあるんだから。あっ、私も分もよろしくね♪」
そう言って近くの端末にあったデータを彼女に投げた。後ろで「何この量…」と呟く声が聞こえたがあえて無視していると、キーを叩く音が聞こえ始めた。
諦めたらしい。
そうして私は3機の修復に集中した。
それから1時間ほど経った時、操作中の端末からコール音が聞こえた。ここのナンバーを知っているのは数人しか居ない。母さんの顧客だろうか?
「はい、テスタロッサ研究所です」
『こんにちは、アリシア』
新しい画面が開き現れたのはユーリだった。
「ユーリさん、こんにちは。」
『今日は…アリシアだけですか?』
「母さんは会議で出ています。ヴィヴィオならここに居ますよ。」
「こんにちは~ユーリさん」
そう言うと後ろから抱きついてきた。
「あっ、チェントを連れ回しちゃってすみませんでした。調査や検索…遅れちゃってますよね? 丁度元司書が1人余ってるんで手伝いますよ♪」
「ちょっと!」
苦情を言う彼女を無視する。
『ありがとうございます。丁度人手も足りていないのでまた今度~。今日はそうじゃなくてチェントについて聞きたくて連絡しました。』
「チェントの?」
ヴィヴィオと顔を見合わせる。
『今日、私とシュテルの所に戦技魔法の特訓して欲しいって来たんです。』
「「!!」」
『私達もアッチの話は聞きましたけれど…その様子じゃ聞いてないですよね?』
何故彼女がそう思ったのか少し考える。
同じ年か少し幼いヴィヴィオと会ったのが原因だろうか? 彼女と比べて何も出来なかったと自分を責めているのだとしたら勘違いも良いところだ。先日の事件は適材適所であり、彼女は彼女として出来ること以上の事をしてくれた。むしろ彼女が居なければ私達はここに居ない。
ヴィヴィオと私とチェント、3人がそれぞれのポジションに居るから全力を出せるのだ。
(やっぱりアレかな…)
思い当たるのは1つだけある。
フェイトが聖王のゆりかごに向かってきた時、ヴィヴィオが倒れた時、彼女が外に出るのを止めさせた。模擬戦の経験も少なく、戦技魔法が殆ど使えない彼女が出ても事態を悪化させるしか無いと考えたから。でも…あの時の言い方だと足手まといと思ったのかも知れない。
私達に相談せずにユーリとシュテルの所に行ったのは、相談出来なかったから…。
「すみません、ちょっと驚いてます。ユーリさん、シュテルさんは何て言ってますか?」
『てっきりヴィヴィオみたいに…と言うのかと思っていたのでシュテルも私も困ってます。資質は半分保証されてる様なものですし、レヴィやディアーチェも鍛えたらオーバーSも狙えるって以前から言ってますし、シュテルも認めています。』
『でも…私は今の3人がそれぞれのポジションをより高める方が良いんじゃないかって…。戦技魔法の練習をするならデバイスの改修も要るのでアリシアとプレシアに相談しようと思ったんです。』
「ありがとうございます。母さんには私から話します。チェントには私達が知らない風にしていて下さい。本当に思ってるなら彼女から聞きたいので」
『はい、今夜私達も相談します。シュテルは特訓に前向きみたいです。ヴィヴィオ、追い越されないように頑張って下さいね。』
そう言うと通信は切れた。
「…アリシア、どうする?」
私達は何かある度に彼女を連れ回していたけれど、彼女を都合の良いアイテムの様に思っていなかったか? 増幅要員、データを解析する助手、身の回りを見てくれるキーパー…彼女が何も思わないで付いてきた訳じゃない。彼女は彼女なりに今までの事件を見て来ている。
「少し考えさせて」
アリシアだけで決められるものじゃないけれど、ヴィヴィオに聞かれてそうとしか答えられなかった。
~コメント~
オリジナル色の強い話になってしまいました。
舞台元の話は以前掲載しているのですが、簡単に世界感だけ紹介します。
大人ヴィヴィオ達の世界は砕け得ぬ闇事件(なのはGOD)の後、シュテル、ディアーチェ、レヴィ、ユーリがなのは達の世界に残り家族になった世界です。
なのはがシュテルと、フェイトがレヴィと、はやてがディアーチェと魔力共有契約(フェイトとアルフみたいなもの)で3人の存在を維持する魔力を補完していてユーリだけリンディから魔力供給を受けています。
そんな関係から時間が進み、JS事件が起きてヴィヴィオが家族になり、ヴィヴィオが時空転移に目覚めて~とAnotherStory~AgainSTStoryに似た経験をしてきています。
大人ヴィヴィオの居る現在ではマテリアル+ユーリはミッドチルダで家を借りてシュテル達は教導隊、ユーリが無限書庫司書で最近不在がちのユーノをカバーしています。
…でもよく考えると、機動6課にあの4人が加われば…スカリエッティにとっては悪夢だったのではと少し恐怖。
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