4話 母と娘?

 キャロが本局医療班で目覚めてから数日の間、フェイトはキャロ病室に足しげく通った。最初はオドオドしながらだったキャロも次第にフェイトを母親の様に慕いだしていた。そしてその間もなのはやフォワードメンバーはキャロの不在を埋める為に新たな連携パターンの訓練を続けていった。
 更に数日が経った頃、フェイトはキャロを連れて六課に戻ってきた。

「お帰り~、フェイトちゃん、それといらっしゃいキャロちゃん」
「ただいま・・なのは。キャロ挨拶は?」

 なのはの声にびっくりしてフェイトの影に隠れるキャロ、それをみてフェイトがフォローする

「キャロ、この人は私の大事なお友達のなのはさん。だから、ね!」
「う・・うん」
「じゃあ、ご挨拶」
「こ・・こんにちは、な・なのはさん」
「はい、こんにちは♪」

 キャロの前で屈んで挨拶するなのは。そこにスバルとティアナ・エリオが駆け寄ってくる。

「おかえりなさい、フェイトさん、あっ!キャロ!!おかえり~!!」

 スバルの大きな声でサッっと再びフェイトの後ろに隠れるキャロ。ティアナがはぁ~っとため息をつきながら

『ちょっとスバル、怖がらせてど~すんよの!今のキャロは・・』
『あっ・・ゴメン』

「ごめんね、キャロ。私達もフェイトさんのお友達なんだ。私はティアナ、それでさっきの大きな声で吃驚させたのがスバル。そして・・」

 ティアナがエリオを見る。自分で自己紹介をしなさいって事らしい・・・エリオは少しだけ微笑みながら

「僕はエリオ、この子は・・フリード・・おかえりキャロ」
「キャロ、病院で言ってたでしょ彼が・・ほら・・」

 キャロはフェイトの影からジ~っとエリオを見つめている。フェイトはキャロを前に押すと戸惑いながら挨拶した。

「こ・・こんにちは、キャロ・ル・ルシエです。お世話になります。」


 隊舎へ向かう間もキャロはフェイトのスカートをギュッと握りしめて離さなかった、しょうがないなと思いながらフェイトはゆっくりと歩いていく。
 
「おかえりなさい、フェイトママ~」
「ただいま、ヴィヴィオ・・いい子にしてたかな?」
「うんっ」

 隊舎に入った途端フェイトに駆け寄るヴィヴィオ。しかしフェイトまであと数歩の所でピタッと立ち止まった。どうやらキャロに気づいたらしい。

「??」
「!!」

 ジーっと見つめられるキャロは再びフェイトの影に隠れた。

「キャロ?」

 ヴィヴィオはフェイトに近づき後ろに隠れたキャロをみる。再びフェイトを盾に隠れようとするキャロを追いかけるヴィヴィオ。キャロが怖がって隠れているのを興味から更に追いかけ回す。やがてフェイトを中心に2人が走り回りだした。
 ヴィヴィオは何かの遊びだと思っているようだ。

「こら、ヴィヴィオ~ キャロ怖がってるでしょ。遊んじゃダメ」

となのはがフェイトの近くを走るヴィヴィオを抱き上げた。

「キャロも、怖がっていないで、仲良くね」
「フェイトママ・・」

そのままフェイトに抱きつくキャロ。

「なのはママ、フェイトママ・・・」
「フェイト・・ママ?」
「じゃあ、キャロにごめんなさい」

なのはに促されヴィヴィオはキャロに謝った。

「ごめんなさい」
「はい!よくできました♪。ヴィヴィオ、キャロはね・・怪我してるんだ。だから仲良くしてあげてね」
 
 ヴィヴィオはなのはとキャロの顔をかわるがわる見つめた。

「キャロ・・怪我・・痛いの?」
「そうだよ、だからちょっとの間はお休み。一緒に遊んであげてね」
「うんっ!」

 なのはが頼むとヴィヴィオは嬉しそうに答えた。その横でフェイトとキャロはというと

「キャロ、ヴィヴィオはキャロの妹。お姉さんらしく一緒に遊んであげてね」
「私の・・妹・・・」
「そうだよ、仲良くしてくれないとフェイトママ悲しいよ」
「はい・・」
「じゃあ仲直り!」

 なのはの言葉で少し怯えながらのキャロと遊び相手ができて嬉しいヴィヴィオが握手する。

「ねぇキャロ、あっちであそぼっ」
「えっ?ええっ!!」

 いきなりヴィヴィオに手を引っ張られて奥の部屋に行ってしまった。タイミングを計ったように

「フェイトちゃん、なのはちゃんもお疲れ様~」
「あっはやてちゃん・・・もしかして今の?」

 階段から下りてくるはやてにフェイトは少し恥ずかしそうに聞くと

「全部見てたよ。保護者はもう板についてるねフェイトちゃん。それになのはちゃんもヴィヴィオのママしてるね~♪もうどっちも子供が出来ても大丈夫やね」
「もうはやてちゃんっ!」

 少し顔を赤めながらもちょっと睨むなのは

「冗談、冗談。それでな・・・・」

 今までにこやかだったはやての表情が少し真剣になった。

「キャロとヴィヴィオはザフィーラに頼んでるから、管制室に少しええか?」
「何?」
「例の映像を解析しててちょっと気になったことがな・・エリオはザフィーラと一緒にキャロの護衛頼めるか?」
「はい」

 2人の後を追うエリオを見て、管制室にはやて達は向かう。

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