第02話「新しい朝 VerV」
- なんでもないただの1日
- by ima
- 2020.01.23 Thursday 23:22
「むにゃ…」
ミッドチルダ首都クラナガンから少し離れた所にある住宅地、その中にある家の2階にある1室にあるベッドがもぞもぞと動いた。
【Good morning.Master】
「ふぁ~…おはよ…Rhd。ん~っ!」
ベッドから降りて背を伸ばす。こうして私、高町ヴィヴィオは目覚めた。
私の朝は陽が昇る少し前に始まる。
外はまだ寒いけれどこの寒さは私の寝ぼけていた頭を覚ますのに十分だった。
ミッドチルダ首都クラナガンから少し離れた所にある住宅地、その中にある家の2階にある1室にあるベッドがもぞもぞと動いた。
【Good morning.Master】
「ふぁ~…おはよ…Rhd。ん~っ!」
ベッドから降りて背を伸ばす。こうして私、高町ヴィヴィオは目覚めた。
私の朝は陽が昇る少し前に始まる。
外はまだ寒いけれどこの寒さは私の寝ぼけていた頭を覚ますのに十分だった。
早速パジャマを脱いで着替える。制服ではなく厚めのパンツとワンピース。更にコートを羽織って部屋を出た。
「おはよ~、なのはママ、フェイトママ」
「おはよう~、ヴィヴィオ。」
「おはよう。」
階段を降りてダイニングに行くと既にママ達は起きていた。2人の声がキッチンから聞こえる。美味しそうな香りが漂ってくる。
今日のお弁当を作っているらしい。
「フェイトちゃん、お願いしてい~い?」
「うん、ヴィヴィオちょっと待ってて」
フェイトママがエプロンを外して現れそのままダイニングを出て、少し経ってコートを着て戻って来た。
「お待たせ。じゃあ行こうか。」
「うん♪」
私は彼女と手を繋いで高町家を出た。
私達が来たのは家から少し歩いたところにある公園。少し暖かくなると子供が遊具で遊んでいたりする、けれどこの季節は寒いし辺りはまだ真っ暗だから人気は全くない。
「じゃあ始めるよ。」
「お願いしますっ!」
私は繋いだ手を放して少し離れ、深呼吸して目を閉じ集中する。その途中で辺りの雰囲気が変わった。フェイトママが結界を作ったのだ。
リンカーコアの鼓動に耳を傾け魔力を身体から溢れ出させ、更にそれを前にかざした両手の平に集めるようにイメージする。
私の魔力はイメージ通り私の身体を淡く光らせながらその光が両手に集まって2つの虹色の光球が生まれた。
「いくよ、練習開始っ!」
同じ様に拳大の金色の魔力球を作ったフェイトママは声をかけて光を空へ投げた。それを追いかけるように私の魔力球が追いかけ始めた。
金色の光は虹色の光をあざ笑うかの様に自由に動いて翻弄している。2つの虹色の光はあっちこっち飛び回る金色の光を追いかけたり回り込んだりと動くがぶつかると思った瞬間、ひらりと避けた。
これが私の朝のトレーニング。デバイスを使わずに魔法の制御と操作する練習。
今は追いかける魔力球は1個だけれど、練習が進めば2個3個と増やして私の魔力球も併せて増やしていくそうだ。
この練習には幾つかの目的がある。
私のデバイス-RHdは高性能なユニゾンデバイスだからデバイスを使えば思った通りの魔法を使う事が出来る。
でも逆に言えば思った通りのことは出来ても思った以上のことは出来ない。だから私のイメージ力をより広げていかなくちゃいけない。
でも私がRHdを使う時というのは殆どが何かの事件に巻き込まれている時でそんなことを考える余裕なんて全く無い訳で…。
更にデバイスも市販デバイスどころか管理局でも限界性能であるが故、私自身がRHdを前々使いこなせていないという問題も出てしまっている。
それらの問題をまとめて解決する方法があった。デバイスに頼らずに魔導制御をしつつ練習を通じてデバイスが私に歩み寄れるかを経験させていく。その過程で私の癖や苦手なところ、得意なところも学習していく。
このトレーニングがコラード先生からの課題の1つで、昔なのはママ達もこのトレーニングをしていたらしい。
という長い話はとりあえずこの辺りで終わらせて…
「はい、トレーニング終了。」
30分程追いかけっこが続いたけれど私の魔力球はかすりもしなかった。
「ありがとうございました。」
ハァ~っとため息をつきながら答えて魔力球を消す。
練習が進めばと言ったけれど、まだまだかかりそうだ。
「何度か捕まりそうだった。前より凄く上手になってる、この調子で頑張ろう♪」
リップサービスなのかわからないけれど、彼女の励ましに
「うん♪」
頭を切り替えて笑顔で頷いた。
「ただいま~♪」
「おかえり~、一緒に朝ご飯食べよう♪」
私の声を聞いてなのはママがダイニングから顔を見せる。
「はーい、着替えてくる~」
私は階段を駆け上がって服を脱ぎ制服に着替えてダイニングへと向かった。
3人揃って朝食を食べた後、用意をして一緒に出かける。
レールトレインの駅で私達は別れて北部、教会本部方向に向かい、ママ達はミッドチルダの首都、クラナガンへと向かう。
高町家はクラナガン北部に隣接した都市郊外にあるのでミッドチルダ地上本部や聖王教会に行くのに便利な場所にある。クラナガン方面のレールトレインは朝の通勤・通学で人が多いけれど、逆に北部方面へと向かうレールトレインはまばらだ。
レールトレインに揺られること10数分後、Stヒルデ学院最寄りの駅に着いて降りる。
「ヴィヴィオ~っ!」
駅から出たところで私の名前を呼ぶ声が聞こえて振り返る。手を振っていた友達のリオとコロナを見つけて駆け寄った。
「おはよ~♪ リオ、コロナ」
「おはよ~」
「寒いね~」
彼女達も同じレールトレインに乗ってきたらしい。
3人で一緒に学院へと向かっていると
「ごきげんよ~」
「ごきげんよう」
お喋りしながら向かっていると何度も初等科生から声をかけられる。都度笑顔で挨拶するが、学院に近づく程増えていく。
「もうすっかり人気者だね~♪」
「そんなんじゃないよ~」
半ば揶揄うリオに答える。去年と比べたら落ち着いてきているから挨拶で済むのは正直助かっている。でも、出来ればもう少し静かに学院生活を過ごしたいな~とか思っていたりもする。
何故かと言えば…
「…いっぱい居るね。」
「…うん、2人とも先に教室に行ってて、後で行くから。」
初等科の校舎が見えてきた時には小さくため息をついた。
20人近くの生徒が前で集まっていたからだ。
普通は何かあったのかなと思うけれど、私を指さす子も居てその希望は消え現実に引き戻される。
「また後でね♪」
苦笑いして言う2人に小さく手を振って私はその集団へと向かった。
昔から読書好きなところから図書館で一緒に本を読んでいたクラスメイト以外の下級生や同級生とは仲良くなっていたけれど、闇の書事件の記録映像で私が八神はやて役として出演したところから大きく変わってしまった。
はやてさんは希有な古代ベルカ式魔法を多く持つ時空管理局ミッドチルダ地上本部でも偉い人。ベルカ聖王を奉る聖王教会関係者は勿論、その家族が多く通う聖王教会直系のStヒルデ学院でも彼女の名前を知っている子が多い。
そんな環境で私が演じ、更に管理局からの広報映像で撮影時のトラブルから私は闇の書の意思と互角以上の戦闘をして、その時撮られていた映像が出てしまった。
おかげで学院内で私の名前は一気に広まってしまった。
更に去年秋に開かれた戦技披露会で八神家の1人、ヴィータさんと本気の模擬戦をして勝ったのがダメ押しとなって、優れたベルカ式魔法を使う者が呼ばれる名【ベルカの騎士】の1人として数えられていると話題になっている。
そんな結果何が起きたかと言うと、いわゆるファンクラブみたいなものが学院内で生まれそうになった。先生が怒ってくれてファンクラブそのものは作られなかったけれど、人気が集まったのは変わらない。
無視したり、無碍な扱いをすれば「冷たい人」みたいに悪い噂も立ってしまいかねないからこれからも平和な学院生活を送る為に大人の対応をしなくちゃいけない。
頭を切り替えて笑顔で1人1人挨拶と少し話をしていく。それからヴィヴィオが教室に着いたのは10分後のことだった。
「おはよ…やっとついた…」
全員と挨拶してから見送られて階段を上がって教室へと入ったところで一息ついた。
「ごきげんようヴィヴィオ♪ 朝からお疲れ様」
私の親友、アリシアが声をかけてきた。
妹を幼等科に送ってから来ている筈なのに彼女の方が早い。
もう少し早く学院に来れば朝の騒ぎは避けられるのだけど、私達が来た時には既に彼女は来ているのに気づいていた。
私も早く来て誰もいない時に教室に来てしまえば集まった生徒達は予鈴まで待つことになる。まだ少し寒い今の季節、待っていたら風邪を引いてしまうかも知れないからここも大人の対応と納得するしかない。
飽きてくれるのを待つのが良いんだけれど…いつになるのか考えたくない。
~コメント~
第1話のヴィヴィオバージョンになります。
元々「何でもないただの1日」はアリシア視線で話を進めていたので、併せてヴィヴィオ視点でも書いていけば面白いかなと思ったのが今話です。
「おはよ~、なのはママ、フェイトママ」
「おはよう~、ヴィヴィオ。」
「おはよう。」
階段を降りてダイニングに行くと既にママ達は起きていた。2人の声がキッチンから聞こえる。美味しそうな香りが漂ってくる。
今日のお弁当を作っているらしい。
「フェイトちゃん、お願いしてい~い?」
「うん、ヴィヴィオちょっと待ってて」
フェイトママがエプロンを外して現れそのままダイニングを出て、少し経ってコートを着て戻って来た。
「お待たせ。じゃあ行こうか。」
「うん♪」
私は彼女と手を繋いで高町家を出た。
私達が来たのは家から少し歩いたところにある公園。少し暖かくなると子供が遊具で遊んでいたりする、けれどこの季節は寒いし辺りはまだ真っ暗だから人気は全くない。
「じゃあ始めるよ。」
「お願いしますっ!」
私は繋いだ手を放して少し離れ、深呼吸して目を閉じ集中する。その途中で辺りの雰囲気が変わった。フェイトママが結界を作ったのだ。
リンカーコアの鼓動に耳を傾け魔力を身体から溢れ出させ、更にそれを前にかざした両手の平に集めるようにイメージする。
私の魔力はイメージ通り私の身体を淡く光らせながらその光が両手に集まって2つの虹色の光球が生まれた。
「いくよ、練習開始っ!」
同じ様に拳大の金色の魔力球を作ったフェイトママは声をかけて光を空へ投げた。それを追いかけるように私の魔力球が追いかけ始めた。
金色の光は虹色の光をあざ笑うかの様に自由に動いて翻弄している。2つの虹色の光はあっちこっち飛び回る金色の光を追いかけたり回り込んだりと動くがぶつかると思った瞬間、ひらりと避けた。
これが私の朝のトレーニング。デバイスを使わずに魔法の制御と操作する練習。
今は追いかける魔力球は1個だけれど、練習が進めば2個3個と増やして私の魔力球も併せて増やしていくそうだ。
この練習には幾つかの目的がある。
私のデバイス-RHdは高性能なユニゾンデバイスだからデバイスを使えば思った通りの魔法を使う事が出来る。
でも逆に言えば思った通りのことは出来ても思った以上のことは出来ない。だから私のイメージ力をより広げていかなくちゃいけない。
でも私がRHdを使う時というのは殆どが何かの事件に巻き込まれている時でそんなことを考える余裕なんて全く無い訳で…。
更にデバイスも市販デバイスどころか管理局でも限界性能であるが故、私自身がRHdを前々使いこなせていないという問題も出てしまっている。
それらの問題をまとめて解決する方法があった。デバイスに頼らずに魔導制御をしつつ練習を通じてデバイスが私に歩み寄れるかを経験させていく。その過程で私の癖や苦手なところ、得意なところも学習していく。
このトレーニングがコラード先生からの課題の1つで、昔なのはママ達もこのトレーニングをしていたらしい。
という長い話はとりあえずこの辺りで終わらせて…
「はい、トレーニング終了。」
30分程追いかけっこが続いたけれど私の魔力球はかすりもしなかった。
「ありがとうございました。」
ハァ~っとため息をつきながら答えて魔力球を消す。
練習が進めばと言ったけれど、まだまだかかりそうだ。
「何度か捕まりそうだった。前より凄く上手になってる、この調子で頑張ろう♪」
リップサービスなのかわからないけれど、彼女の励ましに
「うん♪」
頭を切り替えて笑顔で頷いた。
「ただいま~♪」
「おかえり~、一緒に朝ご飯食べよう♪」
私の声を聞いてなのはママがダイニングから顔を見せる。
「はーい、着替えてくる~」
私は階段を駆け上がって服を脱ぎ制服に着替えてダイニングへと向かった。
3人揃って朝食を食べた後、用意をして一緒に出かける。
レールトレインの駅で私達は別れて北部、教会本部方向に向かい、ママ達はミッドチルダの首都、クラナガンへと向かう。
高町家はクラナガン北部に隣接した都市郊外にあるのでミッドチルダ地上本部や聖王教会に行くのに便利な場所にある。クラナガン方面のレールトレインは朝の通勤・通学で人が多いけれど、逆に北部方面へと向かうレールトレインはまばらだ。
レールトレインに揺られること10数分後、Stヒルデ学院最寄りの駅に着いて降りる。
「ヴィヴィオ~っ!」
駅から出たところで私の名前を呼ぶ声が聞こえて振り返る。手を振っていた友達のリオとコロナを見つけて駆け寄った。
「おはよ~♪ リオ、コロナ」
「おはよ~」
「寒いね~」
彼女達も同じレールトレインに乗ってきたらしい。
3人で一緒に学院へと向かっていると
「ごきげんよ~」
「ごきげんよう」
お喋りしながら向かっていると何度も初等科生から声をかけられる。都度笑顔で挨拶するが、学院に近づく程増えていく。
「もうすっかり人気者だね~♪」
「そんなんじゃないよ~」
半ば揶揄うリオに答える。去年と比べたら落ち着いてきているから挨拶で済むのは正直助かっている。でも、出来ればもう少し静かに学院生活を過ごしたいな~とか思っていたりもする。
何故かと言えば…
「…いっぱい居るね。」
「…うん、2人とも先に教室に行ってて、後で行くから。」
初等科の校舎が見えてきた時には小さくため息をついた。
20人近くの生徒が前で集まっていたからだ。
普通は何かあったのかなと思うけれど、私を指さす子も居てその希望は消え現実に引き戻される。
「また後でね♪」
苦笑いして言う2人に小さく手を振って私はその集団へと向かった。
昔から読書好きなところから図書館で一緒に本を読んでいたクラスメイト以外の下級生や同級生とは仲良くなっていたけれど、闇の書事件の記録映像で私が八神はやて役として出演したところから大きく変わってしまった。
はやてさんは希有な古代ベルカ式魔法を多く持つ時空管理局ミッドチルダ地上本部でも偉い人。ベルカ聖王を奉る聖王教会関係者は勿論、その家族が多く通う聖王教会直系のStヒルデ学院でも彼女の名前を知っている子が多い。
そんな環境で私が演じ、更に管理局からの広報映像で撮影時のトラブルから私は闇の書の意思と互角以上の戦闘をして、その時撮られていた映像が出てしまった。
おかげで学院内で私の名前は一気に広まってしまった。
更に去年秋に開かれた戦技披露会で八神家の1人、ヴィータさんと本気の模擬戦をして勝ったのがダメ押しとなって、優れたベルカ式魔法を使う者が呼ばれる名【ベルカの騎士】の1人として数えられていると話題になっている。
そんな結果何が起きたかと言うと、いわゆるファンクラブみたいなものが学院内で生まれそうになった。先生が怒ってくれてファンクラブそのものは作られなかったけれど、人気が集まったのは変わらない。
無視したり、無碍な扱いをすれば「冷たい人」みたいに悪い噂も立ってしまいかねないからこれからも平和な学院生活を送る為に大人の対応をしなくちゃいけない。
頭を切り替えて笑顔で1人1人挨拶と少し話をしていく。それからヴィヴィオが教室に着いたのは10分後のことだった。
「おはよ…やっとついた…」
全員と挨拶してから見送られて階段を上がって教室へと入ったところで一息ついた。
「ごきげんようヴィヴィオ♪ 朝からお疲れ様」
私の親友、アリシアが声をかけてきた。
妹を幼等科に送ってから来ている筈なのに彼女の方が早い。
もう少し早く学院に来れば朝の騒ぎは避けられるのだけど、私達が来た時には既に彼女は来ているのに気づいていた。
私も早く来て誰もいない時に教室に来てしまえば集まった生徒達は予鈴まで待つことになる。まだ少し寒い今の季節、待っていたら風邪を引いてしまうかも知れないからここも大人の対応と納得するしかない。
飽きてくれるのを待つのが良いんだけれど…いつになるのか考えたくない。
~コメント~
第1話のヴィヴィオバージョンになります。
元々「何でもないただの1日」はアリシア視線で話を進めていたので、併せてヴィヴィオ視点でも書いていけば面白いかなと思ったのが今話です。
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